次回こそは必ず闘います!―――戦闘描写がうまくできるか不安ですが…。
登校二日目の今日。
雄英に向かう車の中で少し物思いに
昨日は大変喜ばしい出来事があった。主人公の緑谷とお互いに自己紹介を経て知り合えた。もちろん麗日さんとも知り合えたこともうれしい。
まだまだお互いの名前を知った程度だが、それでもこれから親交を深めていけば…、と…友だちと呼んで差し支えないのではないだろうか!?
―――すまん、自分はっきりと友だちと呼べる相手が少ないもんで……。
…とにかく!
今日の午後は…待ちに待ったヒーロー基礎学がある!!
午前中は通常の授業が行われるが、それもそれで楽しみではある。教壇に立つのはいずれもプロのヒーローたちで、どの教師も別の意味で個性あふれる方々ばかり。…それに今日行われる英語の授業はあのプレゼント・マイク! 一ファンとして心して清聴しなければ…!
※ ※ ※
いまだにクラスのほとんどと碌に挨拶も交わせていないが、それでも一緒に授業を受けてみたわけなんだが……普通だ。受けた授業の内容は普通に高校の授業そのもので、変わっているのは教師陣の説明の仕方くらいだった。…まぁ面白かったから別にオレ的にはオッケーなんですけどね!
にしても雄英は国立の高校なわりには一貫して週6日制だし、土曜以外の平日は授業が7限まであり、その土曜も6限まである。日曜が休日なのはうれしいけど多分課題が出されるだろうし…。これはなかなかハードだ。
まぁ、それはともかく。
午前の授業が終わり、本日初めて食すことが叶った…クックヒーロー・ランチラッシュが提供する一流の料理を存分に味わい、ついに午後の授業が始まる。
ヒーロー基礎学。
前世ではなかった授業の一つであり、この世界でもヒーロー科でしか受けることのない授業。オレは高まる期待を胸に、あの人物が教室の扉を開けるのを待つ。
他のクラスメイトも同じ気持ちなのか、教室の中は落ち着きのない気配で満ちている。そんな中、あのヒーローが―――
「わーたーしーがー!!普通にドアから来た!!!」
来たー!!
「オールマイトだ…!!すげえや、本当に先生やってるんだな…!!!」
「
みんな色々言ってるけど確かにスゲー!!
生まれ変わってから初めて生でこの人を見れたけど、やっぱなんかこの人だけ画風チゲー!筋肉スゲー!…やばい、テンション上がりすぎて
まぁそれだけこの人と出会えたのがうれしいってことなんだけど。画面の向こう側にいた憧れの存在がすぐ目の前にいるってのは、やっぱ気持ちが昂るものなんだなよな。
「ヒーロー基礎学!ヒーローの素地をつくる為、様々な訓練を行う課目だ!!」
溜めたあとに突き出された手には『BATTLE』のプレートが握られていた。…にしてもこの人、教室入ってきたときもそうだったけど動作が面白いよね?
「早速だが今日はコレ!!戦闘訓練!!!」
「戦闘……」「訓練…!」
「そしてそいつに伴って…こちら!!!」"ガゴッ"
オールマイトが壁を腕で示すと、壁から収納スペースがせり出してくる。
「入学前に送ってもらった『個性届』と『要望』に沿ってあつらえた…
「「「「おおお!!!!」」」」
「着替えたら順次グラウンド・
「「「「はーい!!!」」」」
収納スペースに収まっていた自分の出席番号が印字されているケースを取り出し、さっそく更衣室まで着替えに向かう。
―――更衣室でドキドキしながらケースを開くと、中には要望通りのコスチュームが収められていた。
各自で着替え終わり次第、順次指定された場所に向かう。天哉は着替えるの大変そうな割には結構早い。オレなんかは比較的早く着替え終わったのに同じくらいだったので、一緒にグラウンドβまで行くことにした。
…緑谷は着替えるのに手間取っていたようだったが、先に行っていてくれと言うので先に向かうことにした。
「それにしても我愛羅くんは本当にそのコスチュームでよかったのかい?」
「オレには砂の防御があるからな、軽装でも問題ない。…だが天哉のほうはずいぶんと…その、重装備だな?やはり家族たちのコスチュームをイメージしているのか?」
元々お互いにコスチュームに関しては話し合っていたりもしたのだが、実際に目の当たりにすると出てくる感想にも驚きが出てくる。
「このコスチュームは要望書で説明と一緒に絵に描いて説明させていただいた通りの仕上がりなのだが、ボ…俺は特定のヒーローに似せてもらいたいとは書いていないので、きっと偶然だと思う」
そうなのか?…まぁこれも必然なのだろう、物語的に。…それにしてもなかなか自分の一人称が慣れてないようだな。
オレのコスチュームについて説明させてもらうと、原作の我愛羅をイメージさせてもらい要望には絵を描き、あとは性能についてはお任せにした。
具体的には風影就任後の服装をイメージしてロングコートと左肩から掛かる防御性の高いジャケット、それに背中に瓢箪を背負うための帯、極めつけは額に『愛』の文字と両目の周りに隈取をペイントしてみた。このペイントは専用の薬剤を用いなければ洗っても落ちない
そんな心配を他所にオレたちは目的の場所にまで辿り着いた。そこにはすでにほかのクラスメイト達がそこそこ集まっていた。
―――こうして見てみると、やっぱりみんなけっこう似合っているよなぁ。ヒーローっていうのはみんなコスチュームを身に纏っているものと言う先入観があるけど、今目の前にいるのはクラスメイトとして顔を合わせた人たちだったのに、それがヒーローのコスチュームを身に纏っているのを見るとなんだか不思議な感じがするよ。
特に女子の4人はまともに正面から見れないからね?
二人は肌に張り付くようなスーツ姿だし…、一人は今にもその同年代よりも育っている個所が露わになりそうだし…、なにより約一名…ほとんど何も身に着けていないよね?手袋と靴と、後はイヤホンくらい??―――……凄まじいな…!!
「皆早い…!!」
おおっと、みんなの観察をしていたら最後の緑谷が来たようだ。
「さあ!!始めようか有精卵共!!戦闘訓練のお時間だ!!!」
全員が揃ったところでオールマイトがその渋い声で授業の開始を告げる。にも拘わらず、緑谷が麗日のコスチュームに目を奪われ、そこをあの淫欲の小鬼が緑谷に絡んでいる。…オレは内心で同意しておく。
「良いじゃないか皆。カッコイイぜ!!…ムム!?」
オールマイトがそう言ってくれるが、すぐに顔をそらしてせき込むような姿でプルプル震えている。わかる、わかるよオールマイト…。あの緑谷のコスを見ると、誰をイメージしているのか丸わかりだもんな…!
「先生!ここは入試の演習場ですが、また市街地演習を行うのでしょうか!?」
そんな折にいつものように天哉がズバッと挙手をして質問を繰り出す。
「いいや!もう二歩先に踏み込む!屋内での
そこからはオールマイトがどのような内容かを説明し始める。
クラスメイト同士で『
そしてこれからコンビ及び対戦相手を決めるためのくじを引くことになったのだが…。
オレはちょっと小細工を試してみることにした。
以前から考えていたことなのだが、この世界はこのままいけば恐らく原作に沿った通りに進んでいくと思う。昨日のテストではオレが一位になったが、それ以外の順位はすべて原作の通りだった。
まだ確定するには材料が少ないので断定できないが、オレが居ても
能動的に動かなければ大きな変化は得られないだろう。―――…つってもオレってば救助訓練のときに襲撃が行われる事件ぐらいしか記憶にないんだけどね?その後のストーリーはあんまり…いや、まったく知らないので原作と変わったのかどうかなんて判断つかないから。
だから今回ちょっと積極的に
その結果―――
ヒーロー組
緑谷・麗日 VS 爆豪・飯田
常闇・オレ VS 峰田・芦戸
切島・上鳴 VS 青山・耳郎
轟・葉隠 VS 尾白・砂籐
蛙吹・障子 VS 瀬呂・八百万
……なんでじゃあ!?
先んじて箱の中に砂を潜ませ、誰がくじを取ろうとしても原作とは違う相手同士になるように細工したのに…なんであの四人だけ変わってないんだ!?
他の連中はうまくいったのに…なぜ?
やっぱりオレに
そんな考察を脳内で繰り広げる間にも授業は進んでいく。
第一戦が行われるビルの地下にあるモニタールームに対戦チーム以外のクラスメイト達と共に降りると、各画面にビル内部の様子が映しだされている。
はっきり言ってその後の展開は原作の通りに事は進んだ。爆豪と天哉の組が無傷のまま破れ、勝ったはずのヒーロー組たちは麗日は酔いに苦しみ、肝心の緑谷はボロボロ…。
見ている間はずっと緑谷の心配をしていたと思う。
体をボロボロにしつつも、勝つためにさらに腕を酷使する姿には痛々しさを覚えた。…くじを操作しようとした理由の一つが、これを恐れて対戦表を変えようと思ったんだけどな…。
ハンソーロボの担架に乗せられて保健室へ連れて行かれる緑谷以外がモニタールームに揃い、今の対戦を講評するそうだ。
例の一部の箇所が大きい女子がオールマイトに代わって全員の講評が行われると、次の対戦はオレの番なのでタッグを組むことになる相手と共に別のビルへと向かう。
「俺の名は
『ヨロシクナ!』
開始地点に到着したあとはお互いに自己紹介ということになり、まず初めに彼…常闇が個性とともに名乗ってくれた。いきなり彼のマントから彼の個性そのものであるダークシャドウが姿を現したので少しビックリしてしまった…。
「ああ、よろしく頼む。オレは風影我愛羅。そしてこいつが…」
『ふん…。オレ様はよろしくする気はねェからな、そこんところだけよろしくな』
憎まれ口を叩きながら背中の瓢箪から声だけで挨拶を返す守鶴。
「…ほう。俺の黒影《ダークシャドウ》と同じ個性の持ち主なのか?」「ナノカ?」
彼…常闇は頭だけが鳥に似た顔立ちをしているので、ちょっと表情が分かりずらいところがあるが、それでも驚きの表情をしたことはわかった。ついでにダークシャドウも。
「多分おなじ…なのだと思う。オレの“個性”は複合型なのだが、オレ自身は砂を操るが…同時にこの守鶴も宿しており、砂があればこうして実体を得ることができるのだ」
と言っても今は瓢箪に化けていて、本来の狸の姿での紹介ができないのが残念だ。守鶴も大事な自己紹介の場なんだから元の姿に戻ってもいいだろうに…。
「…すまんな。本来こいつの姿はこれではないのだが…、あまりこいつは素直ではないんだ」
『おい我愛羅!あまり余計なことは言うんじゃねェよ!』
「ほう…、そうなのか?俺と黒影《ダークシャドウ》は対等の存在…、幼き頃より共に過ごし共に苦難を乗り越えてきた相棒だ」
『オウヨ!』
そう言ってお互いに視線を交わす二人…。……オレたちだって…!
「なるほど、だがそれはオレたちとて同じだ。なぁ守鶴?」
背中に感じる相手に向かってそう問いかける。
『…ケ!ったくしょうがねェな!!』
不意に背中の重みが消える。
そしてオレの横には元の姿に戻った守鶴がいた。
『我愛羅がどうしてもっつうからな…、オレは別にどうでもいいんだけどな!そこんところ忘れんなよ!?』
―――こいつって結構面倒くさい性格してるよな…。素直によろしくお願いすればいいのに…。
この間、わずか数分の会話だったが…、それでも互いに知り合うことができた。―――意図的にだが。…はいすみません、小細工したときに意図して常闇とコンビになれるようにしました。早いうちに彼とダークシャドウの二人と話したかったもので…。クラスでオレから話しかけるとなんで彼の個性を知っているのかという話になるので、自然の流れで互いに自己紹介できる都合のいい時機が今回だった。
これから対戦なのであまり話せないけれど、それでも知り合えたのだからこれからもっと話せる機会は増えるだろうからそれで良しとする。
この四人なら…戦うことになった二人には悪いけど、負ける気がしない…!