「まず同じ学校やったんやねぇ。制服見ても気づかんかったわぁ」
「いや、それだけじゃ…。ま、まあいいか。それにしてもまさか気づかないとは思わなかったよ…」
「…?」
緑谷出久。
どうやら同じ学校の、隣のクラスの子らしい。
ついさっきのあのオタク具合…
将来はやはりヒーロー志望なんかな
となるとやっぱり高校はヒーロー科志望なんやろか。
高校といえばもう少しで受験やけど、どこに受けるんかな
「そうえば緑谷くんはどこ受けるん?受験。」
そう聞くと、緑谷くんは少し固まり、答える。
「───僕は、さ。雄英高校の、ヒーロー科志望なんだ。」
「へー。そうなんやね。なら俺と一緒やね。ぶっちゃけ偏差値てなんなん?」
緑谷くんは同じ学校を受けるらしい。
だいぶ難関校と聞いているんやけどやっぱ人気やねんなあ
そう考えながら偏差値云々と雑談を続けようとする白野を、緑谷は立ち止まってこちらを見る
「──なんとも、思わないの?」
「…なにが?」
「ほら、僕の無個性だから…」
「あ、無個性なん?」
「えぇ!?知らなかったの!?」
「まあ、他クラスはおろか今いるクラスも多分知らない人いるしねえ」
そう言いながらまた歩き出す。
「無個性。やっぱ周りの人からなんか言われるん?」
「まあ、ね…。無個性ってだけでバカにされるけど、それに加えてヒーローになりたいって言うとね…」
それを聞きながら、白野は「ふーん」で済ませる。
「まあ、個性持ってる俺が言ってもあれかもしれへんけど…。」
よそはよそ、うちはうちやろ?
個性を持ってないからこそヒーローになったら君にしかできないことだって見つけれるかもやろ?
それなら目指して見るべきなんちゃう?
君が目指したい、最高に『かっこいいヒーロー』に。
あのあと、学校に付いたので緑谷くんとわかれた。
そして学校が終わり、帰ってる最中のこと。
ふとしたことで、あることを思い出した
「(よーやく思い出した…。緑谷くんて無個性で、たしか子供の頃からずっとバカにされてたこやん)」
幼稚園の頃、ある子と仲が良かった。
その子は俺にある動画を見せてくれた。
火の海
倒壊したビル
その光景を写している男性
『見えるか!?もう百人は助け出してる!!!』
その中から高笑いを上げながら数人を抱えて出てくるヒーロー。
『まだ10分しか経ってねーーーって!!やべぇって!!!めっちゃ笑ってんよ!!!』
そして、人を抱えているそのヒーローは言うのだ。
「もう大丈夫!なぜって!?」
「私が来た!!!!」
それを見せてくれた子は、興奮しながらいつもこう言う。
「超かっこいいなぁ!僕も個性でたらこんな風になりたいなぁ!!」
その動画の中の光景のヒーローにも憧れたのだろう。きっと。
だがそれ以上に、彼がヒーローのカッコよさを語ってくるたびに感じる輝き…
それに俺はあこがれていたのかもしれない。
「(…て、なんで今頃こんなこと思い出してんねやろ…)」
今の今まで忘れてたんやけど、ほんま今日は色々あるなぁ…
いや…ホンマに色々ありすぎな気ぃするわ…
「目の前でヴィランが人質とってその子の個性で暴れてるところを見るってのも珍しいわぁ…」
ヴィラン自体今日だけて2回目やん…
多いわァ…
ドブみたいなヴィランに纏わり疲れている少年は手のひらを爆発させている。
『オオオオォオォオアアアアア!!!!』
ヴィランの変な叫び声を聞きながら狐は辺りを見渡した。
場所は商店街の中
出入口は観客というか、野次馬が多く集まっている。
片方の入口にはMt.レディがいるが、どうやら狭すぎて入れないようだ。
そして次にヴィランとヒーロー。
ヴィランの能力は液状化なのだろうか…?ドブみたいで汚そう。
そのヴィランが寄生しようとしている少年は…見覚えないけどそのこの個性で暴れてるんかな
ヒーローは相性と人質としても取られている少年のせいで対応にも遅れているようやねえ
今は主に人命救助にあたり、ほかのヒーローはプレッシャーをかけている状態なんやろか。
「かと言って一般人の俺が手出せるわけないしなぁ。相性に有利なヒーロー待つしかないやろなぁ」
そう思いながら少しズレたメガネをかけ直す。
ヴィランは依然として暴れているがどうやら相性有利なヒーローはまだ来れていないらしい。
寄生されてる少年も大変やなあ…
そう思いながら見ていると、後ろの方からだが恐らく緑谷くんがいることに気づく。
「緑谷くん…?手で口塞いで何してんねやろ…。」
そういや緑谷くんとあの寄生されかけてる少年、同じ制服やね…
知り合いかな?
話しかけて見ようかな。
そう思いながら近づいていく。
ヴィランに寄生されかけている少年がこちらに視線を向ける。
その目は助けを求めているような目をしていて────
しかし、ヒーローは手の打ちようがないので手持無沙汰にしている。
そのような状況で、緑谷くんは
おもむろに
飛び出した。
「!?緑谷くん!?」
何してんねやあの子!?
ヒーローが「バカヤロー!止まれ!止まれ!!!」と叫ぶ。
しかし緑谷くんはまるで聞かずに走る
ヴィランの手が伸び緑谷くんに襲いかかる、が
緑谷くんは持っていたバックをヴィランの顔面に投げ、さらに近づく。
しかし、もう一方の手は爆発させながら緑谷くんに近づいていく。
「(…!?あかん!!)」
なんとでもなれ!!
狐は、あまり人に興味を持たない。
それ故に人を進んで助けようとも思わない…が、なぜかその時だけ。
体が勝手に動いた。
彼は個性を発揮し、壁を蹴って人混みを一瞬で抜ける。
「な!?」
下にいたヒーローが驚いた声がしたが、関係ない。
狐の目は青白く光り、口からは同様に青白い焔がチロチロとでる。
そしてそのまま手を振り下ろすと───
ヴィランの爆発している手と緑谷くんのあいだに青白い炎が出現し、それが爆発する手を遮る
ヴィランがこちらに気づき意味不明の叫び声を上げる
その間に緑谷くんは寄生されかけている少年に到達した。
「かっちゃん!!」
叫びながら少年の顔にまで来ている泥のようなものを払う。
「何でテメーが!!!」
緑谷くんは急いでかっちゃんと呼ばれた少年にかかっている泥を払いながら叫ぶ。
「足が勝手に!!なんでって…わかんないけど!!!」
狐はヴィランの腕を焼きながらその言葉を聞く。
「君が!!!助けを求める顔をしてた!!!」
その言葉を聞き、狐は、自分の行動を思い返し─────
「もう少しなんだから!邪魔するなぁ!!!!」
「無駄死にだ!!自殺志願かよ!!!」
ヒーロー、ヴィランが叫ぶ。
が、その中で狐は背後から力強い何かを感じていた。
そして、突風を巻き起こしながらその力強い存在は、緑谷くんの手を掴む。
狐はその存在を見て、目を見開く。
「君を諭しておいて…己が実践しないとは!!!」
かつて大災害で伝説を残した、NO.1ヒーロー。
「プロはいつだって命懸け!!!」
その存在がヴィランの発生を抑止する平和の象徴。
その存在は右手を大きく振り上げ、叫ぶ。
「DETROIT!!!!」
そして地面に拳を打ち付ける。
「SMASH!!!!」