「DETROIT!!!SMASH!!!」
平和の象徴たるNo.1ヒーローの一撃。
それにより起こされた暴風を感じながら狐は着地する。
空からポツポツと雨が降ってくる。
たしか今日は雨が降ることは無かったはずやけど…
すると誰かが言う。
「まさか今の風圧で…!?上昇気流が…!」
その言葉を聞き、狐も空をはっと見上げる。
────先程までは無かった雨雲…
そこで、狐はまた平和の象徴と呼ばれている大きな背中をを見つめる。これが…No.1ヒーロー…
『オールマイト』…!!
雨が止み、太陽が出てくる。
自分は濡れてしまった学ランを脱ぎ、手首にかけておく。
「これが…オールマイトかぁ…。やっぱ間近で見るとすごいわぁ…」
そう呟きながら、周りを見渡す。
寄生されかけていた少年の個性により起きていた火事はすでに鎮火していた。
たった右腕1本に変えられた天候によって。
あの後、ベトベトはヒーローに回収されていた。
なぜか緑谷くんは怒られ、寄生されていた少年は賞賛を受けていた。
「(俺はお咎め無しなんかな…今のうちに帰っちゃおか。)」
怒られるのは勘弁やしなぁ。
そう思いながら足早に去ろうとする。が、どうやら遅かったようでヒーロー数人が話しかけてくる。
「君!先程は素晴らしい個性だった!君の個性は火炎を放出するのかい!?」
「…や、気のせいじゃないですかね。俺はなんもしてませんよ。」
そう言いながら歩いた行こうとするが違うヒーローが道を阻む
「まあ、少しくらいいいじゃないか!それにその個性、火力、スピード、共に申し分ない!将来はうちの事務所にきて、相棒にならないか!?」
ただでは帰らせようとしない姿に辟易しながら無理やり通る。
「すみません、今帰る途中だったので。」
そう言いながら狐を阻む腕を押し退けながら歩いていく
後ろではヒーローが「もうちょっとだけ話を!」と言っていたが無視をして狐は帰っていった。
「はー…疲れたわぁ」
家に着いたが、どうやらまだ誰も帰って来てないようだ。
先程の雨で濡れてちゃったし風呂に入ろかな。
自室にカバンを投げ捨てる。
階段を降りながら学ランを脱ぎかごの中に入れ、髪ゴムをとり風呂に入る。
シャワーをだし、髪の毛から濡らしていく。
ジャーという音を聞きながら目を瞑り、先程のことを思い出す。
緑谷くんが無茶をしてヴィランの前に飛び出したこと。
その時の光景が鮮明に脳裏に浮かぶ。
『かっちゃん!!!』
『足が勝手に!!何でって…わかんないけど!!!』
『助けを求める顔をしてた!!』
あの時、なぜか勝手に体が動いていた。
それも、なんの迷いもなく個性を発動するほど。
自分が見ていたのは緑谷くんの後ろ姿だ。どんな顔をしていたんかは知らへん。けど、あの行為は間違いなく…
「ヒーローのソレ、やったやんなあ…」
目をゆっくり開け、目元まで下がってきている髪の毛を上に上げる。
シャワーを止め、湯気が立ち上っているのを感じながら自分の行動を思い出す。
…いつもなら、あんなことしたやろか。
緑谷くんが爆発する手に襲われそうになった時、自分は躊躇なく手と緑谷くんの間に炎を出し、そのまま泥の手を焼いていた。
あの時の行為は、俺もヒーローとしての素質があるということで取っていいんかな
…ヒーローにはなりたい。けど、自分にそんなに権利がほんまにあるんかがわからない。
「なーにを迷ってんねやろなぁ。俺は」
緑谷くんの咄嗟の行為を見て、『はたしてほんとに俺はヒーローを目指してもいいのか?』そんな否定的な考えがよぎってしまったが、狐はまたシャワーを出しお湯と一緒その考えを流していった