季節、冬。
雄英高校入試、当日。
午前七時三分
「はー、狐いつまで寝てる気やねんやろ。入試当日やろ?」
大丈夫なんかあの子
狐の姉、虎々は1階の今である机に座り、母の瞳とご飯を食べていた。
今朝の献立は瞳は和食で、焼き魚、みそしる、たくあん、少量のごはん。虎々はトーストしたパンと半熟の目玉焼きにベーコン。
1回にはキッチンも備わっているため、1階には美味しそうな匂いが充満していた。
「狐は育ち盛りだから睡眠もいっぱい取ってるのよきっと」
「いやいや、お母さん何言うてんの。狐今日入試当日やで!?いくら始まるのが9時からで今が7時やからってもーちょっと焦らなあかんやろ!?」
コロコロとわらう瞳に、虎々は「なんで姉のあたしのほうが焦ってるのよ!」とプリプリと怒っていた。
どうやらその会話で目覚めたらしく、狐が降りてくる。
「おはよ〜」
「あんた今日雄英高校入試やろ?大丈夫なん!?受験表もった!?ちゃんと用意してる!?」
「してるでぇ。勉強面のほうは危なげないしねー。」
そういいながら狐は、自分の白く長い髪の毛を後ろで結わえ、ずれたメガネをかけ直す。
少しずれた服を直しながら狐も席に座りご飯を食べる。
「食べたら先に着替え時なね。それともう一度持ち物確認するんやで!?」
「はーい」
そう言いながら、狐はお茶を飲み干した。
午前七時三十七分。
「狐ー!!あんたちゃんと受験票もったんやろな!?」
虎々はドタドタと走りながら玄関まで走っていく
玄関にはハイカットの黒い靴を履こうとしている狐が紐を結んでいた
「もったぁ」
「筆箱は!?それと運動用の服も!雄英は実技試験あるの知ってるやろ!?」
「持ったでー」
「それなら大丈夫やね大体は!なら行っといで!」
「はーい」
そういいながら靴を履き終えた狐は立ち上がり、扉を開ける。が、それを虎々が言い止める。
「狐!」
「ん?どしたん?」
虎々は、いつもと同じような感じの狐の指先をみる。狐の指先は若干であるが、いつもより指先が白くなり少し震えていた。
虎々はその指先を両手で掴み、狐の目を見て言う。
「あんたならいけるから!しっかり落ち着いてやるんやで!!あたしと同じく雄英に来て!がんばるんやで!!Plus ultraやからね!!!」
「…Plus ultraて、なんなんそれ」
狐は少し笑いながら言う。
すると、パタパタと瞳も駆けてきた。
そして間延びした感じで狐に声をかける
「もう行くんー?」
「うん。ちょっと早めに着いときたいからねぇ」
「そうなんやね、これ、持っていき」
瞳は、両手で持っていた小包を狐には渡す。
ガサガサと音を鳴らしながら狐が受け取ると、瞳は狐のあたまをポンポンと撫でた。
「狐ならいけるやろうし、リラックスしてゆっくりやるんよー」
「気楽にやってくるよ母さん」
そう言いながら狐は扉を開け、いつもの調子で言う
「じゃあ、行ってきます。」
狐が言ったあと、虎々と瞳は今で机に座りながら話し合っていた。
「狐、指先白くなって震えてたなぁ。」
「昔からの緊張してる時の証拠やね〜」
虎々が自分の指先をみながら話し、瞳はそれにコロコロと笑いながら返す。虎々は若干不安そうにしながら大丈夫かなあ、と独り言ちていた。
「…?何してんねや緑谷くん」
高校というには前衛的な校舎の前。
『雄英高等学校入試試験会場』という看板が立てられた雄英高校のゲートの前には緑谷くんが立ち、何やら足をガクガク震わせていた。
そしてそのまま緑谷くんは、『これが僕の目標への初めての1歩だ!』
というような気迫を感じさせながらその産まれたばかりの小鹿のように震えた足で踏み出す。
いや、踏み出そうとした時
案の定緑谷くんは躓き、しかも両手をバックに手を回していたせいで受け身も取れそうにない感じで転けそうになっていた。
あれは流石に間に合わへんわ…
と、呆れながら緑谷くんに近づこうとすると、なにやら茶髪の女の子が緑谷くんに触れていた。
するとどういうことだろう。今にも地面に鼻がぶつかる、というところで。緑谷くんの体はなぜか浮いていた。
茶髪の女の子は緑谷くんを上から見ながら声をかける
「大丈夫?」
「わっ えっ!?」
驚きながら宙に浮いている緑谷くんをゆっくり地面に下ろしながら、茶髪女子はなにやら話す。
「私の"個性"ごめんね勝手に。でも転んじゃったら縁起悪いもんね」
緊張するよねぇ
お互い頑張ろうね!と言ってゲートをくぐっていった。
その後ろ姿を見ている緑谷くんはなにやら変顔をしながら「おぉおぉおおおおおお」と変な声を出している。
狐はスルーしとこうかと思ったが、今さっき家族に緊張してるのを解いてもらった手前、見ないふりするのも心苦しかったため話しかける。
「ど、どうしたんや緑谷くん…?」
緊張して頭変になったか…?
少し引き気味になりながら、狐は緑谷くんに話しかけた