ソードアート・オンライン~K・A・Y~   作:piroyuki

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おまたせしました。ついに50層ボス戦です。


持つ者と持たざる者

気付くと隣にいたはずだったアスナがいなくなっていた。脇ではヒースクリフが作戦についての説明を他メンバーにしている。

 

「おいクライン、アスナを見なかったか??」

 

「アスナちゃん?うーん・・・そういやさっき走って行ったのはアスナちゃんか?」

 

「走って・・?どこに?」

 

「た・・たぶん迷宮区のほうだ!!」

 

 

 

この時キリトは忘れていた。そう、今まさに60人が無謀な戦いに出向いて行ったばかり。LV60代の面々とはいえ、キバオウやディアベルにあのドラゴンの対策が確立できているとは考えづらい。

 

「しまった・・!!!」

 

 

あわててボス部屋前へのゲートを出し飛び込むと、入口にアスナがいた。

軍とDDAは大盾の前衛10人を先頭に、その少し後ろに盾持ちの槍部隊を配置という波状陣形を3つに分けてボスを包囲していた。

 

「どうなんだ?・・・アスナ」

 

「ジリ貧よ・・・防御で手いっぱい・・・このままだと持たないわ・・。」

 

 

見ているとドラゴンの攻撃に中衛も手を出せず、キバオウやディアベルの指揮系統も麻痺していた。それだけ激しい攻撃なのだ。

アタッカーに思い切りのいい人材がいるならともかく、前衛の防御も安定せず、中衛のサポートもままなっていないのだ。

このままでは回復アイテムも底をつき、前衛が崩壊するのは目に見えていた。

 

「くっ・・・・・!アスナ!援護してくれ!!」

 

「わかった!!」

 

キリトとアスナが剣を抜き、ボス部屋に入ろうとするとキバオウがそれに反応した。彼はすでに二人が見ていることに気付いていたのだろう。

 

「手ぇだすなや!!!!ここはわいらで十分や!!」

 

「何いってる!!このままだと前衛は崩壊するぞ!!!」

 

「やかましい!!!偽善集団のKAYなんぞに言われたないわ!!!」

 

 

偽善集団・・・KAYは設立後、一部の人たちからそう呼ばれることがあった。

いままで情報提供してきたKAYという謎の筆者の名を語るギルド名に、彼らは異を唱えた。「エセKAY」と言われた。しかし攻略書にギルド設立の旨を記した後、その「エセKAY」という誤解は解けたものの「偽善集団」と呼び、ひどいときは「その攻略情報はガセネタが混じっている」などと噂を広めようとした輩もいた。そういった噂の根源がキバオウ等の反KAY派と呼ばれる人たちだった。

 

「もう・・・無理よ!!!」

 

「おい!前衛ひっぱりすぎだ!!!!もたないぞ!!!」

 

二人の声に、ディアベルは珍しく声を荒げた。

 

 

「貴様らが指示するなぁぁ!!!!!!」

 

 

前回もそうであったがディアベルには人を統率する力があった。第一層攻略の際、自分のMMOプレイヤーとしての欲さえなければ彼はきっと生き延びて攻略組の第一線を引っ張っていったはずだ。

そのため今回生き延びた分キリトは期待していたのだが、彼のレアハンターとしての欲はもはやそのリーダーシップを凌駕してしまった。

レアアイテムを横から掻っ攫われていくにつれて妬み嫉みに囚われていってしまったのだ。自らの手を汚さずギルドのメンバーを利用して手段を選ばずにレアアイテムを手に入れる・・。人の命よりも金やレアを大事にするようになってしまったのだ。

 

 

「キリト君、アスナ君、見ていたまえ。」

 

気付くとヒースクリフが横に立っていた。そして後ろには攻略メンバーが揃っていた。

 

 

「欲望に支配された人間というものを、ここで目に焼き付けたまえ。」

 

「・・・おい・・・何言ってんだよ・・・」

 

「団長・・・」

 

「だからといって・・人の命が目の前で危険にさらされてるんだぞ・・・!」

 

「その通りだ。そんな人間の末路を・・・目に焼き付けておきたまえ。」

 

 

このような状況においても冷静さを保っているヒースクリフにキリトとアスナは怒りを隠せなかった。

 

 

「あぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

 

 

もう限界を越えていたのだろう。アスナはドラゴンに向かって飛び込んでいった。もはや誰が止めても彼女は止まらなかった。

 

 

「流星剣・・・!!!!!シューティングスター!!!!」

 

 

アスナのユニークスキル「流星剣」が発動した。ドラゴンの懐に飛び込み細剣を数発叩きこんだその瞬間、二段ジャンプというのだろうか、さらに高くジャンプして上空を蹴り込んだようなアクションとともに一気に駆け下りた。

アスナが地面に着地したと同時にドラゴンの背中に無数のエフェクトが生じた。

 

「うおぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

 

アスナの着地を見ない間にキリトは二本の剣を手に、アスナの目の前に駆けつけて呟く。

 

 

「スターバースト・ストリーム!!」

 

流星剣によって仰け反ったドラゴンにキリトは一気に切りかかる。

 

 

「てめえら!!!なにさらしとんねん!!!!!」

 

 

キバオウが怒鳴りつけるが、その後ろにエリシアが鎌をキバオウの首に突き付けていた。

 

「下がりなさい。下郎」

 

「んなっ・・・なんやこのアマっ!!!」

 

「見ておきなさい。持つものと持たざるものの差がこれほどのものだと知りなさい。」

 

「くっ・・・・」

 

 

キリトの16連撃の後、即座にヒースクリフがドラゴンの前に立ちはだかる。

 

「ふっ・・・なかなか面白いものがみれた。終わらせてくれたまえ。」

 

「アスナ!!!」

 

「もう一回!!!!!シューティングスター!!!!」

 

 

ドラゴンの頭突きをヒースクリフが弾き、そのエフェクトで神聖剣が発動、ドラゴンの装甲が落ちて仰け反った瞬間、アスナの連撃が決まる。そしてさらに追い打ちでドラゴンの背中へ流星剣が撃ち込まれた。

 

 

 

大きく仰け反ったドラゴンはその身体がブレてポリゴンのエフェクトが弾け飛んだ。討伐完了である。

 

 

「まさか、君達の3回の連携で倒せてしまうとは・・・予想外だったな。」

 

 

ヒースクリフは顔色一つ変えずにそう言って剣を収めてそのまま歩いて行ってしまった。

 

 

「おい・・・おいおい・・・おめぇらなんだよ今の!?」

 

 

戦闘を終えてリザルトを確認していたキリトとアスナにクラインが駆け寄った。

 

「見たことねぇぞ今のスキル・・・」

 

「あ・・あぁ。俺のは二刀流、アスナのは流星剣っていうんだ。」

 

「え・・エクストラスキルか??出現条件は!?」

 

「ううん・・わからないのよ・・・。気付いたらスキル画面にあったの。」

 

「情報屋のスキルリストにも載ってないってことは・・・ユニークスキルかよ!?・・・・・」

 

「そう・・・なのかな・・・」

 

 

 

 

 

 

「エリシアゆうたな・・・。」

 

「はい。」

 

「なんでやねん・・・なんであいつらばっかりに特別扱いが許されてんねん・・・」

 

「貴方は彼らがここまで来るのにどのくらいの事をしてきたかわかりますか?」

 

「知らんわ・・・そんなもん・・・」

 

「彼らは毎日かかさず最前線で戦い続けてるんですよ。貴方達がいろいろしている間に・・・。人の何倍も・・・。」

 

「なんでお前がそう言えるんや?」

 

「私も・・・いえ、やめておきましょう。あと、ディアベル団長」

 

「・・・・・はい。」

 

「貴方の企み、私が潰しました。」

 

「・・・・・・何?」

 

「この件については私の胸にしまっておきましょう。彼らに余計なことをされては困るのです。」

 

「・・・どういうことだ?」

 

「次に同じようなことがあれば・・・私は容赦しないということです。」

 

「・・・・・っ!!」

 

 

 

 

第50層はどうにか犠牲を出さずに攻略した。そして危惧していたラフコフによる襲撃騒ぎもなく、キリトとアスナは無事帰還を果たし、キリトの前回の愛用武器であるエリュシデータも手に入れた。

様々な思いが交錯する中、アインクラッド攻略は折り返し地点を迎えていたのだった。




スキル設定紹介

【流星剣】

今回放ったのは流星剣の中のスキルの一つ「シューティングスター」というもの。
正面に数回連撃を放った反動でジャンプし上空から降下、その間に10連撃を繰り出すというもの。降下による勢いで攻撃力は倍増して大きなダメージを与える。そのスピードは普段の速度を越えており、対処するのは困難。

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