ソードアート・オンライン~K・A・Y~ 作:piroyuki
明日はついにボス攻略。俺はアスナに呼び出されてアスナの部屋に向かっていた。
「キリト君・・夜、私の部屋に来て・・・」
何か曇った表情をしていたのは明らかだった。ボス戦前にして不安になったのかな・・・いや、アスナに限ってそんなことはないよな・・
ガチャ
「キリト君、いらっしゃい。」
「おじゃまするよ。」
「あのね・・・気になる事があるの。。」
実は俺もアスナに言わなかった事があった。それは確証がなかったのもあったし、そう思いたくなかったというのもあった。
「ディアベルさんとさ・・・キバオウさん・・・仲間だよね。」
「・・・・それは・・・・」
「キリト君、私達さ、迷宮区の最奥部に何度も行ってたじゃない。あのときディアベルさんとキバオウさんがおなじPTで狩ってたの何度も見てるの。」
「・・・・・」
「気のせいじゃないよね・・・。」
「・・・・・・・」
「キリト君、ディアベルさんって信用できる?」
「・・・・彼の統率力はかなりのものだといっていい。」
「でもさ・・・あの人前回のときキリト君の忠告無視で飛び込んで死んだじゃない。・・・あれって」
「あぁ・・・あいつはβテスターだからな。知ってたんだ。」
「知ってた??」
「ボスが瀕死になったら一気に囲みこむのがセオリーだろ?」
「うん」
「あのときアイツはLAボーナス欲しさに一人で決めにかかったんだよ。」
「あっ・・・・だから・・・」
「そう。さらにアイツが想定してたのはタルワールのスキル。あのときボスは野太刀だったから攻撃すべき方法が間違ってたんだよ。」
「じゃあどうしてキバオウさんはβテスターのディアベルさんと組んでるのにあんなこと言ったんだろう?」
「・・・さぁな。」
「・・・・・ねぇ・・・」
「ん?」
「今回のLA、絶対私たちで取りましょう。」
「んな!?なんで??」
「あのコート、キリト君じゃないと似合わないもん♪」
「おいおい・・・」
「ね!今日はこの部屋泊ってくよね?」
「いや、俺宿取ってるけど?」
「トマッテクヨネ!!」
「・・はい。」
考えたくはなかった。キバオウとディアベルがグルだったとかそんなのはどうでもよかった。俺は前回、ディアベルは間違いなくこの先攻略組をまとめ上げていくであろう人材だと見ていた。しかしもしもあのキバオウの煽りでβテスターが名乗り辛くなったことを想定していたのなら・・・あのときの攻略会議でも武器が持ち替わった後の攻略法についてはディアベルは触れなかった。考えたくはないが、きっと彼は・・・・
他のMMOでもレアドロップに汚い人たちは存在している。きっとこのゲームでも皆無なのだろう。でもこれはゲームじゃない。どんなことがあっても最優先するべきは自分の命なんだ。・・・・・アスナはグッスリと寝ている。明日はもしかしたら死ぬかもしれないというのに・・・もし本気でLAを狙っているのなら俺がしっかりと注意しておかなきゃいけないな・・・。
ボスの部屋の入口にすべてのメンバーが揃っていた。
皆あまり緊張感がないのも当たり前だ。なんせ階層のボスはみんな初めてなのだから・・・。前回の上層階の攻略のときよりも皆確実に油断している。でも部屋に入れば皆の意識は変わるだろう。
「聞いてくれみんな!俺から言う事はたった一つ!・・・勝とうぜ!!!」
みんなの目つきが変わった。戦闘モードだ。
すっと背中に違和感を感じた。マヤが俺の服をつかんでいた。
「大丈夫。昨日の戦いを思い出せ。」
「はい・・。」
「いくぞ!!!」
重い扉がディアベルの手によって開かれた。その先に、第一層のボス
【イルファング・ザ・コボルド・ロード】が玉座に座っていた。メンバー達がゆっくりと前進していくとそいつは一気に飛び出し、部屋の明かりが明るくなった。
取り巻きは3匹。
「攻撃開始ぃぃぃ!!!!」
ディアベルの号令とともに48人の精鋭部隊は一気に突撃する。
「A班・B班は右の2体!D班は左の一体!C班待機!E班F班はBOSSにかかれ!!」
「アスナ!マヤ!いくぞ!!!」
「了解!!」
「はい!!」
ディアベルはこのボスの攻撃パターンを知っているであろう俺達をF班としてボス攻撃に当たらせた。正直ボスへの攻撃役がいちばんリスキーなのを彼も知っているのだ。
「であぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
俺の攻撃でボスの攻撃を弾きスイッチ、アスナによるダメージと後方からのマヤの槍でのダメージという攻撃パターンをこなしていく。そしてヒットアンドアウェーでE班とスイッチ。E班は囲みこんで一気にダメージを与えていくというのがディアベルの作戦だった。
「アスナ!スイッチ!!」
「てやぁぁぁっぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「よし!!後退!!」
E班は6人PTだがそのうちのディアベルは後方での指揮のためキバオウを5人が囲み、一気に攻撃していく。
「うおりゃあああ!あんさんらよりもダメージ与えるでぇぇぇ!!!」
キバオウは俺たちに対抗しているのか、引きが遅い。
「駄目だ!!一旦下がれ!!」
「まだや!!まだやぁぁぁ!!!」
「ばか!!!!下がりなさい!!!」
深追いのし過ぎというのはいいことはあるが、悪いことも多い。
このボスは立て直しは若干遅いがその後の瞬発力を侮ってはいけない。
「来るぞ!!さがれぇぇぇぇ!!!!」
「ワイに指図すんn
どおおおおおおん!!!!!
「ぐあっはぁぁ・・・・・!!!!」
案の定立て直したボスの攻撃でキバオウとE班の他二人が吹き飛ばされた。
俺はその攻撃を受け止めたが間に合わなかった!ただキバオウたちへの攻撃はすこし浅くて済んだ・・・が・・・
「E班!何してる!!下がれ!!!C班!F班の援護!!!」
「っく!!アスナ!マヤ!!後退!!」
「キリト君!!」
「キリトさん!?」
「俺が・・持ち・・・こたえる!次の振りおろし・・を弾くから!!アスナ!!!」
「わかった!!!」
しかしその武器をふりあげる様子はなく、その剣の重さで俺を押しつぶすつもりだ。
「キリト君!!はやく!!はやく離脱して!!!」
「くっ・・・ぐあああああ・・・・・」
「だめぇぇぇぇ!!!!!!」
C班のメンバーが側面や背後から切り付けるも、HPゲージはほんの少しずつしか減らない。
「こう・・・なったらぁぁぁ!!!!うおおおおおおああああああ!!!!!」
一気にキリトの身体が一回転したと同時にボスの斧は振りおろされた。キリトはその回転を利用して腕を登り、その首に剣を叩きつけた。
「り・・離脱!!!」
そしてその顔を蹴り、反動でいっきにアスナとマヤのもとに飛んだ。
「キ・・キリトさん!!」
「キリト君!回復POT!!」
「サ・・サンキュ」
回復したキバオウがキリトの横に立つ。
「・・・礼はいっとく・・せやけど次は失敗せんでぇ!!」
「あぁ・・・・」
「うおらぁぁぁぁぁ!!!!!」
いい形の連携でボスのHPゲージが最後の一本になり、それは赤に変わった。
「うがあああああああああ!!!!!!!!」
前回同様、武器の持ち替えはタルワールではなく野太刀だった。
今回はディアベルも冷静だった。
「野太刀!!キ・・キリト君!!あれのスキルは!?」
「一旦全員後退だ!!」
「こ・・・後退!!!!全員後ろにとべ!!!!」
「アスナ!攻撃終了とともにいっきに間を詰めろ!!俺もいく!」
「わかった!!」
イルファング・ザ・コボルドロードの野太刀が地面に叩きつけられる。
そしてその瞬間だった。さすがはかつて閃光と呼ばれていただけある。アスナは一瞬にしてその間合いを詰めていった。
「おぉぉぉぉぉ!!!!」
一、二、三、四、何回その細剣を突き付けただろうか?閃光のアスナはその名の通り連撃を与えていく。
「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
その後ろから一気にキリトが切りかかり、その野太刀がもう一度振りおろされる。
キリトはその剣で野太刀の軌道を修正しながら腕から肩にかけて切り裂き、その後ろからアスナが更に連撃を繰り出す。
バッシーーーーーーーーン
最後のアスナの攻撃によって第一層のボス【イルファング・ザ・コボルドロード】はポリゴンのかけらと化した。
チラッとアスナは横を見ると、その最後の攻撃に合わせたかのようにキバオウとディアベルが剣を突き出していたのがわかった。
しかし残念、アスナの攻撃速度は速すぎた。
ラストアタックボーナスはアスナの前に表示された。
悔しそうにするキバオウとディアベルを横目にその【コートオブナイトメア】をキリトに着せる。
「キリト君!似合ってる♪」ニパァ
「あ・・あぁ・・ありがとう」
「似合ってますよ♪」
ついに第一層の攻略が終わった。ゲーム開始から3週間後の出来事であった。
なんとなーくディアベルさんを悪者にしちまいました。でも生存させたのでファンの皆さま、許してね。