ソードアート・オンライン~K・A・Y~ 作:piroyuki
2023年2月8日、俺達攻略組は28層を突破していた。
大手ギルド等が台頭し、次第にそのLV格差が現れはじめていた。
その三大ギルドと言われているのがクウォーターポイントの25層からついに姿を表したヒースクリフ率いる血盟騎士団、通称KoB、シンカー率いるアインクラッド解放軍、通称軍、そしてレアアイテムの為なら一時オレンジも辞さないと噂される聖竜連合、通称DDAだ。
恐らくは30層を超えたあたりから動きがあるであろうあの男を懸念し、アスナはあせっている。22層の家を購入してまもなくアスナからギルド作成を勧められていた。しかし俺は首を縦には振らなかった。それには理由があったのだ。たぶんアスナもその理由を知っていた。頑として聞かない俺にとうとう諦めたのか、アスナもその件に協力してくれることになった。
現在キリトのLVは45、アスナも45、マヤは42になっていた。攻略組の中でもこの高LVなトリオを引き抜きたくて勧誘は後を絶たなかった。ヒースクリフのめんどくささは異常。
俺達がこの20層、ひだまりの森にいるのにはわけがあった。
前回よりも約3カ月早いこの日、俺はある人たちを救ったことがあった。月夜の黒猫団だ。
「キリトくん?アルちゃんが言ってたのってほんとにここなの?」
「あぁ。時期がずれてるから少し不安だがな・・・。」
俺は鼠を使って月夜の黒猫団の動向そ探っていた。本当に小規模ギルドだったから探すのには手間取ったのだ。
「見つけました!10時方向!!」
マヤは俺と同じく索敵スキルを上げていたが、俺よりも早く見つけたということはまさかマスターコンプしてるんだろうか?
「いくぞ!!」
予想通り彼らはクエスト限定モンスターに囲まれていた。
「アスナ!右2体頼む!!マヤは中央を!!俺は左のをやる!!」
「おっけい!!」
「はい!!」
月夜の5人はなにがなんだかわからないといった表情で3人のすさまじい戦いぶりに見とれていた。
突如現れた3人組み、月夜の面々は九死に一生を得たのだ。
「では!われら月夜の黒猫団に!」
「「かんぱーい!!!」」
「そして俺達を救ってくれた御三方に!」
「「かんぱーい!!!」」
「いやー、キリトさん、アスナさん、マヤさん!助かりましたよー!」
「いえいえ・・そんな」
「あの、ほんとに助かりました・・怖くて・・助けに来てくれたときはほんとにうれしかったんです・・・」
「あのー大変失礼なんすけど・・御三方のLVは・・・いくつくらいなんですかね?」
「えっと・・・」
「俺は45、アスナも45、マヤは42だ」
「「えええ!!!!?」」
「つ・・・強いわけだ・・・」
「あ・・・キリトさんにアスナさんにマヤさん??」
「ん?」
「こ・・・攻略組の!!思いだした!!アインクラッド最強トリオじゃないですか!!!」
「「「はぁ!?!?」」」
「有名ですよ!!特にアスナさん・・バーサーカーって!!」
「それ・・・・やめて・・・///」
「ぷっ・・・」
「ワラウナ」
「ぐっは・・・」
「「「ははははは!!!」」」
「あの・・マヤさん!槍使いなんですよね!?」
「は・・はい。」
「よ、よかったら槍の指南してほしいんですけど!」
「おいおいサチは前衛に転向だろー?」
「で・・・でも・・・急に前で戦えっていわれてもおっかないよぉ」
「ねぇ・・・サチさんって」コソコソ
「あぁ。前に話した子だ」コソコソ
「キリト君・・・」コソコソ
「な・・・なんだよ」コソコソ
「・・・・・・・」
「お・・おい・・アスナ・・・?」
「まぁいいわ!」
「あの・・お二人ってもしかして結婚してるとか?」
「え?・・・あの・・・その・・・」
「あぁ、まだ新婚だけどな。」
「「「おおおーーー!」」」
気の強いうちの嫁は相変わらずこういった振りに弱い。今回この場では前回のように勧誘はなかった。
そして俺はなんとしてもあの日の再現だけは阻止しなければならなかった。
このアットホームなギルドにはなんとしても攻略組の仲間入りを果たしてもらわなければならない。
「なぁキリトー」
「ん?」
「攻略組と僕達は何が違うんだろうなぁ?」
「情報力かな。俺達もだけど効率的に経験値を稼ぐ術を持ってる。あとはプレイヤースキルだな。これが一番大きい。いくらLVが高くても自分達の技術が低ければ使い物にならない。」
「なるほどなぁぁ・・・」
「かといって安全マージンだけは確保しておかないと・・・これは実際ゲームとはちがうからな・・・。」
「あぁ、俺たちは実際安全だけは確保できるように戦ってるよ。」
「そのままでいいんだよ。ケイタ」
「でもさー、俺達これでも攻略組目指してるんだぜー?」
「そっか・・・。」
「ほら!KAYってあるだろ?あの人が書いた攻略記事見ながら戦ってるんだよ。あれってかなり参考になるよなぁ。」
「あ・・あぁ、そうだな。」
「もう既に28層版が出てるらしいじゃないか。」
「正直今はまだ普通に戦うことができるけど、26層からは敵の攻撃パターンが変わってきたりダンジョントラップも増えるから、そういった情報はマメにチェックするといいよ。」
「そっか!わかった!」
きっとこのギルドはケイタという団長がいるかぎり安泰のはずだ。
しかし団長不在の状況だと前回のようなことが起こりかねない・・・。
「マヤ、ちょっといいか?」
「はい?」
「サチに槍の指南をしてやってくれ。」
「え?でもサチさんは盾持ち剣の前衛にコンバートするんじゃなかったでしたっけ?」
「いや、そのコンバートはやめさせる。」
「・・・キリトさんには考えがあるんですね?」
「ああ・・・。」
「わかりました!ひきうけます!」
「よろしくたのむよ。」
確かに前衛1人のままこの先に進むとなると効率を考えたら敵を抱え込むには無理が出てくる。タンクが二人だとかなり安定するのはわかるが、あのサチの精神力では前衛には向いてない。そうなるとサチを鍛えて同じ槍のササマルを前衛にするのがいい。
「ケイタ、ササマル、ちょっといいか?」
「おう!」
「ほい!」
「正直サチの中衛技術は安定していないのはわかるが、マヤに指南させて伸ばしてやりたい。何度か狩り続けたけど恐らくサチに前衛は無理だ。そこで同じ中衛のササマルに前衛をやらせたらどうだ?」
「うーん、それは考えたんだよ。」
「俺さー剣って使うのしっくりこないんだよねー」
「そこは俺が指南する。どうだ?考えてみないか?」
「私も指南するわよ?」
「うーん・・・キリトとアスナさんが言うならやってみるかな?」
「ああ、まかせろ!」
俺たちは出来る限りの時間を使って月夜の黒猫団を鍛えていった。
中には高LVさんがいるから階層上げないか?っていう案があったがそれは却下した。強い人に守られることを前提とした狩りは確実に自分を弱くするからだ。
そして、その日はやってきた。
20万コルが貯まったということで、ケイタははじまりの街へ出かけていったのだ。
「よし!じゃあ俺たちはケイタが戻るまで狩りにいかねえ?」
「いいねぇ。」
「あ!家具揃えるのね?」
「じゃあ階層あげね?27層あたりなら余裕っしょ」
「駄目だ!」
「え??」
「言っておいたはずだ。26層を越えたあたりからの事を。」
「でも最強トリオ3人がいたら余裕っしょ?」
「あのねぇ・・・わかったわ。そこにいくのなら私たちは同行しない。いつも通り25層なら同行するし、行かないなら私達からの祝い金くらいは用意する。それでどう?」
「うーん・・・」
「なぁ、祝い金はわりいから25層いかね?」
「そうだな!25層でみんなで狩ったほうがいいもんな!」
「よかった・・・。」
25層での狩りはスムーズに終わった。俺の2度目の失敗は阻止された。このとき俺の心のつかえは取れた。みんな生きてる。それだけで満足できた。
ケイタ達は無事ホームを購入、彼らが攻略組に参入するのもそう遠くないだろう。
なんか執筆って時間かかるんすね・・・。次回はついに・・・・。