〈東京・穂むら…〉
亜理沙 「雪穂!穂乃果さん…見つかったよ!!」
雪穂 「え?…お、お姉ちゃん今どこにいるの!!?」
亜理沙 「穂乃果さん今…お姉ちゃんのとこにいるって…」
スマホの画面を指差して言う亜理沙。
雪穂 「え、絵里さんのとこって…じゃあロシアにいるってこと!?」
亜理沙 「そうみたいだね…でも見つかって良かったね雪穂!!」
雪穂の手を取って喜ぶ亜理沙。
雪穂 「ほ、ほんとだよ〜…」
ヘナヘナ〜っと座り込む雪穂。
雪穂 「【1〜2週間で帰ります】って書き置きだけしか残さないでいなくなるんだもん…お父さんとお母さんは『心配しなくて大丈夫』って言うし…」
亜理沙 「穂乃果さんを信じてるんだね…」
雪穂 「…あ!海未さんとかことりさんとかみんなに知らせなきゃ!ほんっと人騒がせなお姉ちゃんなんだから!」
慌ててスマホを手に取る雪穂。
亜理沙 「雪穂!」
雪穂 「え?」
亜理沙 「…ほんとに良かったね!」
雪穂 「…うん!」
少し照れながら嬉しそうに頷く雪穂。
ーーーーーーーー
ーーーーーーーー
〈モスクワのとあるレストラン…〉
穂乃果 「やっぱりロシアは寒いね〜!北海道くらいかと思ったけど甘かったよ…」
絵里 「フフッ。でもガガーリン広場で結構長い時間歌ったじゃない!ウチの生徒もみんな穂乃果の歌に聴き入ってたわよ! ウィンク 」
バレエ教室の生徒達と別れた穂乃果と絵里は冷えた身体を温めるため近場のレストランに入っていた。
穂乃果 「そう?言葉が違うから歌詞はわからないと思うけど…一所懸命歌ったから気持ちは伝わってると嬉しいな!」
絵里 「大丈夫!私が保証するわ。寒いのにあんなに沢山の人が足を止めて聴いてくれてたじゃない!」
ニコっと笑って言う絵里。
穂乃果 「…そうだね。ロシアの人達みんないい人だね♡」
絵里 「ハラショー!そう言って貰えると私も嬉しい♪」
穂乃果 「…やっぱりロシアに来て良かったな…」
目を閉じて微笑む穂乃果。
絵里 「…それで?」
穂乃果 「え?」
絵里 「どうして突然私に会いに来てくれたの?」
コーヒーを飲みながら笑顔で尋ねる絵里。
穂乃果 「そ、それは…穂乃果…絵里ちゃんのこと大好きだから♡」
絵里 「エェッ!? カオマッカ 」
穂乃果 「い、いやそんな赤くなられたら困るんだけど… アセ 」
絵里 「わ、私も穂乃果のこと…好きだけど…」
照れながら言う絵里。
穂乃果 「あ、ありがとう…(絵里ちゃん冗談通じないんだった〜 アセ )」
照れながら答える穂乃果。
絵里 「そ、そうじゃなくて!…みんなに何も言わずにいなくなったんでしょ!?希から聞いたわよ!」
赤い顔のまま言う絵里。
穂乃果 「…バレてたか!(・ω<) テヘペロ」
絵里 「…あとことりともケンカしちゃったって聞いたわよ?全く…普段あんなに仲がいいのに急に揉めるわよね?あなた達…」
困った顔で言う絵里。
穂乃果
「それもバレてましたか!(・ω<) テヘペロ」
絵里 「穂乃果!……話しを聞いて欲しくて来たんでしょ?…わざわざロシアまで…」
苦笑いしながら言う絵里。
穂乃果
「それも…バレてたか!(・ω<) テヘペロ」
絵里 「穂乃果!」
穂乃果 「さ、さすが穂乃果のお姉さん絵里ちゃんだね!何でもお見通しか…」
バツが悪そうに言う穂乃果。
絵里 「…それで?世話のかかる妹は何を話しに来てくれたのかしら?」
穂乃果 「絵里ちゃん…ちょっと長いお話し…してもいいかな?」
絵里 「…ええ。いいわよ。」
優しく微笑む絵里。
穂乃果 「……………ズズッ。」
コーヒーを飲んで少しの間沈黙する穂乃果。
同じく黙って穂乃果が話し出すのを待つ絵里。
穂乃果 「……絵里ちゃん私ね…去年…じゃないか。おととしの夏にことりちゃんに会いにアメリカに行ったときに路上ライブやったんだけど………その時1人の女の子に出会ったの…………
……………………
……………………
……………………
……ごめんね。長々と…」
穂乃果の長い話しが終わる頃には窓の外はすっかり暗くなっていた。
絵里は話しの途中でコーヒーのおかわりを頼んだ以外はほとんど口を開かず穂乃果の話しを黙って聞いていた。
エリ 「そっか…それで穂乃果はそんなにいっぱいライブをやってたのね…」
穂乃果 「……うん。」
窓の外を見る穂乃果と絵里。
沢山の人が通りを寒そうに歩いている。
穂乃果 「絵里ちゃん…」
絵里 「どうしたの穂乃果?」
コーヒーを飲みながら返事をする絵里。
穂乃果 「絵里ちゃんはさ…あと半年しか生きられなかったら…どうする?」
絵里 「な、何よ突然…ま、まさか穂乃果!?」
穂乃果 「うん…穂乃果あと…半年の命なんだ…」
絵里 「え!?……ほ、ほんとなの!?」
穂乃果 「………って思うようにして穂乃果は生きてるよ!」
絵里 「ちょっ…ビックリさせないでよ!」
穂乃果 「えへへ〜…ごめんごめん!……それで絵里ちゃんなら何をするの?」
絵里 「…半年か〜…私は漠然とおばあさまみたくいつかなるイメージをしていたからか何年、何十年先まで生きるのを前提に今何をすべきかを考えていたけれど…半年だと全く話しが変わるわね…」
首から下げたロケットペンダントを開けて祖母の写真を見る絵里。
穂乃果 「絵里ちゃんお婆ちゃん子だもんね!」
絵里 「うん…そうね。」
照れながら答える絵里。
絵里 「…でももしおばあさまみたく長く生きることが出来ないのなら…まず嘘を付くのをやめなきゃね。」
穂乃果 「え!?絵里ちゃん程嘘が似合わない人はいないけど…」
絵里 「そうでもないわよ?わたしこう見えて意地っ張りで見栄っ張りだから……でもそうね…『人』にじゃなく『自分』にもっと正直にならなきゃならないかもね。」
穂乃果 「…じゃあ絵里ちゃんはやり残してることがあるんだね?」
笑みを浮かべる穂乃果。
絵里 「…うん あるわ!…まず大好きなケーキを食べられなくなるまで食べてみたい!ことりみたくね!行ってみたい場所もたくさんあるわ!…スペインのサグラダファミリア、オーストラリアのエアーズロック…アフリカの野生の動物も見たいし…アラスカのオーロラ…出来れば宇宙にも行きたい!…でも〜…半年しかないのよね?だったら…やっぱりたくさん躍りたいかな!」
穂乃果 「…それはバレエ?」
絵里 「う〜ん…もちろんそうだし…それにやっぱりまたμ’sのみんなと楽しく躍りたいし…一緒に…一緒にまたあの海を観に行きたいな!」
懐かしそうに微笑む絵里。
穂乃果 「…そっか。」
絵里 「ご、ごめんね。なんかあまりハッキリした答えじゃなくて…」
穂乃果 「ううん!何となくわかるよ!絵里ちゃんがやりたいこと…」
絵里 「そう?…それで…穂乃果ならどうするの?」
目を閉じて沈黙する穂乃果。
絵里 「穂乃果?」
穂乃果 「穂乃果は…わたしは1人でも多くの人と1日でも長く歌を通して楽しい時間を過ごしたいな!」
絵里 「穂乃果らしいわね…というよりも穂乃果の生き方そのものね!」
笑顔で言う絵里。
穂乃果 「貫くのは難しいけどね…。…絵里ちゃん!」
絵里 「?…どうしたの?」
穂乃果 「日本に帰ったら…みんなで海…行こうね!5年前…みんなで行ったあの海に! ウィンク 」
絵里 「ハラショー!……あっ!もう結構時間遅いわね…じゃあそろそろ帰りましょうか!穂乃果はホテルよね?…それか今日はうちに泊まる?」
穂乃果 「え!?いいの!?絵里ちゃんのお婆ちゃんもいるんでしょ!?」
絵里 「ええそうよ。」
微笑んで言う絵里。
穂乃果 「ヤッタ〜!穂乃果一度会ってみたかったんだ〜♪」
絵里 「フフッ 実はおばあさまも穂乃果に逢いたがってたのよね!」
穂乃果 「え!?穂乃果のこと知ってるの?」
絵里 「ええ!…穂乃果の歌一度聴いてみたいって言ってたわ。」
穂乃果 「本当!?穂乃果何曲でも歌うよ!」
絵里 「フフッ おばあさまも喜ぶわ!…じゃあ行きましょ穂乃果!」
穂乃果 「うん♡」
二人がレストランの外に出ると街には雪が降り出していた。
新年とクリスマスのムードが漂う夜のモスクワの通りを穂乃果と絵里は姉妹…と言うよりはカップルのように腕を組んで絵里の家に向かって並んで歩いた。
第2章もようやくプロローグのシーンに辿り着きました!
穂乃果がいざという時甘えられるのは絵里お姉ちゃんなんですね!
次回とその次の話しは穂乃果が絵里に語った長いお話しを二回に渡って書きます!
約一年半前、穂乃果は一体どんな少女に出会ったのか?
次回、「ライフイズビューティフル」