ウチのグランサイファー   作:ゆまる

1 / 7
おはようルリア

皆さん、こんにちは!私、ルリアっていいます。

私、こう見えてなんと騎空士なんです!

今乗ってるこのグランサイファーで、空の果てイスタルシアに向かうのが目標です。最初はこの騎空団も数人だったんですけど、今ではすごくたくさんの人たちが仲間になってくれたんですよ。

今日は、そんなグランサイファーの朝の風景を皆さんにちょっとお見せしちゃいます。

 

 

「おはようカタリナ!」

 

「ああ、おはようルリア」

 

この人はカタリナ!私を外の世界に連れ出してくれた、私の一番大切な人の一人です!

 

「ビィさんもおはようございます!」

 

「ダ……ずげ……」

 

カタリナの腕の中にいるのがビィさんです!グランが小さい頃から一緒にいるらしい、不思議なドラゴンさん。今日も体からメギメギ、みたいな変な音を立ててます。不思議です。

 

「今日の朝ごはんは何かな〜」

 

「はは、ルリアはいつもご飯のことばかりだな」

 

「むっ、そんなことないもん」

 

「や"め、あ"あ"あ"あ"あ"」

 

全く、失礼しちゃいます!私だって、こう見えても色々考えてるんです。今日は誰とお話しようかなとか、お昼ご飯は何かなとか、ビィさんの体の赤色がいつもより濃い気がするとか、グランはもう起きてるかなとか、晩御飯は何かなとか。

 

「それじゃあ私はちょっと寄るところがあるから、また後で会おうルリア」

 

「うん、またねカタリナ!」

 

「あ"っ…………」

 

 

ここは食堂です。

ご飯は基本的にここで皆さんと一緒に食べます。

人が多くてちょっとだけ狭いですけど、この狭さが私は大好きです!

もう食べ始めてる人もいるみたいです。

私も空いてる席に座って、ナプキンを首に回します。

 

「ルリぴっぴご着席ィ!」

「料理の貯蓄は万全でっすか?」

「フ、余らせてしまっても別にいいのでしょう?」

 

今日のご飯を作ってくれてるのは、ローアインさん、エルセムさん、トモイさん、エルメラウラさん、レ・フィーエさん。

毎日、料理を作れる人が交代でご飯を作ってくれてるんです!

はわ、今日のご飯もおいしそう〜……!

 

私の前に、お皿に乗ったお料理がたくさん、テーブルいっぱいに置かれました。全部出来立てみたいで、湯気がもくもく立ってます。お肉の香ばしい匂いがお鼻に届いて、うぅー、もう我慢できません!

 

「いただきまーす!」

 

パチンと手を合わせて、口を開けました。

 

「ヒュゴゥ!……次、いただけますか?」

 

あ、美味しすぎて速く食べすぎちゃいました……。

美味しいものって美味しいほどに一瞬で消えちゃいますね……。

確か、ショギョームジョーって言うんでしたっけ。

 

「……今の、見えたか?」

 

「スープの残像なら、なんとか……」

 

「恐ろしく早い食事……某でなければ見逃しているな……」

 

皆さんがこっちを見ています……。やっぱりちょっと、はしたなかったでしょうか。カタリナにも、もう少し慎みを持ちなさいって、よく言われてます。

もう少しゆっくり食べることにします。急がなくても、ご飯は逃げませんもんね。

次は30%ほど速度を落としましょうか。

 

「ヤベー、ルリぴっぴマジパネーションだわ。こっちも腕鳴らしていく的な?」

 

「ビキビキビッキ、ビッキビキ」

 

「突然Doしたよエルっち」

 

「腕鳴らすSEっしょ」

 

「あ〜、なるりょ」

 

ローアインさんたちはいつも仲良しで、羨ましいです。半分くらい何を言ってるかわからないんですけど……。今度、教えてもらいに行きましょう。

 

あ、考え事をしながら食べてたら、またご飯が消えちゃいました。

 

 

 

それから10回くらいおかわりして、お腹いっぱいになって食堂を出ました。出るときローアインさんたちがぐったりしているのが見えました。ごめんなさいって気分になってしまいます。お昼ご飯はちょっと減らしましょう。お皿一枚分くらい。

 

そういえば、グランがいません。

いつもこの時間には朝ごはんを食べにきてるはずなんですけど……。

廊下を歩いていると、ゼタさんが前からやってきました。

ゼタさんは『組織』っていうものに所属してて、すごく強くてすごく綺麗な女性です。憧れちゃいます。

少し眠そうなので、今起きたばかりでしょうか。ゼタさん、朝弱いですもんね。

 

「あ、おはようございますゼタさん!グランはどこか知りませんか?」

 

「ああ、団長ならさっきとんでもない形相のパーシヴァルに追いかけられてたわよ。何を思ったか知らないけど、突然『ローエングリン!』って叫びながらカンチョーしたから」

 

「カンチョー……ってあの、指をこうして、お尻に突き刺す、あのカンチョーですか?」

 

「そのカンチョーよ」

 

はわわ、そんなことしたらパーシヴァルさんのお尻が大変なことになってしまいます……。

グランは時々……というか暇な時はほとんど、よく意味がわからない行動をします。

昨日はイシュミールさんのお部屋で暑さ我慢大会を開いてました。

そういえば誰が勝ったんでしょう?ウェルダーさんが倒れちゃったのは聞いたんですが……。

 

「ありがとうございます、ちょっと探してみますね」

 

「んー。あ、アイツに会ったら、ベアのとこに行けって伝えてくれる?また新作のお菓子作ったみたいでさ」

 

「お菓子……。わかりました!」

 

最近ベアトリクスさんはお菓子作りに凝っているそうです。

ベアトリクスさんの作るお菓子は物凄く甘いですけど、すっごく美味しいんです!

私も貰えないか、頼んでみましょう!

 

 

「あ、リーシャさん!とスカルさん!おはようございます!何をしてるんですか?」

 

少し歩くと、リーシャさんに首を掴まれているスカルさんがいました。

あ、リーシャさんは秩序の騎空団の人なんですけど、訳あって今はこの騎空団に所属してます。すごくキッチリしていて、曲がったことは許さない、正義の人です!

スカルさんは元オダヅモッキーの一員で、いつも自由を求めてます。いつかビッグな漢?になるそうです。

 

「ルリアさん。私の秩序センサーに反応があったので、スカルさんに今ごうも……聞き取りをしているところです」

 

ごうも?何を言おうとしたんでしょうか?

 

「お、オレ様は何も言わねェぞ!!アニキとどっちが自由なこと出来るか勝負なんてしてねェし、パーシヴァルへのカンチョー以上にすげぇことを探してなんかいねェ!!」

 

「え、っと……グランとどっちが悪いこと出来るか勝負していて、パーシヴァルさんへのカンチョーより凄いことを探してるんですか?」

 

「んなっ!?なんでそれが……!エスパーかよオマエ!」

 

わ、私エスパーだったんでしょうか?スカルさんの考えていることが全部わかってしまいました。

 

「全部自分で自白してましたよ。ちなみにどんなことをしようと思っていたんですか?」

 

リーシャさんに聞かれると、スカルさんはニヤリと笑って少し震え始めました。

 

「ハ、聞いてションベンちびんなよォ!?男連中のパンツの中に、マ、マツヴァガニを仕込むんだ……へ、へへ……考えただけで冷や汗が止まらねェぜ……」

 

わぁ、マツヴァガニのハサミに挟まれたらとても痛そうです。あれ?でもなんでパンツの中なんでしょう……?

 

「んー……有罪(ギルティ)で」

 

「ノォォォォォ!?」

 

リーシャさんがスカルさんの首根っこを掴んだまま、どこかへと連れていこうとします。ブルブル震えるスカルさんを見て、ちょっとかわいそうになりました。

 

「ま、待ってください!スカルさんはまだ何もしてませんし、許してあげてもいいんじゃないでしょうか?」

 

「ガキ……いや、ルリアのアネキ……!」

 

「……そうですね、まだ未遂ですし酌量の余地はあります。では、秩序室一時間で手を打ちましょう」

 

「ノォォォォォォォォォォ!?」

 

「良かったですねスカルさん!」

 

秩序室っていうのが何なのかわかりませんけど、とにかくスカルさんへの罰は緩くなったみたいです。

 

「いやだァ!!あの部屋だけは、いやだァァァァ!!」

 

「さ、行きましょうスカルさん。短時間ですから、みっちりと()()しましょうね」

 

リーシャさんはとてもステキな笑顔でスカルさんを廊下の奥へ連れていきました。楽しいお部屋なんでしょうか?

 

 

更に進んでいくと……えっ!?血の跡!?それに誰か倒れてます!大変!

 

「大丈夫ですか!?」

 

「ええ……私は……大丈夫……むしろ滾ってる……何かが……」

 

「なんだルナールさんでしたか。おはようございます」

 

じゃあこの血もルナールさんのものですね。誰か怪我したのかと思ってびっくりしちゃいました。ルナールさんは、男の人が一緒にいるのをよく見てて、何かあるとすぐに血を出しちゃうんです。多分今回もそんな感じです。

 

「ふぅ、ふぅ、とんでもないものを見てしまったの……。団長さんが、己の屹立した()()を、パーシヴァルさんの、おし、おし、おしりの穴に……ブハッ」

 

ルナールさんは顔を真っ赤にすると、顔の色んな穴からたくさんの血を出して仰向けに倒れてしまいました。さすがにちょっと血を出しすぎなので、誰かに助けてもらったほうがいいかもしれません。

 

「おや、ルリアお嬢様。本日も麗しいお姿でその青い髪が煌びやかでいてその可愛らしい瞳や慎ましいお胸も本当に最高でふひひひひ」

 

「あ、クラウディアさん、おはようございます。ルナールさんを医務室まで運んでいただけますか?」

 

このメイドさんはクラウディアさんです。私に会うたびに私のことを見て笑ってるんですが、私の顔ってそんなに面白いでしょうか……?

 

「ふひ……ああ、またルナールお嬢様の例の発作でございますか。今回はいつもより大量ですね。承知しました、お運びさせていただきます」

 

クラウディアさんはお辞儀をすると、ルナールさんを片手で持ち上げて肩に乗せていきました。すごい力持ちです。私も鍛えたら、カタリナやグランを片手で持ち上げたり出来るでしょうか?今度ガンダゴウザさんたちと一緒にしゅぎょーしてみます!

 

 

 

あれ?どこからか剣がぶつかり合う音が聴こえてきます。

もしかして、グランとパーシヴァルさんでしょうか?

 

「そこをどけ駄犬!奴には一度本気で灸を据えねば気が済まない!!」

 

「ま、まーまーそこまで怒るこたないじゃんパーさん。カンチョーの一回や二回さ」

 

あ、あの赤い鎧は、パーシヴァルさんです!パーシヴァルさんは素敵な国を造ることを目標にしてる、凄い人です。

もう一人は……ヴェインさんですね。白竜騎士団の副団長さんです。ランスロットさんやパーシヴァルさんと仲が良くて、あと……料理がすごく上手です!あ、少しお腹が空いてきました。

 

剣を振るうパーシヴァルさんをヴェインさんが槍で止めているみたいです。喧嘩ではなさそうなので、ヴェインさんがパーシヴァルさんを宥めているって感じでしょうか。

 

「貴様が奴を庇う義理立てはないだろう!」

 

「いやぁ、今回はそういうわけにもいかねぇんだパーさん……。だって俺はグランに……晩御飯の唐揚げ貰う約束したからな」

 

「安いな貴様!!俺のほうの唐揚げもやるからどけ!!」

 

「え、ホントかパーさん!デザートのイチゴケーキもか!?」

 

「イチゴケーキはやらん!!」

 

唐揚げ……私も欲しいです。パーシヴァルさんを手伝ったら私も貰えるでしょうか……。よし、今回の件はグランが悪いみたいだし、グランを捕まえる手伝いをしちゃいます!

 

「パーシヴァルさん、唐揚げをください!!」

 

「な、なんだいきなり」

 

間違えました、唐揚げ欲しさが前に出すぎてしまいました……。

 

「えっとですね、私もグランを捕まえるお手伝いをするので、唐揚げを貰えませんか?」

 

「ほう……。いいだろう、ならばヴェインとルリア、お前たちでグランを見つけてこい。結果を残したものには報酬をくれてやる」

 

「よっしゃあ!ルリア、勝負だぁ!」

 

「は、はいっ!負けませんよヴェインさん!」

 

ヴェインさんと一緒に駆け出します。

ほんとは船内であんまり走っちゃいけないんですけど、唐揚げが懸かっているんです!ごめんなさい!

 

ヴェインさんは目指す場所もなく走り回るみたいですけど、多分本気で隠れたグランはそんなことじゃ見つかりません。

でも、私にはひさくがあるんです!

ちょ、ちょっとズルイかもしれませんけど……。

でも、唐揚げが!!唐揚げのためなんです!!

 

 

「というわけでアルルメイヤさん、グランはどこにいるか教えて貰えませんか?」

 

私がやってきたのはアルルメイヤさんの部屋。

アルルメイヤさんは凄い占い師なので、誰かの居場所もすぐにわかってしまいます。きっとグランの居場所も一発です!

 

「ふむ……どうやら食堂にいるみたいだね。朝ごはんは食べ損ねたくないようだ。ドラフの団員たちの陰でこっそりご飯を食べているようだよ」

 

「わぁ、ありがとうございます!助かりました!アルルメイヤさんにも晩ご飯の唐揚げ一個あげますね!」

 

やっぱりアルルメイヤさんは凄いです!一瞬でグランの場所がわかっちゃいました!

 

「いやいや、礼には及ばない……。うん、ホント礼には及ばないというか、申し訳ないというか」

 

いつもハッキリ物を言うアルルメイヤさんがなんだか歯切れが悪いです。でも今は唐揚げ……じゃなくて、グランが優先です!ヴェインさんに先に見つけられちゃったら唐揚げも貰えなくなっちゃいます!アルルメイヤさんにお礼を言って、食堂に急ぎます!

 

 

「……行ったよ、グラン」

 

ルリアが私の部屋を慌ただしく出て行ってから十数秒して、ベッドの陰に声をかける。そこから、グランがひょこっと顔を出した。

 

「……パーシヴァルめ、ルリアを買収したか。卑怯な手を使うじゃないか」

 

「いや、君が言えたことじゃないと思う。私も言えたことじゃないけれど」

 

『お菓子あげるから匿ってくれ』なんて買収、するほうもするほうだが、されるほうもされるほうだ。なのにそんな馬鹿らしい取り引きに応じた理由?それはね……。

 

「さ、お茶を入れたよ。昼頃までは誰も来ないし、お菓子をつまみながら話でもしようじゃないか、グラン」

 

この状況も、悪くないからさ。

 

 

「チッ、見つからなかったか……」

 

「いやー、船の中五周はしたんだけどなー。誰かのとこに匿われてんのかな」

 

「はうう、ごめんなさいパーシヴァルさん……」

 

食堂にグランはいませんでした。それからしばらく探したんですけど、結局見つからないまま……。唐揚げは、貰えません……。

 

「まぁいい。お前たちは十分尽くしてくれた。俺の唐揚げは二人で分けるといい」

 

「えっ、いいのか?」

 

「でもパーシヴァルさん、私たち、結局グランを見つけては……」

 

「俺は『結果を残せ』と言ったんだ。駄犬は犬らしく走り回り、船内の廊下にグランがいないと証明した。ルリアはアルルメイヤの予言を聞き、食堂へと向かったがそこにグランはいなかった。そしてこの二つの情報を合わせると、見えてくるものがある」

 

 

「そこで俺は言ってやったんだ。このチョビヒゲ野郎!おでんを口に突っ込むぞ!ってな」

 

「フフフ、本当に君と話していると退屈しな…………グラン、申し訳ない。()()のが少し遅れてしまった。もう間に合わないようだ」

 

ガチャリ。

パーシヴァルさんが、ノックもせずにアルルメイヤさんの部屋のドアを開けました。そこには、椅子に座ったアルルメイヤさんと、棒状のお菓子を咥えたグラン。

 

「あーっ!グラン!」

 

「こんなとこにいたのかー!」

 

「さて、もう逃がさんぞ。貴様には、人の上に立つものとしての心構えというものを嫌と言うほど教えてやろう」

 

パーシヴァルさんが剣を構えて、不敵な笑みを浮かべました。

グランは少し目を泳がせた後、私と目が合って。

 

「あ、ルリア。おはよう」

 

「うん、おはよう!」

 

その後グランは窓から飛び出して、逃げ出してしまいました。

結局その日はパーシヴァルさんとグランはずっと鬼ごっこしていたみたいです。

 

どうでしたか、私の騎空団!毎日賑やかで、とても楽しいところです。

私、この騎空団が、だーいすき、です!えへ。

あ、唐揚げは美味しかったです!




登場キャラ紹介

ルリア
ぐらぶるっ!の被害者の一人。一人称の視点が意外と難しい。はわわ、とかはうう、とか文字に起こすと「何やってんだろ自分……」って虚無感を得られるぞ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。