ウチのグランサイファー   作:ゆまる

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狂狂ヴィーラと書きます。


くるくるヴィーラ

 

「ファラ、おはよう」

 

「ユーリ。おはようっす」

 

朝ご飯の時間。

ユーリが隣に座ってきて、もくもくとご飯を食べ始めたっす。

 

ユーリは秩序属性だから、ご飯の最中にあんまりペラペラ喋るのは嫌い……というよりは苦手らしいっす。他のテーブルはよく喋る団員が多いから、多分この席を選んだんすね。多分自分の隣に座りたかったわけではないと思うっす。

……何の言い訳してるっすかね、自分。

 

「おはようございます、グランさん。席、ご一緒してもよろしいですか?」

 

「ん、おはよヴィーラ。いいぞー」

 

ふと隣のほうのテーブルで、そんな会話が聞こえてきたっす。

あれ、珍しいっすね。いつもは絶対にカタリナ先輩の隣に座りたがるし、誰か男が隣に座るだけで養豚場の豚を見る目でそいつを見るヴィーラが、自分からグランの隣に座りに行くなんて。

まぁあそこは比較的仲が良いみたいだから、そうありえない話ではないかもっす。

 

「ふふ、ありがとうございます。

……今日のご飯も美味しいですね。私ももっと料理の腕をあげたいものです」

 

「ヴィーラも十分上手いだろ。この前作ってくれたアップルパイとか、美味かったぞ」

 

「そうですか?ありがとうございます。あぁグランさん、ところで手料理といえば、この前カタリナお姉様の手料理を食べ『ダッダァン!』

 

……ギリギリっすけど、とんでもないスピードで席から立ち上がって駆け出そうとしたグランと、それ以上のスピードでグランの顔の前にナイフを投げつけたヴィーラが見えたっす。

 

「グランさん?まだお食事とお話の途中でしょう?お行儀が悪いですよ」

 

「ははは、突然トイレに行きたくなってな。ここで漏らすほうがよっぽどお行儀が悪いだろ?」

 

二人とも笑顔っすけど、表面だけっすね。どっちも目が全く笑ってないっす。あとナイフを投げるのも十分行儀が悪いと思うっす。

 

「お姉様がね、自慢してくださったんですよ。グランが自分の手料理が欲しいと言ってくれた、全部食べてくれた、こんなことは初めてだ、と。素敵な笑顔でした。その素敵な笑顔が、あなたに向けられているのがこの上なく妬ましい嫉ましいネタマシイ……!!ねェ、あなたのお腹の中からお姉さマの料理を取り出シて食べれバ私にもあの笑顔ヲ向けてくださイますカ……!?」

 

あー、あれはダメっすね。あのモードに入ったら誰かが犠牲になるまで止まらないっす。自分も先輩にベタベタしすぎて一回ターゲットになったことあるっす。

あぁ、生きることって素晴らしいっす。ユーリ、走馬灯ってホントにあるんすよ、知ってました?

 

「ヴィーラ!ローアインもカタリナの料理食べてたぞ!!」

『ガタンッタァン!!』

 

あ、ローアインが逃げようとした鼻先の壁にフォークが突き刺さってるっす。あと1cm横だったら鼻に刺さってたっすね、アレ。さっきよりスピードが上がってないっすか?

 

「だーんちょぉ!??ちょ、マジ勘弁して!!なんでオレを巻き込みング!?」

 

「おネエ様にまとワりつク害虫……!えぇ、ついでに駆除シましょウ」

 

あー、これはまた気の毒に。まぁ自分には関係ないので、ご飯を続けるっす。ユーリ、ジャム取ってほしいっす。

 

「あとファラがこの前ドサクサに紛れてカタリナに抱き着いて色んなところをまさぐってたらしいぞ!!」

 

殺気!!

 

思い切り体を捻ると、自分の顔があった位置を高速で剣が通過したっす!てかラスト・シンじゃないっすか!マジで殺す気っすかあの女ァ!!

 

「ちょぉおぉ!??なんでこっちにまで飛び火させてくるんすか!?道連れにするならローアインだけにするっす!!」

 

「コムスメ……万死に値シマスススス」

 

やばいっす!怒りが分散されるどころか三人分で三倍になってるっす!禍々しさでヴィーラの周りの空間が歪んで見えるっす!!

 

「あ、カタリナ、おはよう!」

 

「ああルリア、おはよう」

 

「お姉様ぁんっ!」

 

食堂に来た先輩に気が逸れた!今っす!

 

私と同時にグランとローアインが食堂の外へと駆け出す。

 

「お姉様おはようございます今少し用事が出来ましたのでまた後ほどお話しましょうねそれでは」

 

「あ、ああ。ほどほどにな……」

 

 

そんなわけで、廊下を三人で全力で走る最中っす。

後ろから負のオーラを感じるから多分ヴィーラも追っかけてきてるっす。

ああ、グランのせいで自分まで朝から命を懸けた鬼ごっこをする羽目に!

 

「グラン!ほんとっふざけんなっす!!死ぬなら一人で死ぬっす!」

 

「いやマジでそれよ!さすがにこれシャレんなってないっしょだんちょ!」

 

「何言ってんだよ、お前ら、団長の盾になるって約束してくれたろ?」

 

「してないっす!ていうか団長なら団員のために身を挺して犠牲になれっす!!」

 

「待チナサイ!!今ナラ腹ヲ掻ッ捌イテ直腸ヲ引キズリ出シタ後ソレデソーセージヲ作ルダケデ許シテアゲマスカラ!!」

 

それは微塵も許されてないっす!あと狂気段階がレベル2に入ってるっす!人語を話せなくなるレベル3になったら本気でマズイっす!洒落抜きで死人が!!

 

「アフェクション・オース!!」

 

ぎゃあぁぁぁぁ!!自分のほっぺたの横を、剣が、剣がぁぁぁぁぁ!!

ま、マジで殺す気っすアレ!!多分誰か殺すまで止まらないっす!

 

あ、全力で走る自分たちの前にスフラマール先生が!

 

「あ、こら〜!船内で全力疾走しちゃいけませ〜nかっは……!!」

 

「「「スフラマール先生ー!!」」」

 

スフラマール先生がヴィーラに轢かれたっす!ごめんなさい!

でも止まれないんす!どうかご無事で!

 

 

あ、今度は目の前にタイアーが!

 

「はうあっ!?あ、あ、ヴィヴィヴィヴィヴィ……!!」

 

「タイアー!逃げるっす!」

 

「ご、ご機げかっは……!!」

 

くっ、タイアーもヴィーラに轢かれたっす!

 

「一切無駄のないフォーム、自分とぶつかっても全くぶれない力強さ、そして全ての生物を射殺せそうなその瞳……やはりあなたは美ぶっ!」

 

落ちてく最中になんかぶつぶつ言ってたっすけど今はどうでもいいっすね!どうせヴィーラに関することっす!

 

 

あ、今度は目の前にジンが!

廊下の真ん中に仁王立ちしてるっす!

 

「ジン!?」

 

「行くがいい、団長。某が足止めする」

 

「……任せた!」

 

「ああ、任された!!

 

さぁ来いヴィーかっは……!!」

 

くっ、ジンもやられたっす!ぶつかる瞬間幸せそうな顔してたから多分足止めする気微塵もなかったっすね!!

っていうか……

 

「◆〓▲§◉•¢∃▼■∂!!!!」

 

やばいっす!!レベル3っす!!ジン(変態)との接触のせいっすか!!もはや体が黒いオーラに包まれて別の生物になってるっす!!!

 

って、また前に誰かが!!

 

「鎮まりたまえー!!さぞかし名のある騎士と見受けたが、何故そのように荒ぶるのか!?」

 

あれはジャンヌ!ジャンヌっす!ジャンヌが廊下の真ん中で仁王立ちしてるっす!この団では比較的まともな人ではあるんすけど今のヴィーラ相手では余りにも無力すぎるっす!!

 

「にげるっす!アレは人の力が及ぶものじゃないっす!」

 

「団長が死ぬところをただ見ているわけにもいかない。私が彼女を止めてみせかっは……!!」

 

ジャンヌも吹き飛んだっすー!!もうお約束っすね!

 

「……う、あ……アハハハハハっ!!私は無力だ……!何も救えやしない!私に罰を!罰を与えてくれ団長!!」

 

あ、やばい、めんどくなっ(堕ち)たー!!?ああなったらもう、激しい痛みか甘い系のクッキーを与えるしか元に戻す方法はないっす!

 

「■▼∞∇仝⊃●!!」

 

「罰を!プリーズ罰!」

 

「廊下を走ってはいけません!!!」

 

「追ってきてるの増えてないスかだんちょ!?」

 

「なんかリーシャもいつのまにか追ってきてるっすよ!?」

 

「三人、か……」

 

グランが走りながら神妙な面持ちで何かを考え込んでるっす。

何か考えがあるっすかね?

 

「あっちが三人、こっちも三人。一人につき一人ずつ対処しよう」

 

「え、いやっす。絶対ヴィーラ任されたやつが死ぬじゃないっすか」

 

「だんちょ、このパティーン知ってるわ俺。絶対俺を犠牲的なやつにしちゃう系っしょ?」

 

「いや、ヴィーラは俺が受け持つ」

 

「「な!?」」

 

正気っすか!?今のヴィーラを相手にしたら一瞬で細切れになるかもしれないのに!!

でも、グランの瞳は、とても強い意志が込められてるっす……!

 

「本気、なんすね?」

 

「ああ。ローアインはジャンヌを頼む。確かキッチンのほうにまだクッキーがいくつか残ってたはずだ。ファラはリーシャを。廊下ダッシュくらいならお説教だけで済む」

 

「……ラジャーッス。だんちょ、俺、見直したわ。やっぱあんた、俺らのだんちょだわ」

 

「……死んじゃダメっすよ」

 

「馬鹿言え。俺はイスタルシアに行くまで、死なないって決めてんだ。……散ッ!」

 

団長の合図で、三人がバラバラの方向に駆けていく!

ローアインはジャンヌの目につくように、そして自分はリーシャを引き寄せるように!

 

よし、どっちも上手いこと引きつけたっす!

 

あとはグランが、ヴィーラをどうするか……!

ん?あれ?ここって?

 

「ヴィーラ!!」

 

「ひゃいぃっ!」

 

カタリナ先輩の一声で黒いオーラが霧散して通常状態に戻って直立するヴィーラ。

やっぱりここ、食堂前っすね。船内ぐるっと回って戻ってきてたみたいっす。

 

「朝から走り回るのは感心しない。それと、グランがまた何かイタズラしたのかと思っていたが……ヴィーラの私怨で追いかけ回していたらしいな?」

 

「……はい」

 

さっきまでの気迫はどこへやら、ヴィーラがしゅんと項垂れてすごい小さく見えるっす。

 

「……ハァ、私の料理を食べたいならそう言ってくれればいいんだ。今、新しいレシピを作っているから、出来たらグランと二人で仲良く食べてくれ。いいな?」

 

「うんうん、仲良くしような、ヴィーラ」

 

「…………はい、わかりましたお姉様」

 

「それにしても、私の料理も人気だな!ふふ……」

 

お、おお、丸く収まったみたいっす。

さすがのヴィーラもカタリナ先輩に叱られちゃ止まるんすね!

覚えとかないと……。

 

そこでトントン、と私の肩が叩かれたっす。

 

「ファラさん。少しお話が」

 

「あ、リーシャっすか。いいっすよいいっすよ、廊下疾走の説教くらいならいくらでも聞くっす」

 

生きてることは素晴らしいっす。さっきのヴィーラに捕まった時のことを考えると、リーシャのお説教は天国……いや、そこまではいかないっすね、うん。

 

「ああいえ、廊下を走ったこともそうなんですが……。あなたがカタリナさんの体をまさぐったとの報告がありまして。この船のセクハラは()()でも適用されるのはご存知ですよね?」

 

な、ん……!!?

バッと振り向くと、そこにはサムズアップしたグランが。

 

あ、これ、嵌められたっ……!

 

「秩序室で、お話を聞かせていただきますね……?」

 

「グラァァァァァァン!!地獄に落ちろっすぅぅぅぅぅ!!」

 

「馬鹿言え。俺はイスタルシアに行くまで、死なないって決めてんだ」

 

ああユーリ、秩序室ってどんなところか知ってるっすか?

はは、一生知らないほうがいいこともあるっす。

 

 

「どーよコレ、激ウマじゃね?」

 

「うん、美味しいぞ。ところでさっきまでの記憶がないんだが……」

 

「いやー俺も?ご存知?ナッシング的な?」

 

「そうか。しかし美味しいなこれは」

 




登場キャラ紹介

ヴィーラ
作者の推し。人によって、お姉様絶対一筋ガチレズ、ジータもいけるレズ、お姉様もグランも大切な半レズ、心の中でグランの存在のほうが大きくなってしまったけどそれを認めたくないレズ心、などさまざまな解釈が存在する。バージョンによっても変わってくるので皆も好きな解釈をしてみよう!ちなみに私はお姉様とグランが同価値になってるヴィーラが一番好きだ。このSSを読んでヴィーラ推してくれる人が出来たら嬉しいな!!!!
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