「グラン、一緒に遊–––––
「待て貴様ァ!!今日という今日は許さんぞ!!」
「ふっははは!遅い遅いパーシヴァル!止まって見えるぞあっちょっストップヤバイヤバイ洒落になってな」
「……ま、まだまだこれからだしっ☆」
☆
「グラン!お、お弁当をね、作––––––
「さぁ張った張ったァ!月に一度の大食い勝負大会だァ!鉄板のルリアか、レッドラックか!はたまたアーミラか!?それとも大穴ベアトリクスかァ〜!?期待してるぞ!」
「ふふん、任せときなって!」
「アンタの自信、毎回どっから湧いてくるのかがわからないわ。いやホントに」
「……これが終わったら、チャンスはあるはずっ☆」
☆
「グラン、一緒に錬金術のお勉きょ–––––
「んで、ここからシルヴァが狙撃」
「待ってください団長。それならここのほうがいいのでは?後方を気にする必要がありません。それにこの向きの方が連携もとりやすいでしょう」
「む、たしかに。ランスロット、シルヴァ、それでいいか?」
「ああ、問題ない」「大丈夫だ、続けてくれ」
「よし、それで、アルタイルが敵を撹乱した後の展開だが……」
「……邪魔しちゃいけないよね」
☆
「グラン!!」
「うぉうびっくりぃ!あ、クラリスか。どした?」
あっ、話しかけることだけ考えてて話の内容考えてなかった……。
えっと、えっと、あー、うー、うああ……。
「…………おやすみっ☆」
「ん、おやすみ」
うちのバカァァァァァァ!!
☆
「う"え"え"え"ぇぇぇ、お"うお"ぅ…………」
「ええっと、どうしたの、クラリスさん。ほらもう、顔がぐちゃぐちゃ……。こっち向いて」
「もうちょっと女の子らしく泣いたほうがいいと思うよクラリス……」
部屋に帰るなりベッドに蹲って泣き始めたうちを、同部屋のザルハメリナ、アリーザ、メーテラ、カレンが心配そうに覗き込んできた。
ザルハメリナさんがウチの顔をハンカチで拭いてくれて、ようやく少し落ち着いた。
うう、ザルハメリナさんの膝あったかい……。
「んでー、どうしたのよクラリス。あ、わかった、グランに虐められたんじゃない?」
「えぇっ、本当クラリス!?ちょっとグラン蹴ってくる!」
「ち、違う違う!グラン絡みなのは間違ってないけど……」
あ、ヤバ。勢いでグラン絡みって言っちゃった。こういう話にヘルハウンドの如く食いついてくるのがこの場に二人いるのに……。
「ほっぉ〜ん?グラン絡み?とすると〜?」
「ふっぅ〜ん?これはズバリ……恋の悩みかしら〜?」
やぁぁぁ!やっぱり食いついてきた!
カレンとメーテラがすっごいニヤニヤしてる!
「クラリス、ここは観念して素直に白状したらどう?ほら、ここには皆の相談役ザルハメリナと、恋愛エキスパートメーテラ、絶賛恋愛中のアリーザと、次期団長の私がいるんだから、大丈夫よ!」
「うぇっええ!恋愛中って、別にあたしはそんなんじゃ……!」
「はいはい、あんたの話を
「無理やり話させるのは感心しませんけど、泣いてしまうほど溜め込むのもいけません。話したほうが楽になることもあるわよ?」
う、この空気、喋るまで許してくれなさそう……。
同じ部屋だから、逃げられないし……。
「うう、ぜ、絶対誰にも言わないでね!?」
☆
うちが最近グランと全然話せていないこと、今日も頑張ったけど「おやすみ」しか言えなかったことを話すと、メーテラががっかりした顔でため息を吐いた。
「はぁ〜〜〜……。そんな程度でグダグダ言ってるの?あたしはてっきりグランへ夜這い仕掛けて失敗でもしたのかと思ったわよ」
「よばっ、そんなの出来るわけないじゃん!!グランの部屋に入るだけでも緊張するのに……」
「よばい?ってなに?」
「……アリーザさん、マフィンはいかがですか?」
「あ、食べるー!」
もっもっとマフィンを頬張るアリーザ。
ナイスザルハメリナさん!下手したらメーテラの夜這い講習になるとこだった。
「男なんて皆一皮剥いたら獣よ。肌見せて誘ってやったらガッとやってチュッとしてハァ〜ンよ」
「わ私はそういうのはまだ早いのー!!」
「じゃあどういうのがいいの?」
カレンの質問に、夜寝る前にしている妄想を思い返す。
「そ、それはその……。…………二人でご飯食べに行ったり、服選んでもらったり……手、握ったり……」
「一緒に稽古したり?」
「うん?う、うーん……」
「××××したり?」
「しないっ!!」
すぐそっちの方向に持っていく!そんなこと言ったらまた……。
「××××ってなに?」
ほらー!
「アリーザさん、紅茶のおかわり、入れてあげますね」
「あっ、ありがとー!」
ナイスザルハメリナさん!……アリーザがちょろいんだねこれは。
「じゃあさー、あたしたちがクラリスと団長がデート出来るよう、手伝ってあげたらいいんじゃない?」
カレンが人差し指を立てながら立ち上がる。その発言に、他のみんなもうんうんと頷いた。
「お、いいじゃんかそれー!」
「そうねぇ、もどかしいから一気にくっつけたげるわ」
「こういうのは、あまり周りが口を出すものではないとは思うのだけど……クラリスさんが望むのなら、私も僭越ながら力をお貸しします」
「み、みんな〜……」
こうして、うちの優しいルームメイトたちが手伝ってくれることになった。
しばらくみんなで話し合って、それぞれが考えた作戦をうちが順番に実行していくという話になった。
☆
アリーザ案
『イイとこ見せちゃえ作戦』
最初はアリーザの作戦。曰く、「戦闘で大活躍すればグランと話す機会も増えるよね!」。
ついでに活躍したご褒美ということでデートしてもらっちゃえ!という作戦なのだ!
うん、なかなか良い作戦じゃんアリーザ!
錬金術ぶっ放すことしか出来ないうちにも合ってる!
そうと決まったら〜。
「グランっ!クラリスちゃんのおニューの錬金術を見よっ!それそれ〜☆どっかーん☆」
「お、おう、張り切ってるな……。あっ、待てクラリス!向こうにはデュレーションを発動中のラカムが!」
「最・カワ!!」
「デュッ–––––––」
「ラカムゥゥゥゥゥゥゥ!!!」
あー!!た、大変っ!!うちの爆破にラカムが巻き込まれた!!
グランのほうをチラチラ見てたから気づけなかった!
ラカムは焦げながらもすぐに立ち上がって、うちのほうへと歩いてくる。お、怒られるかな……?
「いつもの爆発よりキレがない。敵に集中出来てねぇんじゃねぇか?いい爆発ってのは心技体揃ってこそだ」
「え、あ、うん」
「浮ついた気持ちの爆発は、怪我にも繋がる。忘れるなかれ、爆発をさせる側には相応の責任がついて回るんだ。だが、その心を誤らなければ爆発は応えてくれる。精進しろよ」
「は……はいっ!!ありがとうございます!」
去っていく黒焦げの背中は、とても大きく見えた。
頑張らなきゃ、ラカムに認めてもらえるように……!
爆発道の道は、まだまだ長いっ☆
☆
メーテラ案
『SEXY GUILTY作戦』
「うう〜、ほんとにやるのこれ……?」
メーテラの作戦は、胸を見せて、ゆ、ゆーわく……。
色んな作戦を提案されたけど、これが一番マシというか、実行できそうというか。
メーテラは「もっとイケるでしょ」って不満そうだったけど……。
とにかく、今はいい感じにグランが一人!よーし!
「グ、グラン〜。うち、なんだか、暑くなってきちゃったぁ〜ん?」
肌蹴させて、ここで胸を強調……!は、ハズい……!!
クリスマス衣装のほうが露出は多いはずなのに、なんかこう、自分で見せるのは抵抗がある!
「む、クラリスもそう思うか。これは多分アイツらが来たな」
「へ?」
グランが向いた方向から、熱風が吹いてきた。
「ソイヤ!!ソイヤ!!ソイヤ!!ソイヤ!!」
ジン・ソリッズ・オイゲンの筋肉三人衆が一歩ごとにポーズをキメながら近づいてくる!!
暑い!!見た目が暑苦しい上に部屋の温度が絶対10度以上上がってるって!どういう原理なの!?
「おーうグラン!おめぇさんもどうだ、ソイヤ見廻り!」
「共に汗を流そうぞ!」
「ぃよぉーし任せろぃ!!」
ガバッと服を脱いでフンドシ姿になるグラン。
え?フンドシは常に着用してるの?
「ソイヤ!!ソイヤ!!ソイヤ!!ソイヤ!!」
行ってしまった……。
グランの素肌にドキドキとかする暇もなかったよ……。
あとこの騎空団、露出度多い女の人たくさんいるから多少肌蹴た程度じゃ動じないじゃん……。
☆
ザルハメリナ案
『ドキッ☆廊下でぶつかったアイツは新人騎空士!?作戦』
……えぇ?
「グランさんが来たら合図するので、角から飛び出してください。ぶつかったら『もーどこ見て歩いてんのよ!遅刻しちゃう!』と言うのを忘れずに」
何に遅刻するんだろう。すごい真面目な顔で言ってるから納得しそうになるけど、おかしいよねこの作戦?うち間違ってないよね?
「いやあのねザルハメリナさん、さすがにこれはどうかと」
「あ、ほら、来ましたよ!さぁパンを咥えて!」
「ほっほょ、ふぉひは、ふぁふはへひは」
「3……2……1……はい!」
何か言う暇も考える暇も与えてくれない。
あーもー!!なるようになれー!!
ヤケクソになって、角に来たグランへとタックル。
でもグランへとぶつかる感触はなかった。
え、そんな、この距離で、かわ、されて––––––––!
(頑張れ、クラリスさん!!)
その瞬間、ザルハメリナさんの声が聞こえた気がした。
まだだ!!
足を踏みしめ横っ飛び!グランへと体を寄せる!
バックステップでまだかわすグラン。逃がさない!
腕を掴もうと手を伸ばして……うっ、片手でいなされた!
こうなったら!錬金術で、えぇーい!!
グランの足元の床が崩れる。
グランの片足が落ちて、もう後ろへは下がれない、今がチャンス!!
最後の一歩を踏みしめて……!!
うちの頭が、グランの胸板へとぶつかって、弾かれた。
「いったーい!!もー、どこ見て歩いてんのー!!遅刻しちゃうー!」
言えた!!あとはこのまま走り去るだけ!!
やった!ザルハメリナさん、うち、やったよー!!
「……新手の当たり屋か?」
☆
正気に戻ったうちは頭を抱えていた。
「やったーじゃないよ!!むしろやっちゃったーだよ!!!全力でぶつかりに行っちゃったから逆に好感度マイナスじゃん!!」
「大丈夫です!このあと食堂で会った時に『あー!!あの時の!』と叫べば、なんやかんやで船を案内することになり同じ部屋に住むことになりなんやかんやでゴールインできます!ルナールさんから貸してもらった文献だとそうなるはずなんです!」
「ツッコミどころしかない!!もっとまともな作戦ないの!?ザルハメリナさんの経験をもとにしたのとか!」
「え…………え、えぇと、ですね。私、その、恥ずかしながら殿方と、そういった関係になった経験がなくて……」
「あ、え、そうなんだ……。なんか、ごめんなさい……」
「いえ、こちらこそ、お力になれず……」
「あーもー!!まだるっこしいったら!!クラリス、あたしに任せなさい!!」
☆
カレン案
『ストレート作戦』
「回りくどい手は使わずに直球で行くのよ!邪魔が入らないように止めるから!」とのこと。
でも、グランの周りには常に人がいるし、たまに一人になっても誰かがすぐにやってくる。そうじゃない時はグランが誰かに絡みにいく。
今まで何回も何回も誰かに遮られてきた。誘える隙なんてあるかなー……。
ううん、カレンたちを信じるしかない!
今は廊下の向こうにグラン一人、私の後ろには皆んなが見守ってくれてる!
すー……はー……よし!!
「グラン––––––」
「おい、団長はどこだ」
うわぁぁぁぁぁんやっぱりぃぃぃぃぃぃ!
「あ、ユーステス。何されたの?」
「通りすがりにいきなり耳をブラッシングしてきた。勝手に触れば撃つと常日頃忠告しているはずなんだがな」
「あ、はは……。あ、グランの場所はわかんないけど、さっき、えーっと……べ、ベアトリクスが『報告書に砂糖水こぼしちゃったけど言わなきゃバレないか……』って言いながらあっちへ歩いてったよ?」
「……そうか。団長より先にそいつを見つけるべきのようだ」
アリーザが、グランと逆方向に指を差してユーステスを離れさせてくれた。これでグランがユーステスと追いかけっこをすることはもうない!今ならいける!
「グラ––––––」
「グランいるかー?お菓子を作ったから、味見してほしいんだけどー」
んんんー!!10秒くらいの隙も与えてくれないよー!?
「あら、ベアトリクス。さっきユーステスがベアトリクスを怖〜い顔で探してたわよ?」
「用事思い出したからまた後でいいやこれやるじゃあな!!」
あ!神速・ベアトリクスエスケープだ!相変わらずのすごい逃げ足、でもあっちはユーステスが歩いてった方だけど……うん、ベアトリクスの尊い犠牲を無駄にしないためにも、このチャンスをものにしないと!!
「グ–––––––」
「グランいる?次の依頼に向かうメンツの相談したいんだけどー」
知ってた!!
「ゼタさん、団長さんは今ユーステスさんに追いかけられているので、私が相談をお受けしますね」
「あーまたブラッシングでもしたの?じゃお願いするわザルハメリナ」
「はい、では作戦室のほうに行きましょうか」
ザルハメリナさんが止めたぁ!ナイスセーブ!
ていうかなんでみんなうちのところに聞きにこようとするの!?
で、でもさすがにもう来ないよね!?
あ、カレンが早くしろって目で言ってる。
そうだよね、もう緊張とかもなくなったし、早––––––––。
「団長はどこだ?」
組織コンプリートッ☆
示し合わせてるの!?これが組織の任務だったりするのかな!?
「おりゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「ぬお、なんだ、どうした」
カレンがバザラガに突進したーーー!
でも体格差がありすぎて微塵も動かせてない!
少しの間グイグイ押したり引いたりしてたけど、諦めたみたいで息を切らしながら膝をついた。
「…………急ぎの用じゃないなら、なにも聞かずに、引き返してくれない?」
「あ、ああ。取り込んでいるようだな」
何かを察してくれたのか、バザラガも来た道を引き返してくれた。
よし、今がチャンスっ☆
もう組織の人は来ない!次こそいけるハズ!
ていうか次邪魔されたらうちの心が折れる。
「さっきから何やってんだ?」
「うひゃあ!??グ、グラン!なんでこっちに……!」
勢いよく振り向いたうちの目と鼻の先にはいつのまにかグランがいて、思わず飛びのいてしまった。
「いや、あれだけ騒いでたら気づくってばよ。なんか用あるんじゃないのか?」
グランは腕を組んでうちの次の言葉を待ってくれてる。
もう邪魔は入らない。
皆が、うちの友達が、ここまでお膳立てしてくれた。
あとは、うちの、勇気だけ。
「あの………………あの、ね!……うちと一緒に、買い物、いかないっ?」
ぎゅっと目をつむりながら、何回も何回も頭の中でシミュレーションした言葉を言った。言えた。でも、ちょっと裏返った。
あ、ダメかもしれない。なんて考えがうちの脳裏に一瞬浮かんで、
「いいぞ」
グランの言葉で全部吹き飛んだ。
「………………うぇ?ほんとに?」
「うん」
「……買い出しとかじゃないよ?」
「うん」
「……みんなで?」
「あ、二人でって意味じゃなかったのか」
「ううん、違う!ふ、二人で……うん……」
ここでようやく、真っ白だった頭の中がまともに動き始めた。
わー、わー、顔が熱い……!うち今絶対顔赤い!でも、嬉しい……!
「明日の昼でいいか?」
「うん!うん!絶対寝坊しちゃダメだからねっ☆約束だからね!絶☆対だからね!」
「はーいはい」
ニヤける顔を必死に隠しながら走る。
早く、早く、みんなに伝えたい!
早く、お礼を、言いたい!
☆
「う"え"え"え"え"ん、わあ"あ"あ"あ"あ"あ"ん」
「よしよし、泣かないでクラリスさん」
「恐ろしいほどついてないわね」
詳しく説明すると、廊下の床に空いてた穴に足をひっかけて転んだうちは、咄嗟に(ここでケガしたら明日行けなくなっちゃう!)と判断してしまって、錬金術を発動。うちは想像以上に浮かれてたみたいで、一部分だけ崩すつもりが廊下一帯を全部存在崩壊。たまたま居合わせたリーシャに見つかり、お説教+一日かけて廊下の補修を命じられたのだ。まさか「明日は買い物にいくから出来ません」なんて言えるはずもなく、頷くしかなかった。
つまり、グランとの買い物はなしになった。
「ここまでくるともう、呪いね。そういう星晶獣がいるんじゃないかしら」
「……わかった!ここまできたらとことんまで付き合うわ!!廊下をすぐに直せば買い物にも間に合うかもでしょ?手伝ったげる」
「誰かの手を借りてはいけないとは言われてないんですよね?協力してくれそうな人を探してみます」
「み、み"んな"〜〜〜……」
☆
「ティアマトが暴れた時並みの暴風雨」
「話の途中で魔物が襲ってくる」
「暴漢に絡まれること十数回」
「その他トラブル諸々諸々……」
「それでもやり遂げたのは、本当に尊敬します」
「デート一回でこれって、先が思いやられるわね」
「幸せそうに寝ちゃってまぁ」
「すぅ……みんな、ありがとー……☆」
登場キャラ紹介
クラリス
最カワ錬金術師。以前は公式に負けヒロインポジションとして弄られていたが最近はそうでもなくなった気がする。季節の限定ボイスで毎回死者を出しているとかいないとか。私は毎回最後らへんまで置いておいて、心の準備をしてから聞くようにしている。最終上限開放はよ。
追記:クラリスのクリスマスボイスを聞いて
ああ、やっぱりダメだったよ。あいつは恋愛クソ雑魚だからな。
追記:組織コンプリートしてない件
うちにイルザはいないああああああああ欲しいぃぃぃぃいぃぃぃイルザ欲しいぃぃぃぃぃ幸せにしてやりたいぃぃぃぃぃ