川神大戦当日、合戦場所である山は生徒たちのやる気と闘気に満ち溢れていた。
「皆、最終確認だ」
F軍の参謀、直江大和の声にその場にいた人達が全員頷く。
「とりあえずこれがS軍の大まかな配置だ」
「よくそんなのがわかったな?」
「あぁ、S軍には買収した奴がいるからな」
「S軍のやつら嘗めてやがる、正面に総大将だと!」
「そこでワン子とゲンさんは正面で九鬼英雄と当たってくれ」
「大和の指示だもん。アタシは従うだけよ!」
「任せろ」
「そして側面の森に80名の伏兵を10人ずつに分けて配置」
「でもこれ九鬼英雄が進軍してこないと無駄に終わるんじゃないか?」
「大丈夫だ。九鬼英雄は必ず進軍してくる」
「お前がそういうなら俺は何も言わんが」
「伏兵で九鬼英雄を囲んだらクリスの率いる白の隊とキャップの率いる黒の隊で九鬼英雄とその周りの兵たちを分断する」
「期待通りの働きを見せてやろう!」
「おっしゃ!任せろ!」
「白の隊と黒の隊は分断した敵兵を討った後は自由に戦場を掻き回してくれ」
直江大和の作戦会議は着々と進んでいった。
「じゃあ、行きますか?」
「そうだな……あ〜あ、モモ先輩が敵とかいくら四天王がいると言ってもギリギリだろうに」
「しかし、本陣の護衛が俺とまゆっちだけとはな……一番大事な場所なのに大丈夫か?」
「大和さんが私達を信頼してくれているんです。私達もそれに応えられるように頑張りましょう」
「やる気満々だね。まゆっち」
「勿論です!ファミリーの皆さんの為にも全力を出しますよ!」
「俺もまゆっちの為に頑張るか」
「薫さん……ありがとうございます」
「カウントダウンが始まるぞ」
『5』
『4』
『3』
『2』
っ!?巨大な気が近づいてくる………これが武道四天王か。本当に心強いな。
『1』
その時、山の中央が闘気に満ち溢れていた。
『川神大戦、開戦!』
開戦はとても緊張したが本陣にはそう簡単には敵が来ないので、とてつもなく暇だった。
「殺戮部隊、F軍本陣の包囲完了」
「とっとと終わらせるぞ。火を放て!」
すると火矢が飛んで来るが、掴んで止めた。
「いきなり火矢とか鬼畜ですね。忍足先輩」
「テメェは苑宮薫か。参加してるとは思ったが、本陣とはな」
「まぁ、やっときた出番ですし。そろそろいきますよ」
「上等だ、皆かかれ!」
メイド服達がいっせいに攻撃してきた。
「女子に囲まれるなんて嬉しいことだけど、手加減はしないよ………喝ッ!!!!」
気迫に押され、前方のメイド服達が怯む。
「龍形気功・単針功!」
体全体で起こした回転エネルギーと気を混ぜた衝撃が地面を吹き飛ばし、メイド服達を吹き飛ばした。
「棗さんから盗んだ技だけど。これ、体に当てたら絶対死ぬだろ……」
「焦るな!遠距離で攻め立てろ!」
忍足先輩の指示で無事なメイド服達は苦無などを投げてきた。てか何で持ってんだよ!
「こ、硬気功!」
両手にダメージを受けないように気を纏い、飛んでくる苦無を手の平で弾く。
ギギギギギギン
「弾いただと!?」
「危ねぇ……こりゃ厄介な奴らだな!」
「なるべく遠距離に持ち込め!」
「させねぇよ!」
相手は女なので、なるべく傷つけないようにガードの上から押し飛ばす。
「有名だから少しは出来るとは思っていたが、ここまで強いとはな……」
「実力を隠すのは当然ですよ。俺は絡まれたくないんでね。まぁ、ここ最近は新たな目標が出来たんでこんなとこで負けるつもりはないですよ」
忍足先輩が今握っている小太刀が真剣に見えるのはなんでだろう…と思いながらも、落ちていた苦無を拾って構える。
「調子乗りやがって!忍足流・剣舞五連!」
早い斬撃を苦無で弾く。
「チッ………これならどうだ!(この苦無は全て神経毒が塗られている。一つでも当たればお前は終わりだ)」
「え、ちょっ!?」
気づけば苦無が迫っていた。
が、俺の体に触れることはなかった。
「まゆっち………」
目の前のまゆっちが全てはじき飛ばしてくれていた。
「お怪我はありませんか?薫さん」
「助かったよまゆっち。まさに白馬の王子様だな。まゆっちへの好感度は鰻登りだよ」
「本当ですか!?」
「これが噂の吊り橋効果だぜー?」
「まさか狙ってたのか?」
「ち、違いますよ!?今がチャンス!などとは思ってませんよ!?」
「じゃあいつやるの?」
「щ(゚д゚щ)今でしょ!」
「こ、こら松風!それは林先生の名言ですよ」
「て、テメェら…巫山戯てんのか?」
「よし、行くぞまゆっち!」
「はい!」
「チッ……」
忍足先輩は悪態をつきながらも小太刀を構える。
「せやっ!」
まゆっちが居合斬りを放ち
「せいっ!」
俺が足刀蹴りを食らわす。
「な!?……(ガードの上からでも鎖帷子がはじけ飛んだだと!?)」
「まだまだ行くぜ!そらそらそらそら!」
1、2、3、4………と間髪入れずに蹴りを連発する。
「くっ…(黛ほどではないにしろ、こいつも強い)」
「せいっ!」
まゆっちが距離を取ろうとする忍足先輩を追撃するが
「これまでか、撤退!」
忍足先輩は煙玉で姿を眩ませてしまった。
「逃がしてしまいました」
「とりあえずピンチはまぬがれた訳だし良いんじゃない?」
参謀本部からは何も連絡はなかったし、本部の護衛がなかったら終わってたな。
「今のうちに休んでおきなよ」
これからが大変なんだから。
「いえ、厄介な弓兵でしたが5人でしたのでそんなに疲れませんでした」
このスタミナといい、あの斬撃といいまゆっちは相当な強者だな。
「それよりも薫さん、あの衝撃波のような技は何ですか?」
「まゆっちは武道家の棗真耶さんを知ってるかな?」
「聞いたことがあります。なんでも気を使った強力な技を使っているとか」
「そう、その人と知り合いでね。少し稽古をつけてもらったよ」
「その棗さんに教えてもらったんですか?」
「いや、見て覚えた。簡単には教えてもらえないよ。教えてもらったのは硬気功。気で防御力を格段に上げる技だよ」
「先程の苦無はそれでふせいだのですね?」
「まぁね。ギリギリだったけど」
その後も他愛のない話をして時間を潰していた。
「まゆっち、大物が来たぜ」
「はぁ~い、お姉さん飛んできちゃった」
「モモ先輩…」
「まゆまゆに薫か」
「ここは」
「私たちが」
「「お相手致します!」」
「ふふふ、いくぞ!川神流・無双正拳突き!」
数々の武闘家を倒してきた武神の一撃が俺に向かって来た。
パシィ
「ふっ!」
受け流し、空いてる左手で裏拳を放つ。
「受け流した上に反撃とはな、やはり強いな薫」
「まだまだ!」
裏拳を防いだモモ先輩の右腕を弾き無理矢理モモ先輩の後頭部を掴み頭突きを食らわす。
「ぐあっ」
無防備なモモ先輩の左腕を腕拉ぎで曲がらない方向に曲げる。
「くっ……」
モモ先輩はすぐに俺を突き放すと、距離をとった。
「モモ先輩、俺の事なめすぎですよ」
「薫、私には瞬間回復があるのを忘れたのか?」
「なら、モモ先輩の気が尽きるまでやるだけですよ」
その光景を見てまゆっちは
「あぅぅ……完全に出遅れました」
と言っていたそうな。
またまたドーン!