真剣で一年に恋しなさい   作:薫る☆

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この作品は、たまにsideが入ります。


女は弄っていいが、手を出しちゃアカン

 

 

鉄心殿のご好意で俺は1週間川神院に留まらせてもらった。

 

その間も大和田さんやまゆっちは毎日来てくれて、勉強を教えてもらったりしていた。大和田さんはまた食べさせようとしてくれたが、やはり恥ずかしいので自分で食べれるように右手での箸使いを必死で覚えた。大和田さんからは何故か非難の視線を浴びせられたが……

 

「おかしいネ………」

 

「な、何がですか?」

 

「君の気の量が予想と違っタ」

 

「む?」

 

「あまり気にしなくてもいいヨ」

 

「はぁ…」

 

怪我は完治したようで様子見で休んでいた俺はこうして放課後の時間帯にさっそくルー師範代に気の扱いを教えてもらっていた。

 

「どうやら君の気の量は少ないようだネ」

 

「むぅ…」

 

気というのはやはり潜在能力に左右されるのだろうか?少し凹む…

 

「気による防御力と攻撃力のアップ辺りが無難なところだネ」

 

「わかりました!」

 

一通り技を見せてもらい、更に気の集め方や使い方を学んだ。

 

休んでいる間に気を感じる修行をしていただけあって。気を可視化するところまではスムーズに行ったが。問題は気の総量…打ち出すような技は目に見えて消費が激しいだろう。やはり肉体強化に重点を置くべきなのか…

 

稽古を終えて、俺はある森に入っていった。この森は俺が小さい頃から変わらず残っている森だ。あまり人気がないので修行にはもってこいの場所だった。

 

俺は川神院の門下生だが、川神院に住んでいるわけではない。つまりは技の練習出来る時間が限られているので、人気のないこの森は俺にとって都合が良かったのだ。

 

技の確認…我ながら熱心なことで。

 

気を集約、少し後ろにずらして包み…

拳を突き出す。木にぶつかると同時に気をスライドさせる様に打ち付ける!

 

ズドドン、ミシミシミシ、ズズン

 

俺が放った攻撃は真っ直ぐ、木の中心を抉るようにぶつかり、気による二撃目で木全体に振動を与えた。

 

ポッカリと大半が抉られた木は、支えを失い倒れた。

 

「モモ先輩みたいだ…」

 

圧倒的な威力に呆然と立ち尽くす俺から思わず出た言葉は、とても失礼なものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後

 

ケガから復帰した俺はクラスの奴らに囲まれていた。

 

「おい薫!お前大丈夫だったのか?不良に挑んだんだろ?」

 

「薫君、怪我はどうなの?」

 

「薫君!不良ってどんな奴らだったの!?」

 

「薫、不良全員ボコしたって本当か?」

 

「大和田さんを助けるためってのがまた熱い展開よね」

 

「な!?それは本当か!?薫!」

 

「だーーー!うるせぇよ!一遍に聞くな!そしていつ知りやがった!誰だ教えたのは!」

 

「いやな、お前が親不孝通りの廃ビルに入っていくのを見たんだよ」

 

俺としたことが、焦ってそこまで考えていなかったな。

 

「しかも、あの川神先輩がお前をおぶってるのを見たって話も聞いたし」

 

モモ先輩、少しは周りの目は気にしようよ…

 

「よっ!C組のヒーロー!」

 

突然クラスの一人がそう言った。

 

「おいやめろ!それ恥ずい」

 

「でもでも、女子一人のために不良に乗り込むってまさにヒーローだよね」

 

「憧れる〜〜」

 

「薫君って結構美形だから、こんなことされちゃったら誰でも落ちゃうよね」

 

その時教室に伊予が入ってきた。

 

「あ!大和田さんだおはよ〜」

 

「え?あ、おはよ」

 

いきなりクラスの奴に話しかけられて驚いているようだ。

 

「おう、伊予おはよ」

 

「あ、薫君おはよう」

 

「ん?どうしたお前ら?」

 

気づけば皆が俺と伊予を見ていた。

 

「薫君は今まで苗字で呼んでたのにどうして名前で呼んでるのかな?」

 

「あ、…」

 

「あ…///」

 

一人の女子に言われて気づいた。確かにいきなり呼び方が変わっていれば変に思うに決まっている。

 

「「どういうことなのかな?薫君?(大和田さん?)」」

 

「えっと…あの///」

 

「俺が頼んだんだよ。名前で呼んでもいいか?って」

 

大和田さんは言いづらそうにしてたので俺が適当に理由をつけた。

 

「へぇ~」

 

「何だよ?なんか文句あんのか?」

 

「いや案外普通だなとおもって」

 

「は〜いHR始まるよ、席ついて」

 

ちょうどいいところに担任が来て、クラスはいつもの状態に戻っていった。

 

「あの、薫君…」

 

席に着くと大和田さんが申し訳なさそうに話しかけてきた。

 

「気にするなって(笑)」

 

「ありがとう」

 

「ーーーだ。連絡事項は以上」

 

「起立、礼」

 

 

 

 

 

 

 

 

四時限目は席替えだった。まゆっちは真ん中の席で、何故か周囲を威圧していた。

 

まゆっちって不器用なのか?いや、それはコミュニケーションに限ってのことか。料理とか裁縫とかソツなくこなすし…

 

本当に残念なやつだな (笑)

 

昼休みにまゆっちに作ってもらった弁当をを食べた。

 

まゆっちの弁当はとても美味しかった。

 

「あ、やべぇ。体育着忘れた…」

 

次の授業の用意をしようと思い、鞄を漁ると体育着を忘れた事に気づいた。

 

5時限目は体育なので体育着は必須。これは借りるしかないな。

 

そう思い、俺はクラスを後にした。

 

「はい、これ」

 

「センキュー、今度なにか奢るよ」

 

無事に体育着を手に入れたのでクラスに入ろうとしたが、いきなり大和田さんが飛び出していった。

 

「まゆっち、大和田さんどうしたの?」

 

「うぅぅ、私が話しかけたら大声出して出ていってしまいました」

 

他の席の奴らを見ると一人がイヤホンを付けて野球中継を見ていた。

 

これはもしかするとアレか?七浜ベイの試合で熱くなってしまったパティーンか?

 

「……イヤホン付けてた?」

 

「え?あ、はい。付けてました」

 

携帯で今日の試合を調べると七浜ベイと千葉ロッチの試合だった。

 

ビンゴ!どうでもいいことにおいての俺の勘はピカイチだな!

 

「この件には触れないでおこう」

 

こんな時の俺は空気を読む男だ。

 

俺にまで知られてたら恥ずかしいだろうし。

 

そして時は放課後

 

俺はまゆっちと雑談していた。

 

「薫さん実は私、お友達が出来たんですよ!」

 

まゆっちはとても嬉しそうに言った。もちろんまゆっちの笑顔は好きなのだが、俺はまゆっちのテンパってる所も好きだったりする。そんなわけで弄る事にした。

 

「え?マジで?九十九神二つになったの?」

 

これからの質問?一つでも当たったらしばらくまゆっちに優しくしよう。

 

「ち、違いますよ!ちゃんとした人ですよ!」

 

「オラはオラ以外の九十九神は認めねぇんだ」

 

そうなると九十九二世は登場しないのか…

 

「わかった、いくら請求された?」

 

「詐欺師じゃないです!」

 

「まゆっちだってやれば出来るんだ!」

 

「妄想も程々にな」

 

「存在しています!思い込みじゃないですよ!」

 

「カオルン、まゆっちそろそろ泣くぜ?」

 

「で、その夢の続きは?」

 

「現実で起きたコトです!」

 

「うわー、まゆっちに止め差しに来たよこの人」

 

まゆっちがだんだん涙目になっていたのでここらでやめることにした。

 

「わかったわかった、誰だ?」

 

「えっと風間翔一さんと、川神百代さんと、川神一子さんと、直江大和さんと…」

 

「え?まさかの風間ファミリー?」

 

「え?あ、はい。薫さん知ってたんですか?」

 

「まあね、モモ先輩が俺に話してくれたことあるし」

 

直接の面識は無いが名前は知っていた。

 

「昨日は8人もお友達が増えて、お友達100人計画に大きく前進です!」

 

「あれ?風間ファミリーって7人だよな?一人増えた?」

 

「はい、2年F組のクリスティアーネ・フリードリヒさんです。ドイツからの留学生で新しくファミリーに入ったんです」

 

「上手くいってるのか?」

 

「はい!みなさんとてもお優しい人なので私には勿体ないくらいです」

 

ここで再び俺の心の中に悪魔が現れた。

 

「じゃあ俺にくれよ」

 

「え?それはどういう…」

 

「勿体ないんだろ?じゃあ俺にくれよ」

 

「ええと、それは言葉のあやというか私の大切なお友達なのであげることは出来ないというか…うぅぅすみません」

 

ナイス反応だよまゆっち

 

「アハハ、やっぱりまゆっちは弄ると面白いな」

 

「あれ?私、からかわれたのですか?」

 

キョトンとしたまゆっちは見ててとても面白い。

 

なんだろう、滑稽可愛いというか。まぁこの顔を見れて俺はとても満足だ。ホッコリする。

 

「カオルンよー。あんまりまゆっち弄りすぎると寛大なオラでもキレちまうってもんだぜー?」

 

「はいはい、んじゃそろそろ帰るかな。まゆっちは今日は金曜だしファミリーと集まるんだろ?」

 

モモ先輩も金曜は集まってると言っていたし。

 

「はい、金曜集会です。ではまた」

 

「あぁ、じゃあな」

 

帰り道

 

仲見世通りを通っていると、あるファミレスに大和田さんがいるのを見つけた。

 

イヤホンを付けて集中してるようなので、また中継を見ているのだとすぐにわかった。

 

そういえばクーポン券があったな。大和田さんと話しをするのも良いし、入るか。

 

「いらっしゃいませ」

 

バイトなのであろう。同年代ぐらいのウェイトレスが笑顔を振りまいていた。

 

大和田さんに近づこうとすると、逆側から不良らしき人達が歩いてきた。

 

そして不良達が大和田さんの横を通るときに事件は起こった。

 

野球中継に夢中だった大和田さんは、多分四番あたりが打ったのであろう。なんと先頭の不良の腹に裏拳を当てたのである。

 

つくづく不良と縁があるんだな大和田さん……

 

「おわっ!?」

 

「え?」

 

「いきなりなにしてくれんだオラ!」

 

「す、すみません」

 

「謝って済んだらオマワリ要らねぇんだよ!」

 

いや謝れば済む問題だろ。女子高生の裏拳くらい不良なら屁でもねぇだろ。

 

「いや、あの。私気づかなくて…」

 

「人と話す時はイヤホン外すのが礼儀だろーが!」

 

素行の悪そうな奴が礼儀語るとかマジウケる。……ぶフッ

 

「か、返してください」

 

「あん?野球中継?お前七浜ファンなの?」

 

「今日は勝てそうなんです!」

 

「あ?」

 

「きゃあっ!」

 

ガシャン!

 

大和田さんはリーダーらしき男に突き飛ばされた。

 

おいコラ、流石に器が小せぇんじゃねぇか?流石の俺も久々にキレっぞ?

 

「まぁいいや。オメェちょっと付き合えよ。結構好みのタイプなんだぜ?」

 

「や…ごめんなさい……い、いやっ」

 

はいきました。奴さんブッコロですね。俺キレちまったわ…

 

俺は不良との間を瞬く間に埋めて、リーダーらしき男の顔面に掌底を叩き込んだ。

 

「不良如きが俺の友人に手ェ出してんじゃねぇぞオラァ!」

 

静まり返ったファミレスには、俺の声が響いていた。




最初に出てきた拳と気の2連打は、ほぼトリコの釘パンチと思ってください。違いは2連打目が気の拳ということです。

気については、NARUTOのチャクラのようなものだとお考えください。アレって実体を作れますよね。NARUTOの尾獣チャクラモードを思い出して頂ければ分かり易いと思います。

まぁ、ものを掴んだりするのは無理ですが、衝撃を与えることができます。

私的に、この作品の気は攻撃用の外気功と回復用の内気功という2つの気があると思ってください。まぁ、原作でもそうかもしれませんが…

内気功は実体がなく、外気功が実態があります。主人公は外気功を使って木を倒しています。

次回もよろしくです
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