「もう大丈夫だ。ありがとな、紀伊姉。」
紀伊「どういたしまして。でもあんなに泣いたのは久しぶりだね。
最近は全然弱いところ見せてなかったから。」
「いや、ここの提督になって、さらにはトラウマのある艦娘と関わるからな。
気持ちを強く持っておかないと。」
紀伊「でも、無理はしないでよ。したら本気で怒るから。」
「分かった。無理はしないよ。それよりもご飯食べようか。」
紀伊「そうだね~。お腹すいたし。」
「「きただきまーす!!」」
(どれどれ、初めて食べる間宮さんの料理は~、うまっ!!ヤバイ、
気を抜けば食べ過ぎて仕舞いそうなくらいうまい。良いな~。俺も
これぐらいの料理を作れるようになりたいな。)
紀伊「オビトくんは初めてだっけ?間宮さんの料理。」
「ああ、初めて食べたけど、こんなに美味しかったとは。前任は
なんで食べなかったんだろうな。」
コンコン
「どうぞ~。入って~。」
大井「あたしたちのために死んでもらいます!!」
「どわっ!!?」
(危ない、急に魚雷、しかも五連装酸素魚雷うつやつがどこにおる!?
あ、ここにいたわ。しっかし、威力スゲエな。執務室の壁に大穴が。)
大井「チッ!!」
(舌打ちをするでない。提督が嫌いなことは知ってるがこんなに露骨に
嫌われるとなると、精神に来るな。アレを思い出す。)
紀伊「ちょっと、危ないじゃない!!」
大井「黙りなさい!裏切り者!!!お前も死ねば良いのよ!!」
紀伊「っ!!?」
「ハァ、とりあえず、用が済んだなら」
武蔵「これで終わるわけが無いだろう!!」
「分かってるよ。で?お前たちは何かを聞きたそうだが?用はなんだ?」
神通「あなたのあのときの姿を知りたいのです。教えてくれますよね?」
紀伊「提督・・・。」
紀伊(いいの?)
「分かった。説明するわ。俺が昔、人間にも艦娘にも嫌われてたことは
知ってるか?」
大井「知らないし、興味が無いわ。それより艤装を着けてる理由を話なさい。」
「俺は今から10年前、7才のときに人間によって改造された。記事にあるはずだ。
残虐、人でなしの声があがった少年改造事件だ。俺はそれの生き残りだな。」
川内「それが艤装とどう関係あるの?」
「それならまず、あの改造事件の動機だが、女性よりも力強い男性にしたほうが
効率が良いのでは?と言うことになり、艦の魂を適合者でも無い少年から青年に
無理やり入れたんだよ。それで適合出来なかった子は死んだ。中には5才の子もいた。」
オビト以外「・・・・・・・・・・・・。」
「あのときなぜ俺だけが助かったのか、なぜ5才の子が死ななきゃいけなかったのか。
この時ほど人間を恨んだことはなかった。とまあ、事件はこんな感じだ。次に俺の
髪が白くなり、目が深紅だっただろ。あれは深海凄艦化していたんだ。」
大井「深海凄艦化?そんなことがあるはずがないわよ。」
紀伊「それがあるのよね。皆は深海王妃って知ってる?」
武蔵「知らないな。誰なんだそれは。」
紀伊「世界最悪の深海凄艦と言われた。王妃が沈めた艦娘の数は総勢1000人以上。
ぶっちゃけるとね、それ、私なんだ。私はあのとき沈んだ。気がついたら
他の艦娘を沈めていた。不思議と抵抗は無かったわ。まるでそれが生き甲斐
という感じだった。艦娘が沈めば深海凄艦になるっていう説は本当なのよ。」
那智「私たちが聞いてるのはそうではない。なぜそこのガキが深海凄艦化したのか
ということだ。」
「深海凄艦の念はほとんどが怨念、未練、恨み、妬みなど、負の感情で出来ている。
つまり艦の魂を宿して、恨みなどの負の感情が強力になれば最悪の場合、沈んでないのに
深海凄艦化することがある。俺がそのパターンだ。」
妙高「でも嫌われるだけではそんなことには」
「嫌われるだけでは・・・な。俺は嫌われるだけではなかった。家族にまで風評被害が
およんだ。妹はバカにされ虐められた。兄は成績が良いのに高校で落ちた。姉は仕事を
クビになり、母は周りの大人から精神的に攻撃を受けた。父は社長の座を落とされた。
つまり、俺のせいで、俺のせいで家族の皆が不幸になった。」
(このことは言っても良いのだろうか。これ以上話すと家族の名誉が。)
加賀「続きはないのですか?」
「いや、まだある。(もういいや、話しちゃえ。)こんな目にあったら人は原因を探す。
それが普通だ。もちろん俺が原因を作ったとされた。そしてとうとう家族からも
追い出された。その他にも色んなことがあった。艦娘を助ければ砲撃され、陸に
上がることも許されず、2~3年、海の上で生活した。そして今までの恨みが爆発した。
そして深海凄艦となったと言うわけだ。」
大井「それで、私たちから同情を得るつもり?」
「信じたくないなら信じなくていい。事実を言ったが信じるのはお前らの自由だからな。
他に用事はあるか?ないなら帰ってくれて良い。もう同じ部屋に痛くないんじゃないか?」
武蔵「貴様には姉を失う辛さがわかるのか?」
「分からないね。失ったことがないから。」
大井「私たちは目の前で姉妹を失ったわ。それな気持ちも分からない奴が私たちに
信用してもらうなんて不可能よ。」
「そうだな。否定できないよ。目の前で失ったことがないから。じゃあ、逆に聞こう。
お前らは実の兄弟、姉妹に捨てられる気持ちが分かるか?親に追い出される気持ちが
分かるか?分かりやすく言おう。武蔵、お前は大和に捨てられたか?大井、お前は北上に
捨てられたか?川内、神通、お前らは那珂に捨てられたか?妙高、那智、お前らは
足柄と羽黒に捨てられたか?」
オビト、紀伊以外「・・・・・・。」
「無言は肯定とするぞ。つまりはそう言うことだ。形はどんなものにしろ、家族を
失ったことにかわりはない。だから俺がお前たちを支える何番目でもいい。家族に
なりたかった。ただ、無理強いはしないさ。さてと、話は終わりかな。」
大井「失礼しました。」
そういって大井たちは出ていった。
(やっぱりそう簡単にいくわけないか。じゃあ、どうする?どうやって仲良くなる?)
長門「提督!!大変だ!!」
「なんだ!?何があった。」
長門「前任の野郎が脱獄したらしい。」
「何だって!!?やっぱりあのときに消すべきだったか。まってろ!
すぐに大本営と相談する。」
長門「分かった。頼んだぞ!」
「任しとけ。次こそはお前らの悪夢に終止符をうってやるよ!!」
こうしてまた、一つの歯車が作動する。
どうも、常闇です。今回で九話目!!ってこのテンション八話でも
やった気が・・・。それはともかく、前任が脱獄した!オビトたちは
どうするのか?それでは次回もお楽しみに!