「どこへいっていたのかしら、フリーザ」
ガラクのサラマンダーを返り討ちにしたフリーザは、二人が泊まっている宿屋へと戻ってきた。時刻はすでに日付が変わりシェラはすでに部屋に一つだけのベッドで熟睡していた。
「ただの夜のお散歩ですよ。レムさん」
「先ほど何度か広場の方から大きな音が聞こえてきましたが何かありましたか」
「少し、セレスさんの付き人のガラクさんと遊んでいただけですよ」
フリーザがあっさりガラクと戦ったことを認めたことにレムは驚く。食事に夢中であったシェラはともかく、フリーザとガラクのひと悶着を見て、今後何か二人が問題を起こすとレムとセレスは感じていた。その日の夜にまたひと悶着起こすとはさすがのレムやセレスも想定外であったが。
「ところで、レムさん一つ聞いておきたいことがあるのですが」
ガラクの事などすでに眼中にないフリーザはレムに尋ねた。
「何ですか」
ガラクとの外での出来事を追及したかったレムであったが、フリーザの質問に答えることにするが
「あなたの体から感じるあなた自身の魔力とは別の禍々しいエネルギーの正体は何ですか」
レムと星降りの塔で出会った時から感じていたレムの体内から発せられる莫大な気の正体についてフリーザは気になっていた。これまではこの転移してきたこの世界についての把握を優先していたため、このタイミングとなった。
「……何の事ですか」
フリーザの問いにレムが表情は険しくなる。レムの様子の変化もおかまいなくフリーザは問いづづける。
「とぼけてはいけませんよ。昼間のあなたに対するセレスさんの態度とあなたとのやり取りを見て直観しました。あなたには特別な力を持っていると」
レムとセレスとの並々ならぬやりとりはフリーザにも看過することはできなかった。
「……」
フリーザから視線を逸らし、レムは黙り込む。
「私の質問に答えなさい、このフリーザに隠し事はできませんよ」
フリーザは威圧的にレムに言った。しかしレムはかたくなに何も語ろうとしなかった。
「……いいたくありません。語ればあなたも私からきっと離れてしまう」
「仕方ありません……それでは、話したくなるようになってもらうしかありませんね」
フリーザは拷問中抵抗できないようにレムに向かってサイコキネシスで動きを止めた。
「体が動かない、いったい何をしたの」
レムは必死に体を動かそうと抗うが、悟空やジレンの動きでさえ一時的に止めてしまうフリーザの強力なサイコキネシスの前で、レムは指一本動かすことが出来なかった。
「ご安心を、ただの超能力です」
レムの動きを完全に止めたフリーザは、レムへの拷問を考え始める。
(さて、どうレムさんの口を割らせますか。痛めつけて秘密を吐かせるのも芸がありませんし)
その時、フリーザの視界にレムの獣耳と尻尾が目に止まった。
(確か、獣人タイプの宇宙人は獣耳と尻尾が敏感と聞いた事がありますね)
帝王として数多くの星々、民族を支配したフリーザは、力だけでなく知識においても宇宙でも有数の博識であった。
フリーザは、レムの右耳をつかみやさしく弄りまわす。フリーザの行動にレムは我慢できず、喘ぎ声をあげぐっとフリーザが行う拷問に対して耐えていた。
(想像以上のもふもふ感これはくせになります)
「私の見立て通り、痛めつけるよりこのように責めたほうがあなたには効果的なようですね」
フリーザのいっこうに終わる気配のない責めにレムはか弱い声でやめるように懇願するが、フリーザはまだレムが口を割らないと判断し拷問を続ける。
(ドドリアさんと違ってチクチクごつごつしてなくていい…ドドリアさんの体触ったことないのですがね)
ナメック星で死んだかつての忠臣の事をなぜか思い出すが、すぐにもふもふ感が再びドドリアを記憶の彼方に戻していった。
初めてのもふもふ、ふさふさ体験に思わず熱中してしまうフリーザ。フリーザの圧倒的拷問術に耐えるレム。拷問は永遠に続くかと思われたが、
三分後
フリーザのもふもふ責めの拷問(?)を受けたレムは、顔が上気し頬は赤く染まり、恍惚とした表情をしていた。フリーザのもふもふ責めにより全身の力が脱力しソファーに横たわっていた。
「そろそろお話する気になりましたか」
一通り拷問を行ったフリーザは、目の前で横たわるレムを見下ろし言った。すでにフリーザのサイコキネシスをレムから解除している。
「フリーザ……あなたは受け止めてくれるというのですか…何があっても、真実を知っても私の前から逃げないと言ってくれるのですか」
「ホーホッホッホッ、どんな事情があってもこの宇宙の帝王フリーザが粉砕してあげますよ」
高笑いを上げながらフリーザはレムに宣言する。
「なぜ、あなたはそこまで私に」
「至極簡単なことですよ。私の力によってあなたたち二人に隷従の首輪が付き私の奴隷をなったのですね」
「ええ」
レムは頷く。
「つまり、あなたたちは私の所有物であり、部下です」
「私はあなたの所有物で部下ですか」
「そうです。私の部下となったからには、それに手を出したものには誰であろうと私が代わって制裁して差し上げますよ」
「あなたは変わった人ですね」
「それとこの私が守って差し上げるからには、それに見合った労働をあなたたち二人に求めますが」
フリーザの態度や言動にレムは、これまで一人で抱えてきた問題を目の前にいる人なら打ち明けてもいいのではないかと思い始めていた。このフリーザなら今の私を救ってくれる存在になりえるではと。
「私の体の中には魔王クレブスクルムの魂が封じられているのです」
覚悟を決めたレムはフリーザに家族やセレス以外に魔王クレブスクルムの事を久々に話すこととなった。
「魔王クレブスクルムとは」
フリーザはまず魔王クレブスクルムについて質問した。
「私の冒険者としての最終目標は、私の体の中にいる魔王クレブスクルムを倒し、二度と復活しないよう魂を消滅させることなのです」
フリーザはレムの自身に封じられている魔王への使命や覚悟を感じ取った。
「なるほど、あなたの境遇や魔王クレブスクルムについてはわかりました。レムさん、あなたの中にいる魔王とやらに興味を持ちました」
「えっ」
自分の体に魔王がいることを知り、自分から逃げたりするのではなく興味を持ったといったフリーザにレムは驚いた。こんな反応をしたのはフリーザが初めてであった。
「安心してください。このフリーザが私があなたの中にいるクレブスクルムを倒してご覧にいれましょう」
高らかに魔王討伐を宣言するフリーザ
「なぜ、」
「簡単な事です。あなたの体内から感じる気の持ち主の姿が見たくなったのと、私をこの世界に召喚する原因となった存在に私の圧倒的力を見せつけて絶望させてやろうと思いましてね。何百年ぶりに復活し力を取り戻した瞬間に宇宙一の力を持つ私の力でね」
「本当にできるのですか」
フリーザが強いことはレム今日一日の出来事で分かっていたが、魔王クレブスクルムを倒せる程の力を持っているとは思えなかった。そんな心境のレムをフリーザは見透かしある行動に移った。
「まずは、あなたに私の力を知ってもらうために、少し、場所を変えましょうか」
突如レムはフリーザに腕をつかまれた。そして、
ファルトラ郊外
「今の一瞬でここまで移動するなんて」
ほんの一瞬、フリーザに腕をつかまれ、瞬きをした瞬間先ほどまでにいた宿屋の部屋から、昼間三人で歩いていたファルトラ郊外の平原にレムとフリーザは移動していた。突然の環境の変化にレムは、動揺するが、この現象をフリーザの仕業だと確信した。
「大したことはありませんよ。ただの高速移動とサイコキネシスの応用です。サイヤ人が使う瞬間移動程ではありませんが」
「いったいここで何をするのですか」
フリーザの言葉にあったサイヤ人や瞬間移動という見慣れぬ単語も気になったが、フリーザがここに自分を連れてきた理由を真っ先に尋ねた。
「簡単なことです、私の真の力をあなたにお見せしようと思いまして」
両腕を大きく横に広げフリーザは言った。その表情には自身の持つ力への絶対的自身が現れていた。
「フリーザの……真の力……」
「私はこの姿からあと四回変身することできまして、今の力とは比べ物にならない程のパワーアップをすることができます」
フリーザの言葉に息をのむレム。フリーザと出会ってまだ一日も経過していなかったが、これまでの彼の言動や先ほどのガラクとの戦闘の事、今いる場所への高速移動などからフリーザが嘘やはったりを言っているとは思えなかった。
「レムさん、光栄に思いなさいめったに見られるものではありませんよ」
はああっという掛け声とともに力を込めはじめ、フリーザの体に変化が起き始める。身長は先ほどの倍以上に伸び、体つきも一回りも二回りも太くなった。
「これが私の第二形態です。戦闘力は軽く先ほどの倍以上はありますのであまり私に近づかないように」
ナメック星のときとは異なり、口調が第一形態や最終形態と同じ話し方をするフリーザ。復活後の修行によって第二、第三形態においても平常心を保つ事に成功しさらなる力の向上とコントロールの上達に繋がった。
「あっあっあっ……フリーザからこれほどの魔力が……私やクレブスクルムの魔力とは次元が、次元が違いすぎます」
フリーザの圧倒的な力の前に、レムは立つのが精一杯であった。少しでも気を抜けばフリーザから溢れ出る闘気によって意識は持っていかれることになるだろう。
「これくらいで驚いていては、きりがありませんよ。私の真の力はまだまだこの程度ではありません」
フリーザはレムの反応に満足げな表情な取りつつ、第三形態への変身に取り掛かる。更に力を高まる
その夜、レムは異世界であるこの第十八宇宙の人間でフリーザの本気の力を見た人間となった。
かつて、第七宇宙最強の力を持って恐れられた帝王の力を。神の力と伝説の力を合わせ持った宿敵や破壊の神をも超える別宇宙の超人を倒すために使った黄金の力をレムはその目で焼き付けるのことになった。
そして、その力はるか遠く第十八宇宙の破壊神の星の元と第十八宇宙へ向かっているビルス達にまで届いたのであった。