夕刻、気温も下がり、陽が落ちきる前に燕都に帰ろうと早足での移動中。
「すいません、ちょっと待ってください」
「どうしたの
「いえ、なにか聞こえたというか、違和感というか……」
「
「おう、ちょっとお静かに、〈ディゾナンスソナー〉!」
コーンと青い音の波がチューバから周囲に広がっていく。
ソナーの名の通り周囲の生物を探知する特技だが、壁や障害物の陰にいてもそれを透過して探知する。
探査範囲はかなり広い。ダンジョン内の敵モンスターの待ち伏せを察知したり、隠し通路を発見したり、斥候用としてデザインされている。
カンカン、カンカンカン、カン。
「後ろから向かって来るのが2人、その後ろから更に3人、いや4人か? たぶんプレイヤーだ。近付いてきてる」
追ってきている、と見るべきだろう。
「戦闘準備」
「6対3だとまず勝ち目ないよ、
「逃げるに決まってるでしょ。でもちょっと顔ぐらい見てもいいじゃない。索峰、もう一度探査。貂ちゃんは逃走装備に変更」
そう言いながらも、崔花翠は瞬間火力重視の装備に切り替えている。
索峰は再び〈ディゾナンスソナー〉を撃った。相手に発見されたと気づかれない特技であり、いたずらにヘイトを稼がない良いスキルである。
カンカン、カンカンカンカン。
やはり、反応は6。
雷の音が断続的に聞こえた。空は雨が降るような空ではなく、黒い雲もない。
「戦闘っぽいな。自分たち狙いじゃないのか?」
「索峰、距離はまだある?」
「ある。貂ちゃんのファインプレー」
相手がこちらに気付いていないにしても、変に巻き込まれる前に戦闘態勢に入れたことは僥倖。
「貂ちゃんの面倒お願い。あたしちょっと木登って直接見てみるわ」
言うが早いか、崔花翠は近くで一番高い木を見つけると、スルスルと登り始めた。
自然と共に生きるエルフを種族とする崔花翠にとって、森や木に対する造詣の深さは全種族の中で群を抜く。また〈ディープウッドスカウト〉という種族ボーナスがあり、偵察眼も優れている。
「追っ手の方向は?」
「北東!」
目のあたりを擦っているのが見えた。なんらかの視力補助の目薬を使ったのかもしれない。
索峰は再び音による探査を行なった。距離は縮まったが、数は変化していない。
「索峰、貂ちゃん、見つけた!」
樹上から声が降ってきて、そちらを見ればもう崔花翠は飛び降りている。
「女の子が追われてる! 助けに行くわよ! たぶん貂ちゃんぐらいの背丈の女の子!」
「はぁ!?」
声が裏返った。
「先に行くわよ! 急がないと保ちそうにない!」
「え、ちょっと翠姐さん!?」
樹を降りたと思ったら再び深い藪に飛び込んでいく。道などあろうはずもない。
置いて行かれた2人にとっては唖然とするしかない。
エルフではないのだから、藪の中を疾走なんてことは真似できないのだ。
「索峰さん、道案内お願いします、追いましょう!」
小マップ表示がなくなり、俯瞰した位置から道を選ぶことはできない。
しかし〈ディゾナンスソナー〉はそれに代わる。隠し通路を見つけることの応用だ。
「最短じゃないかもしれないけどゴメンな!」
再びソナーを使用する。崔花翠は迷いなく道無き道を突っ走っているようで、既にだいぶ離れている。
〈冒険者〉の移動速度は早い。戦闘を介さずに急げば先回りできるかもしれない。
***
枝を掴み、幹を蹴り、藪を払い、一陣の緑風となってあたしは木々を飛び移りながら戦闘と思われる方向へ突き進んでいた。
びっくりすることに体が勝手に木を走る術を身につけていた。
なんとなく掴むべき枝や幹がわかり、足の置き場もわかる。
上昇した身体能力で得た速度をそれほど落とすこともなく、薄ぼんやりとした空中通路のような場所に体を滑り込ませる。
暗い藪を抜け周囲を見回す。
裏道から大通りに出た格好で、戦闘を行うにはもってこいといった長さと幅のある空間が木立と藪の間に広がっている。
左に人の集団が見えて、その奥に追われていると思わしき少女がいた。
そちらに走り寄りながら、追っ手側の職業を予想する。
追われている子に一番近いのは着流しに長刀一振り、おそらく〈
その後ろの皮鎧の小剣持ちは〈
そこからやや後ろに魔法系の職が2名。片方はなにか本を持っている。本持ちは〈
こちらにはまだ気づかれていない。
必要なのはまず後衛への〈
両手に持つ片手斧が青白い軌跡を残す。〈シャープブレイド〉の起動。
余計にヘイトを稼ぐ代わりに、命中率とクリティカル率を上げる。重い武器扱いの片手斧が軽くなる。
加えて〈ダンスマカブル〉。次の攻撃の威力を大きく伸ばす。準備は整った。
相手の後衛の背後へ気配を絶って移動する。
逃げる女の子を嬲るように追っているのか、後ろにはまるで注意が向けられていない。
次に使う特技は決めてある。しっかり当てられるか。
追っ手を挟んで、後ろを見ながら戦っている女の子が最初に気付いた。
目が合った。怯えたような目だった。更なる追っ手と思ったのかもしれない。
あたしの狙いは、最後尾の〈道士〉ではない布鎧の魔法職。
「くらいなさい!〈エンドオブアクト〉!」
滑るような動きで懐に潜り込むと、とにかく両手の斧を縦横無尽に振り回した。
びっくりするほどあっさりと、的確な位置に足を踏み込ませていた。
驚愕の表情が貼りついた魔法職の男を見て、不思議なことに笑みが出た。
「お仕置きよ」
目にも止まらぬ速さで振りまくられる2挺斧を、青の軌跡と黄金色の粒子が追随する。その中に、赤いクリティカルエフェクトが混じる。
後衛職への完全で完璧な奇襲の強襲。
攻撃反応回復が数回あったが手数で貫通させHPを削り切る。
一言も発させることなく魔法職の男は崩れ落ちた。
「助けに来たわよっ!」
「なんだぁ!?」
そのまま〈道士〉も片付けようとしたが、聞き慣れた〈ターキーターゲット〉という言葉が強制的に視線と体を中央に向けさせた。同じ〈盗剣士〉だったようだ。
奇襲にも関わらず、反応が早い。
「遊び止めるぞ! 先に弱ってる方潰せ! 〈アーリースラスト〉!」
その〈盗剣士〉が出の早い突きでこちらを牽制しながら指示を出す。
右の脇腹、肝臓の真上辺りに、ターゲットマーカーをつけられた。リーダーでもあるらしい。
「〈ヴァイパーストラッシュ〉!」
「〈ユニコーンジャンプ〉!」
続いてきた曲がる突きは大跳躍で回避、同時に〈盗剣士〉と〈侠客〉2人をまとめて跳び越え、追われていた女の子の前に立つ。
即座にあたしも侠客にヘイト集中スキルの〈ディスカード〉を投げつけ、ヘイトをこちらへ向けさせる。
「え? え?」
事態の急変に、女の子は状況を飲み込めていない。傍に角のある大きな黒馬がいた。
ほぼ確実に〈
召喚獣ともどもHPは3割も残っていない。まともな攻撃を受けたらそのまま力尽きかねない。
「たぶん味方よ! とりあえず向こう逃げて!」
「逃すな! 魔法で片づけろ!」
「え、え、え、ええ?」
しかし女の子が動かない。頭が真っ白になっているようだ。
黒馬のほうが聞き分けがよく、襟元を噛んで持ち上げ、連れ去った。
「あんたらの相手はあたしだ!」
「構うな! ヘイト固定しておけばそれでいい!」
「ちょっと黙ってなさい〈トマホークブーメラン〉!」
めまぐるしく手が動く。2挺斧が手を離れ相手の盗剣士へ高速で飛んでいく。その軌道は道士をも巻き込む。
「〈侠客虎眼〉!」
「〈オーブオブラーヴァ〉!」
今度は侠客に視線を固定される。更なるヘイト固定技。加えて道士はトマホークブーメランを避けながらあたしではなく女の子の方へ向かって魔法も放っている。武器はまだ戻ってくる途中。
バックステップで女の子の前に立ちはだかる。
HPを犠牲に火球を受けた。エルフは種族ボーナスで魔法攻撃に対する耐性が高い。
「熱いじゃないの!」
「おいあんま魔法効かねーぞこいつ!」
「す、すいません!」
「新手の女は武器攻撃で沈める! 元から追ってた方は魔法で撃ち抜け!」
判断に迷いがない。どうあっても道士は狙わせないつもりのようだ。
そして目の前2人を相手取って追撃も防ぐ、というのはほぼ不可能。
本来のメイン斧を街に置いてきてしまったのが痛い。
後衛職ならば大技の組み合わせで落とせても、前衛職2人を相手取るには威力が心もとない。
HPもMPも十分残っている。索峰たちが来るまで生き延びる、というのであればまだ色々思いつく。
しかし、こと護衛となると、単独で取れる策が残り少ない。
最初に奇襲で撃破したプレイヤーには反応回復が付与されていた。鎧ではなくローブだったので、おそらく私が撃破したのは回復優先型の〈施療神官〉だ。
回復役が不在になり新手の気配もないので、デバフを付与すれば簡単には解除できないだろう。
「とにかく逃げて! 援軍来るから!」
逃げる女の子にパーティ勧誘を飛ばしながら、ひとつ賭けを打った。
パーティに入ってくれれば、援軍の事実は女の子にはわかる。
一方で、相手取っている〈侠客〉らには、退く選択も発生させられる。
「あの〈召喚術師〉だけでも狩るぞ!」
よろしくない目を引いた。これで相手が短期決戦に舵を切る。
時間を稼ぎたいこちらには困る。更に選択肢が狭まった。
「クイックーー」
「〈レイザーエッジ〉」
判断が遅れた。女の子を追いかけようと移動特技を使用する前に、喉元に小剣が伸びてきて衝撃を受けた。
スキル詠唱阻害のデバフ。防御力ダウンも付与された。PK狙いにおいて、これが決まったら次は、
「〈ワールウィンド〉!」
剣を振り回す強攻撃。一刀流〈盗剣士〉の黄金パターンのひとつ。
「〈炎陣輪刀〉!」
合わせるように炎を宿らせた長剣による連続薙ぎ払い。多少斧でいなしたが一気に4割ほどHPを持っていかれる。
ここで詠唱阻害が切れる。〈レイザーエッジ〉はこれ単体でのハメ防止のために詠唱阻害効果の時間は
「〈クイックステップ〉!」
今度こそ移動系特技で距離を離す。ヘイトを固定されようとも逃げるだけなら可能だ。
もっともその距離は〈盗剣士〉同士では無いも同然な、ほんの短い距離ではある。
その距離が大事なのだ。
「〈フラッシングドロウ〉!」
手元の斧を瞬時に飛刀に持ち変える。
閃光と共に〈製作級〉の使い捨て飛刀が3本〈侠客〉に突き立つ。付与効果は移動速度低下。これで〈侠客〉からは逃げられる。
しかし〈侠客〉に残っていた反応回復が起動し、僅かばかり与えたダメージは移動速度低下を残して全快に戻る。
その隙に〈盗剣士〉は再び肉薄してくる。
「解除はさせねえからな〈オープニングギャンビット〉!」
突きのモーションから無数に放たれる光るカード。同時に大量のターゲットマーカーが体に貼りつく。
一撃の重い〈侠客〉から大きな攻撃を受ければHPは保たない。〈盗剣士〉にマーカーを起爆されても厳しい。
「全部は貰わないわよ〈フラッシングドロウ〉!」
ランク奥伝。加えて装備による補正で再使用規制時間は3秒まで短縮されている。
出は早いがモーションが長い〈オープニングギャンビット〉、その間は動けない。
取り出したのは〈秘宝級〉の〈破壁
腕輪の紐を爪で千切り、卓球玉と同じぐらいの黒い玉を、最大の使用個数10個をまとめて投げつける。
とっておきではあるが、与えられるダメージはほとんどない。
大元の効果は使用回数の自動回復と、命中した相手の攻撃反応回復や攻撃反応障壁を消却し、防御力ダウンを与える、コンボの途中で組み込むことを主とした効果。
「うぉおぉお!?」
至近距離で7つほどを体に受けた〈盗剣士〉が、ガラスが割れるようなエフェクトと共に弾かれたように後退していく。
〈侠客〉の方へ飛んだ玄珠は長剣で弾き落とされたが、これもまたズルズルと押し込む。
索峰のサブ職業を経て特殊効果が追加付与され、「
当てた方向とは逆方向へ、ゲーム時代は1個あたり5歩分、こちらの世界では1個当てるごとに約3メートルほど移動させる。
本来は棍棒やハンマーといった重量級の打撃武器系に吹き飛ばしという形で付与されていることが多い効果。
強制的に相手と距離を離せると同時に、使いようによっては罠に放り込むこともできる。
距離が離れることで、若干のヘイト減少も起きる。
「〈マルチプルデッツ〉!」
まだ動かされている〈盗剣士〉に習熟度奥伝の投擲攻撃による追撃。
相手に付与されているデバフの効果時間を延長する、投擲武器をメインとする投擲職人にとってはメインとすらもいえるスキルで、卑怯者の誹りを受けるそれ。
投げつけるのは使い捨て行動速度低下付き飛刀。命中すると命中した武器の効果すらも延長する。
こちらに向かってくる〈侠客〉にも投げつけ、更に移動速度低下を延長。
「いい加減にしやがれこの女! 〈砂塵斬尖〉!」
「おおっと」
〈侠客〉の中距離攻撃が飛んで来たが、やみくもな攻撃に回避低下も無しに当たるあたしではない。
〈シャープブレイド〉を解除し、〈ジャグラー・スタイル〉に切り替える。両腕が薄っすらと赤く発光し始める。
投擲武器の弾速と命中率の向上と威力にボーナス、投擲系特技の再使用規制時間の短縮を得るが、発動中は一切の白兵武器及び直接攻撃系特技が使用不可能になる。投擲職人専用の起動選択型特技。
こうなれば、引き撃ち万歳。あたしのペース。
〈マルチプルデッツ〉も連射できるようになり、もう〈盗剣士〉も〈侠客〉も近づけさせない。
不意に足元が冷えた。身を捻った。
「〈凍結氷槍〉!」
「くぅあ!」
足元から大きな氷塊が突き出す。〈道士〉の存在を完全に忘れていた。
体を捻って背面で受けたので、体の前面に張り付いた追加ダメージのターゲットマーカーの一斉起爆は避けたが、それでもいくつかが起爆し、また一気にHPを削られる。
もうHPは全体の2割を切った。更に移動速度低下のデバフをあたしも受けた。
いつの間にか追われていた女の子がパーティに加入している。
そしてまだ生きている。逃げ足は相当なものだ。
〈道士〉へ目を向けるが投擲射程外。
詠唱時間は必要になるが範囲魔法攻撃が来たら逃げ切れないしHPは尽きるだろう。
魔法陣を展開させる〈道士〉を睨みつけながら、避けられるかもしれないと淡い望みを抱いて移動する。
万事窮した。
1人でよく耐えた、と言えるだろう。
あとで
なんてことを思っていると、角のついた黒馬のようなものが詠唱中の〈道士〉を突き飛ばし踏み潰していった。
***
移動中に繰り返し音波探査を行なった
〈ディゾナンスソナー〉を何度も使用しているうちに、プレイヤーとそうでないものがなんとなく聞き分けられることに気づいたそう。
プレイヤーではないものが加勢して戦っている様子から、召喚生物であろうと判断していた。
そして翠姐さんが1人倒したということも、索峰さんは伝えてきた。
「
「戦闘前ならバフ盛れるから、たぶんバフ重ねて強襲だと思う。防御薄い職業なら1人ぐらい倒せるかもしれない」
問題はその後だ、と索峰さんが続ける。
森の中の迷路のような獣道を、
ばしばしと枝や葉が当たるのが非常に鬱陶しい。
「あ、今パーティに1人入りました。名前は……王燁。〈召喚術師〉ですね」
「レベルも90、逃走できてるのも納得いくかな。召喚生物でターゲット分散するし、足止めにはもってこいだ。だけどなあ……」
「どうかしたんですか?」
「追っ手側は4人組が濃厚で、〈召喚術師〉だとしても1人を狙うには数は十分すぎる。
そもそも逃さないってことも可能なはず。なのに逃げられて、翠姐が間に合っちゃってる。襲い方が下手だなと」
もう陽は沈み、森はかなり暗くなっている。光虫を召喚する〈バグズライト〉による照明の用意は索峰さんに却下された。
明かりもないので、かなり足元への注意を振り向けながら、仄かに輝いて先導する巨大な狐尾を追いかけている。
「たぶんもうそろそろ合流。気を引き締めて」
「はい。まず単純ヒールを残りHP低い方にかけて、続けて全体に最強の脈動回復、重複する脈動回復、その後にデバフ解除、ですよね」
「オッケー、HP高い方はこっちで受け持って庇う。手筈通りに」
目の前が開ける。木立の間にちょっとした広場のようなものがあった。
「右、いるね」
「HPは、翠姐さんの方が低いです」
「了解、〈ファイナルストライク〉!」
索峰さんが一拍立ち止まるとここ数日振り回していたチューバを肩に担ぎ、左足を抱え込むように持ち上げ上体を捻ると、大きく踏み込んで、投げた。
「ちょ!?」
何度か見たことはある
威力の代償として装備している武器の耐久度がゼロに落ちゴミ同然となる。
流星の如く煌めく軌道を残して飛んでいくチューバは翠姐さんを飛び越え長剣を持った戦士に向かっていったが、当たらず手前の地面に落ちて、派手に火花を撒き散らし爆発した。
「翠姐! こっち!」
援軍が到着と敵味方に知らせるには、これ以上ないほどの効果があったようだ。
「術師の子! 今の味方だから! そっちへ!」
「は、はぃい!」
翠姐さんは後ろを顧みず一目散に逃げ始め、手招きで召喚術師の子も呼んでいる。
索峰さんは既に武器を魔法弓に変更し、矢を射かけ始めている。
私は翠姐さんに〈ヒール〉を投じ、〈ガイアビートヒーリング〉の詠唱を始める。
「おーい、兄さんたち、一応数は逆転したけどー? 逃げるなら追わないけど、どうするー?」
郭貂麟は呪文を詠唱しながら、目を集中させ相手のHPを探す。
〈
こちらは無傷の私と索峰さん、回復を受けてHP4割の翠姐さん、HP2割5分ほどの〈召喚術師〉の子、それに寄り添う角のある大きな黒馬がHP2割ちょっと。
数の上でも職業編成の上でも、私たちが明確に有利となった。
私さえ生き延びていれば、こちらはいくらでも持久戦可能。
回復職のいない向こうは、なりふり構わず攻撃すれば誰か落とせるかもしれないがHPが擦り切れる。
召喚獣を含めこちら全員に〈ガイアビートヒーリング〉の脈動回復を付与完了。
続けて〈ハートビートヒーリング〉でさらなる脈動回復の追加にかかる。
「別にあたしは戦ってもいいわよー? 〈のろまなカタツムリのバラッド〉と〈シュリーカーエコー〉とデッツで徹底的にハメ倒すけどねー!」
鈍足効果付与の索峰さんの呪歌〈のろまなカタツムリのバラッド〉、その状態異常を延長する〈マルチプルデッツ〉は悪名高い組み合わせである。
回復役のいない近接攻撃職には無類の相性を誇り、よほど尖ったビルドでもない限り一方的になる。
そこに〈森呪遣い〉の呪文詠唱阻害〈シュリーカーエコー〉が重なれば、動いても追いつけないスキルは使えないで、一度パターンに入れば近接攻撃職が何人いようと棒立ち同然。
詰みの手筋が相手にも容易に読める、そんな宣告だった。
「引くぞ!」
「仕方ない、遊び過ぎたな」
リーダー格と見える相手の〈盗剣士〉決断は早かった。
殿としてこちらを牽制する構えも見せながら、倒された味方のアイテムを手早く拾って去っていった。
索峰さんが疑いからか音波探査を行なったが、あまり警戒している様子はなかった。念のためだったのだろう。
用語解説
中国サーバー固有のメイン職業。
原作では存在は確実だが設定までは詰まっていない。
高威力+回転率や手数は悪め、という原作における同ポジションの〈武士〉を参考にした。
同じく中国固有のメイン職業。
これも原作で存在するが設定は煮詰まってない。
これも原作における
これもメイン職業。
契約した使い魔(とにかくいろいろ)を使役し戦闘を行う。
あとは本編内で説明。
脈動回復
1秒ごとに甲を参照してHPを乙回復させる、効果時間丙秒
といった感じで長い時間で少しづつHPを回復させる効果のことを指す。
〈森呪遣い〉を〈森呪遣い〉たらしめる特性。
時間はかかるが総回復量が多いのが主な特徴。