魔法科高校の劣等生 妖精に魅入られし愛し仔   作:アトコー

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お久しぶりですね。
レポートに追われながら作成しているもので、少しスランプに入りかけていましたが、
なんとか投稿出来ました。では、どうぞ。


第10話 対ブランシュ戦1

 

 

第1高校のある昼休み。丁度食後の休憩頃に、突如として響いた校内放送があった。

 

『皆さん!!』

 

ボリュームをミスったのか、耳障りなほどの校内放送に私と智世は顔を見合わせた。

 

『失礼しました。

皆さん!僕たちは二科生に対する差別撤廃を目的とする有志同盟です!!』

 

「どうやら、放送室を不法使用して行っているみたいね。」

 

「どうするの?」

 

「一応風紀委員だし。要請が来るでしょうけど先に行きましょうか。」

 

先に来たつもりだけど、既に渡辺委員長、七草会長、十文字会頭他、何人か風紀委員も来ていた。

 

「おや、今通達を出したところだったが、来るのが早いな。」

 

「先輩こそ、私たちが先だと思ったのですけどね。」

 

その後、達也が深雪と一緒に来て、風紀委員は全員そろった。

達也が来るまでには放送が止まっていた。恐らく電源をダウンさせられたからだろう。

放送室は閉ざされており、突入した形跡も無い。

突入した有志同盟の連中とやらは、鍵のマスターキーごと持って行ったらしい。

魔法高校なのに。どういうわけか、こういうところはアナログなんだなぁとふと思う。

 

「明らかに犯罪だな。」

 

「そうです、だから相手を刺激しない為にも此方は慎重に行くべきでしょう。」

 

「聞く耳を持っている連中とは思えんな。多少強引でも短時間での解決を図るべきだ。」

 

生徒会会計の市原先輩が慎重にというのに対して渡辺委員長は強行にと意見が分かれている。そんな2人の間を取る十文字の意見を達也が聞いた。

 

「十文字会頭はどのようにお考えですか?」

 

達也に促され、全員の視線が十文字に向く。

 

「俺は交渉に応じても良いと考えている。が、学校施設を破壊してまで早急にすべきかは悩みどころだと思う。」

 

「なるほど。」

 

「会頭、この扉のピッキングが出来る人はいますか?」

 

十文字は、まさか己を嫌う三千院から意見が出たことに一瞬驚くが

 

「いや、どのみち魔法でこじ開ける結果になりそうだ。それに、この手の扉を開けれるスキルを持った者は教員でも居らん。」

 

「だってよ、智世。」

 

「そうですか、なら開けますか?」

 

その発言に誰もが驚いた。魔法を使わずに扉の開錠が出来るというのだ。当然、先輩方に冷たい視線が智世に降り注ぐ。

 

「出来ると言うのか?」

 

「ええ、ちょっと失礼します。」

 

そう言って、智世は放送室の鍵の形状を見る。

智世の透視によって鍵の構造が鮮明に映し出される。

 

「成る程、これは古い。それでいて、開けやすいタイプです。」

 

「開けやすい?」

 

「ええ、ディスクシリンダー錠と呼ばれる形状の鍵を用いるのですが、構造上ピッキングしやすくなっています。今となってはしにくいに分類されていますけどね。」

 

はったりだと思う先輩も居たが、風紀委員全員が突入準備をしていた。

 

「ふむ、中のリーダーとは俺が話そう。他を任せた」

 

「「「はい!」」」

 

風紀委員の何人かが頷き、返事をした。

そして、智世の手によって開錠されると、扉は鍵で開けたように普通に開き、風紀委員は取り押さえる為に突入した。

まさか、マスターキー無しなのに開錠して入って来るなんて中の連中は思いもしなかっただろう。開いたと同時に風紀委員達が雪崩れ込み、違反者達を捕縛していった。その中には、昨日達也達の方で話題に上がっていた壬生先輩もいた。

結局、さあ連行というところで集まってから後を市原先輩に任せて何処かへ行った会長が現れて、違反者を連れていった。交渉に応じるという形で。

因みに、学校側に鍵のことで十文字会頭が聞いたところアナログの鍵の開錠方法を知る人はほぼ居ないし大丈夫だろうとのこと。

羽鳥が開錠しましたよと言った時には、教頭は卒倒ものだったらしい。

その後、智世のアドバイスもあって、ディスクシリンダー錠からディンプルシリンダー錠に変えたそうです。

 

 

 

後日、討論会が開かれることになったのだが・・・・・・

 

「どうかしたの?アッシュ。」

 

運転手と警護官があの日から変わって、運転手の火花と警護官のアッシュが走行する車の中で話しかけて来た。

 

「輝夜、智世。今回の討論会だが、気を付けておいた方がいい。」

 

「つまり用心しておいてほしいの。」

 

「なにかあった?」

 

「討論会が決まった日の夜に、監視していた廃工場にトラックが2台、ボックスカー3台が入って行ったのを偵察班が確認したわ。」

 

「十中八九、襲撃を計画している見て間違いない。銃火器も運び込まれたのをトゥイッチがドローンで確認した。」

 

「狙いは討論会でしょうけど・・・。ねえ、確か私たちが有事に巻き込まれた際の規定があったよね。」

 

「ええ、武装勢力に襲われた際独自の戦力で鎮圧することを許可する。って政府にも確認は取らせてある。」

 

「なら、やっちゃう?」

 

「いいのかしら?というより、輝夜ってそんなに好戦的だった?」

 

「輝夜、昨日しつこいまでにエガリテの人に付き纏われたんだよ。うちの有志同盟に入らないかって。」

 

「あ~、なら仕方ないわね。」

 

「智世、ちょっと無線使うね。」

 

「オッケー。」

 

鞄に入れていたRAINBOW用のトランシーバーを取り出すと、指示を出した。

 

「輝夜より、護送車全車へ。今日起きる討論会に対し襲撃の可能性あり。武装し、事が起きた際は鎮圧せよ。

次に、各対ブランシュ偵察班に連絡。東京のブランシュ基地以外への攻撃を準備されたし。

東京のブランシュに関しては、GIGN、SAT合同にて鎮圧に当たります。以上」

 

RAINBOWに警護されている身とはいえ、身の脅威に対してRAINBOW部隊を動かす権限を与えられている輝夜は、迅速にかつ最適な戦力を抽出し、送り出した。

日本における本基地では、無線通信を聞いて空母より、無人戦闘機X-47ユニコーンが発進。

国内にある基地に向けて出撃し、また周囲の敵兵を殲滅するために、デルタフォースとスぺツナズが派遣されている。

恐らく、夕方から今夜に掛けて、空に赤い炎が浮かぶことだろう。

 

第1高校前駅で車が止まると、私たちは降りて、高校へと向かった。

矢は解き放たれた。後は当たる的が来るのを待つのみ。

 

 

 

午前中の授業が終わり昼食の後、

討論会が始まろうとしていた。

智世の配置は風紀委員会室のビデオカメラ室(予算で別室を改装)

映像には、事前に設置した校門と裏門、校舎外1階からと2階から屋上から映し出された昇降口から校門までも道のりの間の映像や運動部が練習で使ったりする林を映しだした映像など12のカメラが稼働して、それを智世が確認していた。

私は屋上に上がり、学校一帯を見回していたが、やはりというか案の定というか、

授業が始まり、討論会が始まった事によって、人通りが一切なくなった正面道路から2台のトラックと4台のワンボックスカーが校内に侵入。

中から出て来た清掃員紛いの服装の男達がロケットランチャーを手にし、実技棟に向けて放った。

本来なら防御出来るのだが、先制攻撃したという口実が欲しかったので敢えて見ていることにした。

智世も気付いていたらしく、行動を開始していた。

そして、技術棟への攻撃を皮切りに侵入者たちは各々武器を取って学校に攻撃を始めていた。

 

爆発音は駅まで轟いており、護送車に居た誰もが気付いた。

 

「テルミット」

 

「ああ、行動開始だ!」

 

駅付近で待機していた5台の護送車が高校前へと近づき、高校正面の左右の道を車で塞いだ上で攻撃を開始した。

FBISWATとSATによるブランシュ侵入者鎮圧が始まったのだ。

計24人の警察機構の特殊部隊が高校に入ったのに、気付けたのは正門に居た退路確保組だけだった。

 

「こいつら、MINIMIも持ち込んでやがるぞ!」

 

「撃たせるな。破壊しろ!」

 

「了解。気を付けろ!グレネードだ!」

 

FBISWATの隊員が手榴弾を投げたが、MINIMIより少し離れたところに落ちそうだった。

そこを、火花がライフルで跳弾させて、手榴弾はMINIMIの弾倉の中に吸い込まれるように落ちた。

そして、手榴弾が起爆しMINIMIとMINIMIに繋がれた弾倉ごと爆発を引き起こし、爆風と破片と弾丸がブランシュ側に降り注いだ。

FBISWATとSATチームにも降り注いだが壁を楯にしていた為、被害はなかった。

 

「始めたね。智世?」

 

「うん、じゃあ行こうか?」

 

何時に増してやる気満々の智世に私は力強く答えた。

 

「ええ、行きましょう。」

 

屋上からふわりと降りると、智世は風を起こし、私は鉄扇を取り出し、水を発生させた。

 

「金生水の流星」

 

風によって飛沫となった金生水の花が流星の如く、校舎内に入ろうとするブランシュメンバーに降り注ぐ。

水を浴びただけだと思っていたのか、何ともないと思った矢先、彼等の身体中から水蒸気のようなものが噴き出した。

彼等の悲鳴と共に

 

「容赦ないねぇ。」

 

「智世だって、あれ、ただの風じゃなかったでしょうに」

 

そう、ただの強風ではなく、カマイタチが混ざった強風なのだ。その為、彼らの恰好は所々に切り傷が出来ており、場所によっては致命傷なのだが・・・

 

「私の金生水は、人生最高の傑作でね。飛沫となって対象を水分で覆いつくし、出血を外に出さず溶かしていく。皮膚も肉体も血液すらもね。」

 

実際、カマイタチによって首を深く抉られた者に至っては本来なら夥しいまでの血飛沫が舞うはずだが、金生水の飛沫によって傷口を覆われ、血飛沫は金生水に触れた瞬間に溶け消えていた。そして、血液を得ることで、覆う液体の量は増え、男達は悲鳴すら上げられず、声帯を先に溶かされ、生きながらに死んでいくのだった。

 

 

 

尤も、その前に殺されるだろうが

 

私と智世が、無力化し、2人一組に分かれたFBISWATとSATが止めを刺していく。

そして、私と智世は討論会が行われている会場に急いだ。

 

 

実技棟の爆発と同時に先攻して校内に入ったエコーとキャッスルが討論会が行われている会場に向かう防護マスクをした一団を見つけた。

 

「キャッスル!」

 

エコーが先に見つけ、キャッスルはその足を速める

 

「ああ、急ぐぞ。」

 

 

 

 

 

討論会は、轟いてきた爆発音と共に終わりを告げた。

爆発音を合図に会場に来ていた有志同盟の生徒が立ち上がり動き出した。

渡辺風紀委員長が叫ぶ

 

「会場にいる全風紀委員はマークしている対象を取り押さえろ!」

 

達也を含めた風紀委員達が、有志同盟の生徒を全員確保したかと思うと、中央の出入り口に走る1人の有志同盟の生徒を達也が見つけた。

側に誰も風紀委員が居ない為、CADを使って彼を捕縛しようとして止めた。

 

「司波くん!?」

 

「大丈夫ですよ。なにしろ、あそこは・・・」

 

逃げようとしていた生徒を担いで歩いてきた人影

 

「三千院さんが来ていますから」

 

「これで全部のようね。」

 

「ああ、だが会室から此処まで結構な距離があったと思うが?」

 

「秘密よ。」

 

渡辺委員長の疑問を受け流し、担いでいた生徒を落とす。

グエッと生徒は蛙が潰れたような声を出し、胸を押さえ突っ伏していた。

 

「流石だな。三千院」

 

「いいえ、智世よ。」

 

「へ?」

 

辰巳先輩が労いに来てくれたが、彼をこうしたのが智世だと言うと気が抜けた声を出していた。

 

「走ってきたので、すれ違い様にこうガンって」

 

すれ違い様にひじ打ちしたと言う智世に後からきた沢木先輩も顔を青くしていた。

普段温厚に見える羽鳥智世が本気を出したらどうなるかとでも考えたんでしょうね。

 

「皆、気を付けて!窓から何かが!」

 

七草会長が講堂の窓に向かって叫ぶ。

叫んだと同時にガス弾らしきものが撃ち込まれ、窓を破って入ってくる。

それも1発でなく、3発もだ。

1発は服部先輩が咄嗟の判断で外へ収束魔法で出し、他2発は会場に居た部活連の部員によって場外へと出された。

更に立て続けに、防護マスクで身を包んだ武装集団がズカズカと講堂内に入っていく。

 

「させるか!」

 

渡辺委員長が、マスク内の酸素を奪った。

 

 

はずだった。

確かに魔法は使われた。しかし、彼らはアンティナイトを装備していた為、魔法が発動しなかったのだ。

他の風紀委員達も魔法を使うが、無効化され、襲撃者の一人が渡辺委員長に銃口を向ける。

誰もがやられると思った。2人を除いて

 

「キャッスル」

 

「オーケィ」

 

私が、キャッスルを呼ぶと襲撃者が銃口をこっちに一斉に向けた。だが、彼らは気付かない。入って来た入り口にいるキャッスルとエコーの姿を

 

「周りに被害が及ばないように」

 

「ラジャー!」

 

ダァーン  ガシャコ

 

彼等の背後でショットガンの銃声が響き、後ろにいた襲撃者数人が吹き飛ばされた。

更に、

 

バンッバンッ

 

コルトオートガバメント片手にエコーが数人の襲撃者の足を撃ち貫いた。

射殺は生徒が大勢いる手前、あまり刺激的すぎるのは見せられないということで、肩や足を撃つことになっていた。

ショットガンの場合はいつも通りになるのだが、

いきなり入って来て、襲撃者を後ろから襲った2人の男の出現に襲撃者達は浮足立った。

計画に無い奴らが乱入してきたと、そう思ったからだ。

しかし、彼らが再び銃を構えようとして、一人がショットガンで吹き飛んだ。

多少の血が飛び散っているが、致し方ないことだった。

 

「銃を捨てろ。今すぐだ!」

 

エコーが警告する。

銃を持った襲撃者達は、突入時10人居た。

しかし、今となっては4人。

6人がたった2人によって戦闘不能になっていたのだ。

得体の知れないナニカと戦っている。そう感じた彼らは、そのナニカを撃って、仇を取る為に構えようとして、キャッスルのショットガンの銃床によって2人が沈黙。もう二人はエコーの旧式一本背負いによって一人が投げ出されもう一人にドミノのように当たり斃れ敢無く敗れた。

そんな2人に風紀委員達が警戒の色を強めるが、

 

「これで全部か?エコー」

 

「いや、そんなはずない。恐らく此処の生徒を楯に立て籠もる予定だったのだろうな。」

 

「後は・・・・・・何処だ?」

 

「実技棟と図書館だろうな。どちらも重要だからな。」

 

「だが、俺達の仕事はまだ終わってないわけだ。」

 

「そういうことだ。」

 

エコーは壇上に向き直り、壇上にいる女子生徒に声を掛けた。

 

「あんたが生徒会長かい?」

 

「え、ええ。そうよ。貴方達は?」

 

七草会長は、突然声を掛けられたことに驚いたものの、直ぐに立て直して何者かを聞いた。

 

「彼らは、私の護衛メンバーですよ。七草会長」

 

「三千院さん!?・・・彼らが?」

 

「エコー、現在の学校の状況。教えてもらえる?」

 

「ええ、現在第1高校には2台のトラック、4台のワンボックスカーで侵入した武装勢力に攻撃されており、実技棟はナパーム弾と思しき弾頭で炎上中。教員方が消火作業中です。また、侵入した武装勢力は凡そ50人程度。

現在、図書館前にて生徒と混戦になっております。

尚、部活動中の生徒に襲い掛かる侵入者も居ましたが、そちらは生徒側によって鎮圧済みです。以上が現在の概要となっておりますが、裏門より侵入が確認されている為、SWAT、SATと武装勢力で銃撃戦が行われている状態です。」

 

「他の生徒に流れ弾が行かないように気を付けて」

 

「ええ、そこは全員防弾楯で対処しています。」

 

智世が、チョンチョンと肩をつつく

 

「ねぇ、いいの?皆に知られちゃうと思うのだけど。」

 

「此処での会話は彼らに聞かれないように防音障壁張っているから問題ないよ。」

 

「そっか、ならよかった。」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

「委員長、自分は報告にあった図書館の方に向かいます。」

 

「お兄様、お供します!」

 

「智世、此処を頼む。」

 

「分かった、任せて。」

 

「気を付けろよ!」

 

達也の後を追って、私も講堂を出て行く。

講堂に残ったエコーとキャッスルは、負傷した侵入者を取り押さえ、持っている物を物色した。

 

「さて、こいつらを締め上げた後、物色しますか。」

 

「ですかねぇ、どうやらアンティナイトを装備しているみたいですし。」

 

「とは言っても、どうせベラルーシの方で取れた質の悪い奴だろ。」

 

「まあ、だとしても、此処の生徒達には脅威だ。」

 

もぞもぞと弄って、装備していた指輪型のアンティナイトや、無線機に内蔵されたアンティナイトを引き抜き、回収用の袋に入れた。

キャッスルがM1014を持ち直し、エコーがMP5SDを持ち、2か所ある出入り口にそれぞれ向かい警戒した。

そんな2人を生徒会長や風紀委員長は、見ていることしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

講堂が襲撃される少し前、

 

一人の男子生徒と一人の女子生徒が激闘を繰り広げていた。

いや、激闘とは程遠い戦いだった。

双方の言い分は違った。男子生徒は、女子生徒を正そうと魔法を使わず、己の剣技で挑み、女子生徒は遂行する任務の障害を取り除く為に魔法を使って戦いを挑んでいた。

しかし実力差は、魔法の有無以前に歴然だった。男子生徒が魔法を使わずにいる所為で押され気味だが、一つも攻撃を受けずに凌いでいる。男子生徒が女子生徒の名を叫ぶ。

 

こんなはずじゃなかったはずだ   と

 

女子生徒も叫ぶ

 

貴方には関係無い    と

 

それでも、男子生徒に力が籠る。オリエンテーションの時のような無様な姿を見せない為にも、心は熱くなりながらも落ち着かせていた。

そして、遂に魔法を使っていない男子生徒の剣術が女子生徒の持つ竹刀を吹き飛ばす。

激情任せに告白に似た言葉を乗せて。

その言葉に女子生徒は顔を紅潮させ、男子生徒も自分が言った言葉に顔を紅くする。

 

「桐原くん。」

 

「いや、・・・なんつーか、さっき言った事は嘘じゃない。俺は・・・」

 

桐原は、言葉を繋ぐことを止め、壬生を抱き寄せる。

 

「うぇ!? ちょっと桐原君!?」

 

壬生は突然身体を密着されたことに驚き、慌てふためくがそれよりも

桐原は、眼前に現れた男達に目をやっていた。

手に持つナイフが壬生を殺そうとしていたという事実を物語っていた。

 

「おい、てめえら。わかってんだろうな」

 

底冷えした声が桐原から漏れる。

しかし、彼が魔法を発動し男達を斬ることはなかった。

彼の背後から飛び出した影が男達を撃ち貫いたのだ。

 

「ふん、女を命がけで守ろうとするその心、見事だな。だが、実力が伴わなければ無意味となる。」

 

背中にFBIと書かれた防弾チョッキを着た男がそう言い、M45ハンドガンを素早く撃ち貫く。

手足を撃ち貫かれ、動けなくなったところを捕縛ネットによって纏めて捉えていた。

そこに更にやってくる人影

 

「桐原先輩!」

 

「よう、司波兄。」

 

「・・・壬生先輩は、」

 

「ああ、マインドコントロールを受けた形跡がある。じゃなきゃ、機密情報を盗み出して差別撤廃に繋がる、などの話を信じるか?」

 

「成る程、全く繋がっていないですね。」

 

「パルス、助かったわ。」

 

「いえ偶々、青春を繰り広げている男女2人がいたもので、いい感じになっている2人に無粋な邪魔者が現れたんでついでに確保しといたんですよ。」

 

パルスから齎された情報に、達也、深雪、エリカ、レオンハルトが呆れ顔になりながら2人を凝視する。

 

「いや~、いいものですね。さて、ここは私が引き受けます。2人も校舎の方まで案内するので、ボス、図書館の方頼みます。」

 

「そうね、白兵戦の中に銃器は危険ね。任されるわ。」

 

「桐原先輩、壬生先輩をお願いしてもいいですか?」

 

「ああ、今の壬生は放っておけないからな。」

 

「彼が校舎まで護衛するわ、桐原先輩」

 

「あ、ああ。ところで、お前は・・・何者なんだ?」

 

「今は、言えないわ。後で教えてあげる。」

 

そう言い、私は達也達と図書館の方へと向かって走って行った。

 

 

「さて、そちらのお嬢さんを連れて校舎に行くとしようか。」

 

「あ、ああ。パルス・・・でいいんだよな?」

 

「ああ、コードネームで呼び合っているからな。取り敢えず、校舎まで行こう。道中、侵入してきたブランシュ奴らが多い。」

 

「どれくらい来たと?」

 

「分からん?正門と裏門から侵入されているらしい。正門は既にこっちがやったが、裏門は守りが厚いそうだ。ま、俺達からすればどうしてあんなにブランシュが火器を用意出来たか?というところがあるがな。」

 

「そうですか。」

 

「あの、」

 

「壬生?」

 

「その火器は、大陸から取り寄せたと、確か言っていました。」

 

「・・・成程な」

 

パルスは、考えるそぶりを見せたが直ぐに切り替えて2人を校舎まで護衛していった。

 

 

 

 

 

 

図書館前は、苛烈を極めていた。

講堂外に配置されていた風紀委員達が此処に集結しブランシュ構成員と交戦していた。

しかし、其処にSATとFBISWATが合流して包囲陣を形成する。裏門に居た敵も、後からきた十文字会頭の後押しもあって、制圧された。

更に、ブランシュ構成員達が後退を始め、正門に集結し始めていたが、其処には講堂に居たはずの風紀委員長を筆頭とした風紀委員達がSATと共におり、構成員らは成す統べなく取り押さえられて行ったのだった。

 

 

 

 

 

 

第1高校 保健室

 

壬生紗耶香が保健室に連れて行かれ、取り敢えずマインドコントロールを受けているということで、簡易的な治療が施された。

保健室には、桐原先輩、壬生先輩、七草会長、渡辺委員長、十文字会頭、司波達也ら一行と智世と私がいた。

彼女のマインドコントロールの発端が渡辺委員長で、それも勘違いによるものだったことに彼女は衝撃を受けていたが、達也、桐原先輩の指摘を受け、今までの努力が決して無駄では無かったと悟られた。

そして、

 

「それじゃあ、申し訳ないのだけど壬生さん。貴女の身柄は警察に任せる事になると思うわ」

 

「そんな!壬生先輩はただ操られていただけじゃないですか、無論やってきたこと全てに意志があるにせよ無いにせよ・・・」

 

智世が嘆く。そう、同情できる一面もあるのだ。だが、

 

「だが、だからといって壬生が高校襲撃を幇助した事は消えん。」

 

十文字は、そうも言えないらしい。そこに達也が

 

「だったら、背後組織を叩けばいい。」

 

「駄目よ!危険すぎるわそんなの!」

 

「私も反対だ。一高校生に大きすぎる。」

 

「なら、壬生先輩を家裁送りにしますか?これだけの襲撃ですし、学園にも少なからず責任はあると思いますよ」

 

七草会長と渡辺委員長が、身の危惧を示唆するが達也の的確な指摘にそうもいっていられなくなる。

確かに学園にも責任があるが、学内にエガリテを蔓延させ放置していた生徒会、風紀委員会にも責任が来るからだ。それ故か、2人は押し黙る。

 

「確かに・・・警察の介入は好ましくないな。だがな、司波。テロリスト相手に命を懸けろとは言わん」

 

「ええ、分かってます。始めから学校側の力を借りようとは思ってません。」

 

「・・・一人でいくつもりか?」

 

「そうしたいのは山々ですが、友人達も参加するでしょうね。」

 

「当たり前よ、こんな楽しいのに一人だなんて言わせないわよ」

 

「おうよ、俺も行くぜ」

 

「お兄様、お供します。」

 

エリカ、レオンハルト、深雪がそう言い、達也の視線が私に向く。

私は、達也に頷き、無線機を取り出し

 

「コード99。」

 

「ん?」

 

「三千院?」

 

すると、保健室のドアが開き、入って来たのは、FBISWATのアッシュ

 

「始めますか?」

 

「ええ、東京にあるブランシュ支部を攻撃します。彼等も行くので車の用意をお願いします。」

 

「了解。」

 

「三千院?気になっていたが、そいつらとどのような関係だ?」

 

「彼らは私たちの護衛兼戦闘部隊ですよ。その名は・・・RAINBOW」

 

「RAINBOW・・・?」

 

「十数年前に、世界の殆どの国が特殊部隊を行政的除隊とし、魔法師を中心とした特殊部隊を作り上げた。無論、日本も例外じゃない。国防軍の前身となる陸上自衛隊の特殊作戦群や警視庁特殊強襲部隊SATも大半が魔法を有していないという理由で除隊に追い込まれた。

彼等の受け皿となったのがRAINBOW。今回の鎮圧に携わったFBISWATとSATはどちらもRAINBOWよ。」

 

「それが、お前とどう関係する?」

 

「気付きませんか?護衛と言いましたよ。」

 

「・・・!?そこまでするか?」

 

渡辺委員長と十文字会頭は気付いた。そして驚愕した。イギリスからの護衛部隊が、かつて世界各国で活躍した精鋭部隊であるということ。

 

「達也、今回は規模が大きい。禍根を無くす為にそれ相応の戦力をつぎ込んでいるわ。」

 

「因みにだけど、どれくらい?」

 

「北と西にあるブランシュ支部を灼熱で包み込むくらい」

 

聞いたエリカは、聞かない方が良かったぁと心底思っただろう。恐らく私の黒い笑みを見て尚更だろう。

 

「ふむ、時間がないな。俺も行こう。いくらお前らだけを行かすとなれば学園からの追及も免れんだろう。」

 

十文字が表に車を用意すると言って部屋を出ると、渡辺委員長と七草会長も出ようとしたが、残党狩りがあるので校内待機。

FBISWATも銃器を持った構成員と対処するため、武装したまま待機することとなった。

 

 

 

 

 




金生水の花は、ぬらりひょんの孫の陰陽師が使っていた術です。
あの2人組、カッコイイって思っても表に出さないのが私です。(←公表してんじゃないか!)


次回投稿は、12月末前に出したいところですが、気長に待ってください。
では、また。
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