魔法科高校の劣等生 妖精に魅入られし愛し仔   作:アトコー

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第2話 エリアスの家で

智世side

 

どうも、羽鳥智世です。

あの少女が家に来て5日が経った今もまだ目を覚まさない。

日に日に顔色が良くなり、体温も上がっている。

この呪符のおかげ?

時折、手を握ってあげると、軽く握り返してくる。

無意識だろうけど、

 

タマヨリヒメという日本の神の一人が現在の近況を教えてくれた。

イギリスで魔法使い・魔術師の存在が表に出てから魔法使いと魔術師を掛け合わせた存在である魔法師が世に台頭しつつあるのだと。

問題はそこじゃないのだけどと一言添えられた。

 

「まさか、こんなところに羽鳥家の者がいるなんて思わなかったよ。」

 

この人、私を知っているの?

 

「え、私を知っているのですか?」

 

タマヨリヒメがリビングに座って教えてくれた。エアリスも一緒に

 

「羽鳥家自体が元々特殊な家系なのよ。」

 

「特殊な・・・家系ですか?」

 

「貴女は・・・何も知らされてないわね。本来祝福を受けた者や加護を持つ者は誰かしらの庇護下に入る。

羽鳥家の先祖は、江戸時代まで遡るわ。」

 

「江戸時代・・・」

 

「はっきりしたことを言えば、智世、貴女はあの子と違って正統な血筋を受け継いでいるわ。日本皇家のね。」

 

「・・・・・はい?」

 

どういうことか分からなかった。私が皇家の血筋持ち?

なんの間違いかと思って再度聞こうとするとタマヨリヒメは言葉を繋いだ。

 

「あの子は古い昔に人間と駆け落ちした神の血を、

貴女は、日本皇家から駆け落ちした皇家の血を、

どちらも正統よ。だけど、あの子に皇家の血は薄い。代わりに先祖返りと言わんばかり神の血が色濃く受け継がれているの。」

 

「私が!・・・・皇家の血筋を!」

 

「・・・ねえ、皇家の血筋って何?」

 

「そうねえ、智世はイギリスで言うなら王族の血筋を持っているということになるわ。」

 

「・・・それって凄いこと?」

 

「エアリス。はぁ、貴方はそういうところがニブチンね。まあ、そう言うことだから、

貴女はスレイ・ベガ(夜の愛し仔)なのはそう言う関係で生まれながら持っているの。」

 

「・・・そう、ですか。」

 

「貴女は、・・・恐らく私が言葉にし難いくらい苦しい思いをしてきたのだと思う。その果てで自らを身売りなどと・・・」

 

「いえ、いいんです。それは、私がやったことですし。」

 

「日ノ本の神々を代表して謝罪する。すまなかった。」

 

タマヨリヒメは、頭を下げて謝罪した。謝罪されて私はあたふたした。

そんなことは無いというのに、というより、神々を代表してって神様に謝られても・・・。

 

「・・・・・、それであの子はどのような能力があると言うのさ。」

 

「エアリス、・・・・・あの子には07-ghostがある。発現してないけど」

 

「死神?危険じゃないか?神の血を持つ者が・・・」

 

「冥界の神、ハデス。戦場の死の神、ワルキューレ。黄泉の主宰神、イザナミ。」

 

「そちら側ということかい?」

 

「影の者ということよ。」

 

エアリスとタマヨリヒメがなんか難しい話しをしている。

2人が話し込んでいる間に私はまだ眠っているはずの彼女の元に向かった。

彼女は未だに目を覚まさない。けど、どうして。

 

「海の愛し仔であり、ゴーストを遣わす・・・か。」

 

不思議と親近感が湧く。この子と私は・・・似ている?

 

「気になるのかい?」

 

「あ、はい。・・・・・え?」

 

私の後ろにいつの間にか居た人。何故に司教服?

 

「この子は、まだ寝たままだよ。死の淵にいるからね。」

 

「どうして、死の淵にいるのですか?」

 

「彼女自身、まだ折り合いが付けられていないのだよ。大丈夫、そろそろ彼女は這い上がるよ。」

 

そう言って彼はスッと姿を消した。

と同時に部屋のドアが開いた。

 

「此処にいたか。」

 

「エアリス。タマヨリヒメさんまで」

 

「うん?・・・この花は・・・」

 

「それは、エデンの花ですね。」

 

「そう、ということは。智世さん、誰かいましたか?」

 

「はい、長身で薄紫髪の人が」

 

「あー、やっぱり。既に発現してたかぁ。」

 

「その人が、そろそろ起きるって。」

 

「じゃあ、起きた時に備えて準備しないとね。キッチン借りるよ」

 

「ええ、ですが。何故それを信じられるのですか?」

 

「エアリス、智世が見た人はプロフェ(預魂)と呼ばれる者よ。彼の能力は未来予知だからよ。」

 

 

 

それから数日後、彼女は目を覚ました。

 

Sideout

 

 

彼女の部屋には、目を覚ましたばかりの彼女と智世、御粥を持ったタマヨリヒメ、読書をするエアリスが居た。

 

「起きた?」

 

「ようね、どう?気分は」

 

「・・・・・、夢を・・・・夢を見ていた」

 

「・・・・・・」

 

「あの日、滝壺に落ちて最後に見たあの輝きは・・・、

けど、あの時誰かが助けてくれた気がする。」

 

「貴女、名前分かる?」

 

「・・・輝夜、三千院輝夜」

 

「!?・・・・え。」

 

「智世、知っているのか?」

 

「輝夜?」

 

智世が輝夜の顔を見て、輝夜は驚きながらも嬉しそうにしていた。

 

「智世、・・・久しぶり。漸く、・・・・見つけられた。」

 

「輝夜!」

 

智世は、輝夜に飛び付いた。

 

「温かい。智世は、ずっと・・・近くにいたんだ。」

 

「ごめんなさい、貴女に何も言わずに姿を消して・・・」

 

「ううん。・・・いいの、・・・・貴女があの町から姿を消したことで、私は祀の贄になったのだから。結果的に貴女にまた逢えた。」

 

「でも、でも私は・・・」

 

「それに、私たちは友達で・・・家族でしょ?」

 

智世の脳裏にまだ小学生頃巡り合ったばかりの輝夜を思い出していた。

誰からも寄り付かれず、気味悪がられていた智世にいつも寄り添っていた輝夜が言った言葉を

 

「あれ・・は、言葉・・・遊びじゃ・・・」

 

「・・・だって、同類同士だもの。1人は・・・寂しい、でしょ?」

 

智世の眼から涙が溢れてくる。忘れかけていた輝夜の存在、忘れ去られていたと思っていたのに、彼女は、輝夜は覚えてくれていた。

 

「・・・・・」

 

「・・・・・」

 

エアリスは、2人が抱き合って泣いているのを見ながらタマヨリヒメを見た。

2人の姿を見て微笑ましく思っているみたいだった。

そんな時、キュルルゥ~と音が鳴った。

智世は、周りを見回して違うと言おうとして、輝夜を見た。

 

「智、智世ぇ。安心してお腹、空いちゃった。」

 

にこやかに笑う輝夜は少し痩せこけて見えた。

 

「はいはい、大丈夫?輝夜ちゃん?」

 

「タマさん」

 

「御粥作っておいたから、起きれる?」

 

「ちょっと無理ですね。身体の感覚がまだ・・・。」

 

「少し、いいですか?」

 

「・・・誰だ?」

 

また新たに誰かが現れた。

司教服を着た青年。しかし、先ほどの青年といい、この人といい、何処の協会の司教服だよと思わせるものがあった。

 

 

輝夜side

 

「カストルさん。」

 

「輝夜?」

 

「大丈夫、」

 

「やはり、神経系統が途切れてますね。ラブラドール」

 

「うん、これぐらい造作もないよ。」

 

あの、セブンゴーストの皆さん?さりげなく現れないでくださいね。心臓に悪いのでと思う私。

ラブラドールは、そんな私を見ながら

 

「じゃあ、そのまま横になって、眼を瞑って、」

 

私は、言われた通りに横になって目を閉じた。

 

「何をしている?」

 

「エインズワースさん、でしたね。人間はどうやって魔法を使えると思いますか?」

 

「魔力を持っているからか?」

 

「確かに、魔力を持っていれば魔法は使えます。しかし、それだけでは魔法を己のモノとすることは出来ないよ。しっかり制御するための器、それが人間の身体なんだ。

輝夜は、多くの枷を身体に付けていた。それは、自分自身が付けたものではなく、両親が輝夜を想って付けたモノ。その枷が一斉に外れて、まともに動けると思う?」

 

「・・・・・無理だな。壊れてしまう。」

 

「そう、だけど輝夜は違う。いや、そちらの子もかな。生まれつき力を持ち、拒まれたスレイ・ベガ・・・か。」

 

「おい。」

 

エアリスはキレていた。しかし、ラブラドールは言葉を繋ぐ

 

「スレイ・ベガは短命だと・・・誰が言ったのかな?」

 

「何が言いたい?」

 

「その子も、輝夜と同じだと言ったよ。うん、一人一人だと面倒だから2人同時にやろう。」

 

「だから、何を!」

 

「古くからの魔法を使える人間には精霊回廊と呼ばれるものが備わっている。この回廊は、全身に張り巡らされていて、これがあることで魔法を行使することが出来る。輝夜の場合は、病み上がりというのと、精霊回廊と神経が繋がってないだけ。

智世ちゃんは、身体にある精霊回廊が半分しか使えていない。いや、使えるはずの回廊が途切れているからというだけ。」

 

「精霊回廊?そんなものが?」

 

「そちら側には恐らくないだろうね。それに精霊回廊という概念を知っているのは東方の国だけ。西洋に渡っていると思っていたけど途切れているみたいだね。

さ、智世ちゃん。輝夜の隣に寝てもらって目を閉じていて。少しこそばゆいかもしれないけど我慢してね。」

 

そう言って、ラブラドールが智世が横になって目を閉じるのを見届けると、手のひらから光り輝く糸のようなモノが出て来て、2人の身体に纏わりついた。

両手から数十、数百、数千もの光の糸が2人の身体に伸びて、

2人の身体から浮き出る光り輝く幾重の筋。

心臓を中心に頭、両腕、両手、胴、両足にまで延びたその筋こそ精霊回廊と呼ばれるものだった。初めてそれを見たエアリスは驚嘆としていた。

こんな方法で治せるものなのかと

 

「ラブラドールはこれでも治癒に関しては1級魔法医師でもあるし、大概の怪我や病気は治せるし、今回のような精霊回廊を持つ人間に限って何かしらの能力を持っているからラブラドールを頼るのさ。司教と言ってもそれぞれ役職があるものでね。」

 

「ま、イギリスとは違う魔法に当たるからな。尤も、分類上は同じ古代魔法だがな。」

 

「勝手に出て行かれては困りますよ。我々は表にはあまり出ないようにしているのですから。」

 

「ですが、これからはそうは行かなくなりますよ。フェアトラーク」

 

エリアスは、カストルと会話していたはずなのに一気に部屋に人が増えたことに驚く。

部屋自体は大きくないが、流石に大の大人が5人も集まれば狭いだろう。

 

「あれ、ランドカルテのとエアはどうしましたか?」

 

「ランドカルテはエアの手伝い。仲が良いからな。エアは魂の管理をしているよ。」

 

「そうですか、さて、改めまして輝夜の守護を任されましたフェアトラークです。」

 

全員司教服の彼等だが、皆死神である。

07-GHOSTと呼ばれる彼らは別の神より召喚され、輝夜の守護に当てられたのだ。

正確には、神の召喚というより、その神の娘によるものだが・・・

その娘と交友関係にある(させられた)ため、守護者として派遣されている。

その娘自身婚約者がいるのだが、婚約者自身も危機とあれば向かう所存だと伝えている。

そういうわけで、それぞれが特殊魔法を持ち、守護者として影ながら護衛する予定でいたが、輝夜の体調管理にラブラドールことプロフェが動いているため出ざるを得なかったらしい。

 

 

「君らは死神なんだね。ということは、智世も輝夜も死ぬのかな?」

 

「確かに、死期が近い人には死神が見えると諸説ありますが、2人はこのまま何の供を付けずにいるなら遠からず・・・」

 

「ですが、我々の内誰か一人と共にいる。若しくはエリアスさんと共に居ることでその可能性は限りなく低くなるよ。僕の特殊能力は未来予知だしね。」

 

「確かに、ラブラドールの予言はいつも当たるよな。」

 

「そういうなら、フラウ。エロ本の収拾癖なんとかしないとまたジオ様に焼かれるよ。」

 

「おいっ!そういうこと言うとマジになるから止めろ!」

 

そう言いながら、姿を消すフラウ

 

「何時もの事だしね。2人はもう大丈夫だよ。少なくとも智世が自分の魔力に殺されることは無くなった。後は・・・2人の戸籍かな?」

 

「智世の分は既に申請してあるよ。」

 

「ちょっと待って、それなら・・・」

 

タマヨリヒメがタブレット端末を開いて、何かを探している。

 

「あったあった。2人共、日本とイギリス両方で国籍になってるよ。」

 

「2重国籍は問題になりませんか?」

 

「日本だとね。20歳までに決めろなんて決まってるけど・・・今後を考えたらイギリスの方がいいでしょ。イギリス王室は古くから魔法大家だし、皇家、神家の血筋持ちなら待遇も国賓級になるし。」

 

「智世はそれに該当するの?」

 

「ええ、今イギリスが鎖国状態にあるのは、単純。

世界に先駆けて亜人などと共生しているからね。どの国も狙うでしょうね。」

 

「じゃあ、僕がこのままの姿で市街地に出ても問題無いんだね。」

 

「そういうことだね。」

 

現在、イギリスはイギリス連合王国と名乗り、

 

人間種(ニンゲン)・妖精種(フェアリー)・精霊種(エレメンタル)・天翼種(セレスティア)・森精種(エルフ)・獣人種(フェルパー)・竜人種(バハムーン)・冥人種(ディアボロス)・精霊人種(ノーム)地精種(ドワーフ)・海凄種(セイレーン)・機凱種(エクスマキナ)等々、20種類以上の種族が共存している。

共存しているが故、保有している軍事力をそれぞれ特性を生かせる場所に配属されている。

人間種・・・つまり人間に関しては陸海空に所有する軍事力を際限なく生かし、その上で他種族の障害にならないように改良されているため、セイレーンを音波で苦しめるなどという事例は無い。

イギリス王室は、国内に居るスレイ・ベガ(夜の愛し仔)とスレイ・スピカ(海の愛し仔)の存在を非常に大事に思っており、またスレイ・スピカに関しては日本で既に死んだ者として扱われていることに政府を通して激しい怒りを上げたとか。

国賓として扱われることになる2人だが、今まででは考えられないことだろう。

どちらも人から拒まれた存在であったが故、日本では無かったことをイギリスは堂々と行う。レインボーと呼ばれる特殊部隊がイギリスにあるが、これを警護に当てるというのだから最早どうしようもない((笑))

 

因みに、これを聞いた日本政府の重役たちはイギリスに先越されたと癇癪を起していたらしいが、既に2人の戸籍は抹消。新たに出来た戸籍はイギリスで作られ、2人共本籍はイギリスということになっている。

2人を狙う勢力は、イギリスという最強とも云うべき後ろ盾を得た2人に手を出しづらくなった。大亜連合は狙うだろうが、ロシアがそうはさせないだろう。

 

此処で、2093年現在の世界状況を見ておこう。

 

ヨーロッパは、イギリス連合王国が鎖国状態

欧州では北欧連合と西欧連合、南欧連邦の3勢力に分かれている。

 

ロシア連邦は、分裂。

魔法共存のロシア連邦と魔法至高主義の新ソビエト連邦に分かれているが、ロシア連邦の方が圧倒的に領土を持ち、軍事力があるため、抑圧的な新ソ連よりも経済的に安地

ロシア連邦、イギリス連合王国と軍事貿易同盟

アメリカ合衆国、メキシコ、カナダ連邦を含んでUSNAに

魔法師主力としているため、特殊部隊が丸ごと姿を消している

確認されているだけで、シールズ、デルタフォース、FBISWATなど

日本、特に無し。十師族が中心的存在、しかし天皇が国家元首をしている為あまり大きく行動出来ない。

 

 

 

 




かなり前に別の小説サイトでも07-GHOSTの小説は書いていたんですけど、結局の所最終話まで持ち込む文才が無くて断念してました。

けど、漫画とかでラブラドールさんが出てくるとまったり(*´ω`)として、良い感じになるのでこちらでもぶっこみました。

ああ、止めて。男の癖に男を好きになるなんて何事!?なんて言わないでぇ!!


以上
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