魔法科高校の劣等生 妖精に魅入られし愛し仔   作:アトコー

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少々スランプ気味・・・・・でも不定期投稿していく


第7話 風紀委員

早朝、登校した時に達也と深雪に合流した。偶々乗っていたキャビネットが同じだったのだけど。達也が、昨日私の事に付いて調べたらしい。

それで、確かに死んだことになっていること。捜査以前に祀りで死亡後に祀りの関係者が全員落雷で即死または氾濫した川の水に流され死亡しているそうだ。

それはさておき、登校中に遭遇した七草会長に達也と私が生徒会主催の昼食会に誘われた。

これはどう考えても此処にいる4人を呼んでいるようにも思えた。

昨日のことがあって、私たちは警戒していた。

まさか学内では無いだろうと考えていたが、手段を選ばない十師族の考えに警戒するに越した事は無かった。

生徒会主催の昼食会に呼ばれて行ったのだが、目的は司波深雪さんの生徒会勧誘が主目的のようでついでと言わんばかりに達也を風紀委員会に勧誘していた。

そして、

 

「ええと、最後になってしまったのだけど、三千院さんと羽鳥さんも生徒会に入ってみませんか?」

 

「結構です。」

 

「お断りします。」

 

案の定、分かりきっていたであろう即答に何故か会長と委員はびっくりしていた。

 

「ええと、理由を聞いてもいい?」

 

「生徒会は名誉職なのかもしれませんが、こっちはこっちで放課後は調べ事に費やしますし趣味もあります。そちらを優先するので生徒会はおろか風紀委員会にも参加しません。」

 

「それに、十師族自体が険悪の対象ということもあるので。」

 

「そ、それはどういうこと?」

 

「それはご自身でお調べすればいいのでは?貴女の親御さんはよく知っているでしょうね。

ああ、今ごろ十師族に与えられていた権限が全面撤回されて大変なのかな?」

 

「何故それを!?」

 

「さぁ、言えば答えてくれるなど甘えですよ。先輩」

 

「それではこれで。失礼します。昼休みももう終わりそうですしね。」

 

席を立ち、会室から出ると、上げた腰を下ろす会長。

それを見ながら、司波兄妹も時間だからと会室を出て行き、他のメンバーも教室に向かい一人になった七草会長は一人呟いた。

 

 

「どうして・・・彼女達があのことを?」

 

 

 

 

 

放課後、帰ろうとした2人を風紀委員長の渡辺摩利が呼び止める。

曰く、風紀ならどうなんだと。

一人一人バラバラがいやなら2人纏めて風紀という手もあるとのことだった。

智世と顔を見合わせ、どうするか悩んだ。

対人戦闘能力は私はあっても智世は皆無に等しい。

なのに、風紀に勧誘してくるこの女性の真意が分からなかった。

だから聞くことにした。

 

「私はいいとして、何故智世を?」

 

「基本的に風紀は全員が出払ってしまうのだがね。実の事をいうと、肉体派の集まりなんだよ。」

 

「成る程、脳筋しかおらず、委員長も同じだと。事務処理を任せられそうな部下がいてくれれば助かるなぁというのが本音ですか。」

 

見れば、渡辺委員長は図星だったのかグサッと真実を言われ、肩が震えていた。

 

「それなら別にいいですけど。」

 

智世の事務処理能力?かなり凄いレベルに入りますよ。

積み上がった書類の山を2時間足らずで仕分けして処理していくのだから。

曰く、押し付けられて色んな事務処理してたら身に付いたとか

しかし、かなりドストレートなことを言われてしかも下級生というのに拍車が掛かって挫折した人みたいな感じになってた。

取り敢えず、私の実力が見たいということなので室内演習場に移動した。

其処には、何故か達也と深雪、生徒会の面々と達也を睨み付ける男子生徒がいた。

 

「それでは、これより2-B服部刑部と1-E司波達也による模擬戦を開始する。」

 

始まった模擬戦の勝負は一瞬だった。開始の合図から10秒足らずで服部先輩は地に伏していた。

 

僅かな交差、私は達也が何をしたのかをしっかりと見ていた。

魔法を使わずに一瞬で服部先輩の後ろに回り、サイオン波による多重攻撃で倒した。

一部始終を見れたからこそ、達也の戦闘能力を瞬時に計れた。

学生であるにかかわらず、信じられない身体能力と戦闘能力に思わず息をのむ。

 

「・・・しょ、勝者司波達也・・・」

 

倒してから数秒経って我に返ったのかそう委員長は言った。

 

「ちょっと待て、今のは自己加速術式魔法なのか?」

 

「いえ、身体的な技術ですよ。」

 

「だがそれは・・・」

 

「私も証言します。あれは兄の身体的な技術です。お兄様は九重八雲先生の弟子なのですよ。」

 

「忍術使い九重八雲か!身体技能のみで魔法並の動き・・・さすがは古流・・・」

 

渡辺先輩が納得しているようだったが、会長は納得していないようだった。

 

「それじゃあ、はんぞー君が倒れたのも忍術なの?」

 

「いえ、あれはただのサイオン波です。」

 

「でも、それだけじゃはんぞー君が倒れている理由がわからないのだけど。」

 

そう、先のサイオン波は単一系統振動魔法であったが、それだけである。つまりそれだけでは倒れる要因がさっぱりなのだ。

 

「波の合成ですね。」

 

「リンちゃん?」

 

市原先輩が自分の推論を淡々と説明していき、達也を苦笑いさせた。

 

「お見事です、市原先輩。」

 

「ですが、あれだけの短時間で三回の振動魔法を発動・・・

その処理速度で実技の評価が低いのはおかしいですね。」

 

「それ、達也のCADのおかげじゃない?」

 

「え?」

 

「あの~、これってひょっとしてシルバーホーンじゃないですか?」

 

「シルバーホーン?シルバーってループキャストを開発したあのシルバー?」

 

市原先輩の疑問に智世が達也の持つCADに疑問が行き、その疑問が中条先輩によって解消された。

シルバーが手掛けたCADは、画期的なものだったという。

ある妖精がそのCADをかっぱらってきたという時は大変だったらしい。

アンジェリカさんを含む魔法機構の技師たちによって解析されそれを上回るCADとして私たちに渡されたなど知る由も無かったが。

 

「でもおかしいですね。

ループキャストは全く同じ魔法を連続発動するためのシステムで、波の合成には必要となる振動数の異なる複数の波動は作れないはずですし・・・・・もし振動数を変数化するなら、座標・強度・魔法の持続時間に加えて4つも変数化するとなると・・・・・・

まさか、その全てを実行していたのですか!?」

 

独り言のように話す市原先輩だったが、その内容に演習室にいたほぼ全員が息を呑んだ。

それをやってのけた?二科生なのに?

そんな疑問は苦笑いしながら達也が淡々と答えた。

 

「学校では評価されない項目ですからね。」

 

「なるほど、司波さんの言っていた事はこう言う事だったか・・・・・」

 

倒れ伏していた服部先輩が起き上がった。

 

「大丈夫ですか、はんぞー君?」

 

「大丈夫です!」

 

シャキっとする服部先輩だが、直ぐに深雪さんに謝罪の言葉を述べていた。

 

「さて、達也くんが風紀委員会に入るにあたっての障害はなくなったわけだし。次は君の番かな?」

 

「輝夜さん?」

 

「はぁ、相手は渡辺先輩ですか?」

 

「そうだな、服部君にやってもらおうかと思ったがそうもいかないようだし。真由美、審判頼む。」

 

「ええ、気を付けて。」

 

「先にいいますけど、本気でいらしてください。じゃないと模擬戦にもならないので」

 

「ほう?それはどうかな?」

 

渡辺先輩が警棒のようなものをスカート下から取り出し構えた。

 

「いいのか?素手で」

 

「丁度良いハンデでは?」

 

生徒会の面々は唖然とした。彼女がどれだけ強かろうと渡辺委員長の実力を知っているからだ。恐らくそう時間かからず彼女が負けるそう思っていた。

 

「じゃあ、いい?始め!」

 

合図と同時に自己加速術式で私に迫る渡辺委員長

それに対し、私はしゃがみ、手を床に付けて

 

「アクアシャーク」

 

なにもない演習室にいきなり背鰭が立つ。

その背鰭が迫る渡辺委員長に向かっていき、その背鰭に気付いた先輩がバックステップを踏む。

しかし、止まることなく先輩に迫り、先輩を丸呑みにするかのようにその鮫は先輩を水で包んだ。

ずぶ濡れとなった渡辺委員長に更に追撃が飛ぶ。

その場を動こうとして、動けないことに気付いた先輩は自分の足を見て驚く。

足に纏わりついた水が、地面にくっついて離れないのだ。

 

「そういえば、先輩。剣術でも嗜んでいたようですが、私を前にしてご自慢の剣術が無意味だと教えてあげますよ。」

 

また、何も無いところから軍刀を取り出して構える。

ただの軍刀ではない、純度0.00%の不純物を含まない超純水の軍刀。形状をその時時で変化させる特殊な軍刀だ。

 

「いきますよ。」

 

私は走り出すと同時に瞬道で渡辺先輩の真後ろまで移動した。

軍刀を振って

 

「・・・・・・何を?」

 

「陰陽術と掛け合わせてみたのですよ。謳え、言水」

 

すると、突如先輩の身体から水分がブワッと溢れ出し、暴れ出す。

 

「捕縛向きの魔法です。尤も、当てないといけないのが難点ですが、こっちでも出来るのでいいでしょうね。」

 

そういって、私の頭上に出て来た多数の魔法術式

それは、七草の十八番魔弾の射手を連想させるものだった。それも追尾性を持った質の悪い代物

渡辺先輩が完全にダウンしたことで、白星が付いたのだった。

 

「普通、先輩に本気だすか?」

 

「これでも、弱い方ですよ。本気だしたら、先輩消し飛んじゃうもの。それより、びしょぬれになってお色気満載の渡辺先輩」

 

「誰の所為だ!誰の!」

 

「すみませんがじっとしていてくださいね。(サラマンドラ、お願いよ)」

 

お隣さんのサラマンダーにお願いして、一瞬で乾燥機から出した衣服のようにホカホカになる先輩と制服。

何が起きたのか、私と智世以外は理解出来ていなかった。

 

「な、なにが起きたの?」

 

「いや、わからない。魔法の発動もなにもなくていきなり。」

 

「輝夜、あまりそれ使わない方がいいんじゃない?それに此処に約1名、見えているように見える人もいるみたいだし。」

 

「えっ!?」

 

智世に言われ、見えているとされている人・・・達也を見ると、私の肩にいるサラマンドラ

を凝視していた。

 

「達也?見えてる?」

 

「ん?あ、ああ。何もないところから現れたものだからつい、な。」

 

まさか達也が見えるなんて思ってもいなかった。

 

「かなり問題なんですけど。」

 

「そうなのか?」

 

自分がどういう立ち位置にいるのか把握していない様子。

この様じゃ、自分の能力も分かってないかも?

 

「後で、家に来てもらえる?」

 

まさかの妖精見えてます、が此処にいて智世もびっくり

斯く云う私も驚きを隠せない。

取り敢えず、その後私と智世、達也の風紀委員会入りが決まった。

 

「ところで、輝夜は誰に師事してもらっているんだ?」

 

「へっ?リチャード叔父さんだよ。」

 

「リチャードさん?・・・・どんな人なの?」

 

「リチャード・・・・・リチャード・・・・・・・。」

 

会長や委員長、副会長らが黙り考え込む。

まあ誰なのか言わないと知るよしもないか

 

 

「リチャード・K・ブラッドレイ。元イギリス陸軍元帥だよ。」

 

さらっと、師事している人のことを言ったら、一同目を真ん丸にさせていた。

 

「その人!世界最強剣士の一人!!」

 

「うん、らしいね。」

 

「らしいねって・・・」

 

あきれ顔になる渡辺先輩だが、

 

「最近、老いてきたなんて言っているけど、氷山を真っ二つにしてどこが老いているのだか?」

 

呆れたように言うわたしに黙ってしまったようだ。

本当、伊達に一人旅団なんて言えるほどだもんね。最近陸軍最高顧問として抜擢されて、いざという時に、RAINBOW部隊を率いて展開できるようにしたなんて、もう少し別の事に向けて欲しいな。

 

 

智世はというと、事務能力が高いこともあり、達也と風紀委員会室の片づけと書類整理をしていた。黙々と作業していき、委員長の机にどっさりと書類が置かれる。

 

「これ、先輩の配分です。早速ですがお願いしますね。」

 

無情の宣告に事務能力皆無の渡辺先輩はガックリと肩を落としていた。

淡々としているけど、智世は気付いているかな?達也に向ける感情が私の時のように仲間を見つけたって感じなのを

まあ、笑顔で居る智世はいいのだけど。

 

 

 

「ハヨースッ!本日の巡回終わりやした。」

 

「・・・あれ、此処本部だよな。」

 

其処に来訪者、威勢のいい声と共に入ってきた。

どちらも男子だ。

 

「ところで、この部屋は姐さんが掃除したんですか?」

 

渡辺先輩が、何を思ったのか冊子を筒状にして

 

バシンッ!!

 

男子生徒の頭を小突いた。

 

「姐さんは止せと言っているだろうが、鋼太郎!お前の頭は飾りなのか!?」

 

「何回もポンポン叩かないでくださいよ委員長」

 

鋼太郎と呼ばれた男子生徒は、渡辺先輩から視線を逸らし、事務仕事を続ける達也をジロジロ見て来た。

 

「新入りですか?紋無しのようですが・・・」

 

「辰巳先輩!その表現では禁止用語に抵触する恐れがあるかと。この場合は二科生と言うべきかと」

 

「お前らな、そんなんじゃ足元すくわれるぞ。此処だけの話だがな、さっき服部がすくわれたばかりだしな。」

 

「ほう。」

 

「それはそれは。」

 

驚いたように言う男子生徒2人

 

「は?」

 

「一科生と二科生でやれブルームだやれウィードだ、そんなのはっきり気にしてないんだ。実力があるならそいつは逸材だからな。」

 

「そういうことだ。二科生の君にしては意外だと思うだろうがな。」

 

達也も、私も意外に思った。この2人もそういう風潮に感化されていないんだな。というのがよく分かったからだ。

大概の一科生はそんな馬鹿な風潮に感化されている。それを、現生徒会や風紀委員会、部活連は良く思っていないらしい。その風潮を壊す為に動いているのだとか。

 

「3年の辰巳鋼太郎だ。」

 

「2年の沢木碧です。」

 

「1年の司波達也です。よろしくお願いします。」

 

「ああ、宜しくな。それで、委員長。そっちの2人も・・・ですか?」

 

「ああ、三千院輝夜と羽鳥智世だ。どちらも逸材でな。羽鳥には事務処理を任しているんだが、早速仕事が来ていてだな。」

 

「辰巳先輩と沢木先輩ですね。1年の留学生、羽鳥智世です。こちらが御二方の処理する書類ですので、今日中に仕上げてください。」

 

「え!?今日中!?」

 

「そうですよ、達也も輝夜も私も仕事は終えたので後は委員長の確認だけです。」

 

「「「・・・・・・・・・・」」」

 

開いた口が塞がらないというのは、正にこういうことをいうのだろう。

2人とも手渡された書類(厚さ20cmの本並)を見て、後輩が既に終わらせているのに帰るわけにも行かなくなったのだろう。与えられた席に着いて仕事を始めた。

 

「さて智世、達也。仕事も終わったし、深雪さんを拾って行く?」

 

「そうだな。智世さんはいいのか?」

 

「うん、一応専門家がいるから見てもらうに越した事は無いし。だけど、他言無用だからね。」

 

「分かった。じゃあ、正門で待っていてくれ。」

 

そう言った達也は生徒会室に向かって歩き、私と智世は正門に向かって歩いた。

 

「?・・・どうしたの?」

 

「いや、嬉しそうだねって思って。」

 

「え?そんな顔をしてた?」

 

「してた。」

 

嬉しそうにしている智世の顔を見ながら撫でると気恥ずかしそうに縮こまる智世

そんな智世を抱き抱え、いつものようにしようとしたが、一目があるので止めた。

正門前に出ると、何故か何時ものレクサスが3台止まっていた。いつもなら立川駅で乗り込む予定だったのにっと考え込むと智世が

 

「私が事前に呼んどいたの。達也のこともあったから。」

 

「そっか。けど、そういうことなら先に教えてほしいなぁ。」

 

智世のほっぺたを引っ張りながら言うと

 

「ゴペンナサイ。」

 

そうこうしていると、達也が深雪さんと一緒に来た。

 

「悪いな、会長に絡まれてな。」

 

「いいよ。別に、ささ乗って乗って」

 

「これ・・にか?」

 

「うちの送迎だから問題無いよ。」

 

「そうなのですか!?」

 

「護衛は全員元特殊部隊だから無問題。護衛には学友と伝えてあるから大丈夫だよ。」

 

4人はレクサスでは乗れないのでランドクルーザーに乗り込み、実家へと車は走り出した。

4人が下校した頃学校では

 

 

「どうだ?あの2人とは」

 

「駄目ね、かなり警戒されているわ。」

 

「初対面のはずじゃなかったのか?」

 

「いいえ、どちらかというと十師族そのものに嫌悪感を出しているわ。それに、『あのこと』も知っていたわ。」

 

「どういうことだ?」

 

「『あのこと』に関わっているのは間違いないわ。けど、政府じゃどうにもならないレベルからのお達しじゃ私たちがどう足掻いても無理だわ。

十文字君、あの2人に関して何か分かった?」

 

「その様子だと、七草もか。」

 

「ええ。完全に記録が抹消されていたわ。イギリスの方にあるデータを調べようとしてみたけど、かなり上位の人じゃないと見れないようになっていたわ。」

 

「今は、保留とするしかないな。相手が何者か分かったものではないからな。」

 

「そうね、今日分かったことだけど、三千院さん、リチャード卿の手解きを受けていたみたい。状況から見て庇護下にあると見ているわ。そうすると、恐らく羽鳥さんも」

 

「だろうな。羽鳥家に関してはごく普通と思っていたがそうでもないな。」

 

「ええ、十師族に匹敵していてもおかしくないわ。けど、それも消されていたわ。まるで意図的に消されているかのようだわ。」

 

「それなんだが、どうも親父達にきな臭い動きがある。恐らくその関係だろうとみている。」

 

「今は、静観している方が良さそうね。」

 

第1高校で、十師族の2人が話し合いを続ける。しかし、2人は気付かない。

機器を通して2人の会話を聞く者を

まさか、第3者に会話内容を聞かれているとは思ってもいないだろう。

 

 

第一高校の通信機器を介した盗聴により、全ての会話を聞かれていることも知らずに2人は去って行った。

それを盗聴していた勢力は・・・

 

「成る程、情報通りだな。スレイ・スピカの警備は厳重だ。スレイ・ベガを狙う。」

 

「どちらも厳しそうだが?」

 

「ふん、スレイ・ベガの警備は、スピカほどじゃない。やれば一瞬だ。」

 

「何時にする?」

 

「計画の日にどさくさに紛れて行おう。引っ張って来て俺に会わせれば後は問題無い。」

 

 

裏で進行する計画。

手出しする相手がいかに強大か理解していないキャットはジャッカルによって消されるのだ。

 

 

 

 

 

 

達也と深雪を家に招待して、家には義父のリチャードと本家(エリアスの家)のシルキーが出迎えてくれた。

リチャードには既に事を伝えてあるため、専門家(エリアスとティターニア、オベロン)が先に家を訪問していた。

 

「へぇ、君が話に聞いていた子かぁ。」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

達也も深雪もびっくりしていた。恐らく、見えるだけあって、妖精王の姿に唖然としているのだろう。

現代では有り得ない姿をしているのだから。

 

「エリアスも大分成長したものね。これもチセとカグヤの御蔭かしら?」

 

「そうでもないですよ。エリアスも暴走することが少なくなりましたし。少なからず、2人で進展もありましたから。」

 

「か、輝夜。」

 

「へぇ~、で、子供はいつになりそう?」

 

「妖精王オベロン、気が早すぎます。最低5年は待ちませんと、智世の身体が持ちませんよ。」

 

「おい、それはどういうことだ?」

 

「エリアスのことだからイチモツも大きいのでしょう?」

 

輝夜が指摘し、ティターニアが問うと、2人は顔を真っ赤にさせた。

客人がいるのに、いつもと変わらない他愛のない会話を続けていたが

 

「これこれ、客人の手前だ。そこらへんにしないか?」

 

「それもそうね。智世の可愛らしい顔が見れたから良しとしますか。」

 

「ごめんなさいね。いつものことだから」

 

「あ、ああ、いや、気にしなくていい。」

 

「さて、話を始めるとしますか。」

 

皆がソファーに着いて、いざ始めると言う時、深雪が気付いた。

 

「あの、そこの鳥は一体?」

 

「ああ、今回急だったから来てもらう予定の人は現地(学院)にいるんだ。アドルフさん。」

 

「ああ、漸くかな。そして初めまして、こんな形で申し訳ないけど、アドルフ・ストラウドだ。君が達也君で、そちらが深雪さんかな?」

 

「はい、自分が司波達也です。こっちは妹の」

 

「司波深雪です。」

 

「よろしく。2人に申し訳ないけど、そちらの状況はそこにいる鳥の視覚を通して見ているから安心してね。じゃあ、始めようか。」

 

「そうだね。司波達也だったねぇ。ところで聞くけど人の子がなんでそんなに感情が無いんだい?」

 

オベロンの指摘は的確だった。いや的確過ぎた。指摘を受けた達也は、驚きながらも

 

「それは・・・」

 

「人の子成らざる者でもある程度の感情はあるものなんだけどねえ。これは・・・無いというより封印しているのかな?」

 

「それは、どういう・・・何故そんなことが」

 

「妖精王オベロンは、そういうところは鋭いからね。私も気になってた。どうして、そこまでポーカーフェイスを保てるのか?って、」

 

「うーん、どうやら人間も愚かさを増してきたみたいねぇ。」

 

「どういうことだい?ティターニア」

 

何かわかったのか、ティターニアに問うオベロン

 

「ねぇ、達也くん。貴方、人体魔法実験を受けていたわね。」

 

「「「「!?!?!?!?」」」」

 

「それは?どういう意味ですか?」

 

「そのままの意味よ。」

 

「なるほどねぇ、ちょっと調べさせてもらったよ。」

 

オベロンが一瞬魔法を使ったと思うとそこから何か情報を得ていた。

 

「人工魔法演算領域・・・ねぇ。やったのが誰なのかは分からないけど。私たちが見える原因はそこかしら?」

 

「だが、それなら深雪嬢も受けたことになるだろう。そのような形跡は他の者達(妖精達)から無いと聞いているが。」

 

「スレイ・ベガと似た能力はあることが分かっている。こちら側の人間にも居るし、大概の魔術師は見えるからね。達也君も深雪さんもその才があると見てもいいんじゃないか?」

 

「まぁ、人の子がすることはタカが知れているけど、今回の場合人為的か若しくは後天性のナニカと見るべきだろうね。」

 

「あの、スレイ・ベガってなんですか?」

 

深雪さんがスレイ・ベガについて聞いて来る

 

「・・・話しても大丈夫?それ、」

 

「・・・他言無用であるなら、」

 

「それほどのことなのですか?」

 

「そうね、国家レベルに相当するけど・・・そこに居る智世がそうだし。」

 

「え・・・智世が!?」

 

当人である智世は、シルキーに寄り掛かって寝ていたけど

 

「魔力の生産と吸収に極めて長けた存在・・・なんだけど、常に生産と吸収を無尽蔵に行う所為で、短命なのよ。」

 

「・・・なんとかならないのか?」

 

「智世は既に問題無い。けど、短命である反面、無尽蔵に魔法を生産して魅了されるから妖精さんたちから『愛し仔』と呼ばれているわ。」

 

「それは貴女も同じでしょうに。」

 

部屋に第三者の声がした。すると智世が、

 

「エアリエル」

 

窓から風と共にやって来た風の妖精、智世の隣人エアリエル

 

「貴女だって、スレイ・スピカじゃないの。ねぇ海の愛し仔さん。」

 

「私の場合、智世よりあれこれ呼び名があるでしょう?智世は夜の愛し仔、私は、海の愛し仔、ヘーミテオス、ラインオブレインボー・・・だっけ?あれこれ付けられて一々覚えちゃいないのよ。」

 

「その分狙われているしね。」

 

「そうね、けど、達也ことがバレないかしら?」

 

「バレるって何が?」

 

「魔法師で、妖精とかこちら側の住民の姿が見える人は殆ど居ないの。けど、居るとなればその人間を狙うわ。酷いときは、スレイ・ベガが捕まった時と同じく、酷使され使い潰されてしまうでしょうね。死ぬまで」

 

「だが、そんな組織は・・・」

 

「国主導の場合もあるから絶対はないと思った方がいいよ。」

 

「・・・そうか。」

 

「取り敢えず、此処でのことは他言無用で皆さんお願いしますね。」

 

「そうだな。かなり問題視されることだが、その時が来るまで静かに見ているとしよう。」

 

それでお開きとなった。既に夜となり、時間が時間だったため、シルキーお手製の夕食を達也と深雪も交えて食べて行った。

達也は相変わらずのポーカーフェイスを保っていたが、深雪が舌鼓を打ち、シルキーに料理を教わりにいくほど美味しかったらしい。

食後、家まで義父リチャードが車を出して送っていった。

 

 

 

帰り際にリチャード叔父の強さに惚れたのかどうかは知らないけど稽古を頼みこむ達也を見て隠笑いしていたのは秘密だけど。

 

 

 

 

 

 




はい、
達也と深雪はコチラ側へと引き込みました。
段々外堀を埋められていく対三千院派の十師族

達也は、リチャードと組手をしていつも相手してくれている八雲さんより強かったんご。
勢いでお願いしたらOKがでたそうで。時間が空いたら来ると良いと返事を貰い、静かに拳を握ってヨシとしていたのを隣人達が観ていたんですね。

達也もそのうちイギリスから目を付けられます。(←軽いネタバレ)
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