魔法科高校の劣等生 妖精に魅入られし愛し仔   作:アトコー

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取り敢えず、何時投稿出来るか分からないから連続投稿したね。


第8話 十文字と四葉と三千院

 

 

風紀委員会に入って最初の仕事、

新入生歓迎を含めた部活の新入生争奪戦

最初の3日間は、あまり出れなかったけど。

どこからか、伝わった成績表から私たち2人が執拗に狙われ、智世が争奪戦の火中に引きずり込まれ、一時護衛のSWATの人達を呼びだして緊急避難させる騒ぎが起きた。

物静かで気弱そうだと思ったのだろう。智世に群がる馬鹿共の数は多く、風紀委員会に所属しているにも関わらず引き抜こうと考える部活が多く、魔法を行使してまで智世を捕獲しようとした部活員を言水で、身体中の水分を暴れさせ、地上で溺れさせて捕縛することとなり、多数の逮捕者が出た。

また、1日目に1科生の違反者を捕らえたことによって目立ってしまった達也を攻撃やいあやがらせをする生徒が後を絶たず、十数人が逮捕され、何人かが懲罰委員会へと送られていた。

 

 

それから、クラブ勧誘合戦とも新入生争奪戦とも云う期間が終わり、

普通の日常が戻りつつあった。

智世は相変わらず、図書館に足を運び、現代魔法に関する本を借りては読み、返しては読みを繰り返していた。物静かではあるが、一部の風紀委員からは不評らしい。尤も、仕事はしっかりとこなしているので、あれこれ直接文句は言えないようだけど。

非番の時は、尚更図書館に入り浸り、いつしか本の虫だとか、歩く辞書だとか言われるようになっていた。

智世の行動をオウカに護衛を任せ、私は一人RAINBOWを動かしてある組織の調査を行っていた。

巡回中に見つけたトリコバンドをした学生が何処に所属しているのか、場合によっては排除しなくてはならないからだ。

 

『ミス三千院、分かったぞ。』

 

「何処の組織?」

 

『エガリテという組織だが、これは下部組織だ。その上にブランシュがある。』

 

「それって、前に言ってた・・・」

 

『ああ、反魔法国際政治組織だ。日本にその支部がある。しかもかなり近いところにな。』

 

「問題ね。」

 

『ああ、どうする?』

 

「今はまだ泳がせておきましょう。何かすれば、SWATとSATを投入して片づけます。」

 

『了解、日本各地にある支部はどうする?

 

「把握しているの?」

 

『ああ、後2か所あるが・・・どうする?どちらも山の中の廃鉱山に基地を構えているが、』

 

「爆撃航空隊に連絡、グラインドバスターの使用許可。2か所は此方の強襲と同時に攻撃する。」

 

『了解したよ。準備する、ところで最近はどうだ?』

 

「エコー、これ以上は怪しまれる。どうかと言われたなら順調だとしか言えないよ。智世にはオウカが付き添うようにしている。殆どの人には見えないようにしているし、自ら姿を現さない限り問題ないわ。」

 

『オウカが?いつも暑苦しい鎧を纏ってか?』

 

「流石にそうではないよ。ラフな格好でいるから安心して。じゃあ、帰りにね。」

 

『了解。』

 

エコーとの念話を終え、木陰から出て行き本来の巡回に戻った。

期間中、言水を用いた捕縛を行ったためか、前科持ちの生徒たちは私を見るだけでそそくさと逃げていく。それは1科生に限らず2科生もだが。

学校内は、広い。

そんな巡回中に、出会いたくない人を見つけてしまった。

 

「三千院か。」

 

「十文字克人」

 

幸い、木々に2人が隠され周りに見えないようになっていた。

溢れ出ようとする殺意を抑えつつ

 

「なにか?」

 

「此処には・・・慣れたか?」

 

「本題を先に言え。私は貴様如きに構っている暇は無い。」

 

「・・・・・、お前は何故戻ってきた?」

 

「ケジメと付けるためだ。日本にやり残したことがあったからな。」

 

「ほう、それが十師族との対立とどうつながる?」

 

「それは、貴様が調べ上げろ。貴様の爺共は良く知っているだろうからな。」

 

「なに?」

 

「貴様らは、爺共の火消しを押し付けられたに過ぎんだろうな。我々が今後日本で何をしようが、貴様ら十師族は止めることが出来ない。いや、止めさせない。」

 

「・・・・・・」

 

十文字が反論する前に私はさっさとその場を去った。

 

風紀委員会室に戻ってきた私を待っていたのは心配そうに見て来る智世だった。

 

「大丈夫?・・・輝夜が怒っているのが分かったから・・・って、輝夜、手・・・」

 

どうやら、私は知らずの間に握りすぎて血を流してたらしい。

智世に言われるまで気付かなかった。

 

「あ、あ~、ちょっとね。」

 

「ちょっとじゃないって、其処座って、見せて」

 

智世に促されるまま、椅子に座り手を智世に見せるとそのまま治療系の魔法を私の手に掛けた。

流れ出た血は消え、傷口も無かったかのように掻き消えた。

 

「ありがとう。」

 

「輝夜は抱え込みすぎなんだよ。もう少し私にも頼っていいんだから。」

 

「ええ、けどこればかりは智世には・・・」

 

「こっちに戻ってきた以上覚悟してるよ。・・・それなりに」

 

「分かった。じゃあ、先に言っておくと、近々この高校で事が起きる。」

 

「事が?どんな?」

 

「1科と2科の差別については知っているでしょう。2科の一部生徒が汚染されているの。詳しい話は家でするよ。」

 

「分かった。そろそろ切り上げるね。」

 

先に上がりますと置手紙を置き、私は智世と校門に向かった。

最近は達也とか深雪の友人達に会わないけどどうしたんだろうか?

そう思いながら、校門に向かった矢先、ばったりとさっき考えていた友人達が居た。

 

「あ、ヤッホー。」

 

「エリカ」

 

「ねえねえ、あそこにいるのってSWATだよね。」

 

「良く知っているね。今は無い組織なのに。」

 

「昔のアメリカの警察の特殊部隊でしょう。なんでこんなところにいるのかなぁって」

 

「レオも同じ?」

 

「ん?ああ、さっき止まってからずっとこっちを見ていたからな。」

 

「まあ、そんなこともあるよ。アッシュ、お疲れ様」

 

「うぇ!?」

 

さりげなーく友人と話しながら、護衛の一人に声を掛けた。

あ、智世が笑ってる。ん?レオを見て?

 

「プファッ」

 

スゴイ、びっくりした顔になってる。鳩がブリーチング弾を食らった時の顔みたい。

 

「輝夜、鳩がブリーチング弾を食らったら死んでしまうよ。」

 

「おいおい、其処は豆鉄砲だろう。」

 

「それよりも三千院嬢、羽鳥嬢、お迎えに来ましたよ。」

 

「いつもご苦労様です。ではお願いします。」

 

 

私たちが車に乗り込んで去った後、

嵐が去った後のようになったところに司波兄妹が現れた。

彼等は司波兄妹に2人について話すと、既に知っていると聞かされ驚いていたそうな。

そして、最も驚いているのが千葉エリカだった。

 

エリカは家に帰ると、道場に居た兄に問い詰めた。

最初なにを言っているのか分からなかった寿和だったが、FBISWATの単語が飛び出して眉をひそめた。

 

「エリカ、FBISWATは当の昔になくなった特殊部隊だぞ。あるわけないだろう。」

 

「イギリスからの留学生の護衛にFBISWATとSATがいたのだけど。」

 

「んなまさか。居たら居たでかなり問題になっているはずだが、ちょっと待て。調べてみる」

 

そう言って調べに言った寿和は案外早く戻ってきた。

 

「エリカ、恐らく彼らはRAINBOWだ。」

 

「RAINBOW?」

 

「第3次世界大戦後、各国が特殊部隊を切り捨てた時にイギリス主導で作られた特殊部隊のみで構成された組織。それがRAINBOWだ。

彼等の実力は、対魔法師戦には弱いとされていたけど・・・・・」

 

「そうは見えなかったよ。だって、全員完全装備だったし。隙が一切なかったし。」

 

「・・・・・・ああ、2年前にUSNAの軍の特殊部隊から脱走者が出て、イギリス大使館で立て籠もる事件があったんだ。」

 

「それって。」

 

「ああ、魔法至高主義を粉々にした事件だ。

投入されたRAINBOWの部隊によって立て籠もった魔法師8人が全員射殺という結果で終わった。立て籠もった魔法師が特殊部隊内で1、2を争うような存在の集まりだったにも関わらずな。しかも皮肉なことに、鎮圧に当たったRAINBOWの部隊。

デルタフォース、ネイビーシールズのみで構成されていた事と、脱走兵の所属先が元は同じだったことだ。」

 

2人が話していると襖が開いた。

 

「なんだ、2年前の事か。」

 

「親父」

 

入って来たのは千葉家当主千葉丈一郎だった。

 

「RAINBOWに関して、何もするな。」

 

「どういうこと?」

 

「あいつらは・・・別格だ。少なくとも、魔法があるから勝てるなどと生易しい相手じゃない。」

 

「親父、戦ったことがあるのか?」

 

「いや、戦闘をみたことがある。」

 

思い深ける丈一郎だが、目付きは鋭い

 

「だが、どこからそんな話になったんだ?」

 

「エリカがSWATを見たのだとさ。しかも友人の護衛として」

 

「護衛?そんなわけないだろう。あいつらが今此処にいる理由が分からんな。」

 

「友人がイギリスからの留学生なんだとよ。その護衛にRAINBOWが関わっているのだとよ。」

 

丈一郎は、その言葉を聞いてエリカに聞いてきた。

 

「その留学生とやらは誰だ?」

 

「え!?確か三千院輝夜と羽鳥智世だけど。」

 

「どちらも日本人じゃないか!?」

 

「いや、・・・そうか。分かった。エリカ、2人に接触して出来る限り情報を引き抜け」

 

「なんで私がそんなスパイ紛いなことをしないといけないのよ!

あたしよりも余るほど手下がいるでしょうが!」

 

「エリカ!」

 

「交友関係を崩したくないの、勝手にやって。」

 

エリカは、席を立って自室に向かう。

丈一郎は、追う事もせずそんなエリカを見続けていた。

 

 

 

所変わって

 

 

 

司波家の家にて

 

「こんな夜に突然すいません、叔母様」

 

テレビ電話で画面に映る黒いドレスを着た女性

 

「あら、入学祝いの日以来ね。深雪さん、達也さん」

 

「叔母さま、三千院の方を知っていらっしゃいますか?」

 

「深雪さん、何故それを知っているのか教えてもらえないかしら?」

 

「実は・・・」

 

達也と深雪は、事の経緯を話すと叔母と呼ばれた女性から

 

「そう、生きていたのね。」

 

「知り合い・・・ですか?」

 

「ええ、昔よく喧嘩したものよ。いつも私が負けてたけど」

 

達也と深雪は愕然とした。

まさか、極東の魔王などと称される叔母に勝つ人がいたなどと。

 

「羽鳥さんとはそんなに仲が良かったわけじゃないけど、同日に3人とも死んでいるなんて思いもしなかったわ。せめて遺体だけでも回収して丁重に葬ってあげたかったけど、誰かが関わっているのは確かね。」

 

「出来なかったのですか?」

 

「ええ、回収に向かわせた時にはどちらもね。

達也、深雪、恐らく2人はケジメを付けに日本に戻ってきた可能性があるわ。断言できる。」

 

「ケジメを・・・ですか?」

 

「ええ、彼女三千院輝夜にRAINBOWが付いていることは知っているでしょう?

日本近海の島に拠点をおいて動いているものと考えられるからね。

十師族に与えられた裏の権限の全面撤廃は彼女も関わっているものだと考えているわ。」

 

「輝夜さんも?」

 

「達也、三千院家と親しいのは何か知っていますね?」

 

「・・・・・皇家。」

 

「そう、私の詠みでは皇家も一枚関わっているものと考えています。」

 

「それって、・・・」

 

「ええ。ですから四葉の方針を貴方達にも伝えておきます。

四葉家は、羽鳥・三千院家に味方するものとします。」

 

2度目の驚愕が2人を襲った。

まさか、四葉家そのものがあの2人に関わるなど思ってもいなかったからだ。

 

「今は、普段通りでいいわ。そのうち分かる事でしょうし。」

 

「叔母様、それでは四葉家が・・・」

 

「ええ、孤立しかねないでしょうね。達也のことも見抜かれているわけですし。

十師族として、三千院家と戦ったところで勝てる自信は無いものね。」

 

「そんなことはありませんっ!」

 

「深雪」

 

深雪は叫んだ。いつもに増して弱気な発言をする当主に対して叫んだのだ。達也も、深雪が言おうとしていることが分かりながらもどちらの味方をすればいいか迷っていた。

 

「深雪さん、いい?三千院家のバックにいるリチャード家、英国魔術師協会、イギリス連合王国を相手に例え十師族が挑んでもかてるものじゃないの。それに、これは私個人の復讐でもあるのだから。」

 

「復讐・・・ですか?」

 

「達也さんに深雪さん、親しい人が同じ十師族に殺されて黙り続ける私じゃないの。

例え相手がなんであろうと、私個人のみでやろうとしていたことよ。

けどね、分家の人達は後に続くって言いだしているの。

巻き込みたくないのだけど、少なからず三千院由香梨と三千院雷造は影響があった。

仇を取りたいという思いは一緒なのよ。」

 

「・・・、分かりました。ならその時は私も呼んでください。」

 

「自分も、少なからず今は輝夜の世話にもなったりしましたから。」

 

テレビ越しではあるが、2人の子供の決意表明を耳にし、目にして、

 

「分かりました。その時はお願いしますね。達也、深雪。」

 

 

 

 

更に変わって、イギリス本国

王国陸軍中央会議室

 

 

 

「それで、日本の近況は?」

 

「今のところ、政府の目ぼしい動きはありません。しかし、反魔法国際政治団体ブランシュに動きがあると警戒を強めているとのことです。」

 

「あの屑共か。」

 

「この前、テロを起こしかけた奴らだったな。だが彼等も運が悪い、マスタング大将が居合わせたのだからな。」

 

「偶々ですよ。それで、どうするんだ?」

 

「此処からはまだ動かん。それぐらいRAINBOWだけで対処できる。それに、動く前に何かやりそうだからな。」

 

「なら、その時の為に戦力を増強しますか。」

 

「ブリッグズ軍を回す。それで問題ないだろう。」

 

「北方軍をか?だが・・・」

 

「最近はきな臭い動きが日本軍にもあるからな。」

 

「そういえば、夏に九校戦という魔法大会をするらしいですぞ。」

 

「羽鳥殿はともかく、血の気盛んな三千院殿は出る可能性がありますな。」

 

「一度視察に赴くか?」

 

「そうだな。現地視察を兼ねて、準備するように。

マスタング、ホークアイ、グラン、3人は日本行きだ。準備しとけよ。以上だ!!」

 

日本行きを指定された3人の簡単な紹介。

ロイマスタング大将、王国陸軍西方方面軍司令官

リザ・ホークアイ大佐、王国陸軍西方方面軍司令官補佐

ベスページ・グラマン大将、王国陸軍東方方面軍司令官

 

指名された3人は、了解しましたと返答するとそれぞれ行動を開始した。

準備と言っても時間はあるため、そんなに焦る必要はない。しかし、一時的に離れる為、部下へと引き継ぎに時間を要する。その為、さっさと車に乗り込み各方面軍司令部に向かったのだった。

 

 

 

 

 








四葉家、三千院家派に回る。

これだけでも、十師族は大きな痛手だと思うのですけどね。七草にまだきな臭いものがありますからね。

ではまた

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