前席に座っていた2人は移動中とても楽しそうに会話をしていた。
僕はというと、微笑ましいその様子を眺めつつ、朝から変に起こされて疲れてしまったのか、うたた寝をしながら走る車に揺られていた。
ーー気がつくと車は駐車場に停まって。
ふあぁ…。
口元を手で抑えながら大きなあくびをしていると、前の2人がニヤニヤしてくる。
主人公「?」
主人公「ごめんね、僕ずっと眠っちゃってて。」
カナン「うふふ、ゆっくり眠れた?」
主人公「うん、快適だったよ。」
主人公「上手いんだね、運転。」
カナン「まあ、それほどでもないよ♪」
頬を染めて照れながらも、腕を組んで自慢気なカナン。
チカ「いいな~私も主人公君に褒められたい…。」
カナン「ふふふ♪じゃあ帰りはチカが運転しなよ♪」
チカ「車もなければ免許ももってないよ?私。」
主人公「チカちゃんが運転かあ~…。」
頭に少し思い浮かべてみるが…。
主人公「…う~ん。」
チカ「なにそれ!ひどい~!!」
主人公「まあ、まだ免許も持ってないんだからわかんないよね、僕もだし。」
主人公「とにかく、着いたんだったら行こうか。水族館。」
チカ「…そうだね。うん!」
主人公「ありがとう、カナン。」
チカ「カナンちゃんありがとー♪」
カナン「いえいえ。」
僕らは車を降りて。
チカ「じゃあわたし達、行ってきまーす♡」
カナン「いってらっしゃい。」
手を振るカナンに見送られて、水族館の方へと向かう。
歩いていると、チカちゃんが僕の手元に手を出してからこちらを見る。
手、繋ぎたいんだな…。
チカちゃんの手に重ねるように僕の手を前に出すと、チカちゃんはその腕を抱くようにして、くっつく。
可愛い…。
お昼の時間も近かったので、早めのお昼ご飯を済ませてから。
エントランスルームへとついた僕らは、チケットを買って順路を歩んで行く。
暗がりの空間が広がる水族館はムードがあって、とても居心地が良いーー。
…のだが。
なんだろう、またまた違和感。
すごく視線を感じる…。
間違いないーーカナン。
どうやら僕らのことをつけてきているようだ。
どうしよう…。
あえてスルーするというのも手か…。
チカ「うわ~。変わったお魚。」
あー…。
主人公「えっと、それは確か…。」
カナン「ーーー、だね。」
カナンは魚の解説をぺらぺらとしゃべり始める、…まるで音声ガイドのように。
チカ「へ~。詳しいね~!」
チカ「ってぇ!?カナンちゃん…?」
カナン「やっほ♪」
チカ「やっほ♪じゃないよ!」
チカ「私たち2人でデートしてるんだよ…?」
カナン「私は水族館を久しぶりに回りたかっただけ♪」
チカ「も~!カナンちゃん~!!」
カナン「というわけで、せっかくだからさ、私も混ぜて♪」
チカ「うぅ…他でもない”今日”という日に限ってこんな仕打ちをしてくるなんて…。」
カナン「仕打ち…ね。」
カナン「…まあ、こんなことするのも”今日”という日だから、なんだけど…。」
チカ「何か言った?」
カナン「ううん。何も。」
…複雑な気分だ。
主人公「…まあ、なんていうか仕方ない…んじゃない?」
主人公「ここまで車で送ってもらったりもしたわけなんだし。」
チカ「うーん…。」
主人公「この間チカちゃん”カナンちゃんとも一緒に遊びたいね。”って言ってたでしょ?」
チカ「そうだけど…。」
主人公「だったら、3人で仲良くしようよ。」
チカ「…そっかあ、仕方ないなあ。」
チカ「じゃあ一緒に回ろっか、カナンちゃん。」
カナン「ありがと、チカ♪」
カナンはチカちゃんをハグしてからあやすように撫でる。
するとチカちゃんご満悦…。
チカ「よ~し!じゃあ気を取り直して~♪」
カナンを離れたチカちゃんが僕の右腕にキュッと抱き着くと…。
左腕にもギュッ…カナンがーー。
主人公「わっ!?」
チカ「…ちょっと、カナンちゃん?」
カナン「ん?」
チカ「何それ、おかしくな~い?」
カナン「おかしい?何がかなん?」
チカ「とぼけても無駄だよ!なーんで主人公君の腕を抱いてるの!」
主人公「チカちゃん…お静かに…。」
カナン「え?ダメ?」
チカ「ダメだよ!イエローカード!!二枚!!」
カナン「それレッドカードじゃん。」
チカ「そんなことどうでもいいの!」
カナン「…どうでもいいんだ。」
主人公「ちょっと、2人とも…。」
チカ「とにかく離してよ!主人公君は、私のものなんだから~!!」
カナン「うふふ♪嫌だっていったら?」
主人公「カナンってば…。」
チカ「カーナーンーちゃーん!!」
カナン「ーーー♪」
チカ「ーーー!!!」
ーー嗚呼、雰囲気のいい…薄暗い水族館。
そんな中で…なんだろう、うん。
とにかくすごく恥ずかしくって、周囲の視線が痛かった…。
僕は板挟みになってなすすべなく、ただただ放心状態で虚空を眺めていた。
ーー。
カナン「ごめん、つい…意地悪が過ぎちゃった。」
チカ「私も熱くなっちゃって…、ごめんなさい。」
主人公「気にしないで、反省してるならそれでいいよ。」
あの後、さすがに騒ぎすぎた僕らのもとに水族館のスタッフさんがやってきて。
注意を受けた僕らは頭を冷やすためにいったん館外へと出ることにした。
3人、水族館外の公園を歩きながら。
主人公「そうだ、あっちに売店あったし。」
主人公「そこで一息つこうよ。」
ーー。
チカ「わあ〜色々あるよ、あっソフトクリーム!!」
主人公「いいね、買ってこようか。」
チカ「ううん、主人公君は待ってて♪」
カナン「はーい。」
チカ「カナンちゃんは私と行くの。」
チカ「さりげなく主人公君と2人きりになろうとしないでよ?」
カナン「あはは、バレちゃった。」
2人はソフトクリームを買いに行き、僕は席を確保して待っていた。
しばらくすると、チカちゃんが満面の笑みでソフトクリームを両手に戻ってきて。
チカ「はい、どーぞ。主人公君♪」
主人公「ありがとう。」
ソフトクリームを渡してくれたチカちゃんは、何かを期待しているかのようにモジモジ。
頭を少しこちらに傾けるようにしているので、これは…と思って。
その頭を撫でてあげるとすごく喜んだ。
チカ「えへへ♪」
カナン「ふふ♪チカは可愛いね。」
チカ「だって~私も褒められたかったんだもん♪」
主人公「褒めるっていうか…なんだろ、これ。」
チカちゃんの頭を撫でながらーー、ソフトクリームを食べる。
すごく甘いーー。
ーー。
カナン「あ、主人公君ストップ。」
主人公「ん?」
ソフトクリームを食べているところを止められて、何事かと思ったら。
カナン「動かないでね、ふふっ♪」
ハンカチをもったカナンの指が僕の鼻先に触れる、付いてたか…。
チカ「あ゛あ゛ー!!!」
すごい声をあげてチカちゃんが驚愕。
カナン「主人公君って意外とこういうとこあるよね。」
チカ「油断も隙もあったもんじゃない…!!」
主人公「あはは…、ありがとう。」
憤るチカちゃんを横目にみると、こっちにもーー。
カナン「もー、チカもほっぺについてるよ?」
チカ「…え?本当?とってとって?」
頬を差し出すチカちゃん、その頬をカナンはハンカチで拭いてあげる。
カナン、すごく優しい顔してるーー。
主人公「2人はさ、なんだかまるで姉妹みたいに仲が良いよね。」
カナン「ふふふ♪まあね、伊達に幼馴染してないって事かな。」
チカ「…今日はカナンちゃんに意地悪されるばっかりだから、私は怒ってばかりいるけどね。」
ぷりぷり怒るように不満を呈するチカちゃんを、カナンはハグして宥める。
カナン「ごめんね〜、チカ。」
カナン「仲睦まじい2人をみていると、やっぱり嫉妬しちゃうからさ。」
カナン「ついつい意地悪したくなっちゃうわけ♪」
チカ「むー…。」
カナン「…それにやっぱり、主人公君のこと…全く諦めたってつもりにはなれないからさ…。」
チカちゃんを抱きしめたままのカナン、少し寂しそうな顔している。
カナン「…あんまり、物事にはこだわらないタイプだって、思ってたのにね~私。」
カナン「あははは。」
チカ「カナンちゃん。」
チカ「それでいいよ。」
チカ「主人公君のこと、好きなままで。」
カナン「チカ…。」
チカ「でもね?」
チカ「私はカナンちゃんに、主人公君を譲ろうなんて気は、全くないからね♪」
チカ「主人公君を好きって気持ちは、カナンちゃんにも絶対に!ぜーったいに負けないんだから♡」
チカ「えへへ♡」
そういってチカちゃんは僕のほうを見ながらVサインする。
あ〜…、ーー僕はとてつもなく幸せ者なんだな、…なんて。
カナン「ふふふ♪言ってくれるな~。」
主人公「…なんだか僕の立ち位置って、すっごい複雑なんだけど…。」
主人公「2人が”相変わらず”で、いられるようなら良かったよ。」
カナン「まあ、そうそう嫌ったりしないっていうか。」
カナン「私もチカのことは大好きだからね〜!うりうり!」
まるで犬をあやすようにカナンはチカちゃんを撫でまわす。
チカ「も~、くすぐったいってば〜♪ふふふ♪」
チカ「私もカナンちゃんだーいすき♡」
主人公「ふふふ♪」
微笑ましい2人、いいなあ仲良し。
チカ「でも、こんな関係になるだなんて。」
チカ「高校の時までそもそも恋愛なんて、私たちには縁遠いものだってしか思ってなかったよね~。」
カナン「うんうん。」
カナン「それこそバレンタインなんて、私たちでチョコをお互いに買ったりとかね。」
チカ「そうそう!」
チカ「あ~そうだよね、もうちょっとしたらバレンタインだよね。」
チカ「久しぶりに食べたいな~、ピーナッツ入りのハート型チョコ♪」
カナン「私もマシュマロのアレが食べたいな~。」
チカ「今年のバレンタインは~…、そうそう、忘れちゃいけない♪」
チカ「主人公君…期待しててね!ふふふ♡」
主人公「僕も逆バレンタインチョコでも用意しておこうかな。」
チカ「そうしたら、ホワイトデーになったら逆ホワイトデーも用意しなきゃだね~。」
カナン「ふふふ♪いいね、お二人さん。」
カナン「あーあ、こうやって話してたらやっぱり羨ましく思えちゃうな~。」
チカ「だったら、カナンちゃんもおいでよ。」
チカ「3人で~バレンタインパーティーしようよ♪」
主人公「それなら、バレンタインチョコはチョコレートケーキとかが良さそうだね。」
チカ「それいいね!」
カナン「あはは、でもさすがにしょっちゅうこっちに来るのは難しいかな~。」
カナン「…まあ、考えておくよ。」
チカ「うん♪」
ソフトクリームはとっくに食べ終えて、おしゃべりを楽しんでいた僕たち。
主人公「…さあて2人とも、そろそろ水族館に戻らない?」
カナン「ん、そうだね。」
チカ「うん♪」
席を立って再び水族館へと向かって歩き出す。
チカちゃんが僕の傍に寄ってきて、僕と手をつないでから。
チカ「カナンちゃんも、こっち来て♪」
チカちゃんはもう片方の手でカナンとも手をつないで、満面の笑み。
3人横並び、僕らは歪な関係だけど、お互いに皆仲良しで居たいから。
寄り添いあって、微笑みあってーー。
つづく。
今回のサブタイトル、少しドラマCD的なノリで付けました。
今回の内容はわちゃわちゃ~ですね(適当
意図せず書いているとカナンちゃん主体気味、チカちゃんがぷんぷんしてばっかりな内容になってしまう気がします。
チカちゃんのノリで会話文を組み立てることがやっぱり難しい、本当に何言わせていいのかわかんない気がしますね(
なのでわりとツッコミキャラっぽい立ち位置になってます。
もうちょっとチカちゃんに傾倒した話運びを書けるよう頑張ります…。
ちなみに最後のほうにでてくるバレンタインの下りはG'sにでてきたやつです。
不定期更新です~どのくらい続けるかわかんないです~とか、なんとかいいながら早速更新しちゃいました。
本編の文章に比べると半分程度のボリュームで仕上げているので、書いているとやっぱ早いですね~。
というわけで、この話(ep1)もあと一話でラストにしようかと思っているので。
また後程…ご期待ください。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
[数日間のみこっそりアンケート]ep2やっぱり…
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消したほうがいい
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残しておいて欲しい
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書き続けて欲しい
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筆者の好きにすればいい