Clash Royale〜戦いの旅〜   作:青空 優成

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出会い─ダイイチムラビト─

「えっと、ヨウ…この子は?」

オレにしっかりと付いてきてくれたリオは、何故かオレ達と一緒に居る少女の存在を気にかける。

「あの、突然ですいません…聞きたいことがあって…」

何やらおずおずと言った感じで少女は言葉を紡ぎ始める。

「その、金髪でツインテールをした小さめの女の子を見ませんでしたか?」

なにやら人探しを行っているようだ。

ただオレ達は今まで路地裏に居たので、その子を見てはいない。

「悪いが、見てないな…どうかしたのか?」

「はぐれた。とかじゃない…よね?」

「えっと、その───盗まれちゃって」

突然何か物騒な単語が飛んできた!

「え?盗まれた?何を?」

宝玉(トロフィー)を…です」

「「宝玉(トロフィー)??」」

「…え?あなた達…15才以上、ですよね?」

何やら驚いたような顔をしてオレ達に年齢を問いてくるが、リオを見てもオレを見てもどう考えても15才以上だ。

リオは「そんな15才以上に見えないかなぁ!」なんて小さく言って自分の身長を確かめている。

「オレもリオ──コイツも17才で、高校2年生だぞ?」

「コウコウニネンセイ?っていうのはなんのことか分かりませんが、17才なんですよね?それなのに宝玉(トロフィー)の事を知らないんですか??」

さっきから何にそんな驚いた表情をしてるのか分からないが、ついさっき初めて聞いた単語宝玉(トロフィー)については本当に分からないし知らない。ただのトロフィーなら知っているが。

「そんな───有り得ない」

「有り得ない…??」

「───あっ、いや、ううんなんでもないです」

正気を取り戻したようにブンブンと首を振る美少女。

完全になにかあるような発言だが、今はその事を置いておく。

「えっと、それで宝玉(トロフィー)って?」

「ごめんなさい、それについては今は説明してる暇がないです。とにかくあの子を追いかけないと…!!ありがとうございました!」

ぺこりと一礼をして、足早に去っていこうとする美少女…。

だがオレ達にとっては第1村人のような存在でそう簡単に別れられるものでもない。

なにより何も分からないこの世界であやむやに動くよりかは直感がこの子に付いてゆけと囁いている。

「あの!ちょっと待って!オレ達に何か手伝えることはないか?」

「───え?」

黒髪美少女は足を止めて、オレ達の方に振り向く。

オレ達も美少女の方に駆け寄って、事情を説明してみる。

「オレ達…変な話だがこの世界のことがよく分かってないんだ、だから君の悩み──盗まれて金髪ツインテールの子を探す。ってのを手伝うから、もし良かったら解決したそのあとこの世界について、詳しく教えてくれないか?」

「この世界をよく分かってない…?その年齢で……?ううん、よく分からないけど今はとにかく急がないと…。えっとその、私でよければこの世界について教えてあげられると思うので、お願いします!探すの手伝ってください!」

「「もちろん!!」」

オレ達と美少女はお互いに交渉条件を呑み、行動を一時的に共にする関係になった。

「──それで、えっと聞きたいことは沢山あるんだけど、まず…君の名前は?」

「アリサです…あなたはえっと──」

「ヨウと」「リオです!よろしく!」

それぞれ手を上げて軽く名前の交換を行う。

もちろん歩きながら。

確かに何か大切なものを盗まれた状況で立ち話してられるものでもない。オレも昔、家の鍵を無くした時は落ち着けなかったものだ。

「──それでアリサ、宝玉(トロフィー)って何か教えてもらえるか?」

「あ、うん宝玉(トロフィー)はね──」

 

 

「──世界の住民なら誰しもひとつは持つ予定のもの。15才以上になると『運営(カミサマ)』に貰うことが出来るの──いや、送り付けられるって言い方の方が正しいのかも。宝玉(トロフィー)を受け取ったものはそれから毎月最低3回の『バトル』が義務付けられる。『バトル』では〔賭け金〕と〔賭トロ〕を決めて行い、勝てば〔賭け金〕〔賭トロ〕両方奪え、負ければ失う。──ちなみに宝玉(トロフィー)を見事10万貯めたものは王に挑戦できるの、王に勝てばなんでもひとつ願いを叶えてくれるらしい!──私は世界を旅して宝玉(トロフィー)を集める旅人…そんなところかな?」

 

 

広場らしき場所を抜け、大通りに比べると狭いがそれでも家が立ち並び一気に生活感の溢れ始めた道を通りながら、アリサは宝玉(トロフィー)について説明してくれた。

そしてものすごく気になる点がひとつ───

 

 

「すげぇ、クラロワっぽいんだが…」

 

 

──なんか凄い既視感ある説明だった。オレの能力といい、宝玉(トロフィー)制度といい…まさかこの世界は──。

「だねぇ、あはは……なんなんだろう本当にここ」

見れば横を歩くリオも同じような事を思っているらしい…。

乾いた笑みを顔に貼り付けている。

「アリサ…その度重なる質問で悪いんだが…『バトル』について詳しく頼む」

「あ…うん…。っていうか『宝玉(トロフィー)』も『バトル』も知らないなんて…あなた達ほんとうに何者……?」

「いや…あははぁ…」

不審者を見つめるような顔をされてリオはいよいよ乾いた笑みを浮かべるしかないらしい。鏡を見ればオレも同じ顔をしていそうだが…。

「…うん、分かりました…本当に分かってないみたい──」

アリサは肩を竦め、『バトル』について説明を始める。

 

 

「『バトル』は『スーパーセルセンター』略して『スパセン』で行うもので、特殊な『バトル』も存在するみたいだけど、基本的に〔アンリミテーション〕と〔レギュレーション〕の2種類。『スパセン』に行って、種類を選んだらあとは──特定の人とバトルができる『フレバト』と、不特定の人とバトルをする『マルチ』のどちらかを選んだら受付終了。あとは個室に案内されるからそこでバトルすれば〔賭け金〕と〔賭けトロ〕を賭けたバトルが始まる…って感じかな」

 

 

なるほど、『バトル』についても同じだが、やっぱり多少の差異こそあるものの───

 

 

「クラロワじゃないか!?」

 

 

フレバトもマルチもどっちも元の世界のクラロワのマッチング方法で、フレバトは特定の人と、マルチは全世界の不特定の人とバトルするというシステムだ。

ちなみに違うのはフレバトでもトロフィーの賭けがあるという点だが、10万トロフィーで王に挑戦でき、勝てばなんでも夢が叶うのだから…納得だ。

「さっきからクラロワって何回も言ってるよね?聞いたことないんだけど…」

スタスタと歩きながら、首を傾げるアリサ。

歩きながらの説明のおかげで、住宅街のような場所もそこそこ進んできている。時折、車と思わしきものや、明らかに地面に車輪が付いていない低空飛行なロケットの形をしたバイク(?)も通っている。

乗っているのも人間で間違いないから宇宙人ではない…と思う。

一瞬UFOかとテンションが上がったがアリサや通りの人の反応を見ると当たり前の光景のようだ。

「──クラロワ…聞いたことないのか」

「まぁ一応説明しておくと、この世界のシステムに凄い酷似した、ゲームだ、んぐッ──…よ」

「──?そんなゲームが…?」

「あー…いや、ごめん気にするな、ただの戯言だと思ってくれていい」

既に不審者感を疑われているというのに迂闊に元の世界の事を口走ったリオには、アリサに見えないよう、腹を小突いておいた。

この世界に警察機関のようなものが存在するのかは分からないが、第1村人に不審者と思われ通報される。なんていった事が起こるのだけは勘弁願いたい。

「それで、ありがとうアリサ、まだ分からないことは多いが、なんとかこの世界のガワは分かった気がする」

「ううん、ほんとに分からなかっただなんて…」

要はこの世界では、15才になると宝玉(トロフィー)を与えられ、10万集めると王に挑戦でき、勝てば願いが叶う。

そして月に最低でも3回バトルは行わなければならない。

つまり、月に3回は宝玉を賭けなければならない。

────ん?

「…ちょっと待ってくれ、賭けるも何も、賭ける宝玉がなくないか?」

「あ、ううん、ごめん。宝玉は最初から1000ほど配給されてて、だから最初からトロフィーを賭けることができるの」

「最初から1000配給されてるのか…もし0になったらどうなるんだ?」

「ごめん、それは分からない…かな。まだ0になったことがないから、でも───」

そこで言葉を区切り、急に足を止めたアリサ。

住宅街を抜け、なにやら空飛ぶ車が続々と集まっては消えていく建物の前へと着いた。

大きさは元の世界の学校と同じくらいで、白を基調としたシンプルなデザイン。大きな窓が正面についており、小窓が無数、横配置に散らばっている。

元の世界でも見たようなデザイン──看板を見ると予想通り『病院』の文字が記載されていた。

「でも──0になったら何処かへ強制連行される…っていう黒い噂は聞いたことがある。噂は噂で本当か嘘かもわからないけど」

突如として飛び出した黒い噂…。

強制連行か…一応、頭の片隅に置いておいても良い情報だな。

肝心の宝玉(トロフィー)を持っていないが…。

「さ、着いたよ!多分…ここに居る…はず」

「──何処にいるか、分かってたのか?」

「まぁ私も旅人で、この街に来てからそんなに日が経ってないけど、よくここにあの子が通ってるの見かけてたんだよね」

「いや、それならオレ達に協力を要請した意味とは…」

居場所に目星が付いていたのなら、探すの手伝うも何もない。

現に今、オレ達は手伝いという名目こそあれど何もしてあげれてはいない…ただこの世界のルール・宝玉のシステムについて聞いただけだ。

これではあまりにオレ達がやり切れなさすぎる気がするんだが…。

「あっ──確かに…。ちょっと盗まれてテンパっちゃってたのかも」

ハッ、と気が付いたように協力の要請の無意味さを自覚する。

えへへ、とはにかんで誤魔化そうとするアリサだが、それではオレ達は納得出来ない。

もっとなにかしてあげれたら───。

オレがこのままじゃクレクレじゃないか…と複雑な気持ちになっているが、アリサはそんな事気にしてないように病院の入口前へと歩いていく。

「すいません!レスキューベッド通ります!」

誰も手をかけていないが自動で浮いている荷台ベッドのようなものに苦しそうな表情の男性が横たわりながら病院の中へと運ばれていく。

車といい今のモノといい、元の世界に比べ幾らか文明の発達を伺える。

「──どうしたの?中入るよー」

「っと、悪い…今行く」

「今行く〜」

ウィーン、と自動で扉が開き、中へと進むと病院に似つかわしくなく声が聞こえてくる。

 

 

「はぁっ!?お金が足りないって…どーゆーことだよっ!」

 

 

金髪の小柄な少女が受付の人となにやら揉めていた。

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