|自由の魔女《エウレテリア》斯く語り記   作:後悔しかない

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第1話

「聞いてくれエレウテリア!」

 

 こんにちは私の名前はエレウテリア⋯⋯まぁ今酒の席で私に泣きついている可愛らしいキルケー姉様の義娘にて弟子です。

 

「⋯⋯はい⋯⋯どう致しましたキルケーお姉様?」

 

 私は鼻から愛情が飛び出しそうなのを抑えながら、キルケー姉様に返事を返します。

 

 まぁ⋯⋯とわいえ⋯⋯どうせまた私の分身を乗せた船にいる()()()の話でしょうが⋯⋯。

 

 と言うのも数日前に私がキルケーお姉様と私の楽園の為に仕掛けた。秩序の泥の落とし穴や、空間転移の魔法陣に、自動でキルケーお姉様や私に、キルケーお姉様の魔術で変身した家畜以外を自動でし、高出力の魔力弾を射出する固定砲台、上手く地形を認識し把握出来なくし、方向感覚を狂わせ罠への注意を逸らす為に張った幻術の結界etc..といった仕掛けに仕掛けた数々の罠(作った時は何故かお姉様が白い目を向いてましたが⋯⋯)で、苦しめに苦しめたと言うのに⋯⋯。

 

 それでもしぶとく懲りずに私とキルケーお姉様の楽園に何処ぞの半魚人(トリトン)の様にズカズカと入り込ん出来た侵入者共⋯⋯。

 

 もちろん私としては不満や不服ですよ!

 

 慈悲深いキルケーお姉様が客としてもてなすって言い出さなかったら、罠の数々に憔悴しきった奴らの息の根を止めるなり何なりしたと言うのに! 

 

 ですが⋯⋯まぁ流石は慈悲深いキルケーお姉様と宴で食事を振る舞い、家畜にして私達の楽園に招き入れる何て羨ま⋯⋯ゲフンゲフン⋯⋯とにかくそれだけで終われば全て丸く収まるはずだったんですよ!

 

 それからしばらくしてまた瀕死で私の罠を突破した奴が一人⋯⋯先程の事もあり⋯⋯またかとばかりにキルケーお姉様の下に連れて行って看病したら⋯⋯あのクソ野郎⋯⋯お姉様にナイフで脅すやら、キルケーお姉様のハートを射止めて、夜中しっぽりやりやがるわ! 

 

 魔術が聞かないのは私だってそうなのに⋯⋯何でですか!? 生まれながらに何故かキルケーお姉様の豚化の魔術が聞かない体質だった私と、あの男の何が違うと言うのですか!?

 

 でも⋯⋯キルケーお姉様の幸せは私の幸せ⋯⋯故にキルケーお姉様の幸せを邪魔する者は何人でも私は許さない⋯⋯例えそれがキルケーお姉様とあのクソ野郎がイチャイチャする光景を見せつけられて嫉妬に狂いそうになる自分であろうと⋯⋯。

 

 えぇ⋯⋯我慢しましたよ正直血涙流して呪詛や暴言を吐きちらし暴れ周りたいほどの嫉妬や憎悪を内心に必死で押し隠して笑顔を取り繕いましたもの⋯⋯。

 

 ですのでアイツを説得して冒険に出てくれた他の奴らには感謝しますね⋯⋯何せこれでまたお姉様と二人っきりに慣れた訳ですし⋯⋯これ以上は気持ちを抑えきれないままにキルケーお姉様を殺して自害するかも知れませんでしたから。

 

「⋯⋯なぁ⋯⋯エウレテリア⋯⋯お前ともあとどれ位共に居られるのだろうな⋯⋯」

 

 悲しげに呟くお姉様⋯⋯

 

「⋯⋯お姉様⋯⋯私は何があっても貴方の傍に⋯⋯片割れに居続けますよ⋯⋯だから分身の魔術だって開発したのですから!?」

 

「あぁ⋯⋯そうです!? 今日も片割れの記憶による冒険譚をお話しましょう!?」

 

 私はそう言ってお姉様が好きな冒険譚等を話し始める⋯⋯

 

 実の所、私はキルケーお姉様が外の世界に憧れ、同時に一人寂しい思いをしている事に私なりに解決案を試行錯誤し、自身と言う存在を分裂させる魔術を考案したのです! 

 

 ちなみにこの魔術での分裂した肉体同士での記憶と感覚は完全に共有されており、しかも並行して同時に動かしながら別の事をさせるのも可能! 

 

 ただし欠点としては複数の記憶の共有や偽物や本物の観念が混同して何がな何やら分からない自己と言う存在の消失をお越しかねないのが難点ではありますが⋯⋯まぁ他にもあくまでも分裂ですから、年齢層はどうしても同い年になりますし⋯⋯肉体的にはほぼ不死身見たいなものですが、寿命死まではどうにもならなかったりするんですよねぇ⋯⋯まぁその代わりとして魂の劣化とかは起きないわけですが⋯⋯。

 

 まぁそう言った事もあり私は、あの男がいる船に乗せているもう一人の私を通して私が体験した冒険譚をこうして語っているのです!

 

 まぁ、キルケーお姉様から赤ん坊の頃に拾われエウレテリア(自由)と名ずけられた私は、外の世界に旅立ちながらもお姉様の傍に居続ける傲慢でかつ実に我儘な選択をしました。

 

 その事に対して反省する気はありませんし、もちろん後悔もありません。

 

 だからこそ私は私で居続ける限り、私は私の心のままに自由(エウレテリア)に自らの方法をエウレテリア(自由)としてのやり方貫くつもりです。

 

 だからこそ運命(Fate)による死が二人を分かつその日まで⋯⋯私はお姉様の傍に最後の最後まで居続けますよ⋯⋯。

 

 それに⋯⋯私は直感と言うか何となく気付いてるのです⋯⋯お姉様の中にあのクソ野郎とのお子が宿っている事を⋯⋯。

 

 いや⋯⋯祝福はしますよ⋯⋯だって半分はいけ好かないアイツの血を引いてるとはいえ、お姉様の血も引いてる訳ですしね⋯⋯。

 

 はぁ⋯⋯でも出来る事ならお姉様と私の子が欲しかった⋯⋯いや同性ですから無理なんですが⋯⋯。

 

 ⋯⋯いっその事、性転換か男性のアレを生やすクスリでも作って見ますかね⋯⋯。

 

 私もお姉様も腐っても魔女ですし、性魔術の実験とかなんやら言えば乗ってはくれそうですし⋯⋯。

 

 あ、そう言えば今は孕んでるから無理でした⋯⋯。

 

 はぁ⋯⋯早く産まれてくれませんかねぇ⋯⋯主に私の将来の為にも⋯⋯。


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