ぐだ男「サーヴァントをデレさせないと出れない部屋?」 作:ふくちか
A:好きな鯖なんで(持ってないけど)
俺は藤丸立香。
人理継続保障機関カルデア……簡単に言えば「人類救い隊」みたいな変な所で人類最後のマスターとして人理を救う為に頑張ってます。
とは言え俺だけで動いている訳じゃなく、このカルデアに努める研究職員や、サーヴァントなる昔の偉人…まぁ使い魔みたいな感じなんだとか。まぁそれは兎も角、そのサーヴァント達と一緒になって色々やっています。
因みにそのサーヴァントって言うのは普通の使い魔よりも強く、本来なら魔術とかに全然詳しくない俺なんかじゃ使役出来ないくらい凄い存在なんだ。
けど強い反面、性格に難があると言うか…………
ドンッ! ドンッ!
すっごい変人も多数いるんです。
そして今、俺達はその変人サーヴァントの思惑に(また)巻き込まれていると言う訳です。
…え、何か後ろから銃声が聞こえる?それについては直ぐに説明するので。
「…やっぱ駄目だね」
「全く手応えがありませんわ、マスター」
そう言って俺の元に歩み寄るのは二人の女性。
女性ではあるが、二人の容姿は全く対照的と言って良いほど違った。
共通しているのは、二人共に十人中十人が美人と確実に言うであろう美貌の持ち主であった。
「あの変人にも困り者だね」
そう愚痴っぽく呟くのは銀髪のショートカットと顔に走る斜めの刀傷が特徴的な少女。
「…馬鹿と天才は紙一重、とも言いますからねぇ」
溜息と共にそう言ったのは、長身の金のロングヘア―と凄く女性的な肢体を持つ女性。
彼女達は俺のサーヴァント……銀髪の方がメアリー・リードで、金髪の方がアン・ボニー。
十八世紀のカリブ海にその名を轟かせた、二人一組の女海賊だ。
二人一組で名を知らしめた影響なのか定かではないけど、彼女達は二人で一組のサーヴァントなんだ。二人でステータスとかも共有してるから、どっちかが戦闘不能になったら、もう一人も戦えなくと言うのもあるけど……今は関係ないので割愛させてもらいます。
「う~ん、そっか…。ありがとう、アン、メアリー」
二人に礼を言うと、俺は固く閉ざされた扉を見上げる。
ーサーヴァントをデレさせないと出れない部屋ー
これが今、俺達の頭を悩ませている原因だ。
時は数時間前まで遡る――――
ーーーー
『やっほー、立香君!』
テンション高く俺に声を掛けてきたのはダ・ヴィンチちゃん。
真名、レオナルド・ダヴィンチという名の……あまり英霊に詳しくない俺でも知っている天才芸術家である。
因みに史実と違って女性になっているけど、これは彼女…彼?自身が自分に施した賜物らしい。何でも生前の作品の「女性」を再現したものだとか。
因みにこんな事を言われた俺はちんぷんかんぷんであった。
天才故に彼女の考えは常人には理解できない高みにある……所謂変人である。
『…何ですか?』
『むぅ、つれない反応だねぇ。私が話しかけているというのに』
誰のせいだと思ってるんですか……俺がこんな反応をするには、彼女はカルデアきってのトラブルメーカーであるからだ。
要するにこうして日常で声を掛けられた時は決まってロクな目に合わない。
俺はこれまでの経験から今日の件もその類だろうと思い早々に立ち去ろうとするが、彼女に腕を掴まれてしまった。
『おっと、そう冷たくしないでくれよ』
『離してください!どうせロクな事じゃないんでしょ?!』
『まぁまぁ、酷い目には合わないさ』
『ちょっとぉ!?』
有無を言わせず、俺は見た事のない部屋に放り込まれた。
女性になっているとはいえサーヴァント、人間以上の腕力を持つその力に抗えず――――
『あ、マスター』
『どうしたんですの?』
アンとメアリーも一緒に入っているのに気付き、現在に至ると言う訳だ。
ーーーー
「デレさせるって一体どうすれば……」
恐らくこの部屋を出る方法はこの部屋の名前に書かれた、デレさせるしかないのだろう。
けど俺は別にテレビに出てくるようなイケメンアイドルでもなければ、貫禄溢れる渋い男性でもない、正真正銘の一般人だ。
そんな俺が一体どうやって……と思っていると、メアリーが俺に進言してきた。
「ねぇマスター」
「ん?」
「思ったんだけどさ、マスターっていつも戦闘が終わったら僕達を褒めてくれるよね」
メアリーの言う通り、俺は戦闘が終わったサーヴァントにいつも労いの言葉をかけている。
それは俺達と一緒に戦ってくれている感謝の気持ちからそうしているんだけど……。
「でもそれが何か?」
「もしかしたら、そう言う事を僕たちに言ったら良いんじゃないかな。……ほら、マスターの言葉は嬉しいけど、照れ臭くもあるからさ」
「そう言われたら、一理ありますわね。マスターの言葉が貰いたくて、戦っているサーヴァントだっている程ですし。勿論、私達もですが」
……何故かは分からないけど、この戦闘が終わったら褒めるこの行為は、サーヴァント達(主に女性)に大人気であるのだ。
一声かけようとしたら、嬉しそうな顔でこちらを見つめているぐらいには毎回の戦闘でそれが求められている。
「う~ん。……じゃあ、試してみるか」
他に方法も思いつかないからなぁ。
「え…?ホントにしてくれるの?」
「?どうしたの?」
「う、ううん!何でもないよ!……じゃ、じゃあ」
メアリーは頬を赤くしながら、俺の隣に座り込んだ。
「…メアリー」
「っ」
ビクッとしたメアリーの手に頭をのせて、俺は日ごろの感謝を思いのまま伝える。
「何時も有難う、俺達と一緒に戦ってくれて。こんな短い言葉だけじゃ全然伝え足りないけど、俺はとても感謝してる。メアリーは不愛想に見えて、他の人達の事もちゃんと見てて、その人の欠点や俺に足りないものを指摘してくれるよね。そういった細かな所も見逃さない慧眼はすごく尊敬するし、カッコいいって思ってる。でもそれだけじゃない」
「っ……///」
「メアリーはカッコいいけど、同じくらい可愛いって思ってる。不器用だけど俺を頼ってきてくれる所や、俺に甘えてきてくれるいじらしさ。……前に自分はアンと比べると魅力的じゃないって言っていたけど、メアリーにもアンに負けない魅力が沢山あるって、俺は思ってる。信じられないかもしれないけど、メアリーも自信を持って良いんだよ」
俺は思いの丈を言いきって、一息吐いていると、目の前のメアリーは肩をプルプルしてソファに倒れ込んだ。
「め、メアリー?!」
「…ズルいよ、ますたー。………そんな情熱的に言われたら、もっと好きになっちゃうじゃないかぁ………はぅぅ///」
「え、え?!」
「まぁまぁマスター。メアリーなら大丈夫ですわ……さ、次は私ですわよ?」
ソファで悶えるメアリーをそのままに、アンは自分の方へ俺の体を向けさせる。
「~♪」
楽しそうに爛々と目を輝かせるアンに苦笑いを零し、先程と同じく口を開いた。
「…アンも、俺と一緒に戦ってくれて有難う。アンの細かな気配りにも、何時も助けられている俺としては、申し訳ない気持ちになっちゃうんだ」
「お気になさらなくとも宜しいのですよ?私が好きでしているのですから♪」
嬉しそうに語るアン。
「…でも、何時も周りに気を配っているからこそ、メアリーと一緒にいる時は甘えてきてくれるよね?あの時のメアリーとアンの可愛さには、俺も癒されてる。だから、そのお返しって訳じゃないけど、俺にももっと甘えてきてほしい。俺は強くない、弱いマスターだけど…だからこそ君達の、君の弱さを受け止めたいんだ」
「は、はいっ……」
「自分は年長者だから、って肩肘を張って威風堂々としているアンも素敵だけど、甘えてきてくれるアンも素敵だよ。だからもっと、気兼ねなく俺に甘えてきて」
「~~~~ッ///」
そう言い切ると、アンもまたメアリーと同じようにソファに倒れ込んだ。
「あ、アン!?」
「…………しゅきっ」
「え?」
何て言ったか聞こえなかったけど、扉が開いたので俺の意識はそっちに。
「ふ、二人共、扉…空いたよ。……おーい」
扉が開いても暫く、二人はその場を動かなかった。
エミヤ「何故こんな事をした?」
ダ・ヴィンチちゃん「彼のフラグ建築能力を見て見たくてね!」