ぐだ男「サーヴァントをデレさせないと出れない部屋?」 作:ふくちか
結果
???「幻夢コーポレーション社長を呼んだのは、君か……」
???「不死身のゾンビの力、目にもの見せてやろうじゃないかァ……!」
???「コンティニューしてでも、クリアする…!」
???「ゲームマスターの私に許可なく、不正な特異点は認めない!」
???「この私を呼んだ君に…最高神の力を見せてやろう……!」
ぐだ男「やべぇのが来た…」
「貴方とこうして二人きりになるなんて、何時以来かしら?マシュには悪いけれど、嬉しいという気持ちが大きいわ」
そうお淑やかに微笑む着物美人が、今回俺がデレさせるサーヴァントです。
美麗だけど、何処か浮世離れしたような雰囲気を持つ彼女の名は、「両儀式」さん。
実は「両儀式」という名前のサーヴァントは他にもいるんだ。
アサシンの霊基で召喚された本来の式さんと、その式さんの内側に存在する別の人格……らしい。
良くは聞かされていないから今一分かっていないけど、兎に角言える事は、彼女は本来なら現界しないはずの存在だったんだけど……以前訪れた変異特異点で助けられた縁からか、セイバーの霊基を得て疑似サーヴァントとして召喚されたのだ。
存在が特殊だから、他のサーヴァントとは一線を画するんだけど、彼女はサーヴァントとして召喚された今を楽しんでくれてる。
「すいません。人理を修復したとは言え、中々多忙なものでして…」
「分かっているわ。でも、こうして肉体を得られたのだから、もう少し構ってね?」
「き、気を付けます…」
「ふふ、お願いね」
式さんは柔らかい笑顔で俺を見つめる。
「えっと、じゃあ式さん」
「えぇ」
「先ず……何時も有難う御座います」
まぁ何時までもここにいる訳にもいかないので、やる事を済ませよう。
いきなりお礼を言われたことに、式さんはきょとんとするが、やがて小さく微笑む。
「いきなりどうしたの?それに、お礼を言われる事じゃないわ。私は貴方のサーヴァントなのだから」
「それでも、俺はお礼を言いたいんです。……以前、式さんはこう言いましたよね。自分は一時の夢だって」
……彼女は、さっきも言った通り、サーヴァントとしてかなり特殊な存在だ。
夢と称した通り、何時かは消える存在。
彼女はこう言った。「自分は一時の夢」だと。
確かに夢かもしれない。覚めれば、得難い虚無感に陥るかもしれない。
だけど、だからこそ。
「俺は、式さんとの日常を大切にしたいんです。それに式さんの存在は夢なんかじゃない、ちゃんとここにいます」
「っ、マスター……」
俺が手を握ると、式さんは恥ずかしそうに目を伏せる。
「少なくとも夢だけど、現実なんです。俺と貴女が歩む道は、夢が覚めるまでずっと続いていきます。その過程で紡がれた絆は、残された思い出は、決して夢なんかじゃない。だから俺は、貴女ともっと夢を見ていたい」
「……」
「だから俺は、その…式さんがいる夢の果てまで、ずっと俺自身の言葉を、思いを伝えたいんです」
式さんに対しそう思っていた俺は思いの丈を吐き出し、一息吐く。
だけど式さんは何も言わない。
どうしたんだろうかと不安になると、式さんは――――泣いていた。
「し、式さん?!」
何か不味い事を言ってしまったのかと慌てる俺を、式さんは繋がれて無い方の手で制す。
「…大丈夫よ、マスター。悲しくて泣いてる訳ではないわ。……とても、嬉しいわ」
目尻に溜まった涙を拭い、式さんは口を開いた。
「私は……怖かった。何時かは覚める夢だと思って、自分に何度も言い聞かせていたわ。でも、貴方との繋がりが深くなればなるほど、その温もりが遠ざかるのが怖くなった。貴方と距離を取ろうにも、そこで絆が途切れてしまうかもしれないのが、怖かった……でも、貴方がそんな事を言うのだったら、私も、一緒に傷付く他ないじゃない」
「…えぇ、一杯、傷付きましょう。覚めても、忘れない程に」
その時、彼女の微笑みは雪のようであり――――だけど、とても暖かなものだった。
ーーーー
翌日。
「マスター、お早う」
「…式、さん?」
目が覚めて俺の視界に入ってきたのは、式さんの顔だった。
「ふふ、とても可愛い寝顔だったわ。でももう朝よ?早く起きて、食堂に行きましょう?」
「…はい」
寝ぼけ眼でベッドから這い出て、礼装を羽織る。
「式さん」
「?」
「…まだ、覚めてないんですね」
式さんは何のことか分からないと言った顔だったが、直ぐに理解したらしく、俺に微笑んでくれた。
「えぇ。まだ、覚めてはくれないわね」
そう語る式さんと共に、食堂へと向かった。
――――そんな二人の姿を、「一瞬マスターが袴を着ているように見えた」と、赤い弓兵は語る。
まるで、和装の結婚式だな、とも。
式さんのキャラが違うかもしれませんが、ご了承ください