「はぁ……どうしたらいいんだろう…」
その日何度目かになるため息を、デストロイヤーは一人こぼしていた。
彼女が押しているカートには、手のつけられていない冷え切った料理が並んでいる…デストロイヤーはつい先ほど、アルケミストに与えられた部屋からこの料理を回収したばかり。
ここ数日、アルケミストはまともに食事もとっていない。
色々と料理のメニューも変えてもらったりもしたが、アルケミストは食べようとしなかった……唯一、アルケミストはデザートとして出された質素なショートケーキのみを口にした。
無表情ではあったが、ようやく食べてくれたことにデストロイヤーは一度は喜んだ…だが、ケーキを食べていたアルケミストは唐突に涙をこぼした挙句、何かを思いだしたのか頭を抱え込みながら苦しんでいた。
声をかけようにもアルケミストは呻きをあげるばかりで応えてくれず、デストロイヤーはどうしようもない状況にただただ、自分の無力さを噛み締めるばかりであった…。
その出来事以来、アルケミストは何も食べようとはしない…。
このままでは衰弱して死んでしまう。
そうは思うが何もできないし、頼れる人もいない。
そばにいて慰めることも、今のアルケミストは拒絶するのだった。
「…っと…私が落ち込んでたらダメだよね…アルケミストのために、頑張らなきゃ。私がマスターの代わりになるんだ…!」
デストロイヤーは自分の両頬を叩き、暗い思考を頭からはじき出す。
同じことでも繰り返し続けていけばアルケミストもきっと元気になる、今は気持ちを整理する時間が必要なだけだ…そう自分に言い聞かせていると、廊下の向こうから何やら見覚えのある二人がひょっこり顔を出す。
アルケミストの件で何かと世話になっているハンター、彼女はまだいい…理性的でそう面倒な輩でも無いからだ。
問題なのは、そのハンターの隣でデストロイヤーを見つけるなり笑みを浮かべて指をさしてきた人形だ。
「おーいデストロイヤー! 姉貴どこだー?」
笑顔で近付いてくるエグゼ……デストロイヤーにとってはこのマザーベースにやって来てから初めての遭遇であり、その前に会ったのはアメリカでの特殊任務の最中だ。
さて、親しみを込めた笑顔で近寄ってくるエグゼであるが、何かを察して逃げだしたデストロイヤーを見るや即座にその後を追いかけるのであった。
「待てコラァ! なんで逃げるんだテメー!」
「こっち来んなーーーッ! あんたどうせろくでもないことしに来たんでしょ!?」
「それ以上逃げやがったらぶっ殺すぞチビストロイヤー!」
「変な名前で呼ぶなこのゴリラ女!」
「言うじゃねえかテメェ! その短い足でオレ様から逃げられると思うなよ!」
「ちょっと! 私は背が低いだけで、短足なんかじゃないわよ!」
ぎゃーぎゃー喚き散らした末に、結局捕まってしまったデストロイヤー。
肩をがっしりと掴まれて連行されていく姿は、ヤンキー女に絡まれている少女のように見えなくもないが、生憎その場にデストロイヤーを救い出してくれる者はいない。
「そんで…姉貴はどこにいるんだ?」
「ふん、誰がアンタに教えるもんか」
「あっそ。別にいいよハンターに聞くから」
「じゃあなんで私を捕まえるのよ!」
「お前がオレから逃げたからだろうが! ったく、相変わらずガキみたいな思考しやがって……お前だけじゃどうにもなんねーんだろ? 少しオレに頼ってみろよ」
「なによ……裏切った癖に偉そうに…。調子に乗るんじゃないわよ…」
「お前は意地張ってんじゃねーよ。ほら姉貴のとこ行くぞ、オレ様のやり方をみせてやるさ」
エグゼはデストロイヤーの頭を乱暴に撫でる…。
普段アルケミストがやってくれたような優しい撫で方ではなく、小さな頭を揺さぶられるようなやり方ではあったが、エグゼなりの優しさを感じるのであった…いまだ素直になりきれない様子のデストロイヤーであったが、無言で二人をアルケミストの部屋へと連れていくのであった。
「おう、邪魔するぜ」
アルケミストの部屋を訪れたエグゼは、真っ先に部屋の暗さを気にする…窓は閉め切り、カーテンは閉じられていて一切の明かりはない。
たった今開いた扉から差し込む光だけが、部屋の中を照らす。
暗く、殺風景な部屋の中を軽く見回し、エグゼはその目をベッドへと向ける……そこにアルケミストはいた。
「姉貴…こんなとこで何やってんだよ…辛気臭いったらねぇ」
「…処刑人…?」
アルケミストは、エグゼの姿を見ると、やや驚いたような表情で目を見開いていた…。
「処刑人、お前…生きていたのか?」
「勝手に殺すんじゃねえ……姉貴、アンタは本当に全部忘れちまったのか? いや、その様子じゃ全部は忘れてねえんだろ?」
「あたしの記憶の中に、お前が血だらけになって倒れる姿がある……これはなんだ? なんなんだ?」
「教えてやろうか姉貴? アンタが記憶をリセットする前に起きた出来事をよ」
「ちょっと処刑人! そんなの教える必要ないでしょ!?」
「黙ってろデストロイヤー。姉貴には知る権利がある」
アルケミストが自覚しない記憶に触れることで、過去の記憶がごちゃ混ぜになる危険からデストロイヤーは声を荒げて反発するが、エグゼは全てを語る。
ある事件の影響で人間を恨むようになり、敵とみなすすべてを憎んでいたこと、鉄血が人類の不倶戴天の敵となったこと、そしてあの戦いの結末を……アルケミストはエグゼの話を、冷静に聞いてくれていたが、話題が最後の戦いに触れられると動揺を隠しきれなかったようだ。
「あたしが、お前を一度は殺そうと…? そんなはずは…あたしがお前たちを殺そうとする理由がない…」
「アンタは何もかも見失っちまったんだよ。大切なマスターとの約束さえもな…アンタはそれを最後に認識してしまって、自我を崩壊させてしまったのさ」
「やはり……マスターは死んでいるのか…? なんでだ、あの人が死ぬはずがない……教えろ処刑人、マスターは…サクヤさんは何で死んだんだ!?」
「落ち着けよ姉貴、喚いたところで解決できる問題じゃない。それに、サクヤさんが死んだ理由は重要じゃない…」
「重要じゃないだと…? そうか、お前もか…お前もあたしには教えてくれないんだな?」
「あぁ? 重要じゃないからって言ってんだろ」
「マスターの存在以上に重要なものなどない……出ていってくれ処刑人、マスターのいない世界に…あたしが生きる意味などないんだ」
そう言うと、アルケミストはベッドの上に寝ころび背を向けてふさぎ込むのであった。
余計に症状が悪化してしまったことに、デストロイヤーは恨みがましくエグゼを睨みつける……こんな事になるのであれば、会わせなければ良かったではないか、そう言いたげなデストロイヤーにエグゼは肩をすくめてみせる。
それから何を思ったのかそっと、ベッドの傍に歩み寄ると、しゃがみ込んでベッドを掴む…。
「ふて腐れてんじゃねー!」
「うわーっ!!」
唐突にベッドをひっくり返したエグゼ。
当然のように、ベッドの上で寝ていたアルケミストは放り投げられ、壁に額を強烈にぶつけて悶絶している。
「処刑人、お前…! いきなり何を…!」
「うっせぇ! まったく心配して見に来たら、ただいじけて引きこもってるだけじゃねえか! つーかなんだこの部屋は!? 窓開けろ窓を! カーテンもいるか、棄てちまえ!」
アルケミストの苛立ちを真っ向から無視したエグゼは、カーテンを引きちぎり、窓を開け放つ。
ようやく明るくなった部屋に、外の新鮮な空気が流れ込む…。
それから振り返ったエグゼは指をアルケミストにつきつけて叫ぶ。
「姉貴、最後に飯食ったのはいつだ!?」
「それがなんの関係がある! もう放っておいてくれないか!?」
「その様子じゃまともに飯も食ってないみたいだな。おら立てよ姉貴、今から行くぞ!」
抗議の目を向けるアルケミストをまたもや無視した挙句、彼女の腕を掴み強引に引き立たせる。
唐突な力技にデストロイヤーは目を見開いて硬直し、ハンターはニヤニヤと笑みを浮かべている。
「そもそも行くってどこへ…!?」
「食堂に決まってんだろ! 今日は金曜日、カレーの日だ! いくぞ野郎ども!」
嫌がるアルケミストを無理矢理外に連れ出すエグゼ…ポカーンと成り行きを見ていたデストロイヤーであったが、ハッとしてその後を追いかけていくのであった。
「ねえVector、あれなに…?」
「なんのこと言ってるの? 記憶を失くしたアルケミスト? それとも退院早々山盛りのカレーにがっついてる脳筋女のことを言ってるの?」
「どっちもよ。というかVector、あんた毒舌そろそろ直したら?」
「FALが独女を卒業したら直すよ」
食堂にいるVectorとFALはスプーンを止めて、食堂の端で繰り広げている光景に目を奪われていた。
二人だけでなく、その場に集まるスタッフや人形たちの反応も同様だ。
皿の限界量を超えて盛られたカレーを、凄まじい勢いで口の中へ放り込んでいるのはエグゼだ。
入院していた間の鬱憤を晴らすかのように、豪快にカレーを頬張り続けている彼女に対し周囲はただただ感心した様子で見つめている…一方、そんな食事風景を見せつけられているアルケミストはというと、目の前から消えていく山盛りのカレーを困惑した様子で眺めている。
「処刑人、お前……食べ過ぎじゃないのか…?」
「あぁ? こんなもんオレ様にかかれば朝飯前だぜ。それより姉貴も食えよ、MSFのカレーは滅茶苦茶美味いぞ」
「あ、あぁ……」
エグゼのカレーの量に対し、アルケミストの前に置かれた器には標準的な量のカレーが盛りつけられている。
流れに飲まれてアルケミストもようやくカレーを口にしたが、彼女は目の前で繰り広げるエグゼの爆食に気をとられている様子…それでも一定の間隔でカレーを口にしているのを見て、デストロイヤーは嬉しそうに微笑むのであった。
「ふぅ……食った食った。これでこそ生きてる実感が湧くってもんだぜ。食って笑って寝る、おまけに楽しく戦えればそりゃハッピーってもんだ」
「そうなのか?」
「そうなんだよ……どうだ姉貴、飯食って外に出て、少しは気も晴れたか?」
アルケミストはしっかりとカレーを完食していた。
エグゼに言われて、彼女は食べている間無意識に悩みや憂鬱とした気分を忘れていたことに気付く…だが、それを言及されたことで再び暗い気持ちがこみ上げてきたようだ。
「止めろよ姉貴、そんな顔するなって……やっぱ、サクヤさんいないと寂しいか?」
「当たり前だろう……あの人はあたしの特別なんだ。マスターが死んで、あたしは復讐に走った……そういうことだろう? だが、何故マスターは死んだんだ?」
「だからそこは重要じゃないって……って言っても、アンタは納得しないんだろうな。いいよ、教えてやるよ…ただし落ち着いて聞けよ?」
こくりと頷いたアルケミストに、エグゼは言葉を選び語る。
マスターが死ぬ前に起きた事件のこと……マスターがアルケミストの元を離れざるを得なくなった原因、それに関わってしまったデストロイヤーは辛い表情でその当時の記憶を振りかえる。
デストロイヤーを庇うために上司と対立し、重度の汚染区域に左遷され、そして…。
「マスターは、同じ人間に殺されたのか…?」
「姉貴、これを聞いてアンタはまだ同じ道を辿るか? 目につく敵を全て憎んで殺すか? そうじゃねえだろ…それじゃアンタは一生地獄の道を歩き続けるんだよ。もしもアンタがそうしようとしたら、オレは全力で止める」
「分からない、あたしには分からない……だが、マスターを殺したのが人間なら、あたしは…」
「サクヤさんを死に追いやった人間はとっくの昔に死んでる。それでもアンタは人間を憎み続けた、敵とみなす者を憎み続けた。復讐の相手を捜し続けたんだ……でもそれは、憎んでないとあの人の記憶が薄れちまうからだったんじゃないか? だけどあの人がアンタに託した想いってのは、そんな未来じゃなかったんだよ……あんたはそれを知っていた、だけど目を逸らし続けてた。だから最期にそれに気付いたアンタは、自分の犯した罪の重さを自覚して…壊れちまったんだ」
そして家族を守って欲しい、そう最後に約束したことも破ってしまった…。
敬愛するマスターとの約束を破ってしまったという認識が、アルケミストの不安定だったメンタルにとどめを刺したのだ。
今もまだ、記憶の深層でその時の苦痛は眠っている。
それを呼び起こさないように、エグゼは慎重に言葉を選ぶ。
「姉貴、マスターはもう帰ってこない…あんたがどれだけ復讐しようが、二度と帰って来ないんだ。むしろそれでアンタはあの人からどんどん遠ざかってく。あの人は復讐を望まない、たぶん姉貴の幸せだけを願ってる」
「だが、あたしはマスターなしに幸せなど…」
「そうだな…分かってるよ。だからアンタはサクヤさんのために生きるべきだ、あの人が遺した最後の約束"みんなの姉として、家族を守る"…あの人は死んじゃったけどさ、姉貴がその約束を守り続ける限り、サクヤさんの意思は姉貴の中で生き続けるんじゃないかな?」
「マスターの意思が、私の中で生きる…か。ハハハ…そうか……そういうことだったのか…! ハハハハハハ!」
唐突に笑いだしたアルケミストに、デストロイヤーはぎくりとした。
さっきまでの様子とは違う、古い記憶をバックアップデータとして再生はしたが、元からの記憶も完全には消去されていなかった……同一、しかし異なる二つの記憶がエグゼの言葉で連結していく。
古いバックアップデータにあるマスターとの新鮮な記憶、忘れかけていたマスターの愛情をそこから思いだしたアルケミストは、エグゼの言葉を引き金としてついに未来の光を見た。
「ちょっと処刑人!? あんたなにしたのよ!?」
「いや、オレも予想してなかった結果だけどよ……姉貴が目覚めたぜ、デストロイヤー」
「目覚めたって、どういうこと…?」
「過去と今の記憶を完全に適合させて、新しい存在になったのさ。そうだろう、姉貴?」
いまだ高笑いをあげるアルケミスト…ぱっと見、発狂して笑っているように見えて不安で仕方がなかったが、彼女の瞳から闇が消えているのを察したデストロイヤーは嬉しさから涙を浮かべる。
「マスターは生きていた…あたしの中で! なんで今まで気付かなかったんだ!? マスター、聞こえているか! アンタが好きだ、この世界の誰よりもあんたが好きなんだ! あたしはあんたのために生きる、そうすればあんたもあたしの中で生き続けてくれるんだ! マスター! 大好きだ! あたしもあんたを……愛しているぞッ!」
「やっぱりメンタル破損してそうだなこれ…」
「物騒なこと言わないで処刑人……だけど、凄いよ……アルケミストがこんな風に笑ったのなんて、久しぶりだから……マスター、ありがとう…アルケミストをまた助けてくれたんだね…?」
ひとしきり叫んで落ち着いたアルケミストは、一息ついて、食堂のスタッフや人形たちに騒がせてしまった詫びを入れる。
それからデストロイヤーを優しく抱きかかえた…戻って来た優しい姉の姿にデストロイヤーは感激し、涙で顔をくしゃくしゃにしつつしがみつく。
「アルケミスト完全復活…ってか?」
「迷惑かけたね処刑人、ハンター。長い悪夢から覚めた気分だよ」
「人形が夢を見るわけねえだろ? これが夢じゃなきゃいいな」
「物騒なことを言うな。だけどおかげで気持ちが軽くなった…」
あれほど彼女を苦しませ続けた憎悪の感情が、今はすっかりと消えている…反対に、マスターの存在を意識することで温かな気持ちがこみ上げる。
「たぶんあたしはいかれてるんだろうな、だが悪くない気分なんだ」
「復讐に取りつかれて生きるより、そんなこと忘れて前向きに生きてた方がずっといい…他の誰かを恨んで生きてくなんて、無意味なことだったんだよ」
「ずいぶん無駄な時間、惨いことをしてしまったな……なあ処刑人、あたしが犯した罪を清算するのにどれだけの贖罪をすればいいだろう?」
「さあなデカくやるより小さくやってった方が良い……ここにはアンタを恨む人形は大勢いる。あんたはそいつらに許しを貰うことから始めたらいいんじゃないか?」
「そうか…お前がそう言うなら、そうなんだろうな。もちろんお前も手伝ってくれるんだろ?」
「はぁ? そんなの自分一人でやれよ…それに、アンタはもう一人じゃないだろ?」
「そうだな……あたしにはマスターがいるからな」
「わたしは!? ねえアルケミスト、わたしはそこにいないの!?」
「勿論お前もだよ、デストロイヤー」
クスクスと笑い合う二人…ようやく訪れたささやかな幸せにデストロイヤーは幸せそうに微笑むのであった…。
憎しみに取りつかれ、復讐に走ったアルケミストはもういない。
いまそこにいるのは、愛を思いだし、かけがえのないマスターの意思と共に家族を守る決意を固めた、心優しきアルケミストの姿であった…。
「やるじゃん、エグゼ」
「お、スコーピオン。起きたか?」
「おかげさまで……とりあえず、一発殴らせろコラッ!」
「痛ッ! てめぇこの!」
「これで貸し借り無しだバカ!」
「あぁ!? バカにバカって言われたかねえな!」
「おっと落ち着けエグゼ。取りあえず、アンタは仲間を助けられたみたいだね…さすがだよ、エグゼ」
差し向けられた拳に応え、エグゼは握り固めた拳をつきつける。
食堂内からは未だ不穏な視線を感じるが、上手くやっていけるという確信がスコーピオンにはあった…。
「スコーピオン、お前この結末を見越してオレを説得してたか?」
「うん? あたしにそんな先を見越せる知性なんてあるわけないでしょ? でもまあ、悪い方向に転がらなくて良かったよ…エグゼも、もう復讐とか憎しみとかダメだからね?」
「分かってるっての。復讐なんて虚しいだけさ、誰かを憎んでるより、仲間作ってばかやってたほうがずっと面白い」
「そっか…じゃあさ、今度はエグゼも本格的に仲直りする番だね。今ここにM4やAR小隊がいるんだけど」
「あぁ!?」
「あれ?」
M4……その名を聞いた瞬間、さっきまでのほのぼのとした空気はどこへやら、一瞬で殺伐とした空気が食堂内に張りつめる。
弛緩していたデストロイヤーも、あまりの怒気に飛び上がり、怯えた様子でアルケミストにしがみつく。
「AR小隊…M4がここにいるだって!? どういうことだよそりゃ…」
「あー…エグゼ? あのだね、なんか帰るタイミング見失って滞在してるんだけど……」
「ほう、そいつは……ヘヘヘ、面白い…あのクソッたれのあばずれがいるのか! ということはよ、あいつをいつでもぶち殺せる状況にあるってことじゃねえか! よくやった、よくやったぞスコーピオン!」
「あ、ありがとう……って、ちがうちがう! ダメだからねエグゼ!? もう和解したんだから、試合終了だよ!? それにさっき復讐なんて虚しいだけって言ったばかりじゃん!」
「そんなこと言ったか? しかし、M4……へぇ、そうかそうか……どう料理してやろうかな?」
「ダメだからね!? 先に手を出すのは許さないからね!?」
「じゃあ、アイツの方から先に手を出させればいいんだな! よし分かった!」
「違ーーーうッ! あーもう、あたしはツッコミ役じゃないんだってば!」
「マジ面白いな、覚悟してよろクソAR小隊どもめ…!」
高らかに笑うエグゼに、珍しくツッコミ役に徹するスコーピオン…。
M4とエグゼの果てしない闘争、まさかこの騒動が伝説の始まりとなるとは思いもよらなかっただろう…。
アルケミスト救済ルート入った瞬間覚醒してしまった…。
一応デストロイヤーの古い記憶を上書きしたというのも間違いではなく、復讐心で薄れてしまったマスターの愛情を鮮明に思いだし、アルケミストはついにマスターの意思に気付くことができたのです…愛ってすごい。
そして次回より始まるM4VSエグゼの仁義なき戦い……全編シリアスなギャグになると思いますねw