METAL GEAR DOLLS   作:いぬもどき

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雇い雇われる者

「や、やってやりましたよ、ヘリアンさん、指揮官さま!」

 

 グリフィン分屯基地内司令部の扉を豪快に開いて現われたのは、後方幕僚兼秘書のカリーナである。乱れた髪や衣服を気にもせず、ふらふらとテーブルにたどり着いた彼女は解析したデータをおさめたメモリをテーブルの上に置くと、ヘリアンとソニア指揮官にやり切ったと言わんばかりにサムズアップを向けた。

 

「でかしたぞカリーナ!」

 

「お疲れさまカリーナちゃん、あとは私たちに任せて」

 

「お願いしま…」

 

 そこまで言って、カリーナはバタンと仰向けに倒れると死んだように眠りについてしまう。16LABにある日突然送られてきた暗号化されたデータ解析のため、ここ数日不眠不休に当たっていたカリーナは体力の限界だったのだろう…だが見事その役目を果たしてくれた彼女を二人はねぎらい、せっせと協力して彼女を部屋のソファーに運ぶ。

 その後すぐに、AR小隊へと連絡を入れると彼女たちはすぐさま指揮所へと駆けつけてくれた。

 

「指揮官、ペルシカさんの居場所が分かったって本当ですか!?」

 

「本当だよ、カリーナちゃんのおかげで解析できたみたい。あ、カリーナちゃん今疲れて寝ちゃったから起こさないであげてね?」

 

 お礼を言おうと彼女のもとへ飛んでいこうとするM4をソニア指揮官が止める。普段真面目で大人しいM4であるが、時々衝動的に動くものだからせわしない。

 さて、早速カリーナが持ってきてくれたデータを端末にインストールする…そこにはとある座標が示されている。その座標を世界地図のデータにあてはめ辿っていく…示されたのは東欧ウクライナ、地図を拡大し示された地域の名を見た彼女たちは息をのむ。

 

「…チェルノブイリ、ここにペルシカさんが?」

 

「おそらくな。16LABのサーバーに先日アクセスがあり、いくつかのデータが抜き取られた。だが代わりに暗号化されたデータが残されていてな……暗号解析のプロも太刀打ちできないものだったが、カリーナは見事やり遂げてくれた」

 

「カリーナ、よく解析できたものだな?」

 

「暗号はペルシカが90wish時代にメンバー間のやり取りで用いていたものだ。本当によく気がついてくれたよ、うちの優秀な社員だ」

 

 ソファーの上で眠るカリーナを改めて褒め称える。目が覚めたらたくさんボーナスを払ってあげようと心に決める。さて、ペルシカの居場所が分かったところで早速出ていこうとするM4とSOPⅡをM16と指揮官が引き止める…相変わらず落ち着きがない。

 

「一刻の猶予もありませんよ指揮官! ペルシカさんがウクライナにいるのなら、早く助けないと……じゃないと、正規軍と米軍が武力衝突してしまいます!」

 

「落ち着けM4、焦る気持ちはわかるがこんな時だからこそ冷静になるんだ。ヘリアンさん、何か考えがあるのだろう?」

 

「勿論だ、今回の任務はとても厳しいものになる。正規軍にもあまり知られたくはない……そこで助っ人を用意してある。そろそろ、おっと…ちょうど来たようだな」

 

 ヘリアンが指揮所の扉に目を向けると、開かれた扉より一人の少女が姿を現した。白いメッシュの入った黒髪に赤と黄色のオッドアイを持つ戦術人形、彼女が持つ銃はAR小隊の銃"ブラックライフル"によく似ていた。

 

「初めまして指揮官、AR小隊の皆さま。私はRO635、ヘリアン上級代行官殿の指示によりチームに加わります」

 

「ご苦労。紹介しよう、彼女はRO635、本来ならパレット小隊の部隊長を務めていたのだがAR小隊の補助として応援に来てもらった。彼女は優秀な戦術人形だ、任務の助けになってくれるだろう、仲良くしてくれ」

 

 ヘリアンの言葉を受け、M4たちは少し戸惑いつつもRO635を受け入れる。

 軽い自己紹介を終えた後で、改めて任務の前の作戦計画を話しあう。

 

「この救出作戦にはグリフィンも堂々とは動くことが出来ない、ソニア指揮官の部隊もあてにはしないでくれ。君らには素早く、そして密かにペルシカリア博士を発見し救出してもらいたい。先ほどM4が言った通り猶予はあまりない……米軍はパリを突破し旧ドイツ領をも侵攻する勢いだ、正規軍はポーランド近郊で迎え撃つ様子だ」

 

「鉄血支配地域も無視はできないな、あれのせいで正規軍は迅速な部隊展開が困難だ」

 

「その通り、そしてさっき入ったニュースだが新たな米軍部隊がギリシャ沿岸に上陸した……その部隊は真っ直ぐ鉄血領を目指している、おそらく鉄血の包囲網を解くのが狙いだろうな。一刻の猶予もないが、冷静になってくれ」

 

「了解しましたヘリアンさん」

 

 作戦開始時間はおって知らせるため、各自に待機命令が出される。敬礼を向けて去ろうとする彼女たちであったが、去り際にヘリアンはM16一人を呼び止める。不思議に思いつつも、彼女は後で合流するむねをM4に伝え一人残る。

 

「単刀直入に言おうM16、お前から見てMSFはどうだった?」

 

「前評判とは偉い違う連中だったよ」

 

「信頼はできると思うか?」

 

「互いに敬意を払っているうちは…」

 

 M16は思ったことを、しかし長ったらしい言葉ではなく簡潔に述べて見せる。AR小隊が彼らと接触する以前は、単なる戦闘集団、協定にも属さず独自の価値観で動く危険な存在という認識であったのだが、短いながらも彼らといた期間からM16はそうではないのだと気付いたのだ。

 M16の言葉で満足したのかは分からなかったが、ヘリアンは小さく頷く。

 

「さっきも言った通り、ソニア指揮官の部隊は動かすことは出来ない」

 

「ごめんねM16、助けたいのはやまやまなんだけど…」

 

「いいんだ指揮官。それで、他に何か考えが?」

 

「ああ……長いこと仕事を放棄されているようだが、今回は彼女たちにも仕事を依頼する。まあ、お前たちはついこの間まで一緒だっただろうが…」

 

「あぁ…あいつらか…」

 

 それだけで、ヘリアンが誰のことを言っているのかM16は察した。

 今頃何をやっているのか、ついこの間まで一緒にマザーベースでニートを謳歌していた"存在しない部隊"を思い浮かべるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 パリが陥落した。

 衝撃的なニュースは瞬く間に世界に広がり、その悲報はマザーベースにも波及する。米軍部隊の苛烈な攻撃の前にフランス軍はパリを放棄、首都機能を別の都市に移し徹底抗戦の構えを見せている。まだフランスという国は降伏していないが、南部より上陸部隊が迫り苦境に立たされている。

 それに対し米軍は、もはやフランス軍を自らが相手をする必要がないと判断したのか、コーラップス汚染区域を散々にかき回すことで感染者たちの大移動を意図的に引き起こさせ、彼ら自身はフランス領を突破し東欧へ向けて進撃を開始した。

 それに拍車をかけるように起きたのが、ギリシャ沿岸への米軍無人機…シーカーが統率する大量の軍用人形及び装甲機械の上陸だ。シーカーが直接指揮権限を持つ無人機部隊は鉄血領を南部から目指す。

 彼らの進撃が進めば、正規軍は西部と南部に戦線を抱えることになるだろう…。

 

 最新の新聞記事を眺めながら、416はぼやく。

 

「正規軍の奴ら、東欧諸国をまとめてアメリカと戦うみたいね。まったく、フランスの救援もしないで…自分たちだけで迎え撃つつもり?」

 

「はぁ…45姉…」

 

「あいつらギリシャの上陸部隊にはどうするつもりかしら? いくら正規軍とはいえ、そういくつも戦線を抱えられないと思うけれど…」

 

「45姉、45姉のちっぱい…45姉のスレンダーボディー…」

 

「………このままじゃ旧ドイツ領も見捨てるつもりね、一番立ち位置が難しいのはバルカン半島かしら? すぐそばを米軍が素通りしていくのを黙って見ているか、それとも参戦するか。戦わなければユーゴは内戦から立ち直れるんでしょうけど、戦後の国際関係が…」

 

「あぁ……貧乳成分が足りない、45姉のパンツだけじゃもうどうにもならん……性欲を持て余す…」

 

 隣でブツブツ未練がましく呟くのはジョニー、しばらく無視していた416であるがついに激怒する。しかし怒りを向けられたジョニーもジョニーで、鬱憤を晴らすかのように逆ギレを返すのだ。

 

「さっきからブツブツうるさいのよ変態装甲人形ッ!」

 

「やかましい! 何時間も、お前みたいな巨乳と同じ空気を吸う側の気持ちになってみろ! ああ恐ろしい!」

 

「あんたは空気吸わないでしょうが! そんなに他の空気を吸いたいならヘリウムガスでも吸ってなさいよ、そうすれば少しはアンタみたいなデカブツでも可愛げがあるわよ!」

 

「胸にばかり栄養が行っているせいで、肝心のおつむが未熟みたいだな! 巨乳は異端、死すべし! いいか世の理を教えてやる、貧乳こそ至上、貧乳の現人神である45姉を称えよ! ハレルヤッ!」

 

 歓喜の声をもって叫ぶジョニー、しかし猛烈な勢いで走ってきたUMP45がその後頭部に強烈な飛び蹴りを浴びせるとマザーベースの甲板から彼は落ちていった。落ちていったジョニーに無言で銃を撃ちまくる徹底ぶり、まあジョニーは頑丈さが取り得なのでそのうち海から這い上がってくるだろう…。

 一息ついたUMP45は、唖然とする416には目もくれず、とある人物との通信を再開するのだ。

 

「待たせたわね、ちょっと変態の処理をしてたわ……それで、どこまで話したかしらヘリアンさん?」

 

 通信相手はグリフィンのヘリアン。

 彼女の名を聞いた416はすぐに仕事の話が来たのだと察する。

 

『コホン……ペルシカが誘拐されその居場所をようやく特定できたというところまでは話したな。ペルシカの救助にはAR小隊も向かうが、君ら404小隊にも助力をお願いしたい。報酬の半分は前払い、残り半分は任務成功後に支払おう』

 

「なるほど、敵は誰なの?」

 

『不明だ。むしろお前たちの方が心当たりはあるんじゃないのか? 厳重な警備をかいくぐり、痕跡を残さず人間一人を攫う…そんなことが出来る者を知らないか?』

 

「さあね、心当たりは多すぎるわ。いいわ、引き受けてあげようじゃない…報酬はいつも通りの方法でね」

 

「45、今確認したけど…報酬はもう振り込まれてるわね。ただ…」

 

 416が見せてくれた口座には、前払いにしては多すぎる多額の金が降り込まれているようだ。単なるミスとも思えないそれにUMP45は疑念を持つ。

 

「こんなに報酬が多いと、困難な任務だと勘ぐってしまうのだけれど?」

 

『前払い金に別な資金を上乗せしてあるからな』

 

「なんのために?」

 

『グリフィンから出せるのはAR小隊だけだ。だからその資金を使ってMSFの部隊を雇え、より確実に任務を遂行するためにな。UMP45、この任務は困難かと聞いたな? 当然だ……場所はチェルノブイリ』

 

「20世紀最悪の汚染被害があった場所……如何なる国家も管理しない、忘れ去られた都市」

 

『米軍と正規軍の衝突が迫っている、その前に何としてでも彼女を救いたい。今作戦はクルーガーさんも承認しているが、正規軍には内密だ…それを加味して、MSFの部隊を雇ってくれ。以上だ」

 

 通信を切ると、いつの間にやら416の他にUMP9とG11の姿がある。G11は寝ているところを台車に乗せられてきたようだが、416に踏みつけられてたたき起こされる。その後に、自力で海から這い上がってきたジョニーも加われば404小隊のメンバーが揃う。

 

「また仕事よ寝坊助さん」

 

「えぇ、ジョニーがいるなら私はいいでしょう…?」

 

「良くないわ、こいつから受けるストレスは誰に発散すればいいと思うの? あんたの役目でしょ?」

 

「416、ちょっと酷くない?」

 

「はいはいケンカはお終い。仲良くしましょ?」

 

「そうだよ、みんな家族なんだからね!」

 

「9ちゃんマジ天使。どこぞの巨乳悪魔とはえらい違いだ」

 

 ジョニーの余計な一言で再びケンカが起きるが、UMP45に命令された途端大人しくなる。基本的に彼は従順であり強力な弾よk……前衛であるため、今では404小隊の貴重な主戦力の一人だ。

 

「それで45、MSFの部隊を雇うんでしょう? どの部隊にするの?」

 

「そうね……」

 

 UMP45はマザーベースに来てからこれまでのことを思い浮かべ、MSF内の優秀な部隊を思い浮かべていく。

 任務の性質場、大勢よりも少数精鋭、それも隠密行動に長け確実に任務を全うできるだけの実力と冷静さを持つ部隊……それを当てはめた時、UMP45には一つの部隊が浮かんだ。




戦いが迫って来ているぞ…。


さて、UMP45が雇う部隊はなんだろうな?
まあ察しがつくと思うが、とりあえず後書き劇場見ようぜ。


UMP45「みんなー、ドルフロのアイドルこと私と一緒に働いてくれる人!」

エグゼ「あー急用思いだした」
ハンター「上に同じ」
マシンガン・キッド「お前たちマシンガン人形いないの? ナンセンス…」
オセロット「こっちを見るな」
WA2000「こっちを見るな」(便乗)
9A91「それよりお酒を飲みましょう」
スコピッピ「それよりグリフィン職員フルトン回収しようよ!」
カズ「MSFの半分をやろう」
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