METAL GEAR DOLLS   作:いぬもどき

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星条旗よ永遠なれ

 砲撃を受け、大破し傾く船体…船体から漏れた油に引火して辺り一面の海上が燃え盛る炎で煌々と照らされている。海上を縦横無尽に滑る魚雷艇より対戦車ロケット砲や重機関銃の銃撃が艦隊へと向けられ、対するアメリカ軍も船上より砲撃や銃撃を浴びせかける。 

 空には夜間戦闘用の可変無人機ドラゴンフライが飛び交い、急降下と一撃離脱を駆使し多数の船舶、及び援軍として駆けつけた航空戦力へと襲い掛かる。しかしその襲撃も一方的なものではなく、MSF兵士たちの熱追尾ミサイルの一撃を受けて墜落する機体も多い。ドラゴンフライは滑走路を必要とせず、地上と空中での戦闘を可能とする万能兵器であるが欠点として装甲の脆弱さがある……ミサイルの一撃はもちろん、重機関銃の攻撃でさえも当たり所が悪ければ撃墜することが出来るのだ。

 

 一機のドラゴンフライが、魚雷艇より放たれた熱追尾ミサイルに推進装置を破壊され、錐揉み状態となって墜落していく。制御を失ったその機体は、艦隊旗艦の強襲揚陸艦の甲板上へと墜落して爆発、激しく燃え盛る。

 機体から広がる炎が、甲板上を激しく動き回る複数の影を照らす…。

 

 

 甲板上を走りぬけるアルケミストを狙うドラゴンフライのレーザー砲が、彼女のすぐ後ろをついてくるかのように着弾する。薙ぎ払うようなレーザーの連射がアルケミストを捉えようとするその瞬間、彼女は高々と跳躍、空に浮かぶ月を背にドラゴンフライの頭部へと降り立った。

 敵を捉えるセンサーとカメラを叩き壊すと、錯乱したドラゴンフライが暴れまわり闇雲にレーザー砲をぶっ放す。

 

「デストロイヤー!」

 

「任せて!」

 

 敵の目を奪ったタイミングで、この無人機を破壊できる火力を有するデストロイヤーが前に出る。

 そして彼女が得意の榴弾による攻撃を仕掛けると同時に、アルケミストが離脱…榴弾をまともに受けたドラゴンフライは爆発に巻き込まれて大破、攻撃の衝撃によって漏れ出た燃料が引火し大爆発を引き起こす。炎上する敵に向けて笑みを浮かべ喜ぶデストロイヤーであったが、炎を突き破って突進してきたデルタ・フォース大尉"アーサー・ローレンス"の奇襲を受ける。

 彼女がアーサー大尉を認識した時には手遅れ。

 放たれた銃弾が肩を抉り、撃たれた衝撃で彼女は甲板へ倒れ込む。

 

「言ったそばから油断か? いくら屈強な肉体があっても、経験がないのでは力の持ち腐れだな」

 

「う、うるさい…!」

 

 素早く置きあがり、追撃の銃弾を躱す。

 大尉の武器は意外なことに米軍特殊部隊では珍しい炸薬を使う実弾拳銃、光沢のある銀色に輝くS&W M500ハンターモデル(ダブルアクションリボルバー)。装弾数5発、50口径の強力な反動は実用的ではないのにも関わらず彼はそれを使いこなす。

 アーサー大尉の戦闘スタイルは接近戦だ。

 厳しい訓練の末に習得し、実戦の中で研ぎ澄まされたマーシャルアーツの中に銃撃を混ぜる戦闘スタイルだった。50口径リボルバーは闇雲に撃たれるものではなく、格闘の中に不意打ちの一つとして組み込まれる。サイボーグの肉体が強力な反動を吸収し、一切のブレなく狙った的を撃ち抜く…銃器や弾丸にも特別な改良が施されているのだろう、威力射程共に見た目以上のスペックを誇っていた。

 

 一度距離を置いたデストロイヤーであったが、アーサーは負傷し動きが鈍くなっている彼女をなおも狙い続ける。肩をやられた状態で接近されれば容易く組み伏せられてしまう、そこでデストロイヤーがとった行動は逃げるのではなく、逆に自らぶつかりに行くことだった。

 向かってくるアーサー大尉に向けて彼女も駆け出し、無事な方の肩で勢いよくぶつかっていく。

 強化された彼の身体が大きくよろめく、やりようによってはハイエンドモデルの力もまだまだ通用するのだ。敵が体勢を立て直す前にデストロイヤーは仕掛ける。

 

「やぁ!!」

 

 ぶつかっていった姿勢から身を翻して後ろ蹴りを放つ。効果があるかは分からないが、人体の肝臓がある箇所を正確にとらえたその後ろ蹴りを受けた大尉は数歩後退する。すかさず正面を向いて回し蹴りを浴びせようとしたが、足を抱え込まれてしまった。

 勢いを殺した後、アーサーは捕らえた足を離したかと思うと一気にデストロイヤーへと詰め寄り、腹部に膝蹴りを叩き込む。蹴られた痛みで前かがみになった彼女の身体を軽々と抱え上げたかと思うと、勢いよく鋼鉄の甲板へと叩きつける。

 頭部から背中にかけて広い範囲で衝撃を受け、強烈な一撃を受けた彼女は視界がぼやけるほどのダメージを負う。定まらない焦点でかろうじて見えたのは、リボルバーの銃口を向ける大尉の姿だった。

 撃たれる…そう思ったが、突如リボルバーの銃口は逸れる。

 

「うちの妹に、なにやってんだテメェは!!」

 

 ピンチに駆けつけたのはアルケミストだ。

 リボルバーより放たれた弾丸を、自身の武器を犠牲にすることではじくと、走る勢いをそのままに跳び蹴りを大尉の身体に叩き込む。スピードに乗った彼女の攻撃を受けて、大尉の肉体が軋みをあげる…そのまま受け止めようとすれば間違いなく肉体が破壊されると一瞬で判断した大尉は、むしろ抵抗せずにはじき飛ばされることでダメージを抑え込む。

 追撃か救助か、その二つの選択肢がアルケミストにはあったが彼女は迷わずデストロイヤーの救助を選ぶ。

 倒れ込むデストロイヤーを抱え上げて素早く甲板上の残骸の陰に隠す。

 

「おい大丈夫かデストロイヤー!?」

 

「うぅ…あいつ、滅茶苦茶強いよ……!」

 

「まったくだ、今までの偉そうな態度も納得ってわけさ。だがやりようはあるさ」

 

「ど、どうするの…?」

 

 そんな疑問を投げかけた時、二人のすぐそばにデルタ・フォース隊員の死体が投げ落とされる。その後すぐにやって来たのは、額から血をどくどく垂れ流し血走った眼で興奮状態にあるエグゼであった。

 

「こんのクソやろうどもてこずらせやがってよ!」

 

「ふん、また狂犬もどきの人形か……お前みたいな手合いは飽き飽きしている」

 

 まさしく狂犬と呼ぶ以外にありえないエグゼの様子を大尉はそう言い現すと、エグゼは怒り…と言うよりぎらついた闘争心をさらに剥き出しにする。こうなった場合のエグゼはもう止められない、それを知るアルケミストだがこの場合は非常に頼もしい事態だった。

 

「飽きただとこのやろう……テメェら一方的にケンカ吹っ掛けといて飽きたってなんだよ。舐めやがってこの腐れ外道が、きっちりけじめつけさせてやるからな、覚悟しろよこら!」

 

 スプリングフィールドなどが聞いたら唖然とするような暴言を吐き散らし、エグゼは特攻を仕掛ける。獅子がまさに獲物に跳びかからんとするような低い姿勢から、超人的な脚力を活かした凄まじく早い踏み込み……踏み抜かれた固い甲板がひしゃげるほどの力強さだ。

 一撃必殺、一刀に重きを置いたエグゼの必殺の攻撃を初めて目の当たりにしたアーサー大尉は、あまりの勢いに気圧されて回避行動が遅れてしまう。

 

 スピードとパワーを兼ね備えたエグゼのブレードの切っ先が振り下ろされ、重く鋭い刃は甲板まで振りぬかれて深い裂創を刻み込む。間一髪、刃を逃れたかに見えたアーサー大尉であるが、胸部の外骨格が斬り裂かれていた…。

 

「ちっ、仕留めそこなったかよ…! まだまだぁ!」

 

「そう何度も同じ手が通じるか!」

 

 再び斬りかかろうとするエグゼを迎え撃つ。確かに恐ろしい一撃だが、冷静に見極めれば太刀筋は単調、避けるのは容易い。

 突っ込んでくるエグゼが完全に勢いがつくその前に、大尉は低姿勢で踏み込む彼女を蹴りとめる。

 下あごを蹴り上げられてのけぞるエグゼの腹部にボディーブローを叩き込み、握り固めた拳でストレート…顔面に強烈なパンチを受けたエグゼは大きくよろめくが、倒れない、むしろ不敵な笑みを浮かべてみせた。

 

「ハハ……その程度かよヤンキーの大将、全然効かねえぞこら!」

 

「減らず口を…」

 

「だったら黙らせてみな!」

 

 常人には反応することができない速さで肉薄するエグゼ、だが大尉はそれを見極め振りぬかれた拳にカウンターを叩き込む。怯んだ一瞬の隙に大尉はリボルバーを抜きエグゼの頭部へ向けた……が、引き金が引かれる瞬間エグゼはがら空きの腹部を殴りつけた。

 

「くっ…!?」

 

 アーサー大尉が初めて呻き声を漏らす、好機と見て追撃を仕掛けようとするが相手は一筋縄ではいかない。懐に飛び込まれ苦しい体勢からフックを放ち突き放そうとする…振りぬかれた拳がエグゼの横顔に直撃した、だがエグゼはそのパンチを耐え抜きむしろ押し返してみせる。

 

「効かねえって、言ってんだろが!! スネークのパンチの方が、何倍もいてぇぜ…!」

 

「見事だ戦術人形、認めよう、お前たちはただの人形ではないな。だが人間でもない、そのぎらついた闘志、凶暴性…貴様らのそれは猛獣と同じだ」

 

「ったり前だろが……オレたちは荒くれたオオカミさ、それも血よりも確かな絆で結ばれた狼の群れさ……そして、狼は群れで狩りをするもの。狙った獲物は確実に仕留める……なあ、そうだろうハンター!!」

 

 エグゼが吠えると同時に、アーサー大尉の背後より気配を殺し忍び寄っていたハンターが飛び出した。

 気配を完全に隠していたハンターに彼は気付けず、彼女の二丁の拳銃より放たれる連撃がアーサー大尉の背を撃ち抜いた。攻撃をまともにうけた大尉の身体が大きく揺れる…。

 この絶好の好機に、他の姉妹たちも動く。

 

 飛び出したアルケミストを見て大尉は即座に銃を構えたが、アルケミストの姿が唐突に消失する。普段の彼ならそんなムーブに惑わされることは無かっただろうが、ハンターの奇襲とエグゼの思わぬ反撃によって追い込まれていた彼は、一瞬でありながら姿を消したアルケミストに戸惑った。

 再びアルケミストが姿を現すと同時に、銃を握る腕を蹴りつけて銃を弾き飛ばす。

 

「合わせな、エグゼッ!」

 

「オーライ、姉貴ッ!」

 

 息のあった二人の姉妹の連携技、強烈なハイキックが前後から叩き込まれる。

 格闘技とはいえ、十分に人を殺せるだけの威力を持つ攻撃……頑強なサイボーグとはいえ相当なダメージがあるはずだ。だが威力のほどを確かめるその前に姉妹はなおも攻め立てようとすると、大尉は息を吹き返しその場から逃れるが、エグゼはしつこく食らいついていくのだ。

 

「くらえこのやろう!」

 

 ブレードの切っ先を、大尉の胸部めがけ叩き込む…だが、大尉は刺し貫こうと迫るブレードの刃を掴み押しとどめるのだ。貫こうとするエグゼと、押し返そうとする大尉の力比べ…徐々に押し返していく大尉にエグゼは苦しい表情を浮かべるが。

 

「なーんてな、ゲームセットだ」

 

 唐突に笑みを浮かべたエグゼはなんとブレードを離し、その場にしゃがみ込む……しゃがんだ彼女の背後から飛び込んできたアルケミストが、ブレードの柄頭へと蹴りを叩き込む。その勢いを大尉は押しとどめることは出来ず、ブレードを握る手を斬り裂き、切っ先が大尉の胸部を貫いた。

 胸部をブレードによって刺し貫かれた大尉はよろめき、おびただしい血を流す。

 まだ彼は生きている、ならば死ぬまで攻撃の手は緩めない。

 とどめの一撃を任されたのは、末妹のデストロイヤーだった。

 

 

「ようやくこの時が来たんだ……アンタはケンカを売る相手を間違えたんだ! やられたらやり返す、百倍返しよ!」

 

 

 空高く飛び上がったデストロイヤーより、無数の榴弾が放たれ甲板上に突き刺さっていく。傷付いた大尉の周囲を固めるように突き刺さった榴弾は明滅し、彼を逃がすまいと取り囲むように撃ちこまれていた。そしてそれら榴弾が一斉に起爆、凄まじい爆炎の中にアーサー大尉はのみ込まれる…。

 甲板へ着地したデストロイヤーは燃え上がる炎を眺めながら、気が済んだようにほっと一息ついてみせる。そんな彼女へ歩み寄ったエグゼは、おもいきり頭をひっぱたいた。

 

「いっっったぁい!! なにすんのよ、ばか!?」

 

「なにがばかだこのやろう! オレ様のブレードごと爆破しやがって! あれじゃもう使い物にならねえだろ、弁償しろ!」

 

「う、うるさい! あんな場面でしょうがないでしょう!?」

 

「落ち着けよエグゼ、敵を倒せたんだからいいだろう?」

 

「ほんとだね、まったく文句ばっかり言って、どうしようもないねこの妹は…」

 

「なんだよ! またオレがわるもんかよ! お前らとなんて絶交だこのやろう!」

 

 ギャーギャー喚き散らす4人の姉妹……だが炎の中から立ち上がったアーサー大尉を見て黙り込む。

 

「まだ生きてやがる……ゾンビかよあいつはよ!?」

 

「待てエグゼ…」

 

 とどめをさそうと拳銃を抜いたエグゼをアルケミストが止める…抗議する彼女に何も言わず、アルケミストはただ彼を見据えていた。

 

 

「見事、だな……このオレがまさか敗れるとは、分からないものだ」

 

「しぶとい奴だね、いい加減あんたらが人間なのかどうか分からなくなってきたところだ」

 

「ふん……紛れもない人間だよ、オレたちは……例え生身の肉体がゼロだとしてもな……お前たちとは違う」

 

「なにが違うだよこのやろう、往生際の悪い事言いやがって! 素直に負けを認めやがれ!」

 

「負けたのはオレが弱かったからだ、決して人形風情が人間より勝っているからじゃない……と言いたいところだが、間違いだったのかもな……お前たちは、優れた戦士だったようだ」

 

 死闘の末に、彼は自分自身が大きな思い違いをしていたことにようやく気付く。自分自身の力に酔いしれていたわけではない、だが絶え間ない訓練と実戦の積み重ねによって誰にも負けないという自負があった…自惚れでも油断でも無く、それは自信だった。

 だがそれはこれまで見下していた戦術人形たちによって覆されることとなった……しかし、不思議と彼は後悔も悔しさも感じてはいなかった。自分でも驚く心境の変化に、彼はほくそ笑む…。

 

「エルダーブレイン……あれは、いや…彼女はブリッジにいる……安心しろ、手は出していない。だがいつまでもうろうろされても、目障りだ……起爆装置を作動させた、1時間後に艦隊は全て海の底に沈むだろう…」

 

「ずいぶんと悠長な猶予があるじゃないか? 死なば諸共、やらないのか?」

 

「余計なお世話だ、人形………だがこれで、終わりだと思わないことだ……光が眩しければより暗い影がどこかに産み落とされる……我々はいつの日か必ず戻ってくる! 必ず、必ずだ……星条旗が朽ち果てる事はないのだ―――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エリザさまー!!!」

 

 ブリッジの扉を思い切り蹴り開けたエグゼを、すかさずハンターがひっぱたく。

 

「このアホ! 扉が吹っ飛んでエリザさまにあたったらどうするつもりだ!?」

 

「う、うるせぇ! こういうのは勢いが大事なんだよ!」

 

「お前ら静かにしろ……エリザさま、お久しぶりですね……お迎えに上がりました」

 

 

 ケンカを始めようとするエグゼとハンターをなだめたアルケミストはブリッジの中へ足を踏み入れると、しゃがみ込み、かつての主に向けて頭をたれる……長女のそんな姿にならって他の姉妹たちも習うが、みんなそわそわしていてなんとも情けない様子だ。

 それに対し、彼女は…エリザは咎めることもせず小さくうなずいて見せた。

 

「よく来てくれたね、みんな。礼を言わせてもらうよ」

 

「身に余る光栄です」

 

「えっと、エリザさま…? ご無事でその、良かったな…じゃなくて良かったですね?」

 

「処刑人……誰よりも早く私の元から離れてった君がここに来るなんてね」

 

「うえっ!? そ、そそ、それは……! 色々と誤解があってですね、ちょっと他の奴ら…こいつとかこいつのせいで!」

 

「待てエグゼ、私は関係ないだろう!?」

 

「私だって!」

 

「冗談だよ」

 

「うへぇ……冗談きついぜエリザさま、心臓止まるかと思ったぜ…心臓ないけど」

 

 わずかに微笑むエリザに、ほっと胸をなでおろす…。

 鉄血を離れたとはいえ、ほぼ全てのハイエンドモデルにとってエルダーブレインは未だに頭の上がらない存在だ。エグゼやハンターはオーガスプロトコルから切り離されているとはいえ、かつての主への敬意は忘れていなかった。

 

「エリザさま、ここにいる理由はもうありません。帰りましょう、代理人も無事です」

 

「うん、なにからなにまで感謝するよアルケミスト……でも一つやらないといけないことがある、あの子のことだ」

 

「………シーカーですか?」

 

「そう、あの子はドリーマーを失くして……戸惑い、哀しみ、怒りにくれている。目につくすべてを破壊しつくそうとしている、止めないといけない」

 

「殺すということですか、エリザさま…?」

 

「短い付き合いだったけど、あの子は私に色々な世界のあり方を教えてくれた、あの子が苦しんでいる姿は見たくない……だから、あの子の苦しみを終わらせてあげたいんだ」

 

「殺すのではなく、終わらせる……ですか。エリザさま、それは私たちには出来ません……ですがそれをできる人物を私たちは知っています。彼は、私やここにいるみんなを救ってくれました……彼なら、死以外に彼女を苦痛から救い出せるかもしれません」

 

「その人は知っている、代理人が言っていた"伝説の傭兵"………そうか、代理人や君たちが信頼するなら任せてもいいのかもしれない」

 

「ええ、彼ならきっと……エリザさま、申し訳ございませんが元の家には帰ることはできません。窮屈ではありますでしょうが、MSFの基地まで…」

 

「選り好みできる場合じゃない、文句はない」

 

「では、こちらに…エリザさま」

 

 

 すっと立ち上がると、アルケミストらはエリザを連れて甲板へと向かう。

 そこで信号弾をあげれば迎えのヘリが降り立ち、彼女たちを収容しすぐさま飛び立って行く……いまだに燃え盛る艦隊を窓から眺め、一仕事を終えた彼女たちは肩の力を抜く。

 疲れ果てた彼女たちが眠りにつくさまを、エリザは咎めることは無かった。




ラスボス米軍編、終了

次回、シーカー戦…ボスラッシュ…


原作よりだいぶエリザさまが温厚ですね。

ちょっと無理矢理ですが、今回のようにアルケミストを筆頭とした姉妹愛を間近で見ているうちに彼女もまた鉄血の家族愛に興味を抱いている設定であります。

よく読者さんに、この作品の鉄血勢は家族愛がすごいという声をいただきます。
そういってもらえてうれしいですね。

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