METAL GEAR DOLLS   作:いぬもどき

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緊急合作案件!! 危険な運搬物

「ふん~ふんふん♪」

 

 ある日のマザーベース。

 温かな太陽の光と穏やかな海風が熱くも寒くもないちょうどいい気温を整えてくれる。快適な気候の中をスコーピオンは鼻歌をうたいながらスナック菓子を食べ、当てもなくふらふらと散歩をしていた。こんな呑気な姿をWA2000に見つかればまた仕事をさぼっていると憎まれ口を叩かれるが、今日は任務で出かけてるため、口やかましい人を気にしないで気ままに遊んでいられるのであった。

 だが散歩しているだけではやはり暇、ということで誰か遊び相手がいないか捜すも、今日のマザーベースでは珍しく誰にも会うことがない。

 

「エグゼもどっか行っちゃったし、スネークもいないしで退屈だねぇ。なんか面白いことないかなぁ……ふわぁぁ………ん?」

 

 大きな欠伸を一つかいたところで、スコーピオンは遠くの甲板に不自然に置かれた物体を発見する。

 しばらく目を細めてそれが何なのか伺っていたが、何かに気付いたのか、スナック菓子の袋を放り捨ててその物体めがけ走り寄る。

 甲板に置かれた不自然な物体、よく見れば雑誌…それもスタイルの良い女性の写真が載せられたセクシーな写真集である。その雑誌のすぐそばでスコーピオンは立ち尽くしていたが…。

 

「いいものを見つけた…!」

 

 ニヤリと笑みを浮かべてしゃがみ込むと、スコーピオンは嬉しそうにしながら雑誌を食い入るように眺めはじめる。誰がいつ何のためにこの雑誌をこの場所に置いたのか、そんな疑問を疑問として浮かべることもなく、スコーピオンは雑誌のページをめくる。

 

「えへへへ、エッチだねぇ~」

 

 スコーピオンはスネーク一筋であり、別に同性をそういう目で見ているわけではない。今は言うなれば、ちょっとエッチなものを見つけて喜んでる思春期少女のノリに近い…。ましてやMSFでは、このようなエッチな代物を毛嫌いしている一部の者によって焚書されてしまうので、こうして見かけることは珍しかったりする。

 完全に雑誌に集中してしまっていたスコーピオンは、その場にやって来たミラーにすぐ気付くことは出来なかった。

 

「ちょっ…スコーピオン? お前一体何を…」

 

「あ、ミラーのおっさんじゃん。いや~、エッチな本が置いてあったからついね」

 

「返しなさい!」

 

 嬉しそうにエッチな雑誌を見せびらかすスコーピオンから雑誌を奪い取る。

 ミラーの妙に焦った表情から、普段察しの悪いスコーピオンも何かを察して笑みを浮かべた…何か面白いことに手を出そうとするあの表情である。いつもこれを見た後に厄介ごとに巻き込まれることの多いミラーは狼狽える。

 

「おっさん、なんか企んでるっしょ?」

 

「なんのことかな?」

 

「隠し事はなしだよおっさん。今のエロ本の取り返し方からして何かやろうとしてるんでしょう? あたしにも教えなさい」

 

「お前には関係ないじゃないか……というか、女の子のお前がなんでこんなものに喰いつくんだ!」

 

「女の子だってエロ本読むでしょうが! 97式だってスプリングフィールドだってあっちのこっちの人形だって、おっさんの初恋のあの子だってきっと読んでたよ! あたしは他の子よりちょっとオープンなだけ、女の子だってそうやってエッチなことを覚えんの!」

 

「そ、そうなのか…?」

 

「あたしがそう言うんだから間違いない。で、なに企んでるの?」

 

 とんでもない風評被害をそこら中に巻き散らしたうえで再びスコーピオンの疑惑の眼差しがミラーをとらえる。

 ここでスコーピオンを言いくるめられる話術もなければ、こう見えてやたらと強いスコーピオンを相手に戦えば返り討ちに合うミラーはついに観念した。まずは人目につかないところに連れていった上で、ミラーはとある作戦をスコーピオンに打ち明ける。

 

「前線の変態野郎どもにエロ本を届けてあげたいって?」

 

「変態野郎どもとは言っていないだろう…まあ、女のお前には理解できないだろうがオレたちだって色々考えているんだ」

 

「ちょっとちょっと、そうやって仲間外れにしないでくんない? 前線じゃむさくるしい男だらけ、エロ本は見つかれば焼却処分されちゃうし、たまに来る可愛い戦術人形来るとむらむらしちゃうし、手を出したら色々大変だからせめてエロ本使って溜まったもんを吐きだしたい……なんか間違ってる?」

 

「大当たりだが、君って本当に中身女の子か?」

 

 失礼な疑問を挟むミラーを鉄拳制裁した上で、スコーピオンはこの作戦に手を貸すことを堂々と宣言する。

 だが作戦の成功よりも任務の面白さを追求するスコーピオンは、当初ミラーが用意した雑誌には満足することが出来ず、禁断の写真を使用して新たな雑誌を造り上げる。

 

 一日の猶予をもってスコーピオンが持ってきてくれた新たな雑誌をミラーは食い入るように見つめた。

 

「こ、これは! 戦術人形たちの隠し撮り写真!? どうしてこんなものを!?」

 

「ふふ~ん、あたしにかかればこんなもの簡単だよ」

 

「まあ、同性だし疑われないが…というかこの写真の量、いつから隠し撮りしてたんだ?」

 

「もう、細かいこと気にしちゃダメだよ! ほらほら、こんなの普段絶対見れないでしょう?」

 

「た、確かに…見ようとしたら殺されるしな」

 

 スコーピオンがこっそり写真におさめたものを一つの雑誌に纏め上げて禁断の書物、人形たちのあられもない姿にミラーは興奮を隠せない。

 

「見て見て、わーちゃんの生着替え。エッチでしょ?」

 

「むむむ! こ、これはきわどい…!」

 

「お風呂場の写真もあるよ。グローザったら、お酒飲んでも顔色変わらないけど実は身体の方って火照ってるんだよね~。知らなかったでしょう?」

 

「なんてことだ…!」

 

「それにこれ。Vectorの寝てる時の写真、この人裸で寝るんだよ? エッチだよね!」

 

「エッチだ…」

 

 スコーピオンの隠し撮り写真のネタは、それはもう豊富なものだった。

 これを提供すれば確かに前線の野郎どもは大喜びするだろうが、しかしあまりにもリスクが大きすぎる…それに対し、悪魔のように優しい表情を浮かべたスコーピオンが巧みな言葉で誘惑するのだ。

 

「おっさん、最初の写真もいいけどさ、どこの誰かも分からない女の子よりこんな風に見知った顔の女の子エッチな写真の方がいいよね? 普段何気なく話してるあの子のあられもない姿、普段絶対に見られないような恥ずかしい姿にエロスって感じるんじゃないの?」

 

「いや、そうだが…しかし…」

 

「男になるんだよおっさん!」

 

「……っ!? わ、分かった!」

 

「よっしゃぁ!」

 

 踏ん切りのつかないミラーを引きずり込むことが出来た彼女はガッツをきめ、それからミラーと固い握手を交わす。

 もうどうにでもなれ、自暴自棄になりかけるミラーであった。

 

 しかしそこで考えるのは、どうやって雑誌を戦地のスタッフまで運ぶかである。

 通常、物資を戦地のスタッフに運びこむ場合、前哨基地に物資が集積された上で細かなチェックを行い輸送する。そこからさらに細かな駐屯地を経由し、戦地に送られるのだ。

 前哨基地には戦術人形が多数おり、兵站業務に従事する者は多い。

 元々チェックは無駄がないよう厳しくされていたが、先日MSFの財政見直しの一環として雇われた64式の存在もあって中々に厳しいチェックがなされている。梱包された物資も一度開封させるほどの徹底ぶりだ。周囲にばれずに前哨基地から戦地にエロ本を運ぶのは中々に難しい…。

 結局これを解決できず、ミラーはゴーサインを出すことが出来なかったのだ。

 

 しかしそれも、スコーピオンには織り込み済みである。

 物資運搬のエキスパートを用意したという話を頼りに、ミラーは半信半疑で前哨基地にまで向かう…。

 

 

 

 スコーピオンの案内で前哨基地の外れに向かったが、そこでミラーが見たのはくすぶる焚火のすぐそばでヘイブン・トルーパー兵に職務質問を受けている一人の人物であった。

 相手は薄汚れたロングコートを纏い、ヘルメットとガスマスクを着用し素顔は見えない。屈強な体つきなのは服の上から出も分かるが…。

 スコーピオンは職務質問をするヘイブン・トルーパーたちを基地に帰し、目の前の人物に声をかけた。

 

「やあお待たせ運び屋さん。お仕事の話を持ってきたよ!」

 

 【運び屋】と呼ばれた人物はスコーピオンを見て頷き、視線をミラーに向ける。

 

「紹介するねおっさん。モハビ・エクスプレスって運送業者の運び屋さんだよ。報酬さえしっかりしとけばなんでも荷物を運んで、腕っぷしも強いから強奪にもあわずどこでも運んでくれるんだよね」

 

「そうなのか。それにしてもモハビ・エクスプレスか…聞いたことがないな。信用できるのか?」

 

「大丈夫大丈夫。さてと運び屋さん、あんたに運んでもらいたいのはこれなんだけど」

 

 スコーピオンは乗ってきた車の荷台より、雑誌を箱詰めにしたものを運び屋の目の前に置く。頑丈そうな木箱に梱包し、もちろん中身は見ることは出来ない。これを指定した基地にまで運んでいってほしい、そう依頼するスコーピオンに運び屋はしばし考えると…。

 

「なになに? よく分からない荷物を運ぶのに報酬が安すぎるって? まあ確かに…ちょっと色を付けておくよ」

 

 運び屋の賃上げにスコーピオンは理解を示し快く報酬金をあげる。

 

 

 中身がよく分からない曰く付きの物を運べばトラブルに巻き込まれ、頭に銃弾をぶち込まれて墓に埋められることだってあり得るのだ。

 

 

 そういったリスクを含めた上で、報酬の金額を交渉しなければならない。

 では早速を運搬を、そう言いかけたスコーピオンを遮って運び屋は再び難色を示す。

 

「え? 荷物が大きすぎるから倍額貰わないと運ばないって? あのさぁ、だいたいの大きさは伝えたよね?」

 

 しかしスコーピオンも再びの賃上げには素直に応じることは無かった……まあ、結局は運び屋の巧みな話術に言いくるめられて報酬金は運び屋の思い通りになってしまったが。この仕事で使われるお金はスコーピオンのポケットマネーであるので、ミラーは不干渉を貫く。

 結局、その後スコーピオンは運び屋の賃上げ要求全てに敗北し、おまけに道中の身の安全に役立てたいからと弾薬まで提供してしまった。

 負けたくせに清々とした表情のスコーピオンと、高額報酬を取りつけた運び屋とで握手がかわされる。運び屋とは、一番近い町へ車で送り、そこで別れるのであった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ある日のこと、マザーベースの食堂にてスコーピオンは上機嫌でコーラを飲みながら問題の雑誌を堂々と広げていた。一冊は手元に残したいということで所持するエッチな雑誌をおかずにコーラを飲む、なにもかも上手くいっていると勘違いしているスコーピオンの痛恨の慢心である。

 コーラと雑誌に夢中なスコーピオンは、背後に立つ鬼のようなオーラを纏うWA2000に気付くことは出来ず、後頭部を思い切り殴られて意識を失った…。

 

 

 

 次にスコーピオンが目覚めた時、彼女は椅子にロープで括りつけられて身動きが取れないでいた。

 周囲にはWA2000、グローザ、Vector、FAL…多くの戦術人形や女性スタッフがおり、おっかない表情でスコーピオンを見据えている。

 

「や、やぁわーちゃん……元気?」

 

「こんな状況で呑気にしてられるアンタは流石ね。でも、今回ばかりは我慢ならないわ!」

 

 WA2000は例の雑誌をスコーピオンの目の前に叩きつけると、ゴミを潰すように踏みつける。

 ここに集まった者たちの怒り、それは隠し撮り写真の拡散に対してである。

 WA2000、グローザ、Vector、MG5、キャリコ、ネゲヴ、スプリングフィールドなど……いずれも今回の被害者である。逆に、被害にあっていないはずのエグゼやFALもいるが…。

 

「やってくれたわねサソリさん? いくらなんでもこれは許容できないわ」

 

 無表情で怒るグローザの恐ろしさにスコーピオンは震えあがる…これは下手な冗談など通じない。

 ただの飲んだくれだと思って油断したが、敵に回したくない人形の一人なのだ。

 

「おいおい、こんなしょーもねえことで騒ぐなよ。減るもんでもねえだろ?」

 

「あんたは隠し撮りされてないからそんなことが言えるのよ! 関係ないと思うなら出てって!」

 

「はいはい……スコーピオン、あほくせぇけど、自分でやったことなんだから自分で何とかしろよ?」

 

 助けてくれそうなエグゼが興味なさそうに去っていってしまい、スコーピオンは焦りだす。スコーピオンはきょろきょろと辺りを見回し、同じく隠し撮りをしなかったFALに助けを求める。

 それに対しFALは固い表情のままだ。

 親友のVectorが被害にあって、彼女も怒っているに違いない、と誰もが思った。

 

「納得いかないわ」

 

「うぅ、ごめん…でも助けてよFAL! アンタの写真は隠し撮りしなかったでしょ!?」

 

「そこが納得いかないのよ!」

 

「ほえ?」

 

「MSFで一番可愛いのはこの私でしょう!? 誰がどう見たってそうじゃない! なのにこの写真集に一つも私の写真がないってどういうことなの!?」

 

 FALの誰も予想できなかった怒りの原因に、周囲の冷めた視線が突き刺さるが本人はお構いなしだ。

 

「なんで私の写真が一枚もないのよ!?」

 

「いや、だって需要ないかなと思って…」

 

「なんですって!? この絶世の美女であるこの私が、需要がないですって!? ナンセンスだわ! Vector、あんたもそう思うわよね!?」

 

「いや、需要ないでしょう…独女だもの」

 

「なによアンタまで! あんたとなんか絶交よ!」

 

「落ち着いて独女さん、自分の首を絞めない方がいいわ。あんた私がいなかったら家事全般何もできないでしょ?」

 

「あんたらうるさいのよ! 今はこのアホの弾劾が先よ!」

 

 言い争いを始める二人を黙らせて、WA2000はスコーピオンの尋問に取り掛かる。

 MSFで最も尋問を得意とする男を最も近くで見続けた彼女だ、経験はないがどうすれば口を割らせられるかは理解していた。小さなテーブルの上に整然と並べられた尋問器具を見て、スコーピオンの顔が青ざめる。

 

「仲間にこんな事はしたくないわ、素直に情報を喋ってくれるなら考えてあげるわ」

 

「さっすがわーちゃん、器が大きいね!」

 

「お黙り! さて、なにから聞こうかしらね……アンタが依頼した運送業者を教えなさい」

 

「えと、モハビ・エクスプレスってところだよ」

 

「……ずいぶん素直に吐くのね?」

 

「そりゃそうだよ。あたしは頑丈だけど、痛いのやだもん」

 

 わが身の保身を優先するスコーピオンにため息をこぼす。

 その後もスコーピオンへの尋問で依頼した業者を特定し、モハビ・エクスプレスの運び屋を捕まえて運搬中のブツを回収しようということで意見は一致する。

 だが今回の騒動を起こしたスコーピオンへの制裁は、まだ決まっていない。

 

「スコーピオン、あんたの処遇はオセロットに任せるつもりよ、覚悟しなさい!」

 

「うへぇ! そうはいかないもんね…こんなところで簡単にやられるスコーピオンじゃないよ!」

 

「あっ! コラ待ちなさい!」

 

 いつの間にかロープを切断し、スコーピオンはあっという間にその場から逃走してしまった。

 

「ちっ、あいつめ! まあいいわ、アイツは後回しよ! とりあえずその、モハビなんちゃらってとこの運び屋を追うわよ! 生死は問わないわ、あれが変態どもに手渡される前に阻止するわよ!」

 

「勿論よ。このグローザ、ここまでコケにされて黙ってられないものね。Vector、あなたはどうするの?」

 

「行くよ、決まってるじゃない。FALはどうするの?」

 

「あんな私の写真が一枚もない雑誌の存在なんて認めないわ! 全部燃やして作り直してやる! 戦車大隊も出撃よ、もう頭にきたわ!」

 

「そんなみっともないことするからアンタいつまでも独女なんだよ…」

 

 こんな理由でご自慢の戦車大隊を出撃させようとするありさまに、Vectorはあきれ果てていた。

 ともかく、怒り狂う人形たちが忌まわしい雑誌を運搬する運び屋を捕まえる…あるいは抹殺するべく基地を出る。

 

 それと同じころ、逃走したスコーピオンは大慌てで運び屋との連絡を取るのであった。

 

 

 

「運び屋さん!? ちょっとまずいことになってね、例の物資を奪い取ろうとする奴が現れたから教えておくね! でもそいつらうちの人形だから、絶対に殺しちゃダメだからね!? いや、そいつらたぶん全力で殺しにかかってくるかもしれないけど……いや、そこをなんとか、ね? 絶対殺しちゃダメだからね、殺したらMSF全員で運び屋さんを殺しに行くからね!?

 そんなわけであとよろしく、仕事は絶対にこなしてね。行けたら助けに行くから、じゃーねー」

 

 

 




なんだこれはたまげたなぁ(無責任)



はい。

というわけで今回からコラボネタ、WarbossさんとこのFALL OUT GIRLSとコラボやで!

FalloutNVとドルフロのクロスオーバーや、みんな読むんやで?


Q:スコピッピ、全部speechで負けてますが大丈夫?
A:すまん彼女はIntが絶望的に低いんだ…
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