アフリカを治めるウロボロスの屋敷、そこで暮らす子どもたちの間では身近な物で甲冑や剣を作ってチャンバラごっこや、お姫さまごっこなどといった遊びが流行っている。作り物の鎧と剣を持ち、1対1で向かい合い口上を述べてからのチャンバラごっこ…こちらは主に男の子の遊びで、女の子はお姫様の格好に扮してお茶会を開いたりしてのんびり戯れている…。
さて、何故子どもたちの間でこのような遊びが流行っているかと言えば、シーカーの影響がかなり大きい。
シーカーは常日頃から古き良き騎士の姿を目指しており、誰にでも敬意を払い主君に対する忠誠心と義の心を重んじる。例え小さな子どもが相手でも、一人の人間として尊重してくれる。凛々しく気高くあろうとし、日々の鍛錬を惜しまないシーカーに、子どもたちは男女を問わず羨望の眼差しを向けていたのだ。
男の子たちはシーカーに剣術を教えてもらったり、女の子はお姫さまごっこにナイト役として混ざってもらっていたり……シーカーに魅了される子どもたちが増えていくなか、面白くないのはやはりというかウロボロスである。
シーカーの人気が高まっていくのを危惧したウロボロスは、"おぬしの髪の色が気にくわん"などという意味不明な理由をこじつけて、ドリーマー共々郊外の工場地帯に左遷させてしまった。
まあ、ドリーマーとシーカーは近々その工場地帯に向かう予定だったので、予定が少し早まっただけなのだが…。
「ったく、あの小生意気な高飛車女め。こんな場所に送り込んで…」
「真新しい工場だ。色々夢が膨らむじゃないか」
「あのね、こんなところで一体何ができるって言うの? ざっと見たけど作業用ロボットは一体もいないし、設計データもないし、送電線は工場の手前で切れてるのよ!」
「それは酷いが、酷いことばかりじゃないさ……なぁ?」
「な、なによ…」
含みのある笑みを浮かべたシーカーを見て、ドリーマーの表情が引き攣った。
軽く周囲を見回し誰もいないことを確認し、シーカーはドリーマーに詰め寄って行く。ドリーマーを壁の隅に追い詰め、片手を壁にあてて逃げ道を塞いでしまう。
「屋敷じゃなかなか二人きりになんかなれなかったからな。ここじゃ他の目を気にする必要もない…だろ?」
「やめなさいよ、バカバカしい……ほらさっさと退きなさい、いい加減怒るわよ?」
「そう言ってくれるな。君を想うほどこの気持ちが昂ってしまうのだから……ほら、こっちを向いて」
「ちょっ、なにを…!」
不意に、下あごに指が添えられドリーマーの目線はシーカーの方へと向けられてしまう。誰もが羨む様な美しい顔立ちに笑みを浮かべながら、シーカーは見下ろしていた…彼女の紅い瞳を真っ直ぐに見つめると、それまで頑なに抵抗していた意思が簡単に揺らいでしまう。自分より背丈の小さいドリーマーの顔を上に向かせ、シーカーはゆっくりと唇を重ね合わせる…。
微かに残る抵抗の意思から、ドリーマーはシーカーを押し返そうとするも、その手を掴まれて壁に押し付けられてしまう。
普段の凛々しい佇まいの姿から一転、シーカーは貪欲にドリーマーを求める。
いつもならこんな風に乱暴なことをされれば怒りだすドリーマーも、抵抗せずされるがままに身をゆだねていく。密着するシーカーからは甘い薔薇の香りが漂う、それもまた彼女の理性を狂わせるのだ。
不意に、お互いの唇が離れ混じり合った唾液が二人の間で糸を引く。
無言で見つめ合う二人…やがてシーカーがドリーマーの頬に手を伸ばそうとするが、対するドリーマーは顔を背けるのだった。拒絶された、そう思ったシーカーは途端に落ち込む素振りを見せたが…。
「こんな場所じゃイヤよ…」
「なに?」
「こんな冷たい場所じゃイヤだって言ったの…分かるでしょ?」
二人がいる場所は、無機質なコンクリート壁の工場。
ロマンチックさの欠片もないこんな場所でなんかしたくない、そう上目遣いに訴えるドリーマーに、シーカーは自分を恥じる。
「すまない…余裕がなかった…」
「まったく、信じられない……したいのはあなただけじゃないんだから、夜まで待ちなさいよね?」
「完全に主導権を握られてしまったな」
「
「仰せのままに、
仰々しく片膝をつき頭を下げる姿に、ドリーマーはほとほとあきれ果てるのだった…。
工場が正式に稼働し始めたのは、二人がやって来てから2週間後のことだった。
工場に電線が張られていなかったのはどうやらウロボロス配下の不手際らしく、それがばれた部下は哀れにも砂漠の彼方へと放逐されたり責任者は粛清されたらしい。
その後は作業用のロボット及び自律人形も回してもらう。工場の規模に対しその数は物足りない印象を受けるが、生産ラインが稼働していない段階では相応の数だった。
電力を得て作業員を揃えたことで早速兵器の生産をしようとしたところで、ウロボロスが口出しをしてきた…。
"今までと同じのを作るのは認めん。正規軍のパクリもダメ、なんかいいの造れ"などとほとんど一方的に入って来たため、その日のドリーマーは怒り狂って何体かの作業用ロボットが八つ当たりで破損した。
「こうなりゃ、コスト気にせずハイエンドモデル量産してやろうか!?」
「落ち着けドリーマー、ウロボロスに嫌味を言われるだけだぞ。こう言ってはなんだが、口げんかであいつには絶対勝てない」
「ったく……イラつくなぁ」
「私に良い考えがある。記憶の中にいくつか米軍の使えそうな設計データがある、それを二人で改良して試作してみようじゃないか」
そう言って、シーカーは得意げな様子で設計データを端末に表示していく……が、だいぶ記憶が曖昧なのかぱっと見ただけでは使えそうもない設計図にしか見えない。だがそこは慣れ親しんだドリーマー、雑だったシーカーの設計データを手直ししていき、より精巧なデータへと直していく。
「やったな! 流石ドリーマーだな!」
「当然でしょう、私は天才なのよ」
「よし、他にも思いだしたから色々描いてみよう」
「えぇ…まだあるの?」
天才だと言ったが、データの見直しは結構疲れるのだ。
シーカーがもたらす謎の戦術人形データ、及び装甲ユニットの不可解なデータをひたすら手直ししていくドリーマー…全ての手直しが終わる頃にはくたびれてぐったりとしていた。連日続いたこの見直し作業で兵器生産が遅れ、視察にやって来たウロボロスが再び嫌味を言ってきた…おかげでまた何体かの作業用ロボットが鉄くずに変わってしまった…。
「シーカー、これあげる」
「なんだそれは?」
ある日のこと、工場の空き地で瞑想していたシーカーのもとにドリーマーが鉄製のケースを一つ運んできた。
大きなケースには入っていたのは長い柄の先に斧が取り付けられた武器だ。斧にはドラゴンに跨る騎士の装飾が掘られている。
「ハルバードか……これはどうしたんだ?」
「あんたの刀もボロボロになってきたでしょ? それは代わりの武器……見た目はただのハルバードだけど、震動衝撃波発生装置によって、最低限の力で対象を破壊できるわ。あんたのESP能力を使えば、この震動衝撃波で離れた敵も殲滅できる…ってのは流石に妄想かしらね?」
「さあ、やってみなきゃ分からないな」
「試し斬りできる相手がいればいいけれど、生憎今はいないのよね。残念ね」
「まあいいさ。良い得物だ、気に入った……ところで、ウロボロスからの要求には応えられそうなのか?」
「ええそうね。審査も通ったわ、あとは量産して数を揃えるだけ。一か月後には300ユニットが出来上がる、生産ラインが確立されればもっと増産できるわね。既存の戦術人形とはまた違った設計思想……こんなのどこから拾ってきたの?」
「さあな、いつの間にか記憶にあったんだ」
「まあいいわ。他にも色々あるし……開発のし甲斐があるわね、この【バトル・ドロイド】っていうのは」
ケタケタと笑いながら見つめる先には、自動化されたロボットにより量産されるバトル・ドロイドの姿があった。シーカーがもたらした設計データをもとに、様々なバトル・ドロイドの生産に着手するのだ。
シーカー「遠い昔の遥か銀河系の彼方からなんか電波が飛んできた」
我慢できなくてついにやっちまった感がある…言い訳はしない…ドルフロもMGSもSWも好きなんだ!!
これはシーカーの暗黒卿√あったりする??
ダース・シーカーとかなんか強そうw