METAL GEAR DOLLS   作:いぬもどき

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二人のファクトリー

 強大なESP能力をその身に宿し、日々鍛錬を重ねて実力の向上に余念がないハイエンドモデルのシーカーであるが、戦闘以外のことに関しても興味を抱くことがある。最初に興味を抱いたのは音楽であり、今ではそれなりにピアノの演奏をすることができるまで上達した。

 しかしそこで満足せず、他にもシーカーは絵画にも挑戦してみた……結果は残念ながら思わしくなく、事情を知らないウロボロスが、たまたま部屋に置きっぱなしになっていたシーカーの絵を【酔っ払いが描いた落書き】と笑い飛ばし、それっきりシーカーは筆を二度と持たないと心に決めた。

 

 シーカーは趣味を再び音楽に戻し、演奏できる楽器を増やそう…ということでヴァイオリンに今度は手を出した。ただし戦闘以外のスキルは皆無なシーカーであるため、彼女が奏でるヴァイオリンは耳障りな不協和音を奏でてしまう。

 早起きを心がけるシーカーが朝っぱらからそんなことをするものだから、ドリーマーの寝起きはいつも最悪だ。

 

「む、起きたのかドリーマー」

 

「えぇ…おかげさまで…」

 

 いつも通りのシーカーの酷い音色にたたき起こされたドリーマーは最低の気分で、ギィギィ音を鳴らすシーカーをジト目で見つめる。思い返せば彼女がピアノを覚えようとした時も酷いありさまだったと記憶する。音は外すし滅茶苦茶な演奏を繰り返す…だが、必死に覚えようとしている姿と、上手く演奏できた時、嬉しそうに報告してくるシーカーを知っていれば憎むことなど到底出来はしなかった。

 なかなか良い音を出せず落ち込むシーカーを、ドリーマーは優しく励ましてやるのだ。

 最初から上手くできる奴なんていないのだ、と……だが、朝っぱらから練習するのはいい加減控えて欲しいのが本音だった。

 

 

 楽器をしまい、キッチンで朝食を作り二人仲良く朝食を共にする。

 二人は工場近くの場所に用意された家で生活をしており、お手伝い用の自律人形などは置かず、二人きりで寝食を共にしていた。ウロボロス邸では中々二人きりになれなかった反動か、二人は今の住居に越して来てからというもの、時間さえあればいちゃつき合う。

 ある時はリビングで、ある時はお風呂場で、ベッドの上ではもちろんのこと互いに求めあう。

 誰にも邪魔されないこの場所で、二人はお互いの愛を確かめ合うのだった。

 

「朝っぱらから発情したネコみたいに戯れおって、このアホどもが」

 

 唐突にやって来たウロボロスが、食卓でじゃれ合う二人を目の当たりにしてそんなことを言うのも無理はなかった。

 慌てて離れる二人に悪態をこぼしつつ、適当に椅子を引っ張りだして来てふんぞり返る。

 

「ふん、おぬしらをいちゃつかせるためにここを提供したわけじゃないぞ?」

 

「うるさいわね。やることやってるんだからいいでしょう?」

 

「どうだか…まあそれを確認しに来たわけであるがな。ジャッジの要望は届いたな、新兵器の開発はどうなっておる?」

 

「その点については滞りなく。既に【B1バトルドロイド】の量産体制は整っている。現在はB1バトルドロイドの運用上の課題点を克服する設計を進めており、つい先日そのプロトタイプが完成した」

 

「ふむ、ただいちゃついてるだけじゃなかったようで安心した。どれ、折角だから新兵器とやらを見物しに行こうではないか」

 

 とっとと帰ればいいのに、そんなことを思っているドリーマーをなだめつつ、シーカーはウロボロスを工場に案内する。工場の敷地内では量産後、施設の警備任務につかされたバトルドロイドたちが歩哨に立っている。ドリーマーとシーカーが最初に作りだしたB1バトルドロイドは、長身細身の骸骨を彷彿とさせるような容姿をしている。

 耐久性はお世辞にも良いとは言えないが、そもそもの設計コンセプトは数を揃えて物量で圧倒するというものであり、実際このB1バトルドロイドは正規軍が運用する戦術人形の半分程度のコストで量産できるのだ。

 人工知能に関しても、個々の知能は低く下級鉄血兵にも及ばない…これについてウロボロスと意見が分かれたが、シーカーは知能の低さはむしろこのバトルドロイドにとっての長所なのだと力説した。知能のないこれらの兵士たちは中央制御コンピュータで一括制御され、無条件で命令に従い、容易に制御でき、絶対に恐れを抱かない兵士たちなのだ。

 

 それでも渋るウロボロスを納得させるため開発したのが、より耐久性を高めある程度の独立性と知能の向上を図った【B2スーパー・バトルドロイド】だ。性能の向上にともない生産コストは上がるが、小銃程度の火力ではびくともしない装甲に、強力なダブルレーザーキャノンを有している。

 B2スーパー・バトルドロイドの試作機を目の当たりにしたウロボロスは、その出来栄えに感心する。

 

「バトルドロイドの標準装備であるブラスターライフルの性能テストの結果も良好だ。正規軍の戦術人形を想定したテストでは、その破壊力を十分に発揮した」

 

「うむ、だが奴らの主力となる装甲部隊への対処は?」

 

「それも問題ないわ。まだ設計段階だけど、テュポーン戦車や米軍のマクスウェル戦車にも対抗できる戦車を開発中よ。それと大型のバトルドロイドや、重装甲の大型兵員輸送艇なんかもね……まあまだまだ道のりは遠いけどね」

 

「やはりおぬしらにここを任せたのは正解だな。何か足りないものはあるか? 現状、おぬしらが最も成果をあげていると言えよう…多少ボーナスを弾んでやっても良い」

 

「そうね…じゃあ折角だから工場の拡大をお願いしたいわね。バトルドロイドの量産と、新型の開発を考えれば今のままじゃ手狭になるのは間違いないわ」

 

「いいだろう、手配しておこう。ああそれと――――」

 

 ウロボロスが何かを言おうとした矢先、彼女の側近であるヴァンプがやって来て彼女の話を遮った。

 会話を邪魔されたウロボロスは不快感を露わにしていたが、ヴァンプがもたらした報告を聞くと小さく唸る。

 

「ちっ、鬱陶しい虫けらどもが…」

 

「何かあったの?」

 

「私の統治に刃向う旧軍残党がここに向かって来ているらしい。ドリーマー、シーカーそいつらを殲滅しなければならない。ここで開発している兵器をまだ見せるわけにはいかん」

 

「ええそうね……シーカー、やれる?」

 

「問題ない」

 

 ドリーマーの問いかけに、シーカーは珍しく好戦的な笑みを浮かべて返す。

 ドリーマーに造って貰った震動斧の試し斬りをようやく行えるほか、騎士道を重んじる裏腹に攻撃的な本質を秘めるシーカーは、実力を行使できる機会を密かに望んでいたのだ。

 

 

 

 工場に向けて進軍する武装勢力は旧軍の残党が基となって組織された勢力だ。

 第三次世界大戦にともなうアフリカ国家の崩壊によって軍閥化した旧軍部隊が、アフリカ大陸のあちこちを根城に勢力の拡大を図っている。ウロボロスは群雄割拠のアフリカに食い込む形となり、いくつかの軍閥から目をつけられている。

 欧州の正規軍には及ばないが、それでもまともにぶつかり合えば手ごわい相手だ…ウロボロスが将来を見据えるうえで、これら軍閥とも必然的に対峙する必要がある。

 

 工場を目指し進軍する部隊は、旧式のロシア製戦車1両とピックアップトラックに重機関銃や無反動砲を搭載したテクニカルが数台、兵士たちの数はざっと見て50人近くはいるだろう。

 

 旧軍残党の軍閥とはいえ、全員が訓練を受けた兵士たちではない。

 工場を目指す武装した兵士たちの身なりはバラバラで、秩序の崩壊後に徴集された者ばかりだろう…一応彼らを指揮する者は迷彩柄の軍服にベレー帽をかぶっており、軍出身の兵士であることが伺える。

 

 戦闘は、彼らを待ち構えていたドリーマーのアウトレンジからの強力な狙撃によって始まった。

 部隊の先頭を走るピックアップトラックの運転席を正確に狙った狙撃によって運転手は即死、放たれたレーザーはそのまま貫通して荷台の砲弾に命中して誘爆を起こす。突然の奇襲に部隊は散開、トラックの荷台から次々と兵士たちが降り立った。

 兵士たちが混乱に陥っている最中に、シーカーは疾風の如き速さで部隊に接近、震動斧ハルバードの一薙ぎによって数人の兵士が容易く引き裂かれる。

 

 瞬時に現われたシーカーに兵士たちは恐慌し引き金を引くが、統率が取れていない中で銃を乱射したことで同士討ちが起こる。やはり素人同然の練度、強者に巡り合えなかったことに少々落胆しつつ、シーカーは次に戦車を見据える。

 慌ててトラックの荷台に据え付けられた重機関銃でシーカーを狙うも、シーカーの姿が忽然と消える……呆気にとられる機銃手であったが、次の瞬間、その首が一撃で刎ね飛ばされる。

 ESP能力の一つ、テレポーテーションによって一瞬で戦車の砲塔上部まで移動したシーカーは、震動斧の柄の端を握り一閃……戦車の砲塔と車体を両断した。ずれ落ちる砲塔、無力化された戦車からは兵士たちが脱出し恐れをなしたのか逃亡する。

 遠くで狙撃するドリーマーが逃亡兵を狙撃しようとするが、逃亡する兵士を殺すことをよしとしないシーカーが遮るのだ……シーカーの相変わらずの信条に呆れつつ、ドリーマーは戦場を俯瞰する。

 

 戦車を無力化されたことで、敵兵士たちは恐れをなしたのか逃亡する者が出始めた。

 

 そんな中、部隊長と思われるベレー帽を被った兵士が逃げる部下を怒鳴り、その背に銃弾を撃ちこんでいく。

 

「ここまでだ、投降しろ。さすれば命まではとらん」

 

「舐めるな小娘が…! 撃ち殺せ!」

 

 残った兵士たちが一斉に銃を撃つ。

 それに対しシーカーは、サイコキネシスで大破したピックアップトラックの破片を勢いよく兵士たちに飛ばし肉体を刺し貫く。シーカーのESP能力によって更なる恐慌状態に陥った兵士たち、そのタイミングに彼女が最も得意とする能力の一つ【脳波干渉】を発動、虚弱化した兵士たちの意思は容易く打ち砕かれ、彼らは一斉に武器を放棄しひれ伏した…。

 

 そんな中、部隊長の兵士だけが自我を保っていた。

 弾切れの銃を投げ捨て、ナイフを抜いた彼を見てシーカーは感心した様に頷くと、得物のハルバードを地面につきたてた。

 

 

「は? 何やってんの…シーカー?」

 

 

 スコープ越しにその場面を見ていたドリーマーは、シーカーが武器を放棄したことに困惑していた。いや、完全に武器を放棄したのではなく、敵の部隊長がナイフを取り出したのを真似するように自分もナイフを取り出したのだ…そこでドリーマーはハッとする、またシーカーの悪い癖が出た!

 

「見事だ、劣勢に追い込まれてなお失わぬ闘志……貴殿の誇り高き闘志に私も敬意を払おう」

 

 このバカ!

 遠くにいるドリーマーはおもわずそう叫ぶと、ライフルを抱えて走りだす。

 

 シーカーの悪い癖、それは己が認めるだけの相手が現れると対等な条件で戦いを挑んだり、どんなに優勢でも一対一の決闘を喜んで引き受けてしまうことだ。こうなるとシーカーは得意のESP能力も封じ、単純な身体能力での勝負をしてしまう…。

 敵兵士のナイフを構える動作から、ナイフの扱いに長けていると察しドリーマーは大急ぎでシーカーの元へ走っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いててて……意外に強かったな、あの男は」

 

「あんたってホントバカ! 信じられない、その悪い癖いい加減直せよバカ!」

 

 敵兵士とのナイフによる対決は結果的にシーカーが敵の首を斬り裂いたことで決着となるが、戦いの最中にシーカーも手と肩を負傷、それなりに苦戦する結果となった。思いだして笑うシーカーだが、ドリーマーにとっては笑い事ではない。

 万が一のことがあったらと思うとゾッとする…それなのにへらへら笑っている姿を見ると余計に腹が立つ。

 

「まあ勝ったからいいじゃないか」

 

「あんた、微塵も反省してないわね……いいわ、今回ばかりは私も頭に来たわ! 反省するまでお前のことなんか気にしてやらねえからな!」

 

「お、おい…いくらなんでも怒り過ぎじゃ……悪かったよ、ごめん……」

 

 素直に謝るシーカーを見て、ドリーマーの怒りは鎮まって行く。

 

「……本気で心配したんだから…もう危険な真似は止めて……あなたがいなくなったら私は…」

 

「そうだな…そうだったな、ごめん……バカな私を許してくれ、君を悲しませたり怒らせたいわけじゃない……私はいなくならないよ、ずっと君と一緒さ」

 

「そう、ならいいの……ねえ、シーカー…?」

 

 少し潤んだドリーマーの瞳がシーカーを上目遣いで見上げる…彼女の微かに紅潮した頬に指を這わせると、彼女はくすぐったそうに笑った。想い人の愛くるしい表情を見て、シーカーは理性を失いかけるも、かろうじて意識を保つのだ。

 シーカーはドリーマーの唇に軽いキスをし、小柄な彼女を抱きかかえる…いわゆるお姫さま抱っこされたドリーマーも嫌がらず、両腕をシーカーの首に回す。

 

「今夜は寝かさないぞ?」

 

「まだお昼よ、シーカー? 一日中シてたら、壊れちゃうわ…」

 

「望むところだよ…お姫さま(プリンセス)

 

「ほどほどにね…騎士(ナイト)さま…?」

 

 はにかみあいながら、二人は寝室へと姿を消していった。

 

 




ウロボロス「いいか少年少女たち、ああいう大人になっちゃダメだぞ」

アルケミスト「どの口が言ってるんだい?」

ウロボロス「そういうおぬしも最近足をつっこみかけてるからな?」

デストロイヤー「アルケミスト…」

アルケミスト「ち、違う! あたしは…そんな目で見るなデストロイヤー!!」


シーカーのESP能力は強すぎるけど、タイマン挑まれるとついついのっちゃうのが彼女の弱点になるのかな?



ドリーマー✕シーカー…どっちが攻めで受けかは議論の的だと思う(´・ω・`)

シーカー✕ドリーマーはどっちが攻めで受けだと思う?

  • シーカーが攻め、ドリーマーが受け
  • シーカーが受け、ドリーマーが攻め
  • くっ殺せ!(残念、女騎士は勝てません)
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