紛争や内戦がもはや珍しくも無くなった現代において、最も争いの火種が多く残りそれが悲惨な戦争を生み出しているアフリカ。
もっとも、この大陸が常に戦乱に見舞われているのは前時代から変わらぬことだ。
冷戦期は超大国の代理戦争で争い、その後は頻発する民族問題や領土問題、資源の問題や宗教に関わる問題。
考えられるほとんどの戦争の因果がこの大陸のあちこちに散らばっているのだ。
そんな暗黒大陸アフリカへ任務の一環でやって来ていた新ソ連内務省に所属するアンジェリア率いる反逆小隊。
任務はというと、先行して現地入りしていたAK-15そしてRPK-16の救出。
二人とも同小隊に所属するAK-12とAN-94とも遜色ない実力の持ち主であったのだが、相手が悪かったのだ。
「まさか政府側に
「諜報機関の落ち度だったわ。私のミスもあるけれど、MSFが任務の三日前に雇われるなんて…災難もいいところよ」
AK-12はまるで他人事のような口ぶりで言っているが、万が一あの二人と立場が逆だったらと想像すれば寒気がすることだろう。
いろいろと事情があってMSFと関りがあるものの、戦場で敵同士として出会えばそれまでのやり取りなど関係なくMSFの兵士は確実に命を狙ってくる、AK-12はそう確信できる。
まあ、今回は任務には失敗したものの運よくAK-15とRPK-16は難を逃れることが出来たので、AK-12は軽口を惜しみなくこぼすのだ。
「ま、あの二人にはいい勉強になったわよね。確か部隊を率いていたのは…エグゼだっけ? 新旧メスゴリラ対決はエグゼに軍配が上がったし、しばらくはMSFのマッスル兵士に怯えて暮らすでしょう」
「かわいそうに…確かに、MSFってオセロットのようなイケメンばかりじゃなくて、ほとんど半端ない筋肉量のバトルサイボーグばかりだものね」
「確かにその圧倒的筋肉量は驚異の一言ですね。そう。まるでMSF健康センターのマッスルロウリュに代表されるように…」
それまで黙って二人の後ろを歩いていたAN-94が唐突なことを言いだしたため、自然と前を歩く二人の足は止まりAN-94を振り返り見る。
「MSF健康センター?」
「ええ。あの国境なき軍隊が最近建設した温浴健康施設、それがMSF健康センターです。そしてそのMSF健康センターの名物ロウリュこそが鍛え上げられた戦士により生み出される熱波…マッスルロウリュなんです」
「えぇ……なにそれは…?」
唐突なAN-94によるMSFのサウナ語りに上官であるアンジェは戸惑いを見せる。
「健康センターと銘打つだけあってとにかくこの施設はすごいですよ。高濃度炭酸泉、バイブラ風呂にジェットバスなど…特に評判なのが独自調合した漢方薬湯と有名温泉地から直輸入している硫黄温泉です」
「天然温泉を直輸入なんて…MSFもやることが派手ね!」
アンジェとは対照的に若干興奮気味に見えるAK-12。
彼女もサウナーなのだろうか?
「その濃度たるや凄まじく…ちゃんとシャワーを浴びないかもう一度身体を洗わなければ一日硫黄くさいとのことですよ。そして何と言ってもここの薬湯…すごく効き目が良すぎて…あそこ…デリケートなゾーンにもよく効いちゃうんですよ」
「デリケートなゾーンが反応しちゃうくらい濃い薬湯…良いわね!!」
「AK-12…あなたなんでそんなに興味津々なの…?」
「薬湯からのサウナは王道コンボです。MSF健康センターのサウナは暑いことで有名でして、薬湯で発汗作用が増幅された状態でサウナに入れば…フフ」
「想像するだけで気持ちよさそうね!!」
「そして忘れてはならないのがマッスルロウリュです。MSF医療班から選抜されたスタッフによる鍛え上げられた肉体から生み出される熱波は極上間違いなし。一人一人が並みの熱波師を越える実力を持っています…おまけに医療班選抜ということで、ロウリュに使用するアロマも独自配合で素晴らしい香りなんですよ」
「聞いているだけでととのいそうね!」
「そして水風呂はというとくみ上げた天然水。水道水では味わえない柔らかな感覚でとっても気持ちが良いですよ。週に何度か水温を10~12度に設定する強気なイベントを開催しているみたいですね」
「天然水の水風呂って20度くらいのところも多いから、天然水でキンキンの水風呂を味わえるなんて最高じゃない! 季節によってはシングルも狙えるんじゃない!?」
「シングルって何?」
「水温一桁の水風呂の意味ですよ。あとMSF健康センターはお風呂だけじゃないんですよ…なんとここ、あのバーガーミラーズのハンバーグが食べられることも出来るんですよ」
「ハンバーガーって…健康センターとは?」
「サウナ上がりに化学調味料マシマシのケミカルバーガーを食べられるなんて…私あのハンバーガーなら毎日食べてもいいくらいね。なんで身体に悪そうな食べ物ほど美味しいのかしら?」
「それが人間…いいえ、生きとし生けるもののサガだからですよ、AK-12。あとここのメニューはハンバーガーだけではありませんよ。国境なき軍隊が運営しているというだけあって、取り扱う料理は多彩…多国籍の人種からなる組織のお腹を満たし続ける糧食班お抱えの料理人が手掛ける料理は、和洋中を問わずとにかく絶品。一部界隈で人気なのが【国境なきジャンク飯】らしいです」
「国境なきジャンク飯?」
「ええ…国境を越えて広く人に愛される料理を、ということで生み出された料理らしいです。残念ながら情報がMSFの最高機密並みに隠されていて、実際に食べた人しか味のほどは分からないのですが…食べた人は病みつきになるくらい絶品らしいです」
「これは…食べるしかないじゃないの…」
「温泉やサウナだけでなく強烈な熱波を生み出すマッスル兵士によるイベント、そして多彩なサウナ飯をいただけるMSF健康センターは界隈で噂となっている新進気鋭の施設ですよ」
「なるほど。そんなMSF健康センターのマッスルロウリュに負けないくらい私たちも筋肉をつけてマッスルにならなくちゃいけないという事なのね」
「そういうことです」
「そういうことじゃないわよ。なに勝手に二人でサウナの話で盛り上がっているわけ? この後の任務の詳細を説明するわよ」
二人勝手に盛り上がっている中、完全に蚊帳の外に置かれていたアンジェリアは心底うんざりした様子で二人を睨みつけるのだった。
「ふぅ…アンジェったらあんなに不機嫌になる必要ないじゃない。ま、ここからは単独任務だからいいけれど」
あの後、不機嫌なアンジェと気まずそうなAN-94とは分かれ単独任務に従事することとなったAK-12は、街角の屋台でジュースを飲みながら一息付いていた。
普段でも仕事をしっかりこなす彼女だが、今回はその3倍くらいは確実かつ迅速に任務を成し遂げるに至る。
その理由は彼女が見据える先に存在する。
「ここに来るのは夢のまた夢…そう思っていたけれど、来たからには行くしかないじゃない…【スパリゾートアフリカ 輪廻の湯】にね」
ストローを咥えながら不敵に見つめる先にあるのは、アフリカの大地に似つかわしくないゴージャスな造りの施設だ。
アフリカ最高峰の山と名高いキリマンジャロをバックに聳え立つホテル、鮮やかなネオンが煌々と光るさまはまるで古のベガスストリップ地区さながら。
そしてライトアップされた噴水のそばに建てられた、男女の子どもの手を引く美女の像。
生意気な表情で子どもたちを引率する様子を模した銅像はこのリゾート施設のオーナーがモデルであり、ここアフリカで巨万の富を築く元自律人形という噂のやり手の女社長だ。
まあ、AK-12はその正体を知っているが。
「さて…満喫させていただこうじゃない…輪廻の湯をね…!」
ジュースのパックをゴミ箱に投げ入れ、意気揚々と施設に向かう。
未知なる温浴施設で心行くまでサウナを味わう…反逆小隊の一員として滅多に得ることのできない時間を彼女は楽しみにしていた…そう、入り口で厄介者に出会うまでは…。
「げっ! 居眠り女が居やがる!」
「あっははは! 偶然偶然、AK-12久しぶり!」
「なんで…」
出くわしたのは、MSFのスコーピオンとエグゼであった。
前回に引き続きサウナ回
たぶんもうワイは書きたいものしか書けんから勘弁してくれや!!
分かっているは思うけれど元ネタはアレです(笑)
みんなもニコニコで迫真サウナ部を視聴するんやで!!