S06地区、鉄血紛争地帯――――。
「おい、起きろ。起きろこのボケ」
ガツンと頭を蹴られ、道端に横になっていたHK416は頭に受けた痛みで覚醒する。
頭の痛みに悪態をつきつつ416が見上げると、苛立たしげな表情で見下ろす鉄血のハイエンドモデル"
「もう少し穏便に起こす気はないの?」
「穏便に起こしてやったじゃねえかよ。文句言うな」
「やっぱり、お前ムカつくわ」
「奇遇だな、オレもお前見てるとなんかイライラしてくるんだよなぁ! いっそここで殺しちまおうか?」
石に挟まれ身動きの取れない416に銃をちらつかせて脅すエグゼ。
泣いて許しを乞うほど弱気な416ではないが、この人形なら言葉通り平気で殺しにかかってくるから溜まったものではない。
屈辱的だが、任務のため謝罪の言葉を口にしようと口を開きかけたが、そこへやって来たオセロットがエグゼの銃をとり上げその頭にげんこつを叩き込む。
「痛ッ! なにしやがんだコラ!」
「バカが、なんでボスはこんなバカを連れてきたんだか…大丈夫か?」
「ふん、あんたに助けられるとはね、ありがとう。おかげでアイツに謝らなくて済んだわ」
オセロットは紳士的に416に手を差し伸べ、416もまた淑女的にその手を借りて立ち上がる。
「あ、やっと起きたんだね416!」
そこへ、周辺偵察に出かけていたUMP9とUMP45がやってくる。
二人は徹甲弾の入った弾薬箱を抱えており、それを416にも配る。
戦場には鉄血の装甲部隊も多く展開されており、通常の弾薬では効果が薄い。
「ありがとうねオセロット、やっぱりMSFと手を組んで良かったわ」
「お前らと手を組むのは不本意だが、ボスの指示だから仕方がない」
ウロボロスのバルカン半島での暗躍によって事態はMSFにとって厄介なものとなった。
今のところウロボロスが神の杖を乱発したような報告はなされていないが、今この瞬間も、突然頭上からタングステン鋼芯弾が撃ちこまれるかもしれないという緊張感がある。
おかげでウロボロス打倒のために動きが制限され捕捉されやすい大部隊の展開は抑制され、グリフィン側の一部部隊と404小隊、MSFからはスネークとオセロットとエグゼの三人という組み合わせだ。
今のところウロボロスに連邦の兵器が渡ったという情報は拡散されていないが、情報が知れ渡れば世界は混乱するだろう。
「まあいいじゃない。今回は私たちがMSFをお金で雇った、っていう繋がりだし。ビジネスとしての付き合いなら文句はないでしょう? エグゼも、それで納得するでしょう?」
「灰色鼠が気安くオレの名前を呼ぶんじゃねえよ」
「あら、かわいらしいニックネームだと思うけど?」
「なんだとメスガキがよ、ウロボロスの前にお前をぶち殺したくなってきたぞ」
「まあまあ落ち着きなさいよ処刑人。大好きなスネークが帰ってきたわよ?」
スネークの名を聞いた瞬間、エグゼは目の前のUMP45の事など忘れてすっ飛んでいく。
ところが、スネークの傍でG11が一緒に並び歩いているところを見るや否やその目に怒りを宿し、狂犬のように唸り声をあげて追い払う。
G11が怖れをなして退いたところで、エグゼは怒りの表情をひっこめ愛くるしい笑顔を見せる。
まるで猫がそうするように、エグゼは頬をスネークの身体に擦り付ける。
こう露骨に甘えてくるエグゼというのは、直前に何らかの心の乱れがあったことを意味する。
最近エグゼのそんな生態に慣れてきたスネークは甘えるエグゼの髪を撫で、気持ちを落ち着かせてやるのだ。
そうしていると、さらに甘えてきて、甘噛みしてきたりもっと身体を密着させてきたりと……あまりやり過ぎると性欲を持て余す事態になるので、頃合いを見て引き離す。
「この先にレーダー基地と飛行場がある。鉄血の装甲部隊が展開しているようだが、そこを迂回して奥に進むことができる。気をつけろ、敵はまだこちらを完全に捕捉してはいないだろうが、エリアに入ったことは気付いているはずだ。行動は夜間に限ろう、夜に紛れてウロボロスの首を獲る」
「ええ、異論はないわ。せめてもの救いが、相手の正体が分かっているくらい…か。期待してもいいよね、ビッグボス?」
「当たり前だろ、誰のボスだと思ってんだ?」
「あなたのボスでしょ?」
「お、分かってきたじゃないか灰色鼠。ただの貧乳女だと思ったら見る目はあるじゃないか」
そのとたん、周囲の気温が数度は下がったような錯覚に見舞われる。
UMP9や416はヤバい、と思ったのか咄嗟に部隊のリーダーへと視線を向ける……UMP45はとても笑顔だ。
貼り付けたようなとても不自然な笑顔でじーっとエグゼを見つめ…いや、絶対零度の目で睨みつけている。
「スネークは胸が大きい方が好きだもんな、まあオレは意外に控えめだけどさ。かえって良かったな、小さい方が動きやすいだろ?」
普段鈍感なスネークでさえ、UMP45のただならぬ様子に冷や汗を流しているというのに、エグゼは火を鎮めるどころか燃料を投下する。
「ねえ45姉、一回落ち着こう? これから戦うんだし…ね?」
「なぁに?」
「ひっ…!」
変わらない表情のままゆっくり振り返る姉の姿に9は小さな悲鳴をあげる。
普段は毒舌を吐いてやり合う416も、部隊長の様子を一歩引いた位置で見守っている。
「エグゼ、もういい、お前はもう黙れ」
「あぁ? オレに命令すんじゃねえ」
戒めるオセロットに、エグゼは即座に反抗する。
相変わらずスネーク以外の者の命令には従わないようだが、ひとまずUMP45への精神口撃は止まった。
UMP45の方は妹の9がおっかなびっくりといった様子でなだめ、なんとか落ちついてくれたようだが…。
「とにかく先を行こう。各自、散開して進め」
「了解ボス」
一カ所に固まって砲弾なり榴弾なりの一発で全滅、などという初歩的なミスをおかさないよう部隊は各自距離をおいて進む。
人形たちは独自の通信回線を使い連携をとり、スネークとオセロットはお互い何も言わずとも意図を理解し、お互いをカバーする。
エグゼは先頭を進み安全を確保する。
廃墟の中は至る所に身を隠す場所がある。
崩れた瓦礫、路地裏、ビルの窓、廃屋の上階…スネークが逆の立場であるなら、確実にスナイパーと観測手を配置し罠にかけるだろう。
狙撃手の脅威というのは、バルカン半島の戦場で嫌というほど味わったものだ。
都市部に馴染む迷彩パターンの戦闘服を着用し、できる限り急な動作を避ける。
静かに路地裏を進み、通りをゆっくりと覗きこんだエグゼは何かを発見したようで、振り返りスネークに合図を送る。
エグゼの立ち位置と代わり、そっと路地の先を覗きこむ。
2,30メートル先ほどの道の真ん中あたりで倒れ伏す人影を見て取れる。
双眼鏡を取り出し、倒れた人影をズームしたスネークはその姿に思わず顔をしかめる…。
衣服はあちこち破かれ、全身を損壊しバラバラにされている。
まるで何かに食い漁られたような、傷痕だった。
通路の反対側を進んでいた404小隊もそれを発見したようで、双眼鏡でスネークと同じように死骸を眺めている。
「エグゼ、人形というのは野生動物に襲われたりするのか?」
「無いこともない、けど生体パーツはそこまで美味くないから食われるってのは聞いたこともないぞ?」
再度通路を双眼鏡で覗いた時、道路の先から白い毛並みの大きな動物が姿を見せる。
「オオカミ…?」
廃墟から現れたオオカミは人形の死体へと近付いていくと、その足に噛みつきどこかへと引きずっていく。
廃墟に、オオカミの遠吠えが響くと、呼応するかのようにあちこちで返事をするかのような遠吠えが聞こえてきたではないか。
人間のいなくなった街に、野生動物が棲みつくというのは珍しいことではない。
だが、異様な雰囲気を感じ取りスネークは反対側の404小隊へと警戒を促そうとUMP45に視線を向けた時、廃墟の暗がりからオオカミが一匹彼女へと飛びかかる。
「45ッ!」
オオカミはUMP45へ覆いかぶさり、その腕に食らいつく。
スネークは咄嗟に銃を構えたが、誤射する危険があるため引き金を引くことはできない。
そうしている間にもオオカミの牙は彼女の腕に深々と食い込み、彼女の人工血液が辺りに飛び散る。
「離せッ! 45姉を離せ!」
そばにいたUMP9が、ナイフを引き抜きオオカミの背に振り下ろす。
カキンッ、と金属のぶつかる音が鳴る。
ナイフはオオカミの体毛を数センチ刺したところで止まってしまった。
416が咄嗟に9を押しのけ、オオカミの側頭部へ向けて至近距離から発砲する。
銃撃を受けて吹きとんだオオカミだが、すぐさま起き上がる…。
「なによ、こいつ…!」
側頭部を撃たれたオオカミは、頭部の表皮を失い、銀色の機械的な骨格を覗かせ唸り声をあげる。
「きゃあああっ!」
悲鳴を聞き、咄嗟に416が振り返ると、大きなオオカミが二頭UMP9に食らいつき路地の向こうへと引きずろうとしていた。
走りだし、9を救おうとした矢先に、先ほど吹き飛ばしたオオカミが416に背後から飛びかかる。
大きな身体で覆いかぶさられ、なんとかもがこうとするが力で抑えつけられる。
「ちょ、嘘でしょ…!」
オオカミの凶悪な牙が剥かれ、416の喉元めがけ迫る。
だが、オオカミの牙が416の喉笛を喰いちぎるその前に、エグゼが振りはらったブレードにオオカミの頭部が斬りおとされた。
覆いかぶさるオオカミを押しのけもう一度路地裏を見た時には、UMP9とオオカミの姿は消えていた。
「おい、大丈夫か!?」
「ええ、なんとかね…」
「酷い傷だ…」
腕に食いつかれたUMP45が受けた傷は深く、内部の骨格が見えていた。
それを適当な布で巻いて治療する…。
「45、9が連れ去られた!」
「ええ、見えたわ。G11が後を追いかけていったのもね」
「あのバカ、こういう時だけ行動が早いのね」
「おい、それよりこいつを見ろよ。鉄血の製造品じゃねえぞ、こりゃ」
「鉄血でもIOPでもないわ。他社の愛玩ロボットがベースみたいね…もっとも、AIを弄られて見た目そのものの凶暴な獣になってるけど」
UMP45曰く、このオオカミは戦争によって飼うことの難しくなった動物の代わりに産み出された愛玩ロボットの一部だとか。
本物の野生動物と違いメンテナンスさえしていれば寿命も長く、人を襲うこともなく、希少な動物も飼うことができるとしてヒット商品となったとか。
ただしAIに異常をきたし人を襲う事例が出た結果、大きな愛玩ロボットは回収され、その後は小動物をモデルとしたロボットのみの販売になったというらしいが…。
「鉄血の奴ら、どこかでこれを見つけたらしいわね。9とG11を追うわ、助けないと」
「待て、これは罠だ。部隊を引き裂いて、各個撃破するのが奴らの狙いだ」
「忠告ありがとう、オセロット。でもね、あんな妹でもいないと困るのよね」
「分かった、ここからは別行動だ。オレたちはウロボロスを追う」
「ええ、そうして頂戴。ちょっと、寄り道していくわね」
負傷しながらも、UMP45は気丈に振る舞ってみせる。
ここで404小隊とMSFの部隊を分断させるのが、おそらくウロボロスの狙い。
それはUMP45も理解しているが、分かっていながらその罠に飛び込む決意を固める。
「幸運を、ビッグボス」
「お前もな」
UMP45は微笑みサムズアップし、416と共に路地裏へと姿を消していく。
スネークはそれを見届け、ウロボロスを目指し道を進んでいく。
そんな時、先頭を行くエグゼが立ち止まるとスネークに振り返る。
スネークを真っ直ぐに見つめどこか申し訳なさそうな表情のエグゼ、彼女が何を言いたいのか理解したスネークは頷いてみせる。
「構わない、行け」
「恩に着る」
「エグゼ、今度こそ親友を救ってみせろ……お前を苦しめる
「ありがとう、スネーク。オセロット、スネークを頼んだぜ」
「言われなくてもな」
エグゼは二人に向けて敬礼し、コートを翻し街の廃墟へと姿を消した。
「いいのか、アイツを一人で行かせて」
「子はいずれ親から自立するものだ。あいつは友を救えず、憎しみに落ちた時から変わった。信じて送り出したまでだ」
「後悔するなよ、ボス」
オセロットはそっとスネークの肩を叩き、スネークは彼の後ろを進む。
満月の夜に、廃墟の街ではオオカミの遠吠えが響き渡っていた。
「――――――代理人」
司令部の一室にあるモニターに映し出された人物の前で、ウロボロスは片膝をついて頭を下げる。
『ウロボロス…あなた…』
「お喜びください代理人。連邦の隠していた最終兵器アルキメデス…神の杖を手に入れてきました」
『あなた、しばらく音信不通かと思いましたら…そんなことをしていましたの?』
「はい。敵に悟られないようしていました故、定期連絡を欠かしていたことはお詫びします。ですが、アルキメデスを用いMSFの巨大兵器を破壊いたしました。想像を絶する威力です、これがあればグリフィンも正規軍もこれまでのように反抗することもできないでしょう。空を見上げる時、人は常に裁きの鉄槌に恐れをなすでしょう…我々は敵を正面から潰す戦力を手に入れたのです。これを有効活用すれば我々は――――」
『あなた少し黙れませんか?』
ウロボロスは熱く語るあまり、代理人の微かな表情の変化に気付くことができなかった。
モニターの向こうで、代理人は目を閉じ、額に指を当てて何やらを思考している。
やがて小さなため息を一つこぼし、ゆっくりと目を見開く。
そのあまりにも冷たい瞳に、ウロボロスはおもわず背筋を震わせた。
『何から言えばいいのやら…余計なことを…』
「何をおっしゃるんです? 神の杖の有用性は実際に証明して見せました、もしその目でご覧に入れたいのであれば――――」
『黙りなさい!』
代理人の厳しい口調に、ウロボロスは咄嗟に口を噤む。
『よりによってMSFを敵に回すとは、つくづく愚か者ですね。下級の兵士ですら分かっているというのに、あなたには分からないですか? MSFはただのPMCではありませんのよ?』
「しかし、神の杖があれば…」
『ならば何故MSFの本拠地にさっさと撃ちこまないのですか? あなた、アレが未完成だと分からないほどバカではないでしょう? アルキメデスは、もう一つの観測衛星とを組み合わせてこそ、本来の力を発揮する。観測衛星が無ければ、正確な射撃はできない。よって、妨害電波を発し基地を隠すMSFの本拠地の正確な位置は把握できない。おおよそで撃ったとしても、海上では陸上に撃つよりも思うような効力は発揮しない……反論はありますか?』
黙り込むウロボロスに、代理人は心底失望しているようであった。
『あなた…意外に使えませんのね』
「ッ!?」
その言葉にウロボロスの高い自尊心が傷つけられ、思わず代理人へ睨み返す。
しかし自身を見下す代理人の冷たい目の前ではいきり立った気持ちも即座に萎え、ウロボロスはただ許しを乞うかのように目を伏せることしかできなかった。
「申し訳ありません……ですが、私はあなたのためを思い…」
『私のため? 違うでしょう…全ては、我々の主人のためです。そこを履き違えている時点であなたはダメですね』
「もちろん、主人のためでもあります! ですが!」
『MSFの脅威は常々説明してきたつもりでしたわ。決して舐めてかかるなと…なのにあなたときたら、忠告も無視しMSFに敵対するなんて。
もしこれで我々の計画が頓挫したら?
あなたの立場でどう責任がとれますの?
もしもMSFが我々の主人の脅威となり立ちはだかるようなことになったら?
主人が倒される、それは我々の敗北なのですよ?
そこまで考えた上での行動ですか?』
『黙っていないで答えなさいウロボロスッ!!』
代理人のかつてない厳しい口調に、ウロボロスの身体は微かに震え目は見開かれ恐れの色が浮かんでいた。
しばらくの間無言でウロボロスを睨みつけていた代理人はやがて目を伏せ、いつもの感情を読みとることのできない冷たい表情へと戻る。
『ジャミング装置の回収部隊を向かわせます。それまで時間稼ぎをなさい、それくらいならあなたでもできるでしょう。全く、同じハイエンドモデルでも、まだ処刑人の方が可愛げがありましたわ』
「だ、代理人…わたしは…」
代理人は返事を聞くこともなく、モニターから姿を消した。
何も映らなくなったモニターの前で、ウロボロスは呆然と立ちすくむ…。
「ウロボロスさま、ハンターより報告が…計画通り敵を分断したとのことです…ウロボロスさま?」
報告にやって来た鉄血兵は、無言のままのウロボロスを怪訝に思いそばに近寄った。
その瞬間、突如ウロボロスは鉄血兵を掴み上げ壁に叩き付ける。
「わたしが、あのような裏切り者の、下等なハイエンドモデルより劣っているだと!?」
「ウ、ウロボロスさま…! おやめください!」
代理人の叱咤に行き場の無い怒りを覚えたウロボロスは、報告に来た鉄血兵に向けられる。
許しを乞う鉄血兵の首を掴み上げ、ギリギリと締め上げる。
首を絞められ、足が浮きその鉄血兵は苦しみもがく。
「やめろ、ウロボロス」
ウロボロスの腕が捕まれ、力を失った彼女の手から鉄血兵が解放される。
「フォックスさん…!」
「行け」
鉄血兵に短く指示すると、その兵士はぺこりと頭を下げて足早にその場を立ち去った。
八つ当たりをする標的を無くしたウロボロスは息を荒げ、拳を固く握りしめる。
「ウロボロス…落ち着け」
「黙れ! このわたしが、使えないだと…! 処刑人如きに、あのAIの蠱毒を勝ち抜けるものか! あのプログラムを潜り抜けたのはこのウロボロスただ一人だッ!」
「いいから落ち着け」
「黙れぇッ!」
怒りに任せたウロボロスの拳をフランク・イェーガーは受け止める。
すかさずもう片方の腕で殴りかかるがそれも受け止めて見せた。
両腕をしっかりと掴み、ウロボロスに膝をつかせ、フランクも同じように彼女の前でかがみこむ。
「落ち着くんだウロボロスよ。指揮官はたるもの、常に冷静であれ。指揮官の心の乱れに部下は敏感になる…動揺はあっという間に部隊に広がり、勝てる戦いも勝てなくなる」
「くっ……わかっておるわ…」
「ならいい」
フランクはウロボロスを離し、いまだ怒りの鎮まりきらない彼女を静かに見守る。
少しずつ荒げた呼吸を戻し、冷静さを取り戻したことを確認し、フランクは先ほどの鉄血兵が持ってきた情報を代わりにウロボロスへ伝達する。
「MSFと404小隊がテリトリーに入った」
「そうか…ならば確実に殺せ。一切の躊躇はするな、必要ならおぬしが仕留めてくるのだ」
「落ち着け。404小隊を相手にするのはオレが鍛えたハンターだ…404小隊はハンターの
「いいだろう……ここで私の力を証明しなければならない、出なければ…消されるのはわたしになるのだからな」
ウロボロス「だ、代理人ちゃん! お説教激しくしないで!」
代理人「うるさいですね……」ガミガミ
次回予告『ハンティンググラウンド』!!
狩人の猟犬に連れ去られたUMP9、それを助けに行く404小隊、そして親友との戦いを控えたエグゼの運命やいかに!?