METAL GEAR DOLLS   作:いぬもどき

90 / 318
モルダー、あなた疲れてるのよ……


遊園地で遊んで…

 夕暮れ時の遊園地、元は戦争や災害の影響で訪れる者もいなくなり、時の流れと共に寂れていった廃墟であったが、今は明かりが灯り音楽が鳴りかつて人々を楽しませたアトラクションが賑やかに動いている。

 ただしこの遊園地に居るのは、人間の来訪者ではなく強化服に身を包む人形たちの一団だ。

 

「ヴェルさまー! どこにいらっしゃるんですか!?」

「ヴェルさま、おやつの時間ですよ!」

「おい、お前着ぐるみ着てヴェルさまを誘いだせ!」

「わたしは風船を用意するぞ!」

 

 遊園地内で行方不明になってしまったヴェルを捜すべく、捜索隊として展開されているヘイブン・トルーパーたちはあの手この手でヴェルを捜しだそうとする。 

 動かなくなったアトラクションを修理して遊べる状態にしたり、即席サーカス団を結成してショーを披露してみたり、屋台を作って美味しそうな料理の匂いを放ってみたり……上位AIに極めて忠実な彼女たちの必死の努力にもかかわらず、ヴェルはいまだその姿を見せていない。

 もしや遊園地の外に行ってしまったのでは、その可能性も捨てきれないため、月光を編成に加えた捜索隊が遊園地の周囲を捜索している。

 

 

「ちくしょう、ヴェルの奴どこ行ったんだ?」

 

 

 ハンターにどつきまわされながらエグゼは片っ端から遊園地を捜し回る。

 さすがに罪悪感からか真面目に捜してはいるが、これだけ捜していないのだから遊園地内にはいないんじゃないかと思うところであった。

 だが少しでも手を抜こうものなら、傍にいるハンターがギロリと睨む。

 

 

「なあ、もうここにはいないんじゃないのか?」

 

「見つからないから見捨てるのか? 薄情だな貴様は……あの子も、同じ家族じゃないのか?」

 

「いや、そうだけどよ……そもそもなんでオレがあいつの面倒見なきゃならねえんだよ。暇な奴は他にもいただろ?」

 

「ヴェルはお前を母親だと認識している。それに対しお前がどう想うかだ……確かに面倒を見れる奴は他に大勢いる。その中で、ヴェルはお前を選んだんだ。あの子の想いを突き放すのか? お前は、そういう奴じゃないだろう?」

 

 ハンターの真っ直ぐな瞳にエグゼは何も言うことは出来ず、ただうつむく。

 他の者に同じ台詞を言われればきっとエグゼは激高していただろうが、他ならぬハンターの言葉にエグゼは思うことがあるのだろう。

 

「ヴェルの奴、よっぽどお前と遊びたかったんだな。お前が休みだと知って喜んでいたんだ。だがまあ、お前の疲労も考えずにヴェルを連れてきた私にも非はある」

 

「そうじゃねえよ。ったく、ガキ一人面倒見れないオレが情けねえんだよ」

 

「誰が悪かったかの話しはもう止そう。それにしてもどこに居るんだ、あの子は……エグゼ、ヴェルはお前のダミー人形として造られた。若干の違いはあっても思考はお前に近い、お前だったらそこに隠れるか…想像できないか?」

 

「オレだったらね…?」

 

 ヴェルはちびっこだが、思考回路はできる限りエグゼ本体に近付けられている、そこから何か予想はつかないかというのがハンターの考えなのだが……自分だったらどうするか考えてみるが、隠れる場所なんていくらでもある。

 

「自分のことのように考えてみろ。一人になりたいとき、お前ならどうするんだ?」

 

「一人になりたい時か……そうだな…」

 

 そういった場面はこれまでにも何度かあったが、そういう時は何も考えずに行動して一人きりになることが多い。

 では無意識にどういった場所を選ぶか…過去の記憶を振りかえり、今ここにいる場所を見回してみる。

 エグゼが見つめたその先には、遊園地内の一画にそびえ立つ電波塔があった――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「にしししし、みんなひっしだな!」

 

 遊園地全体を見下ろすことのできる電波塔に腰掛けているのはヴェルだ。

 自分を捜すために必死になっているヘイブン・トルーパーたちを見下ろしながら、普段真面目な彼女たちが仮装したり汗を流して駆けまわっている姿に大笑いしていた。

 

「やっぱここにいたのか…見つけたぞおい」

 

 他の誰かがここへ来ることは全く想像していなかったのか、ヴェルは驚き飛び跳ねる。

 咄嗟に電波塔の支柱にしがみついて墜落は避けたようだが……ほっと一息ついたヴェルはやって来たエグゼを忌々しそうに見つめる。

 

「バカと煙は高く昇るってな……で、なにやってたんだこんなとこで?」

 

 鉄塔をよじ登って来たエグゼが隣に座ると、ヴェルはそっぽを向いて離れたところに座る。

 さっきのことを引きずっているのか、少し怒った様子のヴェルにエグゼは苦笑いを浮かべた…。

 

「さっきはその、悪かったな……バカだよなオレな。お前は全然悪くねえよ。それより腹減っただろ、一緒に何か食いに―――」

「みんなをみてたんだ」

 

 ヴェルの声に、エグゼは言葉を止めた。

 手すりにつかまりながら、ヴェルは見下ろす先で忙しそうに動き回る小さなヘイブン・トルーパーたちを面白そうに眺めている。

 

「おれちっちゃいけど、みくだされるのきらいだ。だからたかいとこにのぼるんだ、そうすればみんなちっちゃくなる」

 

「なるほどね、やっぱ同じだなお前とオレは……オレも、高いところに昇るの好きなんだよな」

 

 ヴェルと同じように手すりにもたれかかり、眼下の光景を一望する。

 思いだすのは鉄血にまだいた頃の思い出……仲間内でケンカして代理人に叱られたとき、アルケミストの姉貴に戦闘終わりに説教されたとき、イントゥルーダーに扱き使われてイラついた時の思い出だ。

 

「バカだのアホだの言われてよ、ムカつくったらありゃしねえ。そういう時今みたいに高いところに昇ってたもんだ。普段見下してくる代理人も姉貴も、そん時はオレも上から見下してやれるんだ。くだらねえけど、いつも這いつくばってたオレにはいい場所だったんだ」

 

 鉄血のかつての仲間に恨みはないが、ときたまどぎつい言葉を言われたりもしたものだと、懐かしそうにエグゼは笑う。

 今のMSFでも、WA2000やオセロットなどといったたまにムカつく存在もいるため、今もそんなに変わっていはいない。そんな風に話した後、ドンッ、という音と共に火の玉が地上から空へと打ちあがり……それが火花となって空に大きな花を咲かせた。

 

「わわ! なんだこれ!?」

 

「お前花火見るのは初めてか? まあ、オレもここ最近見てなかったけどよ」

 

 どうやらヘイブン・トルーパーたちは奥の手として花火を用意したらしい。

 打ち上げる間隔は長いが、ヴェルは初めて見る花火に大喜びのようで、花火が夜空に炸裂するたびに声をあげてはしゃぐ。

 高い電波塔の上から見る花火はとてもきれいで、花火をより大きく感じることができた。

 仲たがいしていたエグゼとヴェルの距離もいつのまにか縮まり、隣に並ぶその姿は本物の親子のように見える。

 

 すべての花火が打ち終わると、ヴェルは手を叩いて喜びを露わにしていた、もうすっかり機嫌も直ったようだ。

 

「よし、もう降りるか?」

 

「うん!」

 

 エグゼが背を向けると、ヴェルは嬉しそうにその背にしがみつく。

 小さなヴェルを背負い、ゆっくりと鉄塔を降りていく…。

 

「ママ、おれきょうたのしかったぞ!」

 

「そうか。でもまだ夜は長いんだぜ?」

 

 エグゼのそんな言葉を聞いて、背中にしがみつくヴェルは大喜びする。

 ヴェルが鉄塔で遊園地を見下ろしている間にも、いくつものアトラクションが復活しヘイブン・トルーパー扮するサーカス団の登場で、遊園地はかつての賑やかな姿を見せている。

 大通りを仮装したヘイブン・トルーパーたちが練り歩き、ライトでデコレーションされた月光が飛び跳ねる。

 奇妙でおかしな光景だが、ヴェルは楽しそうに大はしゃぎしている。

 

「ママ、あれやりたい!」

 

「お、射的ゲームか?」

 

 元はおもちゃの館だったそこは、ヘイブン・トルーパーたちに魔改造建築を施され、射撃用ロボットに着ぐるみを着せた動き回る的を撃つというアトラクションに変貌している……使用する弾丸はもちろん実弾であり、流れ弾にご注意くださいという警告板が丁寧に用意されている。

 手渡された自動小銃を手に取ると、ヴェルは笑いながら飛び回るぬいぐるみたちを撃ちまくる。

 遊園地に似つかわしくない銃声が響き硝煙がたちこめるが、ほぼすべてのアトラクションで銃の使用が必須なのでここではこれが当たり前である。

 銃弾、手榴弾、大砲、ダイナマイト、火炎瓶…それぞれのアトラクションに用意された危険極まりない遊び道具により、ヴェルが訪れる先のアトラクションで銃声や爆音が鳴り響く。

 時々火災が起きたり爆風でアトラクション自体が吹き飛んでいるが、ヘイブン・トルーパーたちの見事な連携で施設は復旧していく…全ては幼女の笑顔を見たいがため、彼女たちはエグゼ親子のためを思い奮闘する。

 

 

 

「ふぅ、やっぱちびっこは元気いっぱいで疲れるぜ…」

 

 先ほどまでの喧騒が嘘のように静かになった遊園地。

 その中の公園の広場のベンチにエグゼは少々くたびれた様子で座っている…その腕に抱かれているヴェルは、小さな寝息をたてて眠っている。

 ひとしきり遊んだヴェルは疲れたのか満足したのか、エグゼに抱っこをおねだりし、そのまま寝てしまった。

 

「子どもは勝手なもんだ、オレも疲れてるってのによ」

 

 そんな言葉を口にしながらも、エグゼはどこか穏やかな表情で自身の腕の中で眠るヴェルを見下ろす。

 自分そっくりな幼い女の子、生まれた当初はとんでもないクソガキだったのだが、こうして静かに眠る姿はかわいいものだ…ヴェルの黒髪をそっと撫でていると、そばで見守っていたハンターがエグゼの隣に腰掛ける。

 

「すっかり母親だな」

 

「やっと寝たぞのこのおてんば娘め。なあハンター、今日はありがとな」

 

「うん? 何故お前に礼を言われなければならないんだ?」

 

「おまえのおかげで、こいつのことを分かることが出来たんだ。まあ、いきなり母親なんて老けたみたいでやだったけどよ。でも、家族が増えるっていうのはいいよな」

 

「そうだな。わたしもそう思えるようになってきたよ」

 

 二人はそのまま、静かに空を見上げ夜風に吹かれていた。

 まだ寒さの残る夜だがどこか温かさを感じるのは、きっと気のせいなんかじゃない…あえて口にはしなかったが、エグゼはこの時ヴェル以外の大切な親友とも心を通わせられたことを感じていた。

 

 

「ハンター」

 

「なんだ?」

 

「ずっと一緒につるんでような」

 

「やめろ気持ち悪い」

 

 

 すかさず憎まれ口を叩いて見せると、二人は楽しそうに笑う……あの日失った痛みはもう感じていない、ずっとエグゼを苦しめ続けてきた幻肢痛はもうどこかに消えてしまったようだ。

 素晴らしき友よ永遠に…失ったものをついに、エグゼは取り戻すことができたのだった。

 

 

「そろそろ帰るか」

 

「そうだな」

 

 

 遊園地の明かりはいまだ煌々と煌めいているが、楽しませる対象であったヴェルが眠りについたことでアトラクションはその動きを止め、ヘイブン・トルーパーたちも今は後片付けに勤しんでいる。

 折角直した遊園地だ、いつかまたヴェルが駄々をこねた時のために使える状態にでもしておこうと決まる。

 しかし本業は戦場で戦う兵士、次に訪れる日がいつになるか…もしかしたら二度とないかもしれない。

 それでも、いつかまた…そう思う二人であった。

 

 

「さてと、迎えのヘリが来るまで……って、うん?」

 

「どうしたエグゼ?」

 

「いや、見間違いだと思うんだけど…なんか見覚えのあるやつが…」

 

「なに?」

 

 

 そんなことを言うエグゼを不審におもいつつ、その視線を辿ってみると…確かにいる、見覚えのあるツインテールの小さい少女が…。

 

 

「どう思う?」

 

「いや、あの様子は迷子だろう」

 

「あいつ、いっつも迷子になってんな。どうする?」

 

「とりあえず、捕まえるか」

 

 

 ハンターの提案に頷き眠るヴェルをヘイブン・トルーパーに預け、こっそりとその人物へと近付いていく。

 近くによって気付いたが、今にも泣きそうな表情できょろきょろ周囲を見回している…やはり迷子になった様子、遊園地の中で迷子はつきもだが…。

 

 

「おいデストロイヤー!」

 

 

 名前を呼ばれた少女は声を聞いて嬉しそうに振り返ったが、相手がエグゼとハンターであることが分かると驚きのあまり飛び跳ねる。

 

「鉄血凸凹コンビ!?」

 

「なにが凸凹コンビだこんちくしょう! こんなとこで何してんだちびコラ!」

 

 逃げようとするデストロイヤーをあっさりと捕まえ尋問するが、彼女は大暴れして逃げようとする。

 ここは鉄血の支配圏ではない、もしかしたらMSFへの攻撃の足掛かりにするために周辺偵察を行っているんじゃないのか?

 いまだ鉄血とMSFは敵対関係にないが、お互い牽制し合っており決して友好的な関係とは言えない。

 

「おら白状しやがれちび!」

 

「離せアホ!」

 

「いてッ! このクソガキ!」

 

 すねを蹴られたお返しに、デストロイヤーの頭にげんこつを叩き込む。

 頭部を襲った鈍痛にデストロイヤーは頭をおさえて大声で泣きわめく……その時、尋常ではない殺気が一気に二人の元へと接近する。

 接近してきた襲撃者の姿が月明かりに照らされる…白髪の眼帯をつけた女性、泣きわめくデストロイヤーを守るように彼女は立ちふさがる。

 

「うちのデストロイヤーを苛める奴は…って、処刑人!? なんでお前がここに居るんだ!?」

 

「そりゃこっちのセリフだ! こんなとこで何やってんだよ姉貴!」

 

 現われたのはまさかのアルケミスト。

 彼女もエグゼらと逢うことを想定していなかったのか驚いている。

 

「お前、この間いい感じに別れたばかりなのにこれはないだろ!?」

 

「うるせ! オレがどこにいようが勝手だろ! つーかあんたら何しにここに来たんだよ!」

 

「いや、あたしは…デストロイヤーが遊園地で遊びたいって言うから付き添いでだな」

 

「ちょ、アルケミスト!? 余計なこと言わないでよ!」

 

「だはははは! お前いつもガキ扱いすんなって言っておいて、やっぱガキじゃねえか!」

 

「ムカつく…! あんたこそ、いい年して遊園地に入り浸ってるじゃない!」

 

「あぁ? こちとらガキの子守で来ただけなんだよ、お前みたいなチビと一緒にすんじゃねえ」

 

 しょうもないケンカを繰り広げる二人を、なんとも言えない顔でアルケミストとハンターは眺めている。

 そんな時、ヴェルが寝ぼけ眼をこすりながらエグゼの傍へと寄って来た…。

 

「ママ、だっこ…」

 

「なんだ起きちまったのか、おーよしよし」

 

「待て待て、なんだそのちびっこは!?」

 

「ん? オレのダミー人形のヴェルだけど?」

 

「ダミー人形って…えぇ……お前のミニチュアバージョンみたいでかわいいけどさ」

 

「わぁ、かわいい…!」

 

 現われたちびエグゼことヴェルに早速アルケミストとデストロイヤーは興味津々だ。

 アルケミストなんかは抱きたそうに手を伸ばすが、やんわりとエグゼが拒否する…たぶんヴェルは懐かない。

 

「というかMSFの技術力はどうなってるんだ!? お前のダミーってことは、鉄血の技術も解析してるってことだろう!?」

 

「さあ、そこら辺は知らねえよ」

 

「嘘でしょ…! アルケミスト、早くMSFを潰さないと大変なことになるよ!?」

 

「まあ待て落ち着いてくれ。お互いやり合うつもりでここに来たわけではないんだ、ここは穏便に済ませよう」

 

 冷静なハンターがひとまずこの場を取り繕うが、アルケミストは何か思いだしたようで急に焦り始める。

 

「おいお前ら、悪い事は言わないから早いとこここから立ち去りな」

 

「なんだよそれ、ここは鉄血の支配圏じゃないだろ」

 

「デストロイヤーの付き添いはあたしだけじゃないんだよ。あたしはほら、冗談で流せるだろ? だけど、冗談通じない奴が来てるんだよ…」

 

「冗談が通じない奴だって? おい、そりゃまさか…!」

 

 

 

 

「あら、なんだか見覚えのある方がいますのね」

 

 

 

 

 声がした。

 冷たく、透き通るような声だ……その声を聞いた瞬間、全身が金縛りにあったかのように固まってしまう。

 おそるおそる、身体に少しずつ力を入れてゆっくりと振り返る…。

 

「お久しぶりですね、処刑人…それと、ハンター」

 

「だ、代理人…!」

 

「ごきげんよう」

 

 冷たい空気をまとわりつかせながら、代理人は静かにエグゼの前に歩み寄る。

 相変わらず微動だにしないその表情、有無を言わさず相手を黙らせる圧倒的威圧感…久しく忘れていたその感覚にエグゼはおもわず身震いする。

 目の前に歩み寄った代理人はエグゼを、それからその腕の中で眠るヴェルを見下ろす…それからハンターを見てからその視線をエグゼに向ける。

 

「何か言うことはありますか?」

 

「あは、あはははは……今日もきれいですね代理人さま…」

 

「…………」

 

「う、すみません…」

 

「処刑人、私が以前あなたに言った事を覚えていますか?」

 

「あ、はい?」

 

 じっと見つめてくる代理人に、なんだったかなと空を見上げてみるが、パニックに陥ったエグゼは何も思いつかない。

 

「もしもあなたが鉄血を離れた時……私はあなたを破壊しAIをリセットする、そう言いましたね」

 

「あー…そうでしたっけ?」

 

「そうです」

 

「そうなんですか?」

 

「そうです」

 

「間違いなく?」

 

「そうです」

 

「まいったなー…」

 

「覚悟なさい」

 

 代理人に冗談は通じない、さりげなくアルケミストに目を向けて見るが…まるでこっち見るなと言わんばかりに目を逸らした、今回ばかりはあてにできないようだ。

 代理人はやるといったらやる人だ、素早くエグゼはハンターとアイコンタクトを交わす。

 こうなれば不利でもなんでも、やり合うしかない!

 

 二人の戦闘の意思を察知した代理人もまた、戦闘態勢をとる。

 

 

 

 

 

「うにゃー! にゃーお、にゃにゃ、うにゃー!」

 

 双方が激突しようとする瞬間、突如として現われた奇妙な猫に双方とも咄嗟に手を止めた。

 二本の足でしっかりと大地に立ち、ゴーグルとヘルメットを被った猫の姿にさしもの代理人も驚きを隠せないようだ。

 

「トレニャー!? なんでここに居るんだ!?」

 

「にゃー! にゃにゃにゃーお! うみゃー!」

 

「相変わらず何言ってるか分からねえな!」

 

「なんですかこの奇妙な生物は、説明しなさい処刑人」

 

 代理人から説明を求められたが、はっきり言ってエグゼもよく分からない。

 とりあえず知っているのは猫語を話すスネークと仲が良い変な奴で、怪物だらけの島に連れていってくれる変な生物ということだけを伝えたが……代理人は思考停止しているようで、口を少し開いて固まっている。

 

「うにゃにゃにゃ、んーみゃ、みゃーお!」

 

「くっそ、何言ってるか分からねえ…」

 

「…仲違いしているようだから、良い場所に連れてってやる…そう言ってますね」

 

「代理人、お前猫語が分かるのか!?」

 

「現地語の習得は諜報の基本ですので」

 

「すごい」

 

 流石はハイエンドモデルの頭目的存在、初めて遭遇する猫語もなんのその。

 

「(元気を持て余してるなら、例の島に行くといいのニャ! 共通の脅威を相手に一致団結すれば、きっと仲直りできるはずニャ!)」

※代理人が同時翻訳中

 

「またあの島か!? どうするよハンター?」

 

「願ってもいない。確かディアブロスといったか…奴を仕留めきれなかったからな、リベンジだ」

 

「おもしろそうじゃないか、あたしらも混ぜてくれよ」

 

「やめとけ姉貴、ろくなもんじゃないぞ?」

 

「そんなこと言って、楽しみを独り占めするつもりでしょ!」

 

 どうやらアルケミストもデストロイヤーもノリノリの様子。

 しかしあの島での出来事を知っているエグゼとしては気が進まない…とはいえ、親友のハンターが向かう意思を固めているので自分も一緒に行かなければならないだろう。

 ひとまず、安全のためにヴェルは先にマザーベースへと帰らせる。

 

「(ニャハハハ! みんななかなか狩りの素質があるようニャ。でも残念ながら一人は行けないニャ)」

 

「なんだって? あたしとデストロイヤー、処刑人とハンターと代理人で行けないっていうのか?」

 

「(残念ながらモンスターハンティングは4人編成が基本(モンハンルール)なのニャ!)」

 

「うるせえな、こっちは5人編成が基本(ドルフロルール)なんだよ、こっちのやり方に合わせてもらうぜ」

 

「(ニャ!? 5人で狩りに行くなんてとんでもないニャ! 絶対にやめた方がいいニャ、良くないことが起こるのニャ!)」

 

「うるさいぞ、全員でモンスターハンティングに行くんだ。異論は認めない」

 

「(もう知らないニャ! あっちにいっても自己責任ニャ!)」

 

 慌てふためくトレニャーと、代理人の迫真の翻訳が終わるとともに5人はいざ狩りへ向かう準備を整えるのであった…。

 

 トレニャーの忠告を無視したばかりにまさかあんなことになるとは…この時の5人は知る由もなかった。




代理人「一狩り行くにゃー」(直訳)
エグゼ「一狩り行くぜ!」(やけくそ)
ハンター「一狩り行くぞ!」(使命感)
デストロイヤー「一狩り行くよ!」(ノリノリ)
アルケミスト「人狩り行こうじゃん」(違う)



トレニャーがいなかったらバッドエンド…サンキュー!トレニャー!
メタルギアらしいメタ発言ぶち込めて満足ですよ。

次回予告!
前回狩り損なったディアブロスとの再戦!
鉄血ボス連合の前に立ちはだかるのは…!
ほのぼのとは一体…。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。