Lost in Reincanation   作:四乃宇内

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ボツ稿01

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二話となる予定だった話です。

以下の理由からボツとしました。

 

・唐突な始まりの一話と比べるとテンポが悪く感じられた。

・一話の主格が男性であるとミスリードしそう。

・説明に終始して、三話につなげることになりそうだったから。

・転生前の名前を多用したくないため。

 

お手すきの際にでも、お目通し頂けると幸いです。

 

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全裸の男性を前にして、山田太郎は顔をしかめた。見事な禿頭(とくとう)に筋骨隆々な肉体の男性が、胸や服をシーツで隠すようにベッドの端でしなだれている。女性のような仕草である。

異様だった。

断絶した記憶の合間に、果たして何があったのか、(酒で記憶を失ったことに対する後悔を加筆)

しかし、なぜか冷静でもあった。ハゲかつ大柄な男性は、太郎の周囲にはいない。少なくとも知らない。慌てふためいていても、不思議ではない場面である。それにもかかわらず状況を受け入れつつある要因は――説明が難しいが――他人と思えないからだろうか。

 

「えっと」

 

言葉に詰まった。生まれてこの方、同性との性行為に及んだ試しがない。そもそも妻が初めての相手である。

 

――いや待て。初めては、まだある。

 

嫌な予感が肥大した。しかし患部に痛痒が感じられないことから、「受け」た可能性をないものとした。半ば恣意的に。

目をそらすように太郎は、相手の顔をまじまじと観察した。眉間から後頭部にかけて、つるりと曲線を描く頭。頭蓋骨の形が良いのか。髪の毛は一切なく、薄暗い室内の灯りを一手に集めている。鼻は大きく、唇は厚い。掘りの深い顔の造形から、日本人、少なくともモンゴロイドではないと分かる。何よりも瞳が碧い。二重のまぶたと涙ぶくろのしわが、その碧眼を細く縁取っている。

 

「あれ?」

 

思わず、口に出た。覚えた違和感が、漏れ出た感じだ。

 

「エル・ドラ?」

 

太郎の言葉に、男性が驚いたようだった。細い目を見開き、驚愕している。

エル・ドラとは、妻の花子が創作したキャラクタの名前である。堂々たる偉丈夫の外見からは想像が難しいほど、穏健で物静かな性格をしている――たしか、そのような設定だったはず。

何よりもその外見は、太郎が描いたのだった。見間違えるはずがない。

 

「すげーソックリさん? どゆこと?」

 

太郎は初めて描いたエル・ドラの絵を思い出していた。「ドイツ人のような厳めしさで」だとか、「繊細さが感じられる、厚くてセクシーな唇にして」などという花子の抽象的なニーズを昇華させて表現したのも懐かしい記憶である。

その繊細な唇が、震えながら開かれた。

 

「ル――」

「る?」

「ルル・ベル」

 

今度は、太郎が驚愕する番だった。

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