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二話となる予定だった話です。
以下の理由からボツとしました。
・唐突な始まりの一話と比べるとテンポが悪く感じられた。
・一話の主格が男性であるとミスリードしそう。
・説明に終始して、三話につなげることになりそうだったから。
・転生前の名前を多用したくないため。
お手すきの際にでも、お目通し頂けると幸いです。
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全裸の男性を前にして、山田太郎は顔をしかめた。見事な禿頭(とくとう)に筋骨隆々な肉体の男性が、胸や服をシーツで隠すようにベッドの端でしなだれている。女性のような仕草である。
異様だった。
断絶した記憶の合間に、果たして何があったのか、(酒で記憶を失ったことに対する後悔を加筆)
しかし、なぜか冷静でもあった。ハゲかつ大柄な男性は、太郎の周囲にはいない。少なくとも知らない。慌てふためいていても、不思議ではない場面である。それにもかかわらず状況を受け入れつつある要因は――説明が難しいが――他人と思えないからだろうか。
「えっと」
言葉に詰まった。生まれてこの方、同性との性行為に及んだ試しがない。そもそも妻が初めての相手である。
――いや待て。初めては、まだある。
嫌な予感が肥大した。しかし患部に痛痒が感じられないことから、「受け」た可能性をないものとした。半ば恣意的に。
目をそらすように太郎は、相手の顔をまじまじと観察した。眉間から後頭部にかけて、つるりと曲線を描く頭。頭蓋骨の形が良いのか。髪の毛は一切なく、薄暗い室内の灯りを一手に集めている。鼻は大きく、唇は厚い。掘りの深い顔の造形から、日本人、少なくともモンゴロイドではないと分かる。何よりも瞳が碧い。二重のまぶたと涙ぶくろのしわが、その碧眼を細く縁取っている。
「あれ?」
思わず、口に出た。覚えた違和感が、漏れ出た感じだ。
「エル・ドラ?」
太郎の言葉に、男性が驚いたようだった。細い目を見開き、驚愕している。
エル・ドラとは、妻の花子が創作したキャラクタの名前である。堂々たる偉丈夫の外見からは想像が難しいほど、穏健で物静かな性格をしている――たしか、そのような設定だったはず。
何よりもその外見は、太郎が描いたのだった。見間違えるはずがない。
「すげーソックリさん? どゆこと?」
太郎は初めて描いたエル・ドラの絵を思い出していた。「ドイツ人のような厳めしさで」だとか、「繊細さが感じられる、厚くてセクシーな唇にして」などという花子の抽象的なニーズを昇華させて表現したのも懐かしい記憶である。
その繊細な唇が、震えながら開かれた。
「ル――」
「る?」
「ルル・ベル」
今度は、太郎が驚愕する番だった。