頑張って続けられたらいいなぁ。
最近、私の上を白い小鳥が飛んでいることがよくある。
糞を落とされたりしたら嫌なので手を叩いたり小石を投げたりして追い払おうと試みるも、賢いのか馬鹿なのかそんな事を気にすることなく悠々と頭上を飛び続ける。
それからともなくして周囲で不思議なことが起こるようになった。
…そもそも、白い小鳥が頭上をぐるぐると飛び回り続けること自体が不思議なことだとは思うのだが。
小鳥が頭上を飛び回り続けること一週間程経った頃。
ある日の夜、ぼんやりと窓から外を眺めていたらふよふよと蒼い炎が目の前を横切って行った。
別の日、近所のアパートに住んでいるお兄さんの頭から、動物の耳のようなものが生えているように見えた
きっと、蒼い炎は近所の子供が花火でもしていたんだろうし、お兄さんの頭に生えているように見えたものはコスプレ用の道具か何かなんだろうな、なんて自分に言い聞かせていた。
また別の日、今日は空を半透明の、言うなれば幽霊のような存在がふわふわと飛んでいた。
ビニール袋が風にでも吹き飛ばされていたんだろう、と思い込むことにした。
またまた別の日、いつも登下校中に隣を通る空き地に血のように黒ずんだ液体が壁から滴っていたり不自然に雑草が刈り取られていたりした。
これはきっと、変な人が奇行をした結果なんだろうなと考えた。
ある日の夜中、犬とも猫とも蛙とも鳥とも虫ともつかない鳴き声が聞こえた。
多分、私の知らない生き物だろう。
そんなこんなに気を取られてる間に白い鳥はどこにもいなくなっていた…。
「……ぉきてるか?おーい?」
聞き覚えのある声に話しかけられて意識が現実へと引き戻される。
「おいおい、普段こっちが授業中にちょっとうとうとしただけで長々と人にお説教してくるくせに自分は居眠りとか何様だよっ。」
字面でこそ厳しい言い方をしているが半笑いでへらへらとふざけた様子でおちょくってくる。
私に話しかけているのは佐奈田 健太。中学二年生、水泳部に所属していて特徴のない体型で特徴のない顔をしていてthe普通の男子中学生といった風貌だ。そして、何故か私の幼馴染だ。
「そんな事言ったって私のほうが授業中寝てないし、それに最近全然寝れてないんだからしょうがないでしょ?」
「夜遅くまで勉強に根を詰めるのはいいけど、ちゃんと寝ないと肌にも悪いし身長もただでさえチビなんだからこれ以上身長伸びないとお前、ずっと小学生に間違われ続けるぞ?」
「心配してくれるのはありがたいけど、チビは余計だしそれに、お前じゃなくて文音って名前がちゃんとあるの!」
私は児灰 文音。健太と同じ中学二年生、部活には入っていなくてよく小学生と間違われる。
「はいはい、んで、どうしたんだ?なんか悩みでもあるのか?相談ならいくらでも乗ってやるぞ?」
「とか言っときながらどうせ茶化してハイおしまい、でしょ?だったらいいよ。」
こいつのことだから、私がふざけてるとしか思わないだろうし、だったら話さないほうがマシだ。
「まぁまぁ、とりあえず言うだけならただだから言ってみようぜ?」
「…笑ったりしない?」
「もちろん。」
普段は長いものに巻かれるのにこういうときだけ自分の意見曲げないなんて珍しい。
「信じてもらえないと思うんだけど最近不思議なことが周りで起こるんだよね。結構不気味だったりするから夜も怖くなってあんまり眠れないんだよねー。」
「もしかしてこんな感じだったりするか?」
ひょいと健太が左手を持ち上げる。
そこには皮膚がなくて筋肉が丸出しになったような指があった。
感覚的に身体が目の前の存在を化け物だと認識させる。
「ひっ!何これ!」
「なるほどなるほどコレが視えてるか、困ったなぁ。」
なんだか気持悪くて見たくないのに恐怖で首を動かすことすらままならない。
こいつ、今まで私を騙してたの?
「…やっぱり、気持悪いよね。まぁ原因はわかったから、町はずれにある神社に行ってみると良いと思うよ。」
「化け物!さっさと私の視界から出てけ!」
「おっと、もうこんな時間か、流石にそろそろ行かないと先輩に怒られるな、じゃあまた明日。」
健太は教室を出て行った。
「…あんな化け物の言葉を信じるのも癪だけど信じるあてもないしとりあえず、行ってみるだけ行ってみようかな。」
この時の私は健太が化け物だったという恐怖心よりも毎日起こる怪奇現象にイライラしていた。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
誤字等ございましたらご報告くださるとありがたいです。
追記:色々おかしかったので直しました。