博麗霊夢は幻想郷へ迷い込んだ外来人である。
親も無ければ家も無え、行き倒れたところを巫女の適正者を探していた八雲紫に拾われたのであった。
八雲家で蝶よ花よと愛でられながらも博麗の巫女としての修行を重ねる日々を経て、その身に宿した瀑布の如く溢れる才能と八雲紫直々の指導は実を結び、スペルカードルール制定以前の血で血を洗うマッポーめいた修羅の地で妖怪デストロイヤーの異名を得るだけの実力を身に付けていった。
霊夢は八雲家の全面的なバックアップの元に、天災もかくやといった暴威を振るい幻想郷の理念にそぐわない妖怪をバッサバッサとなぎ払っていった。そして粗方の不穏分子を殲滅し終えた時に、ある事件が起きた。
博麗霊夢、思春期の到来である。
霊夢は結界のスペシャリストであるが、妖怪退治は基本的に接近戦で霊力を込めた祓棒を振るい殴り倒してきた。それが最も効率的に敵を屠る事ができたからだ。
妖怪は美人の女性が多い。そして戦いの中では服が破れることも日常茶飯事だ。性に目覚めた霊夢は戦闘中であるにも関わらず、おもむろに前屈みになり身動きが取れなくなってしまう。
博麗霊夢、初めての敗北であった。
八雲家は天地鳴動の大騒ぎとなった。
監視していた紫により即座にスキマで回収され事なきを得たが、根本的な問題は解決していない。自身の装着した女物の下着にすら反応してしまうようになってしまった霊夢は、妖怪相手に戦う力を失ってしまったのだ。
紫の想定すら越えて、どうしてこのようなことが起きてしまったのか。冒頭の一文を思い出して貰おう。
『博麗霊夢は幻想郷へ迷い込んだ外来人である』
博麗霊夢は『幻想郷の外』からやって来た。ただし、これでは不正確な記述となる。
正しくは、『幻想郷とは世界の男女比、貞操観念などが著しく乖離した世界から迷い込んだ』である。
そのため霊夢は他の幻想郷住民の男性とは異なり女性への忌避感を全く抱かず、むしろ出会って早々に八雲家の美貌ともふもふに心を囚われ良く懐いたくらいだ。霊夢は巫女の勤めのため早々に神社で独り暮らしをすることになったため無論未遂であるが、いずれ「洗濯物を一緒に洗って欲しくない」というラストワードが放たれる時がくるのかという八雲主従の恐怖は全くの杞憂であった。
紫は苦悩した。霊夢の性欲が強い。これは自分に都合の良い夢なのではないか。いや間違えた。このままでは霊夢の性別が男だとバレてしまう。そうなってしまえば男に飢えた幻想郷の妖怪どもが何をするかは火を見るよりも明らかだ。接近戦を封じて遠距離での撃ち合いならば諸所の危険度は下げられる。しかし急な戦闘スタイルの変更は疑惑を呈するだろう。ならば計画していた『命名決闘法案』を公布する。これしかない。
霊夢を妖怪の魔の手から守ることと幻想郷の維持、どちらもしなければならないのが管理者の辛い所だと決意を新たにしたところ、幻想郷へ吸血鬼の館が転移して来た。
即座に戦えない霊夢を八雲家へと隔離した八雲主従は鬼気迫る勢いで紅魔館を鎮圧。吸血鬼の進軍は幻想郷の大地を踏みしめる前に封殺され、紅魔館は八雲紫と条約を締結するとともに出来レースの異変を起こすことになる。
そして、幻想郷が紅い霧に包まれた時、この物語は始まりを告げる。
っていう感じの話を誰か書いてくれ