普通科、高校3年生!ヒーロー目指します!?   作:黒套院 時雨

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今回はそこそこシリアスです。では!


因みにシリアスって真面目って意味らしいですよ!
無論知ってますよね!?


第19話 ヒーロー志望の苦悩

モッフモッフモッフモッフモッフモッフ…

モッフモッフモッフモッフモッフモッフ…

 

「きゅーん?」

「かっわいいなぁお前は〜!」

 

俺の視界の端で桐崎が延々と白玉君をモフっている。

心做しか俺の後ろ側にいるはずの心露がソワソワしているような気もする。

 

「桐崎、モフモフで可愛いのは分かるがそろそろ辞めておいた方がいいんじゃないか?モフるのも、餌付けも。」

「そっ、そーだよ!太っちゃうよ!」

「心露、お前が1番餌付けしてるよな?」

「そうだぞ深観。人の事言えねえぞ?」

 

あっ、しょんぼりした。見るからにしょんぼりしてる…

 

「だって!だってだって!可愛いんだもん!」

「可愛いのはわかるけどな…いや、いいか。白玉も嬉しそうだし…」

 

白玉は撫でると嬉しそうにきゅうんと鳴いた。

 

「うーん…みんな何してるかな…?」

「さぁな、意外と事件に巻き込まれてたりしてな!」

 

ま、そんな訳ないか、と桐崎が呟き白玉を撫でる手を止め立ち上がった。

 

「電話でもしてみるか?そうだな…誰がいいかな…う〜ん…?」

 

桐崎はどうやら電話をする相手を悩んでいるようだ…いや、そんな悩むなよ。

 

「じゃあ桐崎、あいつなんてどうだ?保須だかが実家のさ。」

「あぁ!そりゃあいいな!」

 

そう言って桐崎は電話をかけだした。

丁度その頃テレビでは速報が入った所だった。

 

 

 

───────

 

「ったく…どうなってんだ!?ヒーロー殺しが現れたってニュースなったと思ったら今度はあの脳味噌ヴィランかよ!?」

 

逃げる人々に当たらないように崩れた瓦礫を退かしながら避難場所へと向かっているのは大気爽良だ。

 

「あぁ…?電話?桐崎からか。どうした?」

『どうした?じゃねぇだろ!?お前確か保須にいるんだろ!?怪我してねぇか!?』

「大丈夫だ、心配ない。これから空飛んで逃げ遅れた人探しながら避難場所に向かうから。」

『ならいいんだけどよ…なんかあったら言えよ、闇雲が行くから。』

『いや、なんで俺が!?』

「気持ちだけ有難く貰っとく、じゃあな。」

 

そう言って電話を切りビル街を見渡す。

ふと、屋上に目が行った。

 

「ッ!?アイツは…!!」

 

薄い水色の様な髪色…そして横にいる黒いモヤの様な風貌の男。

それは紛うことなきヴィラン連合の死柄木と黒霧だった。

 

「ヘタに近づくとバレるな…ここは様子をみるか、ヒーローを呼ぶか…だな。」

 

少し離れたビルの屋上へと上がる最中にまたも爽良のスマホに電話がかかってきた。

 

「はい、もしm──」

『爽良!!どこにいるの!?大丈夫!?怪我とかしてない!?さっき爆発あったの爽良の家の方角で心配になって…!』

「あー…大丈夫、心配すんな無事だから。」

 

マキのやつ…心配しすぎだろ…まぁ、今からやること言ったらもっと心配するだろうし言わねぇけどな。

 

『なんだっていいから早く避難所に来てね!?待ってるから!』

「いや…ごめんちっとばかし遅くなりそうだ。」

『は!?どういうこ──』

 

電話を雑に切り、向かいのビルにいるアイツらを見る。

クソ、こんな時に気付かれずに近づければな…

 

「…いや、待てよ?アイツらはどうも下をずっと見てるようだな…あの脳味噌を見てるのか。」

 

頭上に広がる曇った空を見上げ、個性を発動させる。

 

「下、それと正面がダメなら上からだな。」

 

リスクだとかを考えた…が、こんなチャンスも無いだろう。

 

「さてと、たまたまコスチューム運んでる途中で良かった。……法律違反だけどな。ま、バレなきゃいいだろ!」

 

「ジオヒーロー『オゾン』、全力で行くぞ…!」

 

周りの空気を操り自分の周りに真空の膜のようなものを作る。

これで音は外に漏れないだろう。念の為声は出さないが。

 

 

 

「ダメッ!」

 

ビルの屋上から飛び立とうとする俺の腕が掴まれた。

誰かと後ろを見るとそこに立っていたのは巻希だった。

 

「…なんでマキがここにいるんだ?遅くなるって言っただろ。」

「ヴィランを見つけたからって爽良が戦う必要はないじゃんか!それで爽良が怪我したらどうするの!?」

「誰も気づいてないんだ、ヒーローは脳無の相手で手一杯。俺が、俺しかいないんだよ。あいつらを見つけて相手出来るのは。」

 

「違う!爽良は…爽良だけが頑張らなくていいの…今行ったらもう会えないような予感がするの…だから行かないで…一緒に逃げよう?」

 

 

 

 

 

「へぇ、これはとても青臭いドラマのようなワンシーンじゃあないか。大学生、まさかこんな所で会うとはな。」

 

いつの間にかあの二人に気づかれていたようで、後ろに立っていたのだった。

 

「今俺は虫の居所が悪いんだがな…まぁいい、今はあのクソ野郎に斬られた傷が痛えし…見逃してやる、さっさとどっか行け。」

 

「爽良…?逃げよう?」

「そこから飛べ、マキ。逃げるぞ、改めて思ったが…殺気が尋常じゃない。」

 

こうして俺はマキと一緒に逃げ出した。

たとえ手負いだとしてもあいつらには勝てないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

「───そうだ、それでいいんだよ大学生。今殺しちゃあ面白くないからな。」

 

 

───────

 

「はァ…騒々しい…阿呆が出たか…?」

 

「後で始末してやる…今は…俺が、為すべき事を為す」

 

 

「クソ…体が動かねぇ…!死ね…クソ野郎…!」

「死に際の言葉は選んだ方がいい。じゃあな、ヒーロー…社会のゴミ。」

 

「そこまでだヒーロー殺し!」

「白いコスチュームを着た子供…?立ち去れ、ここは子供が居ていい場所じゃない。」

 

僕は…!兄さんの仇を!復讐を!

 

「俺はインゲニウムの弟だ…お前を…倒す!」

「インゲニウム…奴は伝聞の為生かした。」

 

「兄さんは僕のヒーローだった!誰よりも尊敬している僕のヒーローだったんだ!!それをお前は…!」

「正しき世界の為に犠牲は付き物だ。お前の兄は偽物だった、それだけだ。」

 

「うるさい!お前に兄さんの何が分かるんだ!」

「ハァ…お前は…『無い』な。信念というものがまるで無い。お前には…ヒーローを目指す資格すら無い。」

「だからどうした!お前に認めて貰う必要などないだろう!」

「そうか、なら死ね。」

 

一瞬の間に判断が遅れた。地を蹴った足、蹴りを入れようとした足はヒーロー殺しに届くことなく地に落ちた。

 

「ぐ…体が…」

「言っただろう、信念が無いと。だからこうなる。」

 

僕はここで死んでしまうのだろうか。兄さんの仇すら果たせずに。クソ…僕は結局何もかもが中途半端だったんだ…

兄さんのようなヒーローになんて…

 

 

 

数分前───────

デクこと緑谷出久は渋谷へ向かっている途中突如新幹線へ吹っ飛んできたヒーローと脳無を追いかけ飛び出したグラントリノを追うように保須へと向かったその少し後……

 

「グラントリノは待ってろって言ったけど…飯田くんが危険かもしれない!」

「ん、あれ!?緑谷君!?なんでここに!?」

「えっ…えぇ!?竜田先輩と大気先輩!?何故ここに!?」

「いやいや、俺達は避難中…って緑谷君はなんでここに?」

 

「あ…いや、友達を探してまして…」

「それで路地裏を?なんとも不思議なともだ……ヒーロー殺し関連か。手伝おう。」

 

飲み込み早っ!?

…って今

 

「手伝うって言いました?」

「ヒーロー殺しと戦うなら多い方が良いだろ?安心しろよ、俺達意外と強いから。」

「ちょっと!?私も!?……まぁいいけどさぁ…」

 

「えっと…じゃあよろしくお願いします…?」

「おう!任せな!!」

 

 

 

 

 

──────────────

緑谷出久は仲間を得た!

飯田天哉はピンチに陥っている!

轟焦凍は父親と一緒に保須へ来ているようだ!


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