名無し 作:名無しのR
「時雨たーーん!!」
何故かデジャブを感じる。アイズの勉強会を終えた僕にロキ様が恍惚とした表情で駆け寄ってきた。
「二つ名、、決まったで!!」
僕に親指を立てながら言った。
「時雨たんの二つ名は、、、
前日のロキ様の覚悟とは程遠い良い二つ名だ。だから恍惚とした顔で走ってきたのだろう。
「どうや!!気に入ったか!?」
ロキ様に自分の出来る最大限の笑みを浮かべて頷いた。
「かわええ奴やなぁ!!」
ロキ様に抱きつきられた。普段だったら降り離しているところだが今日は自分も抱き返す。
「!?」
いきなりの抱き返しに驚いた様だ。暫く、抱き合ったままだったがその後、アイズとレフィーヤが来て、三つ巴に成った所を然り気無く抜け出すのだった。
然り気無く抜け出してきて安堵する僕に襲いかかってきたのは強烈な痛みだった。身体全身が痛くて踞る。喉の奥から血が吹き出してくる。
「あれは、、、時雨か!?」
リヴェリアさんが駆け寄ってきた。
「何があった!?しっかりしろ」
リヴェリアさんの必死な声を聞きながら意識を手放した。
「ーーーーは!!グレアノースの家系か!!」
眠る僕に聞こえてくる男性の声。
「これは病気であるが病気でない」
「どういうことや!!」
大きなロキの声だ。僕はどうなったんだろう。
「呪いから来る病気だ。つまりこの病気は薬では治らない。薬が出来るのは少し進行を遅らせるくらいだ。この呪いからくる病気は段々と体を蝕んでいく、やがて立てなくなって、動けなくなって、話せなくなって、食べれなくなって、眠っているだけになって、死ぬ。死ぬまであと3年が良いところだろう」
「なんや!!なんやそれ!!」
非常に焦っている様だ。隣で泣き声も聞こえる。この声はアイズのものだろう。今すぐ僕は大丈夫だ、そう言いたいが目が開かないし、体も言うことを聞かない。
「落ち着け。ロキ。取り敢えず薬は出そう」
瓶が机に置かれる音が響いた。そのまままた眠りに落ちた。
ただ白い空間。あの空間だ。
「呪いからくる病、ね」
黒髪の女性は言った。
「もう名前忘れた?」
レン、だった気がする。
「うん、覚えてくれて有難う。でもそれは偽名。精霊が本当の名を話すことは余り無いんだよ。でも貴方のことを信じた。あの人と私のーだから」
一部が聞き取れない。
「私の名はグレアよ」
その瞬間、不意にも美しいと思ってしまった。
「話を戻すけど、今の貴方は本当に危険なんだ。貴方に掛かっている呪い。それは黒龍の呪い」
黒龍、フィンさんから聞いたことがある。オラリオの目標、黒龍討伐。過去にゼウス・ファミリアとヘラ・ファミリアというファミリアが討伐に向かったが全滅したそうだ。
「そのままだと本当に死ぬよ。3年以内には確定で死んでいる。でも貴方の拷問を受け続けて弱ってしまった体では2年が良いところだね。3年間生き抜いたらそれは奇跡だよ」
僕は死にたくない。リヴェリアさんやフィンさん。ガレスさんに、ティオネさんティオナさん。ベートさんにレフィーヤさん。そしてアイズ。まだロキ・ファミリアに、ずっとロキ・ファミリアに居たい。
「貴方が助かる方法。それは黒龍を倒すこと。それ以外には無い」
グレアさんはそういい残すと消えていった。だんだん白い世界から離れていって、、、
「!!」
目を覚ました。
「時雨!!大丈夫!?」
目元を赤くしたアイズが隣にいた。全身の痛みももうない。大丈夫らしい。
「はい。大丈夫、、です」
そう言うとアイズは大きく息を吐いた。そして僕に抱き付いた。普段だったら支えられているアイズだが支えきれずにベッドに倒れこんだ。
「、、ずっと、、一緒だよね」
怯えるようにアイズは言った。
「、、ずっと、、一緒ですよ」
宥めるように僕は言った。黒龍を倒すという決心をしながら。
でもその前に強敵が迫っていることを僕は忘れていた。