名無し 作:名無しのR
木々に囲まれた場所で沢山の屈強な戦士達が火を囲んでいた。
「翠雨、いよいよだな」
「ああ、ーーーーーー」
隣には端正な顔立ちの男性いる。薄い笑顔を浮かべているがどこか不安そうで、恐怖に怯えていそうだ。
「何を怯えているんですか?確りしてください団長」
僕は声を発していない。でも明らかに僕と似ている声が僕から出た。
「僕達だったらやれます。そして生きて帰りましょう。家でグレアと時雨が待っています」
「俺もだ。家でアリアとーーーが待っている」
何故、僕とアイズの名前が。そしてグレアの名前も。僕はこの人の子供なのか。
「アイズと時雨君。いつかこのファミリアを担って欲しいな」
「アイズちゃんが団長で、時雨が副団長。面白そうですね」
目が覚めた。少し変な夢を見てしまった。顔を洗ったりして準備したあとリヴェリアさんを探しに出た。少し聞きたいことがある。
暫く探すとリヴェリアさんに会った。
「リヴェリアさん。済みません。少し、良いですか?」
「どうした?まぁ、良いが」
近くの椅子に二人並んで座る。
「僕の名前の由来、ってなんですか?」
「そろそろ聞いてくると思ったぞ。精霊に会ったか?グレアという名の」
リヴェリアさんに頷いた。そして話し出した。
「お前の名前はある冒険者の子供からきているんだ。その冒険者は嘗てオラリオ最強の片割れだった冒険者、翠雨・グレアノース、お前の父親だ。でも数年前に翠雨は死んだ。そしてその子供は消息不明になったと言われている」
「その話の何処が僕の名前と関係しているんですか?」
頭の中ではもう分かっている。でも確かめたい。事実なのか。
「翠雨は自分の子に時雨と名付けた。あの地下牢でお前の目を見たときに翠雨と同じものを感じた。お前の武器を買いにいったときに神ゴブニュからも言われただろう。お前はグレアノースか、と。実は私も同じことを考えていた。でも信じられなかったんだ」
つまり、この話に出てきたある冒険者は僕の父で、その子は僕だ。予測通りだ。
「お前の前に精霊グレアが現れたのなら、翠雨と精霊グレアの子ということになる」
そしてリヴェリアさんは頭を下げた。
「済まない。今まで黙っていて」
「いえ!!頭を上げてください!!」
未だ頭を下げたままのリヴェリアさんの肩に手を置いて抱き寄せた。
「僕がグレアノースでも僕は貴女に育てられています。僕は貴女の息子ですよ」
よく、リヴェリアさんと僕が仲睦まじく話す様子を見て、親子だと言われることがあった。それが揶揄されているだけでも嬉しかった。
「っっっ!!」
リヴェリアさんが僕を抱き返した。
僕がグレアノースと分かったところで変わるものはない。一刻もはやく強くならなければ僕は死ぬ。