名無し 作:名無しのR
日の光が当たる市壁の上に立っている。先程アイズに此処に来い、と言われた。
「ごめん、遅れた」
アイズが来た。
「いえ。大丈夫ですよ。それでどうしたんです?」
何故呼ばれたのか、アイズに聞いた。するとアイズはレイピアを構えた。
「時雨、私と戦って?いや、私と戦おう」
戦うのは絶対らしい。僕も二振りの刀を構えた。
「分かりました」
アイズは前に戦った時より速く迫ってきた。アイズのレイピアでの攻撃を刀で受ける。
「
「
風と雷がぶつかった。
「時雨はやっぱり強いね。幾ら頑張っても勝てない」
そう言いながらアイズは攻撃してくる。二回バク転をしてアイズの攻撃を全てかわして、隙を見せたアイズを刀の柄で攻撃をする。さらに隙を見せるアイズの脚を蹴って転ばせたあと上に乗った。
「私の負け、だね」
負けを認めた様子だ。刀を鞘にしまった。
するとアイズは僕の首の後ろに手を回した。そのまま一気に顔を近付けて僕の頬に唇を付けた。
「大好きだよ時雨」
「、、、大好き、、ですよアイズ」
とても恥ずかしくて嬉しい。
「んと、、ねぇ時雨、ずっと一緒だよね?」
アイズが抱き合ったまま僕に聞いた。
「どうしたん、、ですか?」
「もしいきなり時雨が居なくなったらどうしようって思って」
絶対、何がなんでも僕は生きる。黒龍になんて屈しない。
「ずっと居ますよ。ずっと一緒です、アイズ」
「でも、ずっと一緒に居てくれるっていってくれたから安心した。時雨、大好きだよ」
アイズを更に強く抱き締めた。
ロキ・ファミリアの本拠へ戻るとリヴェリアさんとフィンさんが来た。そしてリヴェリアさんが話した。
「時雨、お前の罰が決まった」
ゴクリと唾を飲む。すると僕の前に三人の冒険者が出てきた。その三人の中にはレフィーヤさんもいる。
「この冒険者の教育をしてほしい。期間は一週間で、全員お前と同じレベル4だ。一週間でこいつらを強くして欲しい」
「「「お願いします!!」」」
三人が揃って礼をした。この際疲れきった表情をしてしまうのは仕方がないと僕は思う。
「今のはリヴェリアからの罰だ。僕からの罰は、、、」
この際非常に疲れきった表情をしてしまうのは仕方がないと僕は思う。
「この間の遠征で君がゴライアスと戦ったとき、君は不思議な矢を使っていたよね。あれ見たいな矢を作れるのは実は君だけなんだ。この間鍛治師に持っていって見てもらったが仕組みが分からないと言われたよ。だからあれを沢山作ってくれないか?」
ゴライアスの口の中に撃ち込んだ爆矢のことだろうか。あれがそんなに凄いものだったとは。
「良いですよ?だけど素材を買うお金も僕が出すのですか?」
一つや二つなら良いのだが、何百本となると流石に材料費が、、
「いや、材料費はファミリアから出るよ。それじゃあよろしくね」
フィンが立ち去り、リヴェリアさんが話始めた。
「詳細だが、ダンジョン以外の場所なら何処でも使っていい。どんな教え方でも良い。単純に強くして欲しい。では頼むぞ」
「あ、リヴェリアさん。済みません、あとで髪を切ってくれませんか?邪魔くさいです」
疲れきった表情でリヴェリアさんに頼む。僕の顔を見て笑いながら頭と耳を撫でた。
「あっ!!だからっ、、、耳はっ!!」
「フフフフ、分かった、後でな」
三人の冒険者の前で恥をさらした。顔を真っ赤にしながら自己紹介をした。
「時雨と言います、、宜しくお願いします」
僕に続いて皆が自己紹介をした。
「レフィーヤ・ウィリディスです。宜しくお願いします、って前にも話しましたね」
「そうですね」
「済みません、、、頭撫でて良いですか!?」
「!?」
唐突すぎて驚いた。若干(かなり)顔を赤くしながら頷く。
「かっ!可愛い!!」
レフィーヤが悶絶している。そんなレフィーヤを他所にヒューマンの青年が自己紹介をした。
「自分、ラウル・ノールドっす!!宜しくっす!!」
ラウルに続いて猫人の女性が自己紹介をした。
「アナキティ・オータムよ。宜しく」
全員の自己紹介が済んだ所で場所を訓練場に移した。
「先ずは貴方達の実力が知りたいので、全員一斉に掛かってきてください。遠慮は要りません。僕を殺すつもりで来てください」
「「「えっ!?」」」
三人とも明らかに動揺している。ざわつく中、手を叩いた。
「やらないんですか?」
「「「やります!!」」」
ではどうぞ、というと各々がバラバラに攻撃してきた。先ずラウルが剣を大きく振りかぶってやって来た。全然駄目だ。腹ががら空きだ。腹に蹴りを入れた。
「ラウルっ!!」
次にアナキティが剣で突きを放ってきた。生憎、先程アイズと戦ったから全ての突きがスローモーションに見える。アナキティの突きを放つ姿勢を見たが腰が引けている。アナキティの剣を振る手を持ち、軽く力を入れると剣を落とした。すると僕の後ろから光の矢が飛んできた。レフィーヤだ。今まで息を殺してこっそり詠唱して魔法を放った。これはなかなか良い。魔法を刀で切ってレフィーヤの首に刀を突きつけた。
「はい、お仕舞いです」
倒れているラウルに手を差し出してぐっと引いた。
「ありがとうっす、、」
もう涙目だ。全員を座らせて一人ずつ課題点を言っていった。
「まずラウルさんですが、構えが悪いですね。隙が有りすぎでした。この話が終わったら構えを教えます。だけど真っ先に切りかかってきた度胸は良いと思います。次にアナキティさんは、、」
「長いからアキで良いよ」
確かにそっちのほうが呼びやすい。
「アキさんは腰が引けていますね。攻撃全てに腰を入れてください。結構変わると思います。次にレフィーヤさんは、隠れて詠唱して魔法を放つ、というのは中々良いと思います。課題点は、運動しながら詠唱出来るようにしましょう。夕食後訓練場に来てください。練習します」
全員の課題点を言い終わって今日の所は解散にした。本腰を入れていくのは明日からだ。そして唯一訓練場に残ったラウルさんに構えを教える。
「こ、こうっすか!?」
ガッチガッチに固い。
「もっと肩の力を抜いて下さい。そして剣を軽く持って何時、どんな攻撃が、どんな方向から来ても警戒してください。出来るだけ死角はつくらないようにして下さい。あと振りかぶる時に大きく振りかぶり過ぎて隙だらけに成るのも止めましょう」
「こうっすか?」
「はい。良いと思います」
ラウルの構えは良くなった。ただ訓練場の入り口から視線を感じる。この視線はアイズだろう。敢えて無視をしてみる。
「そしてすぐ反応出来れば良しです」
ラウルに軽く木刀を振った。木刀は音を立てた。ラウルが防いだ。
「はい、それで良いです。ではこのような構えを直ぐに出来るように練習しておいてください。以上で、今日は終了です。アイズ。稽古しますよ」
前にダンジョンでアイズの稽古をつけることを約束していた。訓練場の入り口からゆっくりとアイズが入ってきた。
「うん!!」
何故だか凄く嬉しそうなアイズと稽古をする。アイズの課題点を言ってそれをアイズが直して僕が褒める。ただそれだけの稽古だがそれでもアイズは嬉しそうだ。
「アイズ、、僕と稽古するのってどんな感じですか?僕は上手に教えられてますか?」
休憩時間、横に並んで座るアイズに伝えた。
「うん。リヴェリアとか、フィンとかに教えてもらうのも良いけど、やっぱり時雨が教えてくれた方が分かりやすいよ?」
そう言って貰えるとかなり嬉しい。そう言えば、この間のリヴェリアさんの抜き打ち試験の結果はどうだったのだろう。アイズに聞くことにした。
「そう言えばこの間のリヴェリアさんの抜き打ちテストはどうでしたか?」
そう言うとアイズはポケットから折り畳まれた羊皮紙を出して僕に見せた。
「2問間違っちゃったけど、一番良い点数だよ!ありがとう!時雨!!」
それは良かった。感謝を伝えられて嬉しい。今日は引き続きアイズの稽古もあるし、勉強会もある。更にはレフィーヤさんの特訓もある。まるで教師のような生活に遣り甲斐を感じるのだった。