名無し 作:名無しのR
「団長!!大丈夫ですか!?」
「ああ!!これだけ戦ってまだ片目かっ!!」
遂に立っているのは僕と団長だけになった。目の前では片目を失った黒い龍が立っている。所々鱗は剥げているものの、ダメージには成っていない。僕達は諦めずに戦い続けた。だが、黒龍の炎によって空しく終わった。
「団長!!」
それでも諦めずに立った団長に黒龍の爪が振りかざされた。
僕は走った。僕の人生の中の一番の力で走った。そして黒龍の爪が団長に触れる直前に団長を押し飛ばした。
僕の体から鮮血が飛び散る。体にぽっかりと穴が出来た。穴から涼しさを感じる。空気が通っているのだろう。喉から血が込み上げてきて吐き散らした。
「翠雨!!何故!!何故!!」
団長がポーションを僕に空いた穴に掛けるが治らない。治るわけがない。異常な程気持ちいい。生きるのを止めたくなってしまう程だ。でも頭には時雨とグレアが思い浮かび、此処で終わるわけにはいかない、と思わせてくる。
「もう、、一度、、もう、、一度、、だ、け、で、い、、、い、から、、時雨、、と、、、グ、、レ、、ア、、に、、」
上手く声が出ない。出そうとしているのだが。
「そうだ!!翠雨!!時雨君とグレアさんが待っている!!だから死ぬな!!一緒に生きて帰ろうと約束しただろ!!お前は今まで約束を破ったことはなかった。今になって破るつもりか!!!」
僕の側で団長が叫んだ、、、、
息が苦しい。目の前にはテントの布があり、僕はテントの中にいる。夢は終わった。
「、、、時雨、、」
僕の横には寝言を言いながら眠るアイズがいた。眠っているアイズの頭を撫でると静かに言った。
「大好きです。アイズ」
そしてテントから出た。
遠征を開始して5日が経った。今は50階層のセーフエリアで、あと少しで到達目標の59階層だから団員達の緊張が高まる。昨日はカドモスの泉に行き、素材を取ることに成っていたが、不思議な事にカドモスは死んでいて素材だけが残されていた。不思議なことが続くダンジョン探索を再開した。
50階層から出て間もなく、52階層に入る場所でフィンさんは話始めた。
「ここから58階層まで一気に走り抜ける。下から火球が飛んでくるが気にせず走り抜けろ」
そして52階層に入ったが、フィンさんの言う通り、僕達の真下から火球が飛んでくる。全員避けて走っていたが、レフィーヤさんの足下から火球が飛んできてレフィーヤさんを直撃しそうだ。
「レフィーヤさん!!」
レフィーヤさんを突き飛ばした。代わりに僕は火球によって空いた穴からまっ逆さまに落ちた。
6階層分、落ちたが受け身を取って怪我を防いだ。何処も痛めることなく済んで安心する僕の目の前に赤い龍が立った。ヴァルガング・ドラゴン、そんな名前だった気がする。どちらにせよ先ずは倒さなければ、僕の目の前で火球を撃とうとする龍に立ち向かった。
頭を切り落とし、火球を切り、魔石を砕き、、、善戦はしているが多勢に無勢。結局のところ一人vs数匹の龍だから段々辛くなった。そこにアイズが来た。
「時雨!!」
声は聞こえるが姿は見当たらない。するとアイズが降ってきた。それに続きガレスさんも降って来た。
「ガハハハ!!時雨!!随分減らしておるではないか!!」
そう言いガレスさんは空中でバトルアックスを構えた。そして真下にいるヴァルガング・ドラゴンの頭に降り下ろした。
ガレスさんとアイズの援護のお陰で58階層を制圧出来た。途中、芋虫見たいな見たことないモンスターが来たり等、ハプニングも有ったが59階層に行く準備が出来た。
何年も前のゼウス・ファミリアの文献によると59階層は極寒のエリアらしい。サラマンダー・ウールを着込んで、研ぎ終わった刀を鞘に仕舞った。そうしているとフィンさんの号令が掛かり、全員が集合した。そして歩き出した。59階層へ。