名無し   作:名無しのR

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驟雨

 「時雨、私と戦って」

目の前にアイズが座って言った。何故、僕が。

「、、、、、分かりました」

何かしらの理由をつけて断ろうとしたがアイズの真剣な目に負けた。実際強い人と戦うことは良いことだ。アイズと、フィンさんに審判を頼みに行った。

 勿論、フィンさんは快諾してくれた。自分の部屋に向かいクローゼットを開けて、動きやすい服装に着替えた。アイズは何れだけ強いのだろう。練習して自分で付けれるようになった眼帯の紐を縛ながら思う。準備を終えて部屋から出ると、アイズが待っていた。

「じゃあ、行こう」

ゆっくりとアイズに頷いた。

 一騎討ちの為に用意された場所は広い中庭でそこを全ての団員が囲っていた。観客同士で色々な声が飛び交っていっる。

「アイズさん、勝って、、」

「時雨!!時雨!!時雨!!時雨!!」

そんな声が飛び交う中、アイズと向かい合った。

「武器は自由、魔法の使用も許可する。ポーションは3個まで、それでは、、、」

フィンの声であれだけ騒々しかった観客も静かになる。

「開始!!!!」

 フィンの声とともにアイズが駆けてきた。真っ直ぐに放たれた突きを大小2つの刀を交差させて防ぐ。そのままアイズを弾き返すが、怯んだのはほんの一瞬で直ぐに体制を立て直した。アイズの剣と僕の剣を打ち合う。激しい、金属音と土煙で中庭が包まれるが、剣と刀の光だけが見える。

「時雨、手加減は、、、要らないっ!!!」

アイズの声に応えるように、今までより速く、そして強く打ち込む。それでも一筋縄ではいかない。一度形勢を立て直そうとバックステップで土煙の中から出た。

「テンペスト」

左からアイズの声が聞こえる。魔法を使ったのだろうか。アイズから無数の風切り音と風を感じる。僕の周りをぐるぐると旋回しているアイズだが、6、7回程遠回ったて僕の背後に来たときに一気に迫ってきた。余計なフェイントなどしない。一直線に、風の様に迫ってくる。剣が僕の体に当たろうとしたときにタイミングを読んで振り返りながら回し蹴りを放った。僕の脚は見事にアイズの下腹部に命中して大きく怯んだ。

「女の人を苛めるのは僕の趣味じゃないんですが、済みません」

アイズが復帰するのを待つ。このまま終わってしまったら余りにも味気がない。やがて復帰して切りかかってきたアイズの剣を大太刀で防ぐ。押して、押されての鍔迫り合いだ。

「さっき、時雨だったら止めを入れれれていたよね」

押しながらアイズは言った。

「このまま終わってしまったら味気がないですからね」

押し返しながら言う。そしてアイズが僕の刀を弾き返した。アイズにとっての最大の好機の様に見えていたが、それは違った。要するに弾き返せてなかったのである。僕はまたバックステップで下がった。アイズも同じく下がって二人とも剣、刀を鞘に入れて目を閉じた。中庭には数秒の沈黙が訪れた。観客までもが唾をのんでみまもる。僕は閉じた目を一気に開くと走り出した。同じようにアイズも走り出してまた土煙がたつ。中庭の中心で3つの光が交差したあとまた訪れるのは沈黙のみだった。

 暫くして土煙の中に影が見えた。影は手で土煙を払いながら出てきた。影、もとい時雨に運ばれながら幸せそうに眠るアイズとともに。

「勝者、時雨!!!!」

フィンさんの声が響いた。それとともに観客達の声も響く。どんな顔をしていれば良いのだろう。困っていたらリヴェリアさんが寄ってきた。

「時雨、お疲れ様だ。アイズは大丈夫か?」

脈はあるし、顔色もいい。大丈夫だろう。

「大丈夫だと思います」

アイズを抱き抱えたままで、何処に下ろせばいいのかが困る。重いわけではないから苦では無いんだがするとあいが話だした。

「シ、グレ、、」

そんなアイズの様子をみて、リヴェリアさんは笑った。釣られて笑ってしまう。

「時雨、始めて笑ったな」

リヴェリアさんに言われて気付いた。今、僕は笑っているのである。嬉しそうなリヴェリアさんの顔を見ると何だか不思議な気持ちになる。でも悪くはなかった。

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