それでは今回もよろしくお願いします。
テニスの一件後、葉山のグループの問題を解決し職場見学が間近に迫っていた。
そして、俺はというと........
「八幡くん。正座」
「は、はい......」
部室内で奉仕部部長であり生徒会長でもある七草真由美先輩に正座を命じられた。
「八幡くんはなんで正座させられてるか分かる?」
「いえ、分かりませんが」
「これよ」
七草先輩が1枚の紙をチラつかせる。
「それは....職場見学の希望表ですか?」
「そうよ。平塚先生からこのプリントを預かっているわ」
「な....なんだと!!!」
「読み上げてあげるわね」
「やめてください.....」
俺の専業主夫計画がバレてしまう........
「えっと.....希望する職業は専業主夫、希望する職場は自宅。古人曰く、働いたら負けである。労働とはリスクを払い、リターンを得る行為である。より少ないリスクで最大限のリターンを得ることこそが労働の最大の目的であると自分は考える。小さい女の子...つまり幼女が「将来の夢はお嫁さん」と言い出すのは可愛さのせいではなく、むしろ生物的な本能にのっとっているといえるだろう。よって、俺の「働かずに家庭に入る」という選択肢は妥当なものであり.....かつ、まったくもって正当なものである。従って、今回の職場見学においては専業主夫にとっての職場である自宅を希望する」
俺の願いも虚しく、先輩は俺の書いた希望調査表を全て読み上げていた。
「比企谷くん。これはないわ....」
雪ノ下はこめかみに手を当て、はぁ...と溜め息をつく。
「お兄様、せめて公務員を目指しましょう。家事などは全て深雪がやりますからお兄様は家のことは気にせず、働いてくださいね!お兄様が仕事から帰ってきたら.....毎日、温かいご飯とお風呂を家で用意して待っておりますから」
「そっちなんだ!!妹ちゃんも妹ちゃんでおかしいよ!」
「いえ、おかしくありません。これは至って正常です。由比ヶ浜先輩」
「そうかな?」
「そうです!」
深雪と由比ヶ浜で何か言っているが、俺はそれどころではない。足が痺れて痛いのだ。長時間の正座に慣れていないためだ。
「とにかく八幡くんはこの職場見学の紙、書き直してね」
「はい」
自宅がダメとなると、風邪を引いて休むしかないか....
しかも先輩によると職場見学は3人1組らしい。俺には後2人を集める事は出来ない。そこまでのコミュ力がないから。
どうしたものか....
そう考えていると、奉仕部内にノック音が響いた。
「どうぞ」
「失礼します。奉仕部はここで大丈夫ですよね?」
「ええ。大丈夫よ。葉山くん」
珍しい。困り事などに無縁そうな葉山が奉仕部を訪ねるとは.....
「依頼内容は何かしら?」
「近く職場見学があるんですけど.....その班決めで揉めてしまって.....その解決策を提示してほしくて」
何でも葉山グループは女子3名、男子4名で構成されており女子3名でグループは作れたが、男子の方でどうグループを作るかで揉めてしまったとのこと。まぁ、1人がハブになるからだろうな......
必死になるのも無理もないか。この結果で今後のグループの関係にも何かしらの影響
「なるほどね.....」
「難しいわね」
「うーん.....どうしたらいいんだろう」
「そうですね...」
先輩と雪ノ下、由比ヶ浜、深雪は解決策を考えているのか...唸ったりしている。
「簡単じゃねーか。解決策」
しかし、この問題を解決するのは容易い。
「本当かい?」
「まさか貴方、全員....職場見学を欠席させるとか言わないわよね?」
「それは最悪の手段だ」
「最悪の手段なんだ......」
「そんなことをしなくても問題は解決する。だが、これは葉山の力というか決断がいるけどな」
「八幡くん。解決策を聞いてもいいかしら?」
「是非、解決策を教えてくれないか?」
「私も聞いてみたいわね。貴方の解決策を」
「うん。私も気になる.....かな」
「教えてください。お兄様」
「この問題の解決策は.......」
「「「「「..............」」」」」
5人は俺の言葉を固唾を呑んで待つ。
「葉山がグループから抜ける。これが唯一の解決策だ」
「それが解決策なのかしら?」
「お兄様は分かったんですね。揉めた原因が何なのか」
「深雪にも分かったみたいだな」
「はい。揉めた原因は葉山先輩にあった....葉山先輩と一緒のグループに入りたいという強い気持ちがあったからこそ、揉めてしまった」
「その解釈で概ね合ってる。だから、揉める原因である葉山と排除する。これが最適解だ」
そうすれば丸く収まる。皆、葉山と組みたいから必死になっていた。その問題である葉山を取り除けば
「そうだったのか.......」
「そういうことね.....さすが八幡くんね」
「ありがとうございます。この問題を解決したご褒美として職場見学のレポートの再提出は無しでお願いします。先輩」
「ふふっ....そんなの却下よ。今、ここで書き直してね♪」
「あ、はい.......」
久しぶりに見たわ。先輩の目が笑ってない笑顔.......
「お兄様、私も手伝ってあげますから早く書き上げましょう」
「私も手伝ってあげるからね。元気だしてヒッキー!!」
「ふ、不幸だー!!」
何で自宅が職場に出来ないんだー!!
しかも、由比ヶ浜に心配されてしまった.....
もう終わりかもしれん。
「奉仕部はいい雰囲気だね。雪ノ下さん」
「そうね.....賑やかになったのは確かね」
「雪ノ下さんも上手く溶け込んでるみたいでよかったよ。昔が昔だけに」
「そうね.....前の環境は最悪だったから」
「本当にあの時はすまなかった」
「別に葉山くんのせいではないわ。一応、私を助けようとしてくれたのは分かっていたから」
「そう言ってもらえると助かるよ」
雪ノ下と葉山は八幡達を見ながら過去の話をしていた。
「お、終わった.....」
「お疲れ様でした。お兄様」
なんとか、3人の協力もあり俺らしくない職場見学希望表が完成した。
内容は察してくれ.....今の俺はあまり多くは語りたくない。
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後日談というか今回のオチ。
葉山グループの揉め事は解消された。葉山が職場見学、3人グループの枠に抜けたことによって........
そして、葉山が職場見学グループを組む相手に選んだのは........
「比企谷、俺と組まないか?」
「は?」
俺だった。
「組む相手が決まらないだろうと思って声をかけたんだけどいいかな?」
「構わんが....葉山は俺でいいのか?」
「構わないよ」
「八幡。僕もいいかな?」
「おう!むしろ大歓迎だ」
「ほんと!ありがとう」
(笑顔が眩しい......)
なんと職場見学のグループがボッチの俺でも組めてしまった。
いつもなら最後の1人でどこかのグループに組み込まれるなんてことが多かったが....今回はそうはならなかった。
それとテニスの一件以降、戸塚は俺のことを名前呼びで呼ぶようになっていた。
「見学先はどうする?」
「何処でもいいから葉山が決めてくれ。戸塚もそれでいいか?」
「うんっ!八幡とだったらどこでもいいよ」
戸塚は天使だな。うん、異論反論は認めない。
「分かった」
そして、職場見学先は決まった.......
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「お兄様、お迎えにあがりました」
終礼後、深雪が俺の教室まで来ていた。
「先に部室に行っててもよかったんだぞ」
「今日はお休みですよ。もうすぐ中間テストがあるので勉強時間に充てるようにとLI○Eで通知が来ていましたよ。まさかお兄様、確認していないのですか?」
「見てなかった....とりあえず部活はなしか.....」
日頃から勉強してるから焦ってやる必要もないか......
最近は依頼続きで2人の時間があまり取れてなかったし....どっか寄り道して帰るか......
「なら今日はどっか寄り道して帰るか」
「それは....いいのでしょうか?」
「普段から勉強してるし、1日ぐらいはいいだろ。それに最近は依頼ばっかりで2人の時間が取れてなかったから、ちょうどいいと思ったんだが....深雪はお兄ちゃんと一緒に遊びたくないならそれはそれでいいんだが.....」
「そんなことはありません!!深雪もお兄様と一緒に遊びたいです!」
「じゃあ、行くか」
「はいっ!すぐに行きましょう!お兄様」
「分かった、分かった.....」
深雪はグイグイと俺の手を引っ張りながら楽しそうに歩く。
その姿に笑みをこぼしつつ、俺も後を歩いた。
((本当に仲のいい兄妹だな(だね)......))
クラス内では残っていたクラスメイト達が2人の光景にほっこりしていたのだった......
......続く
次回......
八幡と深雪の放課後デートを経て中間試験、そして職場見学......
比企谷八幡は葉山、戸塚、他のグループのメンツと共に職場体験先であるとある企業に赴く。
そこで....ある40代?の男性と出会う。
「君が比企谷八幡くんだね?」
「どうも.....」(誰だ......会ったこともないし知らない人だ.....向こうは知ってるみたいだけど)
八幡に声をかけた人とは........
ここまで読んでくれた方々、ありがとうございます。
次回もよろしくお願い致します。