比企谷八幡の妹チェンジシリーズ   作:Oceans

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8話目です。

それでは、今回もよろしくお願い致します。


 第8話

 

 

 

近くのショッピングモールへと足を運び、楽しそうに服を選ぶ深雪の姿を俺は後ろから眺めている。

 

 

 

(楽しそうでよかった....)

 

色々な服を吟味しながら選び、試着室は入っていく。

 

「先程の可愛い子は妹さんですか?」

 

「ええ....まぁ」

 

深雪が試着室に入っている際、店員に声を掛けられる。

 

「よろしければ当店のフィッティングモデルか当店のオススメの服を妹さんに是非着てもらいたいのですが....」

 

「妹からの許可が得られればいいですけど」

 

「もしダメならお兄さんでも大丈夫ですよ」

 

「俺っすか?」

 

「お兄さんも顔立ちもいいので適任だと思います」

 

「初めて言われましたよ、そんなこと」

 

「見る目がないなぁ.....」

 

 

「まぁ.....そうですね」

 

 

 

目つき以外は高スペックだからな。多分。

 

 

 

ゴゴゴ....

 

 

 

 

そんなことを話していると、モール内の温度がグッと下がった気がした。

 

 

「何か寒くないですか?」

 

「まだ冷房はそこまでフルでは稼働していないんですけど...」

 

まぁ、まだ6月だしな。

 

 

ということは.....

 

 

 

チラッと試着室を見ると、白いものが見えた。

 

 

 

冷気の主は試着室にいる深雪のようだ。

 

またお決まりの絶対零度が発動しちゃったか......

 

「とりあえず、先程の話は保留にさせてください」

 

「分かりました。前向きな回答を期待してますね。それとこれを......」

 

 

 

「何すか?これ」

 

「私の連絡先です」ボソッ

 

「っ!!」

 

今どきの女性ってこんななのだろうか。積極的というか、なんというか。

 

「それでは妹さんとのデートを楽しんでくださいね」

 

「はい」

 

ここで会話は途切れる。そして、それと同時に冷気も収まり快適な温度に戻る。

 

「随分と楽しい時間を過ごしておられたみたいですね。お兄様」

 

「何のことだかさっぱり分からんが」

 

ここで「そうだな」と答えると厄介なことになるので知らないフリをした。

 

「とぼけるおつもりですか?」

 

「いやいや、深雪について話していただけだぞ。モデルにどうかとかな」

 

「本当ですか?」

 

「ああ、最後に妹とのデートを楽しんでくださいって言われたしな。だから楽しむか?」

 

「はい!」

 

とりあえず深雪の機嫌は直ったようだ。

 

この後もモール内をひたすら回り、久しぶりの深雪とのショッピングを楽しんだ。モデルの件は保留にしておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の放課後。

 

 

 

 

テスト期間ともあって奉仕部内では勉強会が行われた。

 

 

俺は七草先輩に苦手な数学を、由比ヶ浜は雪ノ下に5教科教えてもらっていた。学年1位の深雪は1人でテスト勉強を行う。

 

 

 

 

「八幡くん。高次方程式はこの公式を使って解くのよ」

 

 

「はぁ....」

 

 

三次式の因数分解の公式を教えてもらうがさっぱりで頭の中が?マークで一杯だった。

 

 

 

 

 

 

「由比ヶ浜さん、千葉の名産品を2つ答えて」

 

「ゆでピーとみそピー?」

 

「ぷっ!」

 

「何でヒッキー、笑ったの!?」

 

「由比ヶ浜が珍回答するからだろ....ぷっ...くくっ.....」プルプル

 

 

 

「笑いすぎだからね!!」

 

 

 

「八幡くん、こっちに集中して!」

 

 

「すいません」

 

 

 

 

 

 

 

先輩に怒られ、再度数学のテスト勉強へと入るが.....

 

 

全くもって分からず、お手上げ状態だった。

 

 

 

コンコン

 

 

「どうぞ」

 

 

しかし、依頼人が来たため中断となる。

 

「失礼します......」

 

 

依頼人は女子生徒2人。多分1年生だろう。

 

「あれ?深雪さん?」

 

「深雪?」

 

依頼人は深雪のクラスメイトのようだ。

 

 

「よく来たわね。そこのイスに座って。お話を聞くから」

 

「はい」

 

 

 

 

「1-Aの光井ほのかです」

 

「1-Aの北山雫です」

 

「自己紹介ありがとう。私達も自己紹介するわね。私がここの部活、奉仕部部長の七草真由美です」

 

その後、雪ノ下と由比ヶ浜が自己紹介をし.....俺の番へと回る。

 

「初めまして....じゃないな。久しぶりと言っておくか.......2年の比企谷だ」

 

「「この前はありがとうございました」」

 

「八幡くん、知り合いなの?」

 

「いや、春休みに2人がガラの悪いやつに声をかけられてたんで近くの交番にいた警察官を連れて割って入っただけです」

 

 

 

 

そう.....ただ仲裁に入っただけのことだ。

 

 

 

 

「そうなのね」

 

 

 

「それで光井さんと北山さんの依頼はなにかしら?」

 

「高校初めてのテストなので、いい点を取りたくて.....」

 

「試験対策をしたいということかしら?」

 

「はい。お願い出来ますか?」

 

「ええ、いいわよ」

 

七草先輩が了承し、先輩が光井と北山に5教科の試験範囲を教えることになった。俺は深雪と一緒に試験対策プリントをひたすら解き、雪ノ下は由比ヶ浜の面倒を見るのだった......

 

 

 

 

 

そして、試験は無事終わり依頼人の光井と北山は5教科でオール90点以上を取っていた。光井が学年3位で北山が学年2位、深雪が5教科全て100点で学年1位の成績だった。

 

 

 

2年生編は雪ノ下が学年1位、葉山が学年2位。俺は理系が数学50点に理科が60点と足を引っ張ったので学年50位だった。由比ヶ浜は赤点ギリギリの点数で下から数えて早い学年順位だった。

 

そして、奉仕部部長で生徒会長の七草先輩の成績はというと言わずもがな学年1位を獲得していた。

 

 

 

 

「いや、数学が赤点じゃなくて良かったわ」

 

「本当ね。明日は大雪かしら?」

 

「そのレベルの奇跡だわ」

 

「さすがお兄様です!」

 

「いや、深雪の方がさすがだろ。全教科満点なんだから」

 

「そうね」

 

「深雪ちゃん、おめでとう!」

 

「ありがとうございます」

 

「八幡くんからご褒美でも貰ったら?」

 

「高いものとかでなければ何でもいいぞ」

 

「本当ですか!?」

 

「近い近い....ものすごい距離近いから」

 

「すみません、つい舞い上がってしまいました」

 

「お兄様、高いものでなければ何でもいいんですよね?」

 

「おう」

 

「頭を撫でながら深雪を褒めてほしいです」

 

「そんなことでいいのか?」

 

「そんなことがいいんです!」

 

「分かった.....深雪。全教科満点、偉いぞ。よく頑張ったな」ナデナデ

 

「ふにゃあ.....お兄様、気持ちいいです!」

 

「そうか?」

 

「はい!」

 

 

 

 

「こう見てると深雪さんが飼い主に懐く猫みたいね」

 

「猫.....にゃ.....」

 

「ゆきのんまでおかしくなってる!?」

 

「いいえ、由比ヶ浜さん。私は至って正常よ」

 

「正常じゃないよ!正常だったらにゃーとか言わないから!」(ゆきのんまでポンコツ化しちゃったの!?)

 

 

 

 

 

 

 

「私も比企谷くんにナデナデされてみようかしら」

 

「深雪さん、気持ちよさそうね....羨ましい.....」

 

「ヒッキーのナデナデ......気持ち良さそう.....私もされてみたいかも」

 

 

 

 

 

 

 

ついに部員全員が八幡にナデナデされたいという感情が芽生え、奉仕部内は異様な空気、空間と化した。

 

 

 

 

 

 

 

この後、全員ヒッキーこと比企谷八幡にナデナデされ感情がHIGHになったとか.....

 

 

 

 

 

(そこを代わってくれよ.....八幡)

 

 

 

 

 

 

とあるイケメンくんがそんなことを思っていたり.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、数日が経過し職場見学当日。

 

 

 

「大きい会社だね」

 

「そうだな」

 

「そうだね」

 

 

俺と戸塚、葉山はとある大企業に職場見学として赴いた。

 

 

 

簡単に説明すると職場見学先は貿易会社で主に商品の貿易を行っており、貿易なので取引相手はもちろん海外の国だ。

 

 

多種多様な人がおり、英語で会話していた。

 

 

 

利益もそれなりのもので年商は億を超えるとか......

 

 

 

 

ガイダンスを終え、会社内を自由に回ってのち....休憩時間となった。

 

 

 

 

 

「君が比企谷八幡君だね?」

 

 

その際....ある40代?の男性に声を掛けられる。

 

 

「どうも.....」(誰だ......会ったこともないし知らない人だ.....向こうは知ってるみたいだけど)

 

 

「娘が大変お世話になっているようで」

 

「娘さんというと......」

 

 

「真由美と言えば分かるかな?」

 

「ああ....七草先輩のお父様ですか.....」

 

「そうだね。お父様と呼ばれるのは悪い気はしないね.....」

 

そう言って、俺に名刺を渡す。

 

「ここの社長さんなんですね」

 

「一応ね。それより、真由美は学校では元気にやっているかい?」

 

「そうですね。ちゃんと生徒会長もやっていますし、元気にしてしますよ」

 

「それは良かった。家では部活での君の話をよくしてくれていたから、君がどんな子か気になって声を掛けたが、好青年で良かった」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「これからも娘のことをよろしく頼むよ。出来れば彼氏になってほしいところではあるが、それは比企谷くんや真由美の意思を尊重したいから強くは言わないが、どうかね?」

 

「それはありがたい話ではありますが、自分と先輩では釣り合いが取れていないと思います」

 

「案外、お似合いかもしれないが?」

 

「まぁ、娘さんの意思を尊重してあげてください」

 

「そうするよ。機会があれば私の家に招待させてもらうよ......それじゃあ、この後もよい時間を」

 

「はい」

 

 

そう言って、先輩のお父さんは仕事へと戻っていった。

 

 

「八幡!もう休憩終わるよ」

 

「分かった」

 

その後、戸塚と葉山と合流して会社内を見て回った。

 

 

 

やっぱりこの貿易会社はすごいと改めて感じたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

職場見学が終わり、6月も半ばに入る。

 

 

千葉でも本格的に梅雨のシーズンへと入る。

 

朝は曇りだったが、昼過ぎからは雨が降ってきた。

 

ザーと打ちつける雨音が響くほどかなり雨がひどく降っていた。

 

 

「すごい雨だな」

 

(今日、部活無くてよかった.....さっさと帰って、ゲームでもするかな)

 

深雪は光井達と寄り道して帰るため、今日は一緒には帰らない。

 

 

 

 

 

「あっ、八幡くん」

 

「うっす」

 

「すごい雨ね」

 

「そうですね。先輩は傘無いんですか?」

 

「朝は曇りだったから大丈夫かなと思ってたんだけど、予想が外れたわ」

 

「そうなんですね。良かったら傘貸しましょうか?」

 

「八幡くんはどうするの?」

 

「走って帰りますよ。家までそう遠くないですし」

 

「八幡くんに悪いわ。それに深雪さんが怒るんじゃない?「何でお兄様は濡れて帰ったですか!?深雪に相談してくれれば濡れて帰らずにすんだのに!」とか言いそうだけれど」

 

「あー.....それはあり得ますね」

 

「だからお姉さんにいい案があります」

 

「その案というのは?」

 

「1つの傘に入って一緒に帰らない?」

 

「俺は別に構わないですけど....あんまり大きくないので濡れないという保証は出来ませんがいいですか?」

 

「うん」

 

「じゃあ、行きましょうか。さらに強くなる前に」

 

 

「よろしくね。八幡くん♪」

 

 

(いちいち可愛い仕草をいれてくるんだよな。この先輩は.....しかもこれが狙ってやっているものではないからタチが悪い。普通の男子高校生なら即落ちてるな)

 

 

相合い傘というのは深雪以外にするのはないため、先輩が初めてなので妙に緊張する。しかも周囲から注目されている。色んな視線が俺にクリーンヒットしダメージを受ける。いつか殺されそうだな.....

 

 

 

 

「何か有名人になった気分ね」

 

(先輩はもう有名人なんですけどね.....)

 

「自分は静かに過ごしたいですけど」

 

「ふふっ.....八幡くんらしいわね」

 

 

 

校門を抜けると先程までの視線はほとんどなくストレスなく帰路につけている。

 

しかし、雨は弱くなることはなく一層強まってる気がする。

 

先輩が風邪を引かないように傘で覆っているがあまり効果はなかった。俺の方はびしょ濡れである。早く帰ってシャワー浴びてぇ.....

 

 

 

 

 

 

 

 

「...........」

 

 

 

 

 

「............」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「八幡くん。面白い話してくれない?」

 

 

長い沈黙を破ったのは先輩だった。

 

 

 

「先輩、俺にそれを求めます?生憎ですけど、俺が持ち合わせてる話のネタは黒歴史モノしかないですけど」

 

「面白そう!!」

 

それが全然面白くないんですよ.....って言えねーよな。

 

「聞かせてほしいな。八幡くんの黒歴史」

 

「どこから話しましょうか......」

 

 

俺は中学時代の黒歴史を先輩に話す。最初は食い気味だったが、徐々に笑みは消え、何とも言えない表情をしていた。決して同情などはしてほしくない。余計に惨めになるから。

 

*黒歴史内容は概ね原作通りなので脳内補完してください。あまり語りたくないので。      by比企谷八幡

 

 

 

 

 

 

「......これが俺の黒歴史です」

 

「色々と大変だったわね。高校は楽しい?」

 

「中学よりはだいぶマシですね。高校では妹の深雪もいますし、奉仕部のあの空間も心地いいですし」

 

「それなら良かったわ。困ったことがあったらお姉さんに相談してね」

 

「ありがとうございます」

 

 

本当に先輩は優しい。こんな俺にでも優しく接してくれるのだから。

 

 

 

「あ、そうそう!職場見学はどうだった?」

 

「あー.......そうですね。まぁまぁ....って感じですかね」

 

先輩のお父さんとお話してたなんて言ったらどんな反応をするのだろうか?

 

「どこの会社に行ったの?」

 

「とある大企業の貿易会社ですね」

 

「!」

 

おっ、先輩がピクッと反応した。それはそれで可愛い反応だった。

 

「海外と取引してて絶好調みたいですよ。年商も億越えだとか」

 

「へ....へぇ....そうなんだ」

 

これは自分のお父さんの会社って気づいた感じだな。

 

「ある人に声を掛けられまして....娘さんは元気にやってるかと聞かれました」

 

「ふーん。それでお父さんになんて答えたの?」

 

「元気でやっていますよと答えました。その後は娘をよろしく頼むとかなんとか言われた気がしますね」

 

「えっ!」

 

「まぁ、娘さんの意思を尊重してくださいとお伝えして、別れましたけど」

 

「そっか......」

 

 

その後は無言で雨の中を歩く。

 

 

 

「ここじゃないですか?先輩の家」

 

表札に「七草」と書いてあるので間違いないだろう。家はやっぱり大きかった。豪邸ってほどではないが。

 

「ありがとう。送ってくれて」

 

「これぐらい大丈夫ですよ」

 

「それに私が雨に濡れないようにしてくれてありがとね。やっぱり八幡くんは優しいね」

 

「そんなことないですよ」

 

俺じゃなくても他の人でも同じようなことをするだろう。

 

「お礼も兼ねて家に上がっていかない?」

 

「そこまでしてもらうわけにはいかないんで。家で深雪も待ってると思うんで」

 

 

 

「そう......」

 

 

俺の言葉に先輩はシュンと寂しそうな表情を浮かべていた。

 

 

本当にそういうところがあざといというかなんというか........

 

小動物ような可愛さがあると感じるのは俺だけだろうか?

 

 

「まぁ、でも少しだけならいいですよ」

 

「本当!!」

 

「はい。雨もさらに強くなってますし、雨宿りさせてもらってもいいですか?」

 

「うん!早く行きましょ?」

 

「押さなくても行きますから」

 

俺は初めて他人の家、女性の家に上がることとなった。

 

 

 

 

 

 

........続く

 

 

 

 

 

そして、次回............

 

 

 

 

 

 

 

 

「お姉ちゃん、この人誰?」

 

「そんなの決まってるじゃん!○○だよ!」

 

 

 

 

「えっ!?」

 

 

「はぁ......」(何か疲れる.....)

 

 

 

2人の○○が登場し、七草家が一層騒がしくなる........

 

 

そして、矛先が先輩から俺へと移る。

 

 

 

 

 

 

 

 

次回。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【とある姉妹の精神攻撃】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々、ありがとうございます。


次回もよろしくお願い致します。

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