比企谷八幡の妹チェンジシリーズ   作:Oceans

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妹チェンジシリーズ第17弾はニセコイから小野寺小咲です。春ちゃんは後からの参戦となります。

それでは、今回もよろしくお願いします。


[ 小野寺小咲編 ][ ニセコイ ]
第1話


時は2月の中旬。私立・公立高校の受験が大体終わる頃であり、前期選抜の合格発表が行われる時期でもある。俺の妹である小咲は今日、その前期選抜の合格発表があるようで朝から緊張しているようだった。ちなみに小咲の受けた高校を俺は知らない。受験関連の話は基本的に避けている。変なプレッシャーをかけたりストレスを与えてしまうのを防ぐためだ。

 

「緊張するなぁ....」

 

「小咲なら大丈夫だろ。あんなに勉強してたんだし」

 

小咲は前々から勉強しており12月からはさらに追い込み、ほとんど勉強に時間を費やしていた。ここから察するに小咲は難関校に受験したとみる。

 

「そうだと、いいなぁ...」(志望校に合格してお兄ちゃんと同じ高校に行きたいなぁ...)

 

「自信持って行ってこい。お兄ちゃんも合格できますようにって祈っておくから」

 

「うん!ありがとう、お兄ちゃん!じゃあ行ってくるね」

 

「おう」

 

そう言って小咲は家を出て行った。俺も今日は午前中だけではあるが学校の授業があるので、小咲を見送った後に家を出た。

 

 

 

 

そして、午前の授業をこなし昼休み。だが、今日は午前の授業だけなので俺は帰る準備をする。その際に

 

「はちまーん」

 

俺の天使的存在である戸塚が話しかけてきた。戸塚とは中学の時からの付き合いである。

 

「戸塚か、どうした?」

 

「今日、部活がないから八幡と一緒に帰ろうかなって......ダメかな?」

 

「ダメじゃないぞ」

 

毎日、戸塚と一緒に帰りたいまである。

 

「よかった...じゃあ行こっか?」

 

「おう」

 

そして、俺は戸塚と一緒に帰る。その際に、雪が降ってきた。

 

「凄い雪だね」

 

「ああ、予報だと積もるほど降らないって言ってたんだけどな」

 

「うん。でも、この感じだと積もりそうだね」

 

「そうだな。それにしても小咲のやつ、大丈夫かな。雪道で転んで怪我とかしないといいんだけどな」

 

「小咲ちゃん?ああ...八幡の妹さんだったっけ?確か、今日が合格発表の日だよね?」

 

「ああ、志望校に合格してるかも気になるし、怪我してないかも気になる」

 

「...八幡は妹思いだね」

 

「まぁな。小咲は世界で1番可愛い妹だからな」

 

「小咲ちゃんが羨ましいなぁ...」

 

「もちろん、戸塚も可愛いぞ」

 

「恥ずかしいよ。八幡」

 

「照れることはない、むしろ誇っていいぐらいだ」

 

「そうかな?」

 

「おう」

 

そんな事を会話しながら俺と戸塚は帰路に着いた。

 

 

「ただいま」

 

「おかえり、八幡」

 

家に着くと、母ちゃんが玄関にいた。

 

「小咲はもう帰ってるか?」

 

「まだ、帰ってきてないわよ。てっきり八幡と一緒に帰ってきたと思ったんだけど...」

 

「俺は知らんぞ」

 

「そう...それと今日はバイトの人がいるから八幡は店番、やらなくていいわよ」

 

「了解」

 

俺の家は和菓子屋を営んでいる。俺も店番や、和菓子を作ったりの手伝いをしている。腕前は母ちゃんのお墨付きらしい。ゆくゆくは店を継いでもらいたいらしい。

 

俺は自分の部屋に行き、荷物を置き一息ついた。

 

「ふぅ...」

 

すると...

 

「」ブー

 

スマホの着信が入った。その主は妹の小咲の同級生であり、ヤクザの2代目である一条楽からだった。

 

「一条か、どうした?」

 

「お兄さんのおかげで総武高校に合格出来ました。ありがとうございます」

 

一条には高校入試の文系科目を教えていた。ウチの店番を頼んだお礼としてだが。ちなみに理系は教えていない。理由は察してね。

 

「一条にお兄さんと呼ばれる筋合いはないぞ」

 

「じゃあ、ハチ兄!」

 

「それも却下だ」

 

「え〜」

 

「それで、話はそれだけか?」

 

「もう1つあって...。その...小野寺は家にいますか?」

 

「いないが、一条に妹の小咲はやらんぞ」

 

「そうじゃないです。さっき、総武高校で見かけたんで声をかけようとしたんですけど、泣きそうな顔して走ってどこかにいってしまって心配になったのでお兄さんに電話したんです」

 

「そうか...わかった。ありがとな、小咲のことを心配してくれて」

 

「お兄さんが素直にお礼をいうなんて...」

 

「だから、お前のお兄さんじゃないっての...」プツン

 

あっ、電話切っちまった。まぁ、いいか。それよりも小咲を探さないと...雪もたくさん降ってるしな。

 

俺はそう思い、家を飛び出して小咲を探した。途中に小咲の親友である宮本に電話をかけた。

 

「宮本か?」

 

「珍しいですね。八幡さんが私に電話するなんて」

 

「ああ、それで急に電話して悪いんだが、小咲が宮本の家に来てないか?」

 

「来てないですけど、小咲に何かあったんですか⁉︎」

 

「一条から聞いた話では小咲が泣きそうな顔して走って総武高校を後にしたみたいでな。もしかしたら宮本の家に行ったんじゃないかと思ってな」

 

「そういう事ですか。多分、小咲は行きたがってた総武高校に落ちたんだと思います。そのショックでどこかに走っていったんだと思います。八幡さんと同じ高校に通うんだ...って、ずっと受験勉強してる時に私に言ってましたし」

 

「そうだったのか...」

 

「私も小咲を探しに行った方がいいですか?」

 

「いや、大丈夫だ。宮本は小咲から何か連絡があったら、真っ先に俺に連絡してほしい」

 

「分かりました。小咲から連絡があり次第、連絡します」

 

「頼むわ」プツッ

 

そんな理由があったんだな...と俺は思いつつ、小咲のいそうなとこを片っ端から探した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

探し始めて、15分が経過....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いない...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

駅前やショッピングモール等を探すが、小咲の姿はない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

探し始めて30分が経過し...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いた....」

 

 

 

 

ようやく、見つけた。妹の小咲は学校近くの公園のベンチに1人ポツンと座っていた。よく見ると、小咲の顔は少し腫れており頰も赤くなっていた。そりゃ、そうだ。外は雪が降っているし、小咲は志望校に行けないのだから....

 

 

 

「小咲!」

 

 

 

「お、お兄ちゃん.....」

 

 

「隣、いいか?」

 

 

「う、うん...」

 

俺は小咲の隣に座り、着ていた上着を小咲の肩にかけた。

 

 

「...........」

 

 

「...........」

 

 

「一条と宮本から話は聞いた」

 

「うん...」

 

「あんなに頑張ってたのにな」

 

「うん」

 

「.....」

 

「.....」

 

何て言っていいのか俺は分からず、黙ってしまう。

 

 

「お兄ちゃんと同じ高校に行きたかったなぁ...」

 

「...そうか」

 

俺が言えるのはこんなことぐらいだった。情けない。俺はお兄ちゃんだろ。何も言ってやれない自分に嫌気が差してくる。

 

「でも、落ちちゃったからお兄ちゃんと一緒の学校には行けない。私、あんなに勉強したのに...寝る時間も惜しんで勉強したのに...どうして合格出来なかったのかなぁ...」

 

小咲は俺の方を向いて、涙を流していた。余程、俺と同じ高校に行きたかったのかが分かった。俺だって小咲には総武高校に来てほしいと思っている。

 

「小咲...」

 

俺は小咲の泣いている姿を見ることが出来ず、思わず抱きしめていた。

 

「⁉︎」ビクッ

 

小咲はいきなりのことでびっくりはしていたものの、俺を突き放すことはせずに受け入れていた。

 

「思う存分、俺の胸の中で泣いて、悔しい気持ちとか全て吐き出すといい。お兄ちゃんには胸を貸すことしかできないが、許してくれ」

 

「.........っ.......!」

 

俺がそう言うと小咲は静かに俺の胸の中でしばらくの間、泣いていた。俺は小咲が泣き止むまで、ずっと抱きしめ続けていた。

 

 

 

 

 

...続く

 

 

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

それでは次回もよろしくお願いします。

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