原作を一部、改変しています。
それでは3話目です。
今回もよろしくお願い致します。
「桜島麻衣√ 2話」
翌日....
俺は国見と共に電車で学校へと向かっている。材木座はいない。
「なぁ、国見」
「どうした、八幡。俺に相談事か?」
「1つ聞きたい事があってな...バニーガールについてどう思う?」
「唐突だな。どうした?」
「昨日、図書館でバニーガール姿の桜島先輩に会ってな...」
「なるほどね。羨ましいな、八幡が」
「何で?」
「俺、バニーガール超好きだから」
「意外だな、まさか彼女の上里さんにバニーガールをさせてるとか?」
変なプレイとかさせてたりとか....
「そんなわけないだろ」
「そりゃそうか」
国見に限ってそれはないか...
「今度またバニーガール姿の桜島先輩に会ったら写真撮って俺にくれないか?」
「彼女に怒られるぞ」
「バレなければ大丈夫だって」
「まぁ、機会があればな」
「そんじゃあ、頼んだぜ」
「おう」
たわいもない会話をしつつ、電車を降り学校へと向かう。
「噂をすれば桜島先輩が前にいるぞ、八幡」
「そうだな。国見には桜島先輩が見えてるんだな」
「当たり前だろ。バッチリと見えてる。それよりも桜島先輩は芸能界にいつ復帰するんだろうな」
「どうだろうな。まだまだ先なんじゃないか?活動休止理由は学業専念だしな」
「やけに詳しいな、八幡。まさか、桜島先輩を狙ってるのか?」
「な訳ないだろ。材木座からの情報だ」
材木座は桜島先輩のファンだからな。いつもいつも話を聞かされるんだよな...いらない情報までな。
「まぁ、八幡には雪ノ下さんと由比ヶ浜さんがいるもんな」
「あいつらは部員ってだけだ」
「じゃあ、牧之原さんか?」
「何で、牧之原さんが出てくんだよ」
「だって初恋の人だろ?」
「...............命の恩人ってだけだ」
「長い間が気になるけど....まぁ、そういうことにしておくよ」
「そういうことって....」
牧之原さんは俺とって命の恩人、それだけだ。
「佑真、おはよう」
「おう、上里。じゃあな、八幡。また放課後な」
「ああ...」
国見は彼女の上里と一緒に学校へと向かっていった。その際、俺は上里に睨まれた。相当、嫌われているようだ。まるで私の彼氏を奪わないと言わんばかりに...
俺、1人になったところで桜島先輩がどんな人なのかを材木座情報を元にまとめると....
桜島先輩は1年の夏まで芸能界に在籍しており、学校には来ていなかったという。活動休止を告げたのち、夏休み明けに学校に通いだしたとのこと。仲良くしている友達等はいないらしい。俺の高1時代に似ていた。俺は入学式の日に交通事故に遭い、3週間後から登校。周囲ではグループが形成され、見事にボッチ確定。それを見兼ねた当時の担任、平塚先生が俺を奉仕部に所属させた...今はこの話はいらないな....
ともかく、桜島先輩は俺と同様で途中からの登校ということで友達作りは出来るはずもない。形成されたグループに入るなんてのは至難の業である。俺なら1人の道を選ぶ。目立とうとすれば、カーストの高い奴らに叩かれ、陰口を言われる。そんなリスクを俺は背負いたくはない。逆も然り、桜島先輩に至っては有名人だ。その人に声をかけるのであれば、それこそ目立ってしまう。「何だあいつ。有名人の桜島先輩に声かけてんぞ、調子乗んなよ」とかいわれる。故に桜島先輩もそのような事を考えたどうかは分からないが、1人でいることを選んだのだろう。自分は空気でいいとそう思っているのかもしれない...
本当に学校っていう場所は色々と気を遣ったりするからあまり好きではない。
そんな事を考えていたら、昼休みになっていた。時間って経つの早いな...飯買うか。
「ベストプレイスで食う飯はうまい」
俺はいつもの場所(中庭)で飯を食う。
「ちょっと」
誰か呼ばれますよ...
「ちょっと!」
誰か返事した方がいいですよ...俺は返事しない。俺に話しかける女子などいないからな。
「聞いてんの!?」
ほらほら、どっかの誰かさんが怒ってるから誰か反応してあげろよ」
「アンタだよ」
「うおっ!俺?」
「アンタ以外に誰がいんのよ!」
「どっかの誰かさんに話しているのかと」
まさか俺だとは...ふと後ろを振り返る。すると、国見の彼女である上里が仁王立ちしていた。
「で、俺に何の用?」
「佑真と今後、喋らないで」
「何故?そこまでの権限はお前に無いはずだが?それに国見とお前の邪魔をしてるわけでもないから国見と会話するぐらいいいだろ」
「そういう意味じゃない」
「どういう意味なんだ?」
「病院送り事件と文化祭の一件で分かるでしょ?」
「そのことか。それでお前は俺みたいな危険人物と彼氏さんが一緒にいると彼氏さんの株が下がるから関係を絶ってほしいということか」
「そうよ、分かってんなら....」
「それなら、お前の株も今、絶賛暴落中だけどいいのか?みんな、こっち見てるぞ」
「喧嘩売ってんの?」
「売られた喧嘩は買うのが一般的だが、俺はゴメンだ。目立つのは嫌いだからな。だからどっか行ってくれないか?」
「アンタが今後、佑真と関わらないならどっか行ってあげるわ」
「はぁ...そういうしつこい女は嫌われるぞ、時には許容することも大事だと思うぞ。佑真はこういうタイプ、嫌がると思うぞ。お前、可愛いんだからそういうところはしっかりしないとな」
「っな!?」
「じゃあな」
「まだ話は終わってない!!」
俺はこの場を離れた。これ以上目立つは避けたい....上里はブツブツと何か言ってたみたいだが、俺はスルーした。
そして時は過ぎて、放課後....
国見からLI○Eがきていた。
【すまんが、今日は上里と帰ることになったから先に帰っててくれ。それと昼休みはすまなかったな。上里が八幡に色々、言ったみたいで。一応、俺から注意しとくから許してくれ】16:12
別にお前がそんなこと、気にしなくてもいいんだがな..
【別に気にしてない】16:13
一文だけ送り、俺は1人で駅へと向かう。奉仕部は行く気にはならなかったのでサボった。
(あれは桜島先輩か...)
駅のホームに1人で立っていた。
俺は何となく桜島先輩の横に立った。
「比企谷くん?」
「どうも、1人ですか?」
「見ればわかるでしょ?」
「なんとなく聞いてみました。気を悪くしたらすいません」
「別にいいわよ、君こそ1人?」
「ええ、本当は幼馴染の奴と一緒に帰る予定だったんすけど彼女と一緒に帰るみたいで」
「そう...」
ブーブー
桜島先輩の携帯からバイブ音が鳴る。桜島先輩は画面を見るが通話ボタンを一向に押す気配はない。電話の主はマネージャーからのようだ。
「携帯、鳴ってますけど出なくていいんですか?」
「電車が来ちゃったし、それに用件は大体分かってるから」
「芸能界復帰しないか?とかですか?」
「私のこと知ってたんだ」
「ええ、桜島先輩は有名人ですから」
それに材木座からしつこく聞かされてたしな。
俺と桜島先輩は電車に乗り込む。桜島先輩は俺の隣へと座る。
「そういえば、桜島先輩ってあの後もバニーガール姿でこの街を回ろうとか思ってますか?」
「ええ、そのつもりだけど...」
「その時に写メ撮ってもいいですか?」
「その写真で何するつもり?変な事しようと考えて...」
「俺は変態にはなりたくないのでそんなことはしません。俺の幼馴染がバニーガールが好きなんで写メ欲しいって頼まれたんです」
「そういうことだったのね...びっくりするじゃない」
「なんかすいません」
「別にいいわよ。その代わり、比企谷くんに聞きたいことがあるんだけどいいかしら?」
「何です?」
「病院送りの件と文化祭の件なんだけど」
「それですか...」
「中学時代、妹のSNSトラブルでイジメに遭い、それをお兄さんである貴方がイジメを行なった女子や便乗してイジメをしていた男子に正論で論破し、精神科病院送りにしたって本当なの?」
「本当ですよ。たかが既読無視だけでイジメられるのに納得いかなくて、正論で論破してやったんですよ。今の子どもは調子乗ってますから。いい薬になったんじゃないっすかね」
今の社会、体罰は禁止となり教師が手を挙げることができないことが分かってて教師を攻撃する生徒が少なからずいるからな。本当にタチが悪い。
「ネットでは賛否両論あるみたいね、これはやりすぎ派と妹を全力で守ってあげる素敵なお兄さん派でかなりの論戦が繰り広げられてるわよ」
「そうなんすね」
この事件の後の周囲の視線はやばかったな...俺は口頭での厳重処分を受けたがイジメを行なっていた奴らは俺よりも重い処分を受けたらしい。
「調べたりとかしないの?」
「携帯は基本的に、電話やメールなどのやり取りにしか使いません」
妹のかえでの為にも携帯の使用は必要最低限に抑えている。
「そう。ちなみに私は妹を全力で守ってあげる素敵なお兄さん派だから安心して。妹さんはいいお兄さんを持って幸せね」
「そうですかね?」
「きっとそう思ってる」
「なんか、気を遣わせたみたいですみません。もう1つの文化祭の件は噂通りの認識でいいですよ。俺が文化祭実行委員長である相模を罵倒した。閉会式をメチャクチャにした張本人」
「何か理由があってそうしたのよね?比企谷くんは」
「ご想像にお任せします」
「妹に優しい貴方が、何の理由もなく相模さんを罵倒するはずがないわ。余程、相模さんが何かしでかしたに違いないわね」
「ご想像にお任せしますよ」
桜島先輩のように俺を擁護してくれる人は数少ない。あの病院送りの件も相まって俺の評価は下だからな。
「聞きたいことは終わりですか?写真の件はお願いします。それで、俺も桜島先輩に聞きたいことがあったんですけどいいですか?」
「昨日のバニーガール姿は何か理由があったんですか?」
「それは...」
桜島先輩はバニーガール姿になっていた理由を明かした。(詳しくは原作参照)
ざっくり説明すると、桜島先輩は芸能界では有名でどこに行っても桜島先輩の話題で溢れていた。最初は人気者で嬉しい、芸能界が楽しいという喜びの方が強かったらしい。しかし、次第に苦痛となり...いつからか私の事を誰も知らない世界に行きたいと願ったとのこと。
そして、その後の4連休の初日から桜島先輩の周囲の人達は桜島先輩の姿を認識していなかったということ、それには範囲があり藤沢市では認識させていたが、峰ヶ原周辺では認識されていないとのことだった。
俺は確信した。桜島先輩は【思春期症候群】にかかっていると。
「それでバニーガール姿....なるほど、そうだったんですね。教えてくれてありがとうございました」
「他に聞きたいことはないかしら?」
「特にはないですね」
「芸能活動を休止した理由は聞かないの?」
「学業に専念ですよね?」
「表向きはね。私は....」
「これ以上は大丈夫です。桜島先輩も話たくない内容でしょうから」
「...優しいのね」
「そうですか?普通だと思うんですけど」
その後は、会話はなく電車を降りた。電車を降りるまで桜島先輩はとある映画の広告をずっと羨ましい目で眺めていた。俺はその姿をずっと見ていた。
「......」
「......」
「比企谷くんはさっき私が言ってた話を信じる?」
「ええ、信じますよ。俺もそういう経験がありますから」
「本当に?」
「ええ、証拠なら俺の家にあるんで見に来ますか?」
「いいの?」
「別に俺は構いません」
「それじゃあ、行きましょう」
「ええ...」
そして、俺は桜島先輩を連れ家に入った。
「ただいま」
「お帰りなさいです!お兄ちゃん......」
「どうかしたか?かえで」
「お兄ちゃんが女の人と一緒に....あのボッチなお兄ちゃんが...」
「地味に傷つくからやめてね」
「お兄ちゃんはかえでだけのものです。お兄ちゃんを返してください!!」
かえでは俺を引っ張って桜島先輩から距離を取らせた。
「かえでは盛大な勘違いをしてるぞ、この人は桜島麻衣先輩。学校の先輩だ」
「そうなんですか!?お兄ちゃんの彼女さんではないんですか?」
「違うって。俺がこんな綺麗な人と付き合えるわけないだろ」
「っ!!」
「それもそうですね!」
だから地味に傷つくから。せめて否定してほしかった。おっと、妹と会話するのに没頭しすぎて桜島先輩のことをすっかり忘れてた。
「桜島先輩?」
桜島先輩は何故か顔を真っ赤にしていた。
「え?あ、何かしら?」
「俺の妹を紹介します。かえでです」
「あ...はじめまして.....比企谷....かえで....です」ボソッ
かえでは自己紹介をしたのち、俺の背中に隠れた。
「かえでは極度の人見知りなんで、すいません」
「大丈夫よ。はじめまして、桜島麻衣です。よろしくね、かえでちゃん」
「....よろしく....お願い....します」
かえではそう言って、走って自分の部屋へ行ってしまった。
「嫌われたかしら?」
「それはないと思います。それより、早く用件を済ませましょうか。これを見てください」
一枚の写真を桜島先輩に見せる。
「これってかえでちゃん?」
「はい。さっき電車の中で話したSNS事件で、こんな姿になってしまったんです。もちろん、暴力を受けた訳ではありません」
「え?でも、この傷は...」
「かえでがSNSを覗いた瞬間、こんな傷が出来たみたいです。俺は耐えきれなかった。なんでかえでがこんな嫌な思いをされなきゃいけないんだって。たかが既読無視ぐらいで」
「大変だったわね」
「はい。かえでの事件が起きた翌日、俺の身体にも異変があったんです」
「異変って」
「これです」
「この傷も」
「朝起きたら背中に十字架の傷が出来てて血だらけになってました。俺自身も病院送りになりました。これが思春期症候群の存在を信じる1番の理由です」
「そう....この傷、触ってみてもいいかしら?」
「ええ。どうぞ。まぁ、俺の傷がどうやって出来たのかという理由はまだ分かりません。かえでの傷は医者に見せましたが、【思い込み】で出来たのではないかとの結論でした。この一件から、かえではネット環境から離れた生活を送っています。そのおかげがあのような傷は出てないです」
「そう...だから私のことは知らなかったわけね」
「それで桜島先輩の思春期症候群の件なんですが...俺の予想ですが、桜島先輩が願ったという私の事を誰も知らない世界に行きたいという願いが叶ったのではないかということです。そして、桜島先輩が空気を演じているのも相まって、桜島先輩の認識度が下がっていると考えます」
「ふーん...それでこれから私はどうすればいいのかしら?」
「この状態を打破する方法なら1つだけあります」
「その方法は何かしら?」
「桜島先輩が...芸能界に復帰することですよ。戻る気は?」
「ないわね」
「でしょうね。まぁ、これは1つの手だと心の片隅にでも置いておいてください」
「でしょうねって...どういう意味?」
「お母さんにこれだけはダメと言ったグラビアの撮影の仕事があったから」
「っ!!」
「とあるネットからの情報でしたが、その様子だと図星といったところでしょうかね。まぁ、復帰するしないは桜島先輩が決める事なので、俺からあれこれ言うつもりはありませんが...」
「何よ?」
「俺的には芸能界に復帰してほしいです。あの輝いていた桜島先輩をまたみたいですから。おっと、もう遅い時間なんで駅まで送りますよ」
「.....玄関までていいわ」
「そうですか」
「それじゃあ、また明日」
「はい、また明日...このバニーガールの衣装、返します」
「これは比企谷くんが持っていて」
「はい?」
「それじゃまたね」
そう言って桜島先輩はバニーガールの衣装を俺の家に置いて帰ってしまった。
(どうすんだよこれ)
俺はこの衣装をどうするか迷うのだった....
そして、この出来事の後....しばらく俺が桜島先輩と会うことはなかったのだった...
...続く
〜 おまけ 〜
桜島先輩が帰った後のこと...
「お兄ちゃん、麻衣さんはどこに行ったのですか?」
「もう帰った」
「それは残念です。せっかくお茶を用意したのに」
「ありがとな、かえで。お兄ちゃんと一緒に飲むか」
「はい!そうします。それでお兄ちゃんは何を持っているのですか?」
「桜島先輩のバニーガールの衣装だ。かえでも着てみるか?」
「ええっ!いいんですか?」
「いいんじゃないか?かえでに似合いそうだな。よいしょっと」
俺は耳のカチューシャをかえでの頭に乗せる。
「似合ってるぞ」
「本当ですか!?」
「おう、すごく可愛いぞ」
「えへへ...お兄ちゃんにそう言ってもらえてかえでは嬉しいです!」
「それじゃあ、衣装も着るか?」
「ここだと恥ずかしいのでかえでの部屋ででもいいですか?」
「ああ、いいぞ」
「では、早速行きましょう!お兄ちゃん」
「分かったから引っ張るな」
この後、夜遅くまでバニーガールの衣装のショーがかえでの部屋で行われたという。
〜 FIN 〜
あとがき
次回にて、桜島先輩√は完結となる予定です。あの科学部の子も登場しての桜島先輩√3話です。どうぞお楽しみに!!
そして引き続き、妹チェンジシリーズのアンケートを設けております。
そちらの方も良ければ目を通してください。
最後に随時、マイピクを受け付けております。申請時はコメント欄ではなく自分の設定欄からマイピク申請を行なってください。よろしくお願いします。このコメント欄からは受け付けておりませんので、ご注意ください。
次回は「妹チェンジシリーズ」か「捻くれた少年と残虐姫と呼ばれる少女」シリーズを更新予定です。(変更の可能性もあり)
それでは、次回もよろしくお願い致します。
ここまで読んでくれた方々、ありがとうございます。
奉仕部での一件は原作改変で高1時代に行なったものとしております。
修学旅行の件はありません。あくまでも文化祭の一件のみ使用しております。他は使っておりません。
それでは、次回もよろしくお願い致します。