お久しぶりです。
それでは、今回もよろしくお願い致します。
週末の日曜日。
バイトを終え、家に一度戻った後、桜島先輩との約束を守るため待ち合わせ場所である駅前に向かう。
しかし......
公園内でキョロキョロして今にも泣きそうな少女を見かけた。
「大丈夫か?」
「お母さんが迷子なの」
なるほど、この子が迷子か......
しかし、この周辺には親と思われる人はいない。
このまま放っておくと誘拐のリスクもある。
それは避けないとな。それに、泣きそうだし。
「お兄ちゃんが一緒にお母さんを探す。だからもう泣くな」
「いいの?」
「ああ、だから一緒に探そう」
「うんっ!!」
「ちょっと待った!!!」
「痛っ!!」
少女と手を繋いた瞬間、背中に衝撃が走る。
誰だ背中を蹴ったやつ。てか、この声由比ヶ浜か?
「何すんだ由比ヶ浜.....って違う人かよ」
声似過ぎだろ。由比ヶ浜じゃなかったら誰この人?
「このロリコン!変質者!!」
なんでだよ....
「早く逃げて!ロリコン変質者の餌食になる前に!」
「違うよ。お兄ちゃんは私のお母さんを一緒に探してくれてるの」
「え?」
「この子の言う通りだ。俺はただお母さん探しを手伝ってただけだ。断じてロリコンなどではない」
「あはは....ごめんね」
「ごめんで済めば警察はいらん....まぁ、いいけど」
「お兄ちゃん、大丈夫?」
「ああ、ヒリヒリするけど大丈夫だ。お母さん、探すか?」
「うん!」
「お前も手伝え」
「え?」
「俺のケツを蹴った罰だ」
「でも、友達の約束が.....」
「そんなん知らん。俺の尻に比べたら安いもんだろ」
「わ、分かりました!!!じゃあ、私のおしりも蹴っていいからチャラにして!」
「なんでだよ。俺は捕まりたくない」
「いいから!!」
「嫌だ」
「早く蹴って!!」
ワイワイ.......ガヤガヤ.......
この後も言い合いが続き....その結果。
「ちょっといいかな?近隣住民から卑猥な言葉をカップルが発していると苦情が入ってね。任意だけど、交番までいいかな?」
「「え??」」
「それと、お嬢ちゃん。君のお母さん、交番にいるから一緒に来てくれるかい?」
「うん!お母さんのとこ、いく!」
何故か、交番行きになりました。
しかも卑猥カップル扱い.....最悪だ。
「俺は悪くないのに1時間くらい拘束されて指導かよ」
警察官から貴重なご指導をたっぷり食らった。
「.....災難だったね」
「いやいや、全部古賀のせいだからな?分かってるか?」
「なんで私の名前知ってるし!!」
「警察官の人が連呼してたろ。お前が携帯なんぞいじってるから」
そのおかげで追加で怒られた。
「仕方ないじゃん」
「せめて交番内では控えろよ。そのせいで拘束時間が伸びたんだからな。古賀朋絵さん」
「フルネームも知ってる!?」
ツッコミは一丁前にするのか....
「なんなら福岡出身ってのも分かるぞ」
「なんで!?」
「方言出まくりだったしな」
神奈川ではまずお目にはかからないからな。
「うー...あなたの名前を教えてよ」
「何で?」
「フェアじゃないもん。私のことばっかり知ってるの」
「.....比企谷で分かるだろ?」
「あ!病院送りの人!」
「そうだな....」
「そんな悪い人には見えないけど.....」
「噂は悪い方に流れるからな....どんなものも」
90%以上は悪い方に伝染していく。人は醜いから悪い方、悪い方へ持っていく。本当に生きづらい世界である。
「俺の話はいい。とにかくお前は携帯依存をやめろ」
「嫌」
「なんでそこまで拘る?」
「早くメッセージ返さないと仲間外れにされて友達がいなくなっちゃう......」
「そんな友達、本当に必要か?」
「え?」
「たかがメールの返事が遅いってだけで友達じゃなくなる関係性なら俺はいらんな。先輩からの貴重なアドバイスだ。友達はちゃんと選べ。本当に信頼出来るやつを友達にしろ。お前は可愛い部類に入るからそんな変な友達じゃなくてちゃんとお前のことを見てくれて想ってくれる友達を作れ」
俺が言えた立場じゃないが、妹のかえでのようにはなってほしくない。だからせめて友達選びはちゃんとしてほしい。
「可愛いとか....言うな!!」
「じゃあ、可愛くないって言えばいいのか?」
「そうじゃないっ!!あっ!友達との約束に遅れる!じゃあ、またね!比企谷先輩」
「おう」
約束、約束ね........
「あっ.....」
俺も用事あるじゃん。完全に忘れてた。
「今からだと15時半くらいに着く.....」
約90分の遅刻。これはブチギレ案件。もう帰ろうかな.....
15:40
駅前
「もういないよな。遅れたら帰るって言ってたし」
「帰るか...」
「どこに行くのかしら?1時間40分遅れた比企谷くん」
「すいません」
「許さない」
「この通りです。誠に申し訳ございません」
頭を地面につけて土下座する。
「比企谷くん、土下座すれば許してもらえるって思ってないかしら?」
「そんなことはありません。何なら靴舐めも余裕で出来ます」
「しなくていい!」
「どうしたら許してくれますか?」
「その前に場所を変えましょう。目立つから」
「はい......」
場所を移動し、江ノ電へと向かう。
「じゃあ行きますか」
「待ちなさい」
「え?」
「遅れた理由を教えて」
「住宅街にある公園に迷子の子がいたので、その子の相手をしてまして....」
「バイトは?」
「行きました。一旦、家に戻って荷物置いて、かえでに行ってきますの挨拶をしてから向かいました」
「迷子の子は男の子?女の子?」
「女の子ですね。4〜6歳くらいの」
「....ロリコン」
「なんでそうなるんすか.....」
古賀と同じ思考回路。俺は決してロリコンではない。本当だよ?
「私より4歳の女の子を優先するんだ?比企谷くんは」
「ひょっとして拗ねてます?」
「...拗ねてない」
「迷子の女の子は無事、交番で母親に会えました。はい、ハッピーエンドです」
「私はバッドエンドだけど?」
「それは......」
「あ!ロリコン先輩」
「誰がロリコン先輩だ.....って福岡女かよ」
ロリコン先輩のフレーズが癪に障ったので、俺も負けじと反論する。
「福岡女?」
「わー!!先輩、言っちゃダメ!」
「むぐっ.....」
古賀の手で俺の口が塞がれる。苦しい.....
「朋絵、福岡女って何?」
「それは先輩の勘違いだから!気にしないで!」
「ふーん.....ってこの人、病院送りの人じゃん。そんな人に構ってたら危ないよ」
「でも、そんな悪そうに見えないけど」
「いいから、行こ!それにあの人もいるし」
「うん.......」
古賀と取り巻きの人達はかけ足で改札へと向かっていった。
「あの子、朋絵ちゃんっていうんだー?」
「みたいっすね。俺には関係ないですけど」
「関係なかったらあんなことしないと思うけど?」
「先輩、怒ってます?」
「別に怒ってないわよ。ロリコンくん?」
これは怒ってますね.....どうしたものか......
そっとしておくのが正解かもしれない。
電車内では一言も言葉を交わさなかった。
「次は鎌倉高校前〜」
「降りるわよ」
「え?鎌倉では?」
「そんな時間はないわ。誰かさんが遅刻するから」
「すいません」
鎌倉高校前で降りて、砂浜を歩く。
「比企谷くんは、なんで私をこんなに構うの?」
「唐突ですね。どうしました?」
「単純にそう思っただけ。こんな面倒な女に普通なら絶対関わらないと思うし」
「なら俺は普通じゃないんですよ。きっと」
「ちゃんと答えて」
「まぁ、妹みたいになってほしくなかったからかもしれません」
「........」
「妹のように誰にも頼る人がいなくて自分で解決しないといけなくなって結果、不登校になった。そんな最悪な展開を2度と起こさないために...先輩を最悪の展開にさせないようにという俺の意思がそうしているのかもしれません」
「そう......」
「だから、俺は問題が解決するまで桜島先輩に構うつもりです」
「本当にお節介焼きね」
「なんとでも言ってください」
「そういえばここに来た理由って何かあるんですか?」
「今から母親に会うの」
「え?」
「だから後ろで見守ってくれる?」
「はい。いつまでも」
しばらくして、母親らしき人がこっちにやってくる。
しかし...
「お母さん。私.....」
スッ
「えっ?」
桜島先輩の声が母親に届くことなく、横を通り過ぎ俺の前で立ち止まる。
「私をここに読んだのは貴方?」
「俺じゃないですね。初対面ですし」
「そうね。ちなみに貴方の名前は?」
「比企谷八幡といいます。それと、貴方を呼び出したのは貴方の娘さんの桜島麻衣さんです」
「誰?」
「は?誰って貴方の娘さんですよ」
「ごめんなさい。そんな名前の娘はいないわ」
思春期症候群はかなり悪化している。
先輩が送ったメールには確かに母親宛に送っていた。
「すみませんが、メールを見せてくれませんか?」
「いいわよ。でも差出人の名前がないの。不思議だと思わない?」
しかし、母親に送られたメールの差出人欄は不明になっていた。
家族すら桜島先輩のことを覚えていないのだ。
これは最悪の展開だ。絶対に避けなければならない。
「本当に覚えていないんですか?貴方が16年育てた娘さんですよ!」
「ごめんなさい。私はこの後、仕事だから行くわ」
そう言って、先輩の母親は去っていった。
「先輩、これからどうします?」
「帰りましょうか」
「はい」
かなり落ち込んでいるようだ。それもそのはず、実の母親から存在を否定されたのだから....
23:14
とりあえず、藤沢駅に着いたがどうしたものか.....
「この後、どうしますか?」
「..........」
俺の問いに答えず、先輩は俯いていた。
とりあえず、俺の家に連れていくか。
「先輩、行きますよ」
「どこに?」
「俺の家です。先輩はかなり危険な状態なので」
「.......」
返答はない。嫌とは言っていないので大丈夫だろう。
「ただいま。かえで」
「お兄ちゃん!おかえりなのです!.....その方はどなたですか?まさかお兄ちゃんの彼女さんですか?」
「違う。ちょっと訳ありでな」
「そうなんですね!じゃあ、邪魔しちゃいけないですね!かえでは自分の部屋に戻ってます!」
「ありがとな。かえで」
「えへへ....もっとかえでを撫でてください!」
かえでを撫でた後、先輩をリビングに通した。
とりあえず、落ち着く時間がいるだろう。
「落ち着きましたか?」
「ええ」
「それはよかったです。とりあえず現状、母親からの記憶。かえでからの記憶からは先輩の記憶は消えてます」
「うん」
「でも、俺は知っている」
「うん」
「関係性、関連性が掴めません。試しに俺の親友にも先輩のことを知っているか確かめてから対策を練ります」
「そんな方法あるのかしら?」
「ゼロではないと思います」
「また比企谷くんのお節介焼きが始まった」
「すいません」
「でも、ありがとう。こんな私のために頑張ってくれて」
「当たり前ですよ。早く先輩には芸能界に復帰してほしいですから」
先輩はその後、風呂に入った。
その間に、俺は国見に電話をかける。
Prrrr.....
「国見、起きてるか?」
「八幡、何時だと思ってるんだ?」
「もうすぐ0時」
「そんな時間に電話する奴いるか?」
「俺ぐらいだな」
「何かあったのか?まさか!?」
「俺は大丈夫だ。国見は桜島先輩のこと覚えてるか?」
「そりゃ覚えてるよ。バニーガール先輩だろ?」
「国見は覚えてるのか!?」
「当たり前だろ。もちろん葉山も覚えてる。今日、バニーガール談義したから」
どういうことだ?かえでと先輩の母親は知らないのに俺と国見は知っている。確か、古賀も先輩のこと覚えてたよな?何か引っ掛かる。ってか、葉山となんでバニーガール談義してんだよ。
「そうか....」
「用件はそれだけか?」
「もう一つある。双葉の番号教えてくれ」
「今からかけるのか?」
「ああ」
「怒られるぞ」
「その時は全力で土下座して謝る」
「電話越しだと土下座できないぞ」
「そうだな」
なんとか国見から双葉の電話番号を教えてもらうことが出来た。
「遅い時間に悪かった。今度、何か奢る」
「そん時は双葉も一緒だからな?」
「ああ」
本当に俺はいい親友も持ったのかもしれない。
Prrrr......
「比企谷ですけど、双葉さんの番号で合ってるか?」
「合ってるけど、何時だと思ってるの?」
「0時過ぎだな」
「比企谷はバカなの?」
「バカじゃなかったらこんな時間にかけない。双葉に相談があるんだ」
「桜島先輩の件?」
「よく分かったな」
「最近、桜島先輩にご執心だからすぐに分かるよ」
「そんなんじゃない」
「どうだか.....」
「お前にしか出来ない相談なんだ。頼む」
「....そこまで言うなら聞いてあげなくもないけど」
「さんきゅ。愛してるぜ、双葉!」
「!?@#&/nnihtrn#」(またそうやって.....)
「?大丈夫か?何言ってるか分からなかったんだが」
「気にしないでいい」(比企谷のバカ)
俺は今日あったことを漏れなく双葉に話す。
「なるほどね。桜島先輩のことを知ってるのは私と比企谷と国見ぐらいなんだ」
「そうだな。共通点はやっぱり峰ヶ原高校の生徒ぐらいなんだよな」
「それじゃない?私も高校が関係してると思うよ」
「やっぱり解決するには高校で何かアクションを起こすしかないよな?」
「そうだけど、また文化祭の時みたいにやるの?」
「最悪な。とりあえず、現状は桜島先輩の存在を示すのを目標にする」
「目標達成の方法はあるの?」
「あるにはある。葉山を使ってな」
「彼、人気者だからね」
「ああ。貸しもあるから協力してくれるだろう」
「まぁ、頑張りなよ。私も応援してるから」
「恩に着る」
「奉仕部にはこの事、話したの?」
「話してない。信じてもらえるか分からんし」
妄言とか言われそうだからな。雪ノ下あたりに
「そう....じゃあ、もう切るよ」
「ああ。夜遅くにすまなかった」
通話が終わり、葉山ととある人にメールを送ったのち風呂場に向かった。
別にのぞくとかしないからね?
「先輩、お風呂終わりました?」
ドア越しに問いかける。
「終わったんだけど、下着どうしよう?」
ひょこっと先輩が顔を出した。何それ、凄く可愛いんだけど。
「買いに行きますよ」
「1人で大丈夫?」
「大丈夫ですよ。妹の買ったことありますし、近くのコンビニなら常連なんで従業員と顔見知りですし。それに湯冷めして先輩が風邪引いてもあれなんで」
「優しいのね....ありがとう」
「それで、色はどうします?」
「.....やっぱり私も行くわ」
「すいません」
結局、先輩も一緒に行くことになった。
「ありがとうございました!」
買い物を終えて家へ戻る。
「そう言えば、友達との電話どうだった?」
「先輩のことは覚えてました」
「よかった」
「とりあえず、明日ある作戦を決行します」
「どんな?」
「先輩の存在を高校中に知らしめる作戦です」
「ふふっ.....変な作戦」
「楽しみにしててください」
「うん。期待してる」
そして、翌日。
運命の日がやってきた...........というのに
「ふぁぁぁ.....眠い」
「眠そうね」
緊張して一睡もできなかった。
「今日が待ち遠しくて寝れませんでした」
「楽しみにしているわ」
「それと、先輩。昼休みに中庭に来てください」
「分かったわ。その間、校内を回ってるわ」
「はい」
「比企谷、悪い知らせがある」
「ん?」
「私と比企谷以外桜島先輩を忘れている可能性がある」
「国見は?」
「聞いたら誰だっけ?って答えてた。葉山も覚えてはいないみたいだけど比企谷からもらったメールを見て授業中だけどトイレと偽って中庭に行くと言っていたよ」
「そうか.....今日、必ず実行しないとな」
「出来るの?」
「何とかやってみるさ」
とりあえず、葉山のところに行って事情等を話さないとな。
その前に桜島先輩に会わないと、三年生はどうなのかも知りたい。多分、ダメだろうけど。
「比企谷くん」
「先輩、どうでした?」
「全員覚えていなかった。古賀さんにも会ったけれどダメだった」
「そうですか.....」
「比企谷くんは私のこと見えてる」
「はい」
「私のこと、覚えてる?」
「先輩に会ったあの日から覚えてます」
「よかった....」
「この後が勝負です。これから授業が始まるので、その後...しばらくしてから中庭に来てください」
「分かったわ」
抗ってやる。運命様、上等だ。
この腐った学校環境、変に纏わり付いた悪い空気、全ての幻想をぶち壊してやる。
中庭にて
「葉山!」
「待ちわびたよ。比企谷」
「葉山は桜島先輩のことを知ってはいないよな?」
「すまない。分からないが、君の緊急メールを見て駆けつけた。僕は何をすればいい?」
「簡単だ。俺がある先輩に告白したらその後に葉山も俺も先輩のことが好きです。付き合ってくださいと言ってくれ」
「分かった。それよりこの機材は何だい?」
「これは校内放送で流れるマイクだ。これで授業中の人達もこの中庭に注目せざるを得ない。そんな中で告白シーンを見せつける」
「その目的は分からないが、君には貸しがある。ここで返すよ」
「助かる」
「もうすぐだ。準備してくれ。葉山」
「分かった」
しばらくして......
「比企谷くん、来たわよ」
「お待ちしておりました。桜島先輩」
(比企谷は誰と喋ってるんだ?誰もいないけど)
「この機材は何?」
「ちょっとした作戦の一部です。先輩はそこにいてください」
「分かったわ」
「じゃあ、始めます」
緊張するが、それを抑えて言葉をマイクに向かって発した。
「桜島麻衣先輩!!ずっと前から貴方のことが大好きでした!!僕と付き合ってください!!!」
「っ!!!」
そう作戦はシンプル。嘘告白。高校生は恋愛に関して敏感だ。好きな人に告白するシーンは大好物
「「なんだ!中庭で誰か告白してるぞ」」
ざわざわざわざわざわざわざわざわ
授業中ではあるが、いきなり校内放送で告白シーンが大音量で聞こえたらそっちに興味がいくのは必至。
よし、いい感じだ。みんな中庭を見てる。後押し頼むぞ、葉山!
「僕も前から芸能人である桜島先輩のことが好きでした!よければ僕と付き合ってください!」
そして、葉山の告白シーンが終わると.....
キャーーと女子の悲鳴が響き渡る。
「葉山が女子生徒に告白してるぞ」
「あれって桜島麻衣じゃね?」
「本当だー!!あの芸能人の!?」
「隼人!Foo!!隼人Foo!!」
葉山コールが学校内に響き渡る。
「こら、静かにしなさい。授業中だぞ!」
先生の制止も効果なく、盛り上がりをみせていた。
作戦は成功したようだ。
「比企谷、これで良かったかい?」
「ああ、助かった」
「これで貸しはチャラと言いたかったが、それは出来そうにない」
「は?」
「俺も桜島先輩が好きだったんだ。むしろ感謝してる」
「マジかよ.....」
「でも、俺は振られたかもしれない」
「いや、俺と葉山だぞ?どっちを選ぶか分かるだろ?」
「いや、俺じゃない。先輩の方を見てみるといい」
「え?」
桜島先輩の方を見る。マイクを持って何か喋ろうとしている。
「私、桜島麻衣は比企谷八幡くんが大好きです!私でよければ付き合ってください!!」
そして、その後......
「比企谷!!比企谷!!比企谷!!比企谷!!」
葉山コールから比企谷コールに変わっていた。
なんでだよ。ここは盛大に振られると思って惨めな俺になるはずだった....
しかし、桜島先輩は葉山ではなく俺を選んだ。
「比企谷くん、本当にありがとう。こんな私を助けてくれて.....見捨てないでくれてありがとう」ギュッ
そして、桜島先輩はマイクを捨て、俺の胸元に飛び込んだ。
「比企谷、おめでとう。祝福するよ」
「これからもよろしくね。比企谷くん」
「はい。こちらこそよろしくお願いします」
「比企谷!!比企谷!!比企谷!!」
比企谷コールは鳴り止むことはなかった。
後日談。
この後、俺と桜島先輩、葉山は先生に連行されてみっちりと説教をたっぷり食らいました。だが、告白シーンに関してはお褒めの言葉をもらった。中々出来るものではないと.....
そして、桜島先輩の認知度はMAXとなり前の空気が嘘のようになっていた。芸能界も復帰となり、事務所も移籍となり恋愛OKとのことで交際は認められることに。
しかし.....
「私は認めないわ」
「私も!」
奉仕部の部長、雪ノ下雪乃と部員の由比ヶ浜結衣には認められなかった。
「だいたい、なぜこの事を私達に相談しなかったのかしら?」
「そうだよ!」
「色々と事情があってだな」
「どんな事情かしら?葉山くんは良くて何故、私たちがダメなのかしら?奉仕部を少しでもいいから頼りなさい」
「すいません。今度からは気をつけます」
「分かればいいのよ」
「それでヒッキーはやっぱり桜島先輩と付き合うの?」
「奇跡的にOK貰ったからな」
「そうね。これが最後かもしれないわね」
「だから付き合うしかないだろ?もう約束の時間だから行くわ」
「話は終わってないわ」
「じゃあな」
俺は部室を飛び出して、先輩の所へ向かった。
「ヒッキー行っちゃったね」
「そうね。桜島先輩が羨ましいわね」
「うん」
奉仕部の2人は一滴の涙を流していた。
ー side out ー
「八幡のやつ、桜島先輩と付き合っちゃったな」
「ご執心だったからね。先輩に」
「残念だったな、双葉。八幡と付き合えなくて」
「比企谷とは今の関係のままでいいと思う。その方が私も苦しまなくて済むから」
「そうか。何かあったら相談に乗るぞ」
「ありがとう。国見。今はそっとしてほしい」
「わかった」
密かに想いを寄せていた双葉理央もまた奉仕部の彼女と同様に涙を流していた。その姿を後ろで親友の国見が見ていた。
ー 桜島麻衣√ 完 ー
ー Next 古賀朋絵編1 ー
ここまで読んでくれた方々、ありがとうございます。
これにて桜島麻衣先輩ルートは一旦、完結という形にはなりますが、次回以降も先輩は登場しますのでお楽しみにして頂ければと思います。
近況報告として、仕事が忙しくて更新頻度が落ちております。
今後も遅くなります。年末年始の繁忙期。2月には異動の可能性もあるので。
お待たせするかと思いますが、気長にお待ち頂けると幸いです。
それでは、次回もよろしくお願い致します。