比企谷八幡の妹チェンジシリーズ   作:Oceans

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皆様、明けましておめでとうございます。


2023年もよろしくお願い致します。




前回の最終話の後から古賀朋絵編に繋がるお話。エピローグ的なお話となります。後半は新章が開幕します。


それでは、今回もよろしくお願い致します。



第6話

 

 

 

 

 

 

[桜島麻衣√ エピローグ、新章 古賀朋絵√開幕]

 

 

 

 

 

前回までのあらすじ

 

俺は桜島麻衣先輩の思春期症候群を解消するため、黒歴史並みの出来事でもある授業中に中庭で校内放送用のマイクを使い告白をした。葉山と共に。

 

 

そして、先輩は俺を選び付き合う流れとなった。

 

 

 

 

 

 

あの騒動があった後、しばらくは時の人となり好奇な視線等が何ともむず痒く痛い感じだった。

 

 

 

 

時は流れ、6月下旬。

 

 

やっと落ち着いた空間を手に入れた。いつもの学校生活へと.....

 

 

 

「かえで、朝飯出来たぞ」

 

「はーい!」

 

いつも通り、かえでと一緒に朝飯を食べる。

 

「なんかお兄ちゃん、楽しそう!嬉しいことでもあったのですか?」

 

「まぁ、色々とな」

 

「そうなんですね!」

 

「あと、かえで。弁当箱を渡しておく」

 

自分用とは別にかえでの分も作った。

 

「今日のお昼用ですか?」

 

「ああ、昼に食べてくれ。学校に行けた時のために弁当箱での昼飯を食べる練習もいるだろ?」

 

「ありがとうございます!やっぱりお兄ちゃんは優しいです。かえでのお兄ちゃんは世界一です!」

 

「当たり前だろ。じゃあ、俺は学校に行くから自宅警備頼むぞ」

 

「はいっ!いってらっしゃいお兄ちゃん!」

 

 

 

 

いつも通りに電車に乗って通学する。

 

 

「おはよう、八幡」

 

「おはようさん」

 

「今日は何かご機嫌だな」

 

「ああ、変な視線で見られることがほぼなくなったからな」

 

「無理もない。中庭で公開告白したんだから」

 

「そうだな」

 

「桜島先輩とはあの一件から、仲良くやってるのか?」

 

「まぁ、それなりに。仕事が忙しいみたいだから最近はあんまり会えてないけどな」

 

「それは可哀想だな」

 

「国見の方はどうなんだ?上里と」

 

「順調だよ」

 

「まぁ、あんだけ想われてるから大丈夫か。束縛気味だけど」

 

かなりの束縛だから国見も大変そうに感じる。

 

「それも上里の良さだから」

 

しかし、それを快く受け入れている。

なんだこのイケメン発言。ちょっと真似したくなるだろ。

 

「それより八幡は桜島先輩が出てるカルピスのCM見たか?」

 

「ああ。控えめに言って最高だった」

 

 

『甘酸っぱさが口に広がる。青春の味、カルピス。○○○飲料』

 

 

 

このフレーズを先輩が可愛い声で言っているのだ。

 

最高過ぎる。おもわず、録画ボタン押しちゃったもんな。

 

あとでリピートしよう。

 

「羨ましいよ八幡が」

 

「国見も可愛い彼女がいるだろ」

 

「そうだな」

 

 

 

たわいもない会話をしながら登校する。

 

 

 

 

 

HR中

 

 

 

「もうすぐ期末試験が控えてるから勉強しろよ」

 

 

 

「もうそんな時期か....」

 

 

あっという間に夏本番となり、秋、冬となってまた春が来る。

 

 

ずっとこんな楽しい日々が続けばいいけどな。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、昼休み。

 

 

皆、それぞれの場所で昼食を取るため移動し始める。

 

 

(俺もベストプレイスで食べるかな.....)

 

 

 

「葉山くん。比企谷くんはいる?」

 

「いますよ。ちょっと待っててください」

 

「愛しのプリンセスが呼んでるぞ。比企谷」

 

「普通に言えないのか?葉山」

 

「フィアンセの方がよかったかい?」

 

「気が早いな。それは」

 

だいぶ先の話だろうに。

 

とりあえず、先輩の待つ廊下に向かう。

 

「どうしたんですか?2年の教室に来て」

 

「一緒にお昼を食べようと思ったんたけど....ダメかしら?」

 

「是非、ご一緒させてください」

 

むしろ俺からお願いしたかった。

 

「どこで食べますか?」

 

「比企谷くんの席の前後でもいいかしら?」

 

「空いてるので大丈夫だと思いますよ」

 

窓側の1番後ろに俺、前に桜島先輩が座る。

 

 

「比企谷くんはお弁当?」

 

「そうですね。意外でした?」

 

「購買のイメージがあるから」

 

「まぁ、購買もいいですけど。お金がどうしてもかかるんで」

 

「それもそうね....」

 

「先輩のお弁当、彩りが綺麗ですね」

 

「そう?」

 

「それに栄養バランスも良くてさすがって感じです」

 

「ありがとう」

 

「自分は好きな具材しか入れないので、真反対ですね」

 

「比企谷くんは嫌いな食べ物とかあるの?」

 

「トマトですね。あの舌触りといい噛んだ時の感触は無理です」

 

「そう....」

 

トマト嫌いな人には分かってもらえる理由だと思う。

 

「先輩のおかず、もらってもいいですか?」

 

「いいけど、そのかわり卵焼きをもらってもいい?」

 

「はい」

 

「どのおかずがいいかしら?」

 

「唐揚げを貰ってもいいですか?」

 

「うん。でもその前にいいかしら?」

 

「何ですか?」

 

「普通にあげても面白くないから、私をときめかせる言葉を言ってくれない?」

 

「え?ここでですか?」

 

「もちろん」

 

何その羞恥プレイ。周りに生徒がたくさんいる中で?マジで?

 

「マジですか?」

 

「公開告白より簡単でしょ?」

 

「それはそうですけど......」

 

どんなフレーズにしようか.....

 

人気女優の桜島先輩をときめかせるフレーズ......

 

シンプルでいくか。変に考えてスベるのはゴメンだからな。

 

 

 

「桜島先輩」

 

「何かしら?」

 

「.....愛してます」

 

かなりのイケボで言えた気がする。(江口さんのイケボは最強)

 

「っ!」

 

「比企谷!比企谷!比企谷!」

 

おい、比企谷コールやめろ。前の黒歴史を思い出すだろ。

 

それと女子。騒ぎすぎだ。キャーキャーは耳に響く。

 

 

「先輩、大丈夫ですか?」

 

 

 

何故か、顔を隠している。

 

 

 

「.....大丈夫じゃない」

 

 

「具合でも悪いんですか?」

 

 

「こっち見ないで.....変な表情になってると思うから」

 

 

「それは無理です。先輩の表情、好きなので」

 

 

「これ以上はやめて.....恥ずかしいから」

 

 

さらに女子の甲高い音が教室内に響く。

 

 

このクラス、ノリというかテンション高いな。

 

 

 

 

 

先輩が落ち着いたところで......声をかける。

 

 

 

 

「とりあえず、合格ということでいいんですよね?」

 

「そうね.....約束通りあげるわ。比企谷くん、口を開けて」

 

「自分で取って食べますよ」

 

「私が食べさせてあげるわ」

 

「....ありがとうございます」

 

桜島先輩から唐揚げを1つもらう。

 

「味はどうかしら?」

 

「優しい味付けで美味しいです。毎日食べても飽きないと思います」

 

「そ、そう......」

 

恥ずかしそうな、そして嬉しそうにしながら先輩も自分の唐揚げを1つ食べる。そういえば.....これって、間接......いや、考えるな。

 

 

「先輩、お礼の卵焼きです」

 

「ありがとう」

 

俺の卵焼きを先輩は美味しく食べる。

 

 

「いい甘さ加減ね。いつも弁当は比企谷くんが作ってるの?」

 

「基本、そうですね。家事全般は自分がやってるので」

 

「そういえばそうだったわね」

 

 

 

「先輩、仕事の方は順調ですか?」

 

「7月から放送のドラマに出演することになったわ」

 

「おめでとうございます」

 

「深夜枠で中盤に1話だけ登場する役なの」

 

「嬉しそうですね」

 

「久しぶりの現場だし.....比企谷くんも楽しみにしてくれてたじゃない?」

 

「そうですね。またテレビ越しで観れるのは嬉しいですね。もちろん本物で、生で見る方が何倍もいいですけど」

 

「.....比企谷くんってこんなキャラだったかしら?」

 

「前の俺では考えられないと思います。先輩のおかげかもしれません。変われたのは」

 

「変われたのは私の方......ありがとう。比企谷くん」

 

「こちらこそ。そういえばこのドラマって恋愛モノですか?」

 

「そうね.....キスシーンもあるし」

 

「え?あるんですか?」

 

「恋愛モノだから当然、あるわよ」

 

「逆に恋愛モノに無かったらアレですもんね。納得です」

 

「ふーん」

 

「どうしました?」

 

「思ってたのと反応が違うと思って」

 

「もっと動揺してほしかったってことですか?」

 

「言わせないでよ.....バカ」

 

「おっふ」

 

不満げに頬を膨らませる先輩の表情にドキッとしてしまう。さすが女優。

 

 

「まぁ、でもキスシーンがあるのは私の役じゃないから」

 

「ん?どういうことですか?まさかメインヒロインの子?」

 

「正解」

 

「動揺しなくて良かったです」

 

したらしたで反応を楽しまれてたかもしれんしな。

 

もしかして性格が少しだけ悪かったりするのか?

 

 

 

「もうすぐ昼休み終わりますね」

 

「そうね。久しぶりに楽しめたわ。ありがとう」

 

「こちらこそ。先輩のいい表情とか見れたのでよかったです」

 

「....それは忘れなさい」

 

「善処します」

 

「じゃあ、私は行くわね」

 

「今日はありがとうございました。ドラマ撮影頑張ってください」

 

「頑張るわ」

 

 

そう言って先輩は自分のクラスへと戻っていく。

 

 

 

((甘い空気(空間)だった))

 

 

 

「比企谷」

 

「どうした、葉山」

 

「ブラックコーヒー持ってないか?」

 

「欲しいのか?」

 

「あの空間にいたら欲しくもなるさ。戸部は終始興奮してたし」

 

「そうか.....」

 

戸部の方をチラッと見ると、目が合いグッと親指を立ててグッとサインをスマイルで送ってくる。嬉しいようなちょっとイラッとするような複雑だった。

 

 

 

「ブラックコーヒー、1本でいいか?」

 

 

「ありがたく頂くよ」(この苦さがちょうどいい)

 

爽やかに葉山をブラックコーヒーを飲んで自分の席へと戻った。

 

やっぱり葉山隼人はイケメンである。異論反論は99%認めない。

 

 

 

 

放課後

 

 

今日は奉仕部に顔を出す日なので、部室へと向かう。

 

 

(今日はいい日だった......ん?あいつは......)

 

階段で顔見知りの女子生徒がいた。

 

(確か.....古賀だったよな?)

 

出会い方は最悪だった。交番に拘束されたこともあった。

今回も関わればまだ何か変なことに巻き込まれる恐れがある。

 

ヒッキースキルで回避しよう。

 

スッ......

 

 

何とか回避し、奉仕部部室に到着する。

 

「うーす」

 

「久しぶりね。比企谷くん」

 

「雪ノ下1人か.....」

 

「由比ヶ浜さんは三浦さん達とアミューズメント施設に遊びに行っているわ」

 

「お前は行かなかったのか?」

 

「私は遠慮したわ」

 

「体力が持たないからか。納得」

 

「そういうことよ。あなたこそ愛しの先輩の所に行かなくていいのかしら?」

 

「これから仕事みたいだからな。今後も会えない日々が続くだろうな」

 

 

「まぁ、人気女優なのだからそれが当然かもしれないわね」

 

 

 

 

 

 

その後は依頼人が来るまで各々の時間を過ごした。

 

 

そして、家に帰ってかえでと夕食を取ったのちこの日を終えた。

 

 

そこまではよかったのだが......

 

 

 

 

「かえで、朝飯出来たぞ」

 

「はーい!」

 

いつも通り、かえでと一緒に朝飯を食べる。

 

ん?この会話前にもしたような.......

 

「なんかお兄ちゃん、楽しそう!嬉しいことでもあったのですか?」

 

「まぁ、色々とな」

 

「そうなんですね!」

 

「あと、かえで。弁当箱を渡しておく」

 

自分用とは別にかえでの分も作った。

 

 

 

 

 

(やはりそうだ。この会話は昨日、6月27日にした会話通りだ。どうなってる?また思春期症候群なのか?)

 

 

 

 

 

「今日のお昼用ですか?」

 

「ああ、昼に食べてくれ。学校に行けた時のために弁当箱での昼飯を食べる練習もいるだろ?」

 

「ありがとうございます!やっぱりお兄ちゃんは優しいです。かえでのお兄ちゃんは世界一です!」

 

「当たり前だろ。じゃあ、俺は学校に行くから自宅警備頼むぞ」

 

「はいっ!いってらっしゃいお兄ちゃん!」

 

 

 

 

いつも通りに電車に乗って通学する。

 

 

その際、日付を確認すると......

 

 

(6月27日か......なぜ、昨日に戻った?)

 

昨日の日付の6月27日だった。

 

 

 

 

この後も昨日の出来事を辿っていた。

 

 

 

 

 

 

国見との絡みから始まり、昼は彼女でもある桜島先輩との楽しい昼休み、そして古賀とすれ違い、部室へと赴く流れ。これは昨日と同じだ。

 

 

 

しかし、これがこの日に留まらず何回も6月27日をループしている。

 

まだ死に戻りとかではないからいいにしてもさすがに6月27日をループし続けるのは嫌だが、先輩に毎日会えるのは嬉しい。両方のせめぎ合いは続いた。

 

 

これはあれだな.....エンドレスエイト(終わらない8月)ならぬエンドレスシックス(終わらない6月)だ。

 

 

3ループ目の朝。

 

 

「双葉、相談したいことがある」

 

「珍しいね。比企谷がこんな朝早くに来るなんて」

 

「また思春期症候群が発生したかもしれない」

 

「今回はどんな事案?」

 

「明日が来ない。永遠に」

 

「.....詳しく聞かせて」

 

 

 

 

 

俺は今起きてる事案を全て双葉に話す。

 

 

 

 

その後、双葉お得意の理論を述べた後....ある説を立てた。

 

 

 

 

「ラプラスの悪魔ね.....」

 

 

色々、事象の説明を受けたが理系はさっぱりなのでお手上げだ。

 

 

「比企谷みたい誰か」

 

「そいつがラプラスの悪魔ってことか」

 

「そういうこと。誰か心当たりあるんじゃないの?」

 

「俺の知り合いは少ないから限られてくる。国見に双葉、葉山に雪ノ下、由比ヶ浜......あ」

 

「その反応だと正体が分かったみたいだね」

 

「ああ」

 

多分だが、由比ヶ浜と声の似ていた1つ下の学年の古賀だろう。

 

「昼休みにでも聞いてみるといいよ」

 

「そうするわ。今回も助かった」

 

「大したことはしてないよ」

 

「今度、飯に行くか。お礼も兼ねて」

 

「桜島先輩はいいの?」

 

「クラスメイトと食事してきますって言えばきっと大丈夫だと思う。俺とが不満なら国見も誘うけど」

 

「別に不満はないけど......」(2人っきりでもいいけど....)

 

「じゃあ、またな」

 

「うん」

 

とりあえず突破口は開けそうだ。

 

 

 

 

昼休み

 

 

 

 

「先輩、すみません。飲み物を買ってくるので窓側の1番後ろの席が自分の席なのでその前に座って待っててくれませんか?」

 

「分かったわ。私はミルクティーでお願い」

 

「分かりました」

 

先輩に一言残して、ラプラスの悪魔のところへ向かう。

 

 

階段の所にラプラスの悪魔、古賀が案の定いた。

 

「今、いいか?」

 

「あ、比企谷先輩....ですよね?」

 

「そうだ。お前に話がある。屋上に移動したいんだが、いいか?」

 

「いいけど....」

 

 

 

 

屋上にて

 

 

 

「話って....なんですか?」

 

「変なことを聞くが.....今日は何回目だ?」

 

「!!」

 

この表情は当たりだな。

 

「比企谷先輩は?」

 

「3ループ目」

 

「私も!良かった、私だけじゃないんだ」

 

「良くはない。一体、これは何だ?」

 

「私も知りません!!先輩こそ、何も知らないんですか!?」

 

「知ってたらお前をここに呼び出してない」

 

「これで助かるかと思ってたのに!!先輩のバカ!!」

 

「俺に言われてもな。それと、ポカポカ殴るのやめてね?」

 

地味に痛い。

 

「ねぇ、比企谷先輩」

 

「ん?」

 

「この先、どけんなると?」

 

「知らん。それと九州の方言出てんぞ」

 

「はっ!?」

 

「それにしても解決策が思いつかんな」

 

どうしたら明日へ進むのか。それが分からん。

こいつはこいつで自分がラプラスの悪魔とは認識、自覚してないし。

 

「何で比企谷先輩はそんなに落ち着いてるの?普通なら慌てるのに!」

 

「何事も冷静でいないと解決出来るもんも出来ないしな。お前が慌て過ぎなんだよ」

 

「やっぱり全校生徒の前で公開告白した人は変人なんだ。変な噂も流れてるのも納得」

 

「おい。当の本人がいる前で失礼なこと言うなよ」

 

お前も大概だと思うけどな。

 

「お前も何か案出せ。明日へ進める案を」

 

「へっ!?」

 

スマホを弄りながら古賀は素っ頓狂な声を出す。

 

「いっちょ分からん」

 

「ちょくちょく方言出るのな」

 

「....全然分かんない」

 

「訂正する必要あるか?まぁ、いいけど」

 

九州の方言は別に嫌いじゃないから言い直す必要はないけどな。

 

「そういえば、お前は階段で何してたんだ?」

 

「あっ!前沢先輩から呼び出しがあったんだった!」

 

「それはどこで?」

 

「屋上」

 

「ここじゃん」

 

「それで比企谷先輩に相談しようか迷ってたんです」

 

「何を?付き添いとかか?」

 

「そんな感じ」

 

「何で?」

 

「多分、告白系の話だから」

 

「好きなら付き合え、嫌いなら断れよ」

 

「どっちも無理」

 

「何でだよ」

 

「前沢先輩は玲奈ちゃんのお気に入りというか憧れの人だから....分かるでしょ?」

 

「何となくな。どうせお前のグループのトップが玲奈って子で前沢先輩とお前が付き合えば、ハブられるのが確定。振ったら振ったで双方からの印象が悪くなるからどっちも選べない感じだろ?」

 

「比企谷先輩ってエスパー!?」

 

「お前の表情見てたらわかる」

 

むしろこの悩みは由比ヶ浜に多少似ている部分があったから予想はつきやすい。

 

「お前の気持ち的にはどうなんだ?前沢先輩のことは好きなのか?」

 

「ううん.....モテる人はいっちょ好かん」

 

「じゃあもう断れよ」

 

「嫌!玲奈ちゃんに嫌われる!ハブられて1人になる!」

 

「そんなん、玲奈ちゃんの方が前沢先輩とお似合いだよとか言っとけば大丈夫だろ」

 

え?そうかなぁ?とかウキウキ顔になるのが目に見えて分かるんだが....

 

「大丈夫じゃない!」

 

今の女子高生の恋愛事情は分からん。複雑なのか?

 

 

「とりあえず俺は邪魔だな。うん」

 

「そこは何とかするから!ここにいて!」

 

「まぁ、いいわ。それよりループを抜け出す糸口を見つける方が先だ。お前、悩みとかあるか?」

 

桜島先輩のように悩みから来る思春期症候群なら早く解決出来るかもしれない。

 

「少し太った」

 

何を言うかと思えばそんなことかよ。

 

太ってる感じは見た感じしない。

 

 

「気のせいだな。普通の女子高生の体型だ。だから気にするな」

 

「そう....かな?」

 

「大丈夫だ。古賀は可愛い部類に入るからな」

 

まぁ、先輩やかえでほどではないがな。

 

「可愛いって言うな!」

 

じゃあどうしろと?

 

「あっ!もうすぐ前沢先輩が来る」

 

「俺はどうすれば?」

 

「比企谷先輩と私は幼馴染の設定にして、付き添いでいるみたいな感じで押し切る!これでどうですか?」

 

「お前、福岡からの転校生だろ。幼馴染案却下」

 

「あっ!」

 

由比ヶ浜同様、古賀もアホの子だった。

 

「まぁ、古賀の付き添いとか適当に言っとくわ」

 

「それで大丈夫!後は何とかする!」

 

まぁ、時を見計らって屋上を去るか。これは古賀と前沢先輩の問題だし。俺がいてもどうしようもない。

 

そして、屋上に前沢先輩という人がやってくる。一言でいえばチャラいやつ。戸部以上。

 

「誰、お前?」

 

まぁ、そうなるわな。

 

「ただの付き添いでいるだけなんでお気になさらず」

 

「普通に気にするんだけど、どっか行ってくれないか?」

 

「分かりました。古賀、頑張れよ」

 

「話が違うじゃん!?」

 

「健闘を祈るわ」

 

さすがにこれ以上はこの場所に入れないので、ミルクティーとコーヒーを買って先輩の待つ教室に戻った。

 

 

 

 

「比企谷くん。遅いわよ」

 

「すいません。ちょっと知り合いと話をしてて遅れました」

 

「そう....ならいいわ。早く食べないと昼休みが終わるわ」

 

「そうですね」

 

 

 

そして、3ループ目の先輩との昼食を摂った。(また至高のひとときでした。感謝)

 

 

これで、ループが終わってくれれば何の問題もない。

 

 

 

 

 

 

翌日。

 

 

「何とか6月28日を迎えたか」

 

やはり古賀がラプラスの悪魔だったか。

 

3ループ目、密に古賀と接触したためにループを抜け出すことが出来たのだろう。1〜2ループ目は古賀との接触シチュエーションもなかったしな。

 

とりあえず、あの屋上の件がどうなったか今度会った時にでも聞くとしよう。

 

 

土曜日なので、午前中に学校。ここからファミレスのバイトに行く。

 

 

 

 

 

ファミレス 事務所。

 

 

「おっ、八幡。今日は一緒のシフトだな」

 

「久しぶりにな。.......国見に聞きたいことがある」

 

「なんだ?」

 

「前沢先輩って知ってたりするか?」

 

「陽介先輩な。もちろん知ってるよ。バスケ部で一緒だし、上手いしモテるぞ」

 

「ほーん。他には?黒い噂とかないのか?」

 

「八幡はそういうの好きだよな。まぁ、言いたくはないけど.....女関係はかなりやばい。昨日の部活帰りに今の彼女はヤらせてくれないからもう別れるとは言ってた。その前に付き合ってた人のこともボロクソに言ってた。ああいう人にはなりたくないって思ったよ」

 

「国見がそこまで思うとは....その先輩は結構クズだな。ん?前沢先輩は今、彼女いんの?」

 

「いるよ。別の学校の3年。かなり可愛い彼女らしい」

 

「お前の彼女よりもか?」

 

「それはない。俺の彼女の方が可愛い」

 

「そうか......」

 

それはなにより。本当に好きなのが伝わってくる。

 

それより、前沢先輩の方だ。今の彼女もいるのに古賀にアタックする。二股をかけようとしている?身体目当ての可能性もある。要注意人物リストに入れておいた方が良さそうだ。

 

 

「そういえば、今日から新人が入るみたいだぞ」

 

「よし。これで少しは楽になりそうだな」

 

「新人に色々と押し付けるなよ?」

 

「分かってるよ」

 

物分かりのいい奴だったらだいぶ楽、出来るんだけどな。

 

「国見くん、比企谷くん。ちょっといいかしら?」

 

チーフから新人の紹介を受けたのだが.....

 

「今日から入ってもらう。古賀さんです」

 

「古賀.....」

 

「!」

 

よりによってここでも関係を持ってしまうのか?これもラプラスの悪魔効果だろうか?

 

「古賀朋絵です。よろしくお願いします」

 

「よろしく、俺は国見佑真。こいつが比企谷八幡。同じ2年なんだ」

 

 

「ここでも会うとはな」

 

「ん?知り合いなのか?」

 

「顔見知りってやつだな」

 

「比企谷先輩がファミレスでバイトしてるの、なんか意外。眼鏡もかけてるし」

 

「こいつに誘われてバイトやってるだけだしな。眼鏡はバイトの先輩に付けてほしいって言われて付けてるだけだ」

 

目つきが怖いからだろうな。

 

「それなら納得」

 

「知り合いならちょうどいい。比企谷が古賀さんに色々と教えてあげたら?」

 

「めんどい。国見に任せる」

 

「やれやれ。2人で教えるぞ。古賀さんもそれでいい?」

 

「はい!お願いします」

 

色々とトラブル(皿を落としそうになる)があったがなんとか様にはなってきていた。

 

 

 

カランカランとドアの開く音がするので接客へ入る。

 

「俺が行くわ」

 

「八幡、頼んだ」

 

 

 

「3名様でよろしかったでしょうか?」

 

 

「あ.......はい」

 

 

「ここだよ、朋絵が働いてる店」ボソッ

 

 

なるほど、こいつらが古賀の友達か.....真ん中にいるやつが中心人物。玲奈っていうやつだな。アレだ。三浦グループみたいなやつ。グループ形成が多少なりとも似ている気がする。

 

それよりなんかジッと見られてんな。早く撤退しよ。

 

 

「席はこちらになります。おしぼりとお冷です。注文がお決まり次第、ボタンでお知らせください。それでは失礼致します」

 

 

「すいません」

 

しかし、呼ばれてしまったため撤退が出来なかった。

 

 

「なんでしょうか?」

 

「あなたは比企谷先輩ですよね?」

 

「そうですが.....それがどうしました?」

 

「朋絵とどんな関係なんですか?」

 

「バイト先が同じだけですが、それがどうしました?」

 

「学校での話です」

 

「顔見知り以上友達未満です」

 

「そうですか.....最後に、あの噂は本当なんですか?」

 

「噂ですか?」

 

「病院送りと文化祭の件です」

 

「病院送りの件は妹のためにしただけです。文化祭は概ね噂通りで合ってますよ」

 

今更聞いてどうするのだろうか?

 

「そうですか。ありがとうございます」

 

「それでは失礼致します」

 

 

 

 

 

 

「おい、古賀」

 

「何?先輩」

 

「お前のグループの奴ら来てんぞ」

 

「ええっ!来ないでって言ったのに」

 

教えたら来るだろ.....

 

「とりあえず後の接客は頼んだ。知ってるやつの方がやりやすいだろ」

 

質問攻めはもうゴメンなので古賀に託した。

 

 

 

 

 

夜。バイト帰り。

 

 

帰る道が同じかつ夜道に女子1人で帰らせるのは悪いとのことで国見の発案の元、俺と古賀は一緒に帰ることとなった。

 

 

 

「古賀、あの屋上の件はどうなった?」

 

これはどうしても聞いておかなければならない案件なので、古賀に問いかける。

 

「断れなくて......保留になってます」

 

「付き合う選択にしなくて正解だったな」

 

「え?」

 

「あの人、彼女持ちだぞ」

 

「そうなんですか!?」

 

「ほぼ間違いない。よかったな」

 

「私はいいですけど、玲奈ちゃんが......」

 

「仮に前沢先輩が好きなんだとしたら早めに新しい恋を探す方がいいだろうな。それより、あいつらからの質問攻めはかなりキツかったんだが」

 

「う....ごめんなさい」

 

「まぁ、でも大事にされてる感じがあったからよかったな。お前のことが心配だったんだろうな」

 

「そうでしょうか?」

 

「そうだろ。とりあえず、前沢先輩の件は断る決断を早くした方がいい。これは先輩からの忠告だ」

 

「はい。そのことで先輩に相談が....」

 

「ごめんなさい」

 

「まだ何も言ってないよ!?」

 

「どうせ面倒事だろ」

 

「それはそうだけど....先輩しか頼れる人いないし....」

 

「結局のところ、お前は前沢先輩からの好意を自分から外したいんだな?」

 

「うん....」

 

「断るしかないって。あなたのことは好きじゃないって」

 

「そんなことしたら私.....1人になる。クラスに居場所がなくなる」

 

「1人の何が悪い?周囲に気を遣うこともなければ好きなことも出来る。最高だぞ?前までの俺はそうしてた。1人の方が楽だからな」

 

「それは先輩だけだよ。私は嫌」

 

「何で?」

 

「だって1人は.......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.........恥ずかしい。みんなから【あいつまた1人だ。いつも1人じゃん】って笑われるのは嫌。絶対耐えられない」

 

 

 

「!」

 

 

 

古賀の「1人は恥ずかしい」という言葉であの出来事、シーンが鮮明に蘇る。

 

 

 

 

 

 

【1人は恥ずかしいよ。お兄ちゃん】

 

 

嫌な過去を思い出させるなよ。かえでが泣きながら俺に訴えてきたあのシーンがフラッシュバックする。

 

 

「はぁ......仕方ない。今回だけだからな」ポン

 

「え?」

 

「お前の願い、聞いてやる」

 

「本当ですか!?」

 

「とりあえず、前沢先輩がお前のことを諦めるようにすればいいわけだよな?」

 

「出来れば玲奈ちゃんの方に意識を向けれたら大丈夫なはず」

 

「そこまでは彼、彼女ら次第だが.....こっから先は俺だけでは解決出来そうもない」

 

「え?」

 

「だから、お前の願いを手助けしてくれる.....ある部活を紹介してやる。一応、俺はそこの部員だから」

 

「何部なんですか?」

 

「奉仕部」

 

「奉仕!?身体で払うみたいな!?」

 

「そんな部活即廃部だ。簡単に言うとお悩み相談、お悩み解消の手助けを行う部活だな」

 

「なんか凄そう」

 

「月曜日の放課後にどっかで待ち合わせるか」

 

「じゃあ、連絡先教えてよ。先輩」

 

「ああ」

 

古賀と連絡先を交換した。とりあえずは前沢先輩をどうにかするしかない。

 

「じゃあ、また月曜日にね」

 

「おう」

 

「本当にありがとう先輩」

 

「お礼はまだ早い。これからが勝負だぞ」

 

「うん!」

 

 

 

早くこの依頼が解決し、平穏な生活に戻れれば最高......とはいかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

なぜなら......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私という彼女がいながら.....早速、浮気かしら?比企谷くん」

 

「え?」

 

あの現場を俺の彼女である桜島先輩に見られてしまったのだから.......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー Next ー

 

 

 

 

俺の家にて.......

 

 

「ちゃんと説明してくれるわよね?」

 

「どこから話ましょうか......」

 

 

 

ーーー

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

 

「後、浮気相手の頭を撫でていたのも何故かしら?」

 

「え?」

 

 

「.....私なんて一回もしてもらったことないのに....」

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

「雪ノ下、1つ依頼がしたい」

 

「久しぶりね。貴方からの依頼。内容は?」

 

 

 

 

 

 

次回、先輩の弁明と奉仕部への新規依頼で彼、彼女の物語が再び動き出す。

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々、ありがとうございます。



今回は桜島麻衣先輩ルートエピローグ、古賀朋絵編の導入となります。

原作とは違った解釈のもとストーリーが展開されております。

次回は奉仕部の力を借りて、古賀朋絵の依頼解決に動き出します。その前に桜島麻衣先輩への弁明回(潔白証明回)からとなります。



それでは、次回もよろしくお願い致します。


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