比企谷八幡の妹チェンジシリーズ   作:Oceans

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第2話

 

「第2話 比企谷八幡は戦場ヶ原ひたぎという少女に出逢う。」

 

 

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体育館に着き、しばらくしてから始業式が始まった。始業式は主に校長先生の話がメインで、それがやたら長いので俺はいつも寝ている。他の生徒もちらほらと寝ている奴がいる。それもしょうがない。校長先生とかの話がつまらないからな。そんな事を思いつつ、始業式の大半を寝て過ごした。

 

そして始業式の後は、各クラスでHRをやり、昼休みを挟んで課題テストが行わる予定になっている。今はちょうど、HRが終わり昼休みに入っている。俺はいつものように購買でパンなどを買い、比較的人の少ない中庭で適度に吹く風で心地よくなりながら高1の頃からずっと、ここで昼食をとっている。ちなみに俺はこの中庭をベストプレイスと呼んでいる。

 

20分後、そろそろいい時間なので俺は教室に向かうため中庭を後にした。そして校舎に入り、階段を使って自分のクラスに行こうとした時、俺の前で階段を上がっていた1人の女子生徒が床に落ちていたバナナの皮だろうか...それを踏み、体勢を崩し俺の方へ倒れ込んだ。

 

「マジかよ...」

 

俺は後ろに倒れないように足に力を入れ、倒れてくるであろう女子生徒をキャッチする体勢を取った。

 

「おっと...」

 

そして、俺は女子生徒を無事キャッチした。しかし、何かがおかしいと感じた。女子生徒をキャッチするのはいい。こう普通にキャッチすること自体がおかしいのだ。普通なら俺も後ろに倒れたりとか衝撃を少なからずは受けるはずだ。だが、今回はそれがない。その理由はすぐに分かった。

 

「こいつ、軽すぎる...」

 

そう、この女子生徒の体重が軽いのだ。例えるなら生後6か月の赤ちゃんぐらいの重さだ。だから、俺がキャッチした時に衝撃等がほぼ無かった。しかし、なぜ彼女がこんなにも体重が軽いのかと俺は考えた。

しかし、考えても分からなかった。

 

「いや、分からんな。忍野に聞いてみるかな...っと、その前にこいつを保健室に運ぶか。気絶してるし」

 

俺は気絶している女子生徒を保健室へと連れて行った。

 

 

「失礼します」

 

そう言って俺は保健室へと入った。

 

「あら?八幡くんじゃない。久しぶりね」

 

「どうもお久しぶりです。鞠川先生」

 

保健室の先生とは顔見知りである。高1の事故の際に、その現場にいて適切な処置もしてくれた優しい先生である。男子の中でも、かなりの人気のある人だ。

 

「入学式の時に怪我した足は、もう痛くない?」

 

「ええ。もう大丈夫ですよ」

 

入学式時の怪我はもう完治している。古傷の心配もない。俺が吸血鬼になった時に足の怪我の跡は完全に無くなっていたしな。

 

「それより気絶してる子を連れてきたので、面倒見てあげてください」

 

「分かったわ。とりあえず、その子をベッドの上に寝かせてあげてね」

 

「分かりました」

 

そう言って俺はベッドの上に女子生徒を寝かせた。

 

「この子の名前は分かるかしら?」

 

「さあ...分かりませんね。生徒手帳で確認してみたらどうですかね?」

 

「それもそうね。えっと...名前は戦場ヶ原ひたぎさん。クラスは2-Aね」

 

マジか。俺と同じクラスか。全然知らんかったわ...何でも知ってる羽川にでも戦場ヶ原のことを、ある程度聞いておくか。忍野にも話す際に少なからず、戦場ヶ原のことも知っておいたほうがいいし。

 

「それじゃあ、後は頼みます」

 

「ええ。引き受けたわ。それじゃあ...八幡くんは午後の課題テスト、頑張ってね」

 

「あ、はい」

 

すっかり、課題テストの事を忘れていた。ちゃんと点数取れるといいけどな。そんな事を思いつつ俺は保健室を出て、自分の教室へと向かった。

 

 

 

そして、課題テストが行われた。科目は国数英と理社の5教科で全て、マークシート。時間は各30分だった。文系科目はかなりの手応えはあったが理系科目はダメだった。特に数学。sin、cosとかθ、二次関数とか意味がわからん。もう赤点必須だな...そんな事を考えていると、羽川が俺に話しかけてきた。

 

「比企谷くん。課題テストどうだった?出来た?」

 

「文系科目は出来た。理系科目は全滅」

 

「そっか。数学とか苦手だもんね、比企谷くんは」

 

「羽川は凄いよな。いつも高得点だし」

 

羽川は凄い。いつも定期テストは5教科490点以上と驚異的な数字を叩き出している。俺は何点かだって?高1の学年末に5教科だけで319点だ。ちなみに理科が30点で数学が9点だ。

 

「私はちゃんと勉強してるからね。八幡くんは大丈夫なの?大学とか行くんでしょ?」

 

「だいぶ先の話だが、俺は私立文系だから理系科目はいらない。だから大丈夫だ。なんとかなる」

 

「ふーん。そうなんだ」

 

「皆、静かにして席につけ。帰りのHRをするからな」

 

俺と羽川がそんな話をしていると担任の平塚先生がそう声をかける。俺と羽川は話をやめて、平塚先生の方を見た。

 

「これで課題テストは終わったので、今日はこれで終わりだ。私の話が終わった後は、帰ってもらっていい」

 

よし!これで帰れる。と、思ったのだが...

 

「だが、クラス委員の比企谷と羽川は残れ。私から話がある」

 

平塚先生の呼び出しがかかった。これで帰れるのは先延ばしになった。

 

「話は以上だ。気をつけて帰れよ。それじゃあ、解散」

 

そう言って、帰りのHRは終わった。皆はぞろぞろと帰り始める。俺は呼び出しをくらっているので帰れない。

 

「すまんな、比企谷と羽川。呼び出しをしてしまって」

 

「いえ、私は別に...」

 

「本当ですよ。まったく...」

 

「は、八幡くん!そんな言い方はダメでしょ!」

 

「そうは言ってもだな...」

 

「んっ!話を進めていいかね?」

 

「は、はい」

 

「君達にはこれから、この作業をしてもらう」

 

そう言って、平塚先生から1枚のプリントをもらった。

 

「文化祭の出し物の案を決める?かなり、早くないっすかね。春の時期から」

 

「八幡くんの意見に賛成です。もう少し後にやった方がいいのではないですか?」

 

「それはそうなんだが、早く決めておいて損はないと思ってな。早い段階で決めておけば色々な対応などを素早く出来るしな。とりあえず、君達には文化祭でやる出し物の案を考えてほしい」

 

ふむ...一理あるな。

 

「分かりました」

 

「それでは、よろしく頼む。提出は明日な。私はこれから職員会議なのでな」

 

そう言って、平塚先生は教室を後にした。

 

「それじゃあ、八幡くん。始めようか」

 

「ああ。そうだな」

 

そして、俺と羽川は文化祭でやる出し物の案を考えることにした。

 

「八幡くんは何か案はあるの?」

 

「そうだな...無難にお化けやしきとかだな」

 

「ちなみに選んだ理由は?」

 

「それはだな。俺が中学の時だ。その時も文化祭の出し物でお化けやしきをやってな。俺はお化けの役だったんだが、俺がやるとリアリティでかつクオリティが高いと結構評判だったんだ。しかも、脅かす相手はカップルばっかりで彼氏の方が彼女より先に逃げ出してな。その影響か知らんが、別れるカップルが続出しててな。それが面白いのなんのって...だからお化けやしきを選んでみた」

 

リア充は滅ぶべきだと八幡は思うな!

 

「なんか、理由が最低だね」

 

「じゃあ、羽川は何がいいんだ?」

 

「私?ん〜そうだね。喫茶店とかかな?」

 

「ほう。理由は?」

 

「喫茶店だと、メイド喫茶や執事喫茶が有名じゃない?それに、かなり人気で需要もあるから選んでみたの。それに...」

 

「なんだ?」

 

「八幡くんの執事姿も見たいかなぁ...なんてね」

 

「俺の執事姿?俺が執事なんて似合わないと思うが」

 

「案外、似合うかもしれないよ」

 

「喫茶店に決まったらやってもいいが」

 

「その時が来たら楽しみね」

 

羽川はそう言って微笑む。俺の執事姿を見たいなんて、変わってるな。誰得なんだろうな。笑われそうな感じしかしないがな。その後も話し合いは続いた。そして、案は4つに絞られた。

 

「じゃあ、文化祭の案としては八幡くんの選んだお化けやしきと私の選んだ喫茶店と劇と何かの展示、これの4つかな?八幡くんもこれでいい?」

 

「いいんじゃないか?」

 

「それじゃあ...出し物の案も決まったことだし、帰ろっか」

 

「その前に羽川に1つ聞いてもいいか?」

 

「私の知ってる範囲なら構わないよ」

 

「うちのクラスの戦場ヶ原って女子生徒の事なんだが」

 

「戦場ヶ原ひたぎさんね。その子がどうしたの?」

 

「知ってることがあれば出来るだけ教えてほしいんだが」

 

「珍しいね。八幡くんが他の人に興味を持つなんてね」

 

「いや、ちょっと気になることがあってな。頼む」

 

「分かりました。教えてあげましょう。その代わり、これは貸しだからね?八幡くん」

 

「ああ、分かった」

 

「戦場ヶ原さんとは今のクラスで一緒ってだけであまり関わりはなかったんだ。それと彼女とは中学が一緒でね」

 

俺は相槌を打ちながら羽川の話を聞く。

 

「その時と、今はかなり違うの」

 

「どう違んだ?」

 

「今は大人しい感じだけど、中学では陸上部のエースだったの。それもかなり有名だった。後輩の子も凄いらしくて本当に人気があったわ。それに成績優秀。完璧な人って感じだったわね」

 

へぇ。羽川の話を聞いてると戦場ヶ原って凄いやつなんだな。

 

「でも、私は今の大人しい戦場ヶ原さんがいいわね。凄く綺麗で儚げな存在だから」

 

羽川はそう言った。儚げな存在ね...つまりは存在感がない。

これほど、変わったのには訳がありそうだな。

 

「なるほどな。羽川、サンキューな。いい話が聞けたわ」

 

「お役に立てたのならいいんだけど、その話を聞いてどうするの?」

 

「まぁ、ちょっと訳ありでな。聞かないでくれると助かる」

 

「八幡くんがそう言うなら、これ以上は聞かない」

 

「すまんな。それじゃあ、俺は先に帰るわ」

 

「う、うん。またね」

 

「ああ」

 

そう言って俺は教室を出た。すると...

 

「羽川さんと、何を話していたのかしら?」

 

そう俺の後ろから声が聞こえた。

 

「ん?」

 

そして俺は後ろを振り返ろうとした時...

 

「動かないで」

 

そう言われた。その際に彼女なら嫌な威圧感を感じ、俺は咄嗟に彼女と距離を取った。その時に手に痛みが走る。手を切ったようだ。少し深めに。そして、俺は彼女の方を見た。何故か、手とかにカッターとかハサミとかいろいろ物騒なモノを持っていた。

 

「お前は、階段の時の...」

 

「そうよ。私も迂闊だったわ。階段を昇るときには人一倍、気をつけていたのにあんな所にバナナの皮が落ちているなんてね」

 

「気をつけていたのに、転ぶとはな。笑えるわ」

 

「黙りなさい。保健の先生に聞いたわ。私が階段から落ちたのを助けてくれたそうね。比企谷八幡君」

 

「成り行き上な」

 

「その事には感謝するわ。ありがとう。話は変わるけれど、貴方は私の体の秘密に気づいたわよね?階段から私を助けた時に」

 

「ああ、体重が軽い事にだろ」

 

「やっぱり気づいてしまったのね。しょうがないわ。貴方を処刑するわ」

 

今、処刑するとか言った?嘘だよね?

 

「いや、別に戦場ヶ原の秘密をバラしたりとかしないから安心しろ。俺にはそのような事を話す人がいないからな」

 

「...悲しい人ね」

 

「ほっとけ。それより、体重が軽くなったのはいつ頃からだ?」

 

「貴方に話すことではないわ」

 

「そうでもないさ。これを見てみろ」

 

そう言って、俺は戦場ヶ原にカッターで切られた右手を見せた。

 

「き、傷がない」

 

「何で、傷がないんだって思ってるだろ?その理由はな。俺が吸血鬼だからだ。戦場ヶ原は金髪の女の吸血鬼が出没してたって噂話は知ってるか?」

 

「ええ」

 

「俺は春休みにそいつに血を吸われて吸血鬼になったんだ。だから、俺は吸血鬼の能力でお前から受けた傷を一瞬で治した」

 

「貴方が吸血鬼ならなぜ、こんな場所にいるの?吸血鬼は光がダメなんじゃないかしら?」

 

「春休みのときまではな。あるアロハシャツを着た男の人に俺は助けられてな。そのおかげで、今の俺の身体は吸血鬼と人間の血が流れてるんだよ。だから今でもこうして普通に生活できているんだよ」

 

「そ、そうなのね」

 

「それで...だ。お前の身体が軽い原因も、もしかしたら解決するかもしれない」

 

「っ!」

 

「どうする?俺の言ってる事を信じて身体が軽い原因を突き止め、元の生活に戻りたいか、もしくはこのままの生活を続けていくかのどちらかだ」

 

「貴方の言うことを信じれば、元の生活に戻れるのね?」

 

「100%ではないがな」

 

「そう。それでも、貴方を信じてみるわ」

 

「そうか。それなら、アロハシャツを着た男の人に会いにいくぞ。その人に相談すれば、解決出来ると思うからな」

 

「分かったわ」

 

そう言って、俺と戦場ヶ原はアロハシャツの服を着た忍野メメの所に向かった。

 

 

 

...続く

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

最新話は翌日の0時に投稿予定です。

それでは、今回もよろしくお願い致します。

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